ライターが継続依頼されない理由とは?発注者視点の改善策から獲得方法まで

Webライターとして活動していると、「テスト記事は採用されたのに、その後連絡が来ない」「1本納品して高評価をもらったはずなのに、次の依頼がない」といった経験をすることがあります。

一方で発注者側も、「せっかく採用したライターがすぐに音信不通になる」「何度も同じミスを繰り返されて困る」といった悩みを抱えています。

継続依頼が難しいと感じるのは、ライターだけでなく発注者も同じです。本記事では、3000記事以上の執筆・編集に携わり、多数のライターとの協働経験を持つ筆者が、継続依頼されないライターの特徴と、継続案件を獲得するための実践的な方法を、発注者とライター双方の視点から解説します。

そもそも継続案件とは

継続案件について具体的に見ていく前に、まず「継続案件」の定義を明確にしておきましょう。

継続案件とは、一度の納品で終わるのではなく、同じクライアントから継続的に記事執筆の依頼を受ける契約形態のことを指します。多くの場合、テストライティングを経て本契約に移行し、月に数本から数十本の記事を安定的に受注できる関係性を築きます。

継続案件には明確な契約期間が定められているケースもあれば、「記事が必要な限り依頼する」という柔軟な形態もあります。いずれにしても、単発案件と比べて安定した収入を得られる点が最大の特徴です。

継続案件と単発案件の違い

継続案件と単発案件では、求められるスキルや働き方が大きく異なります。

項目	継続案件	単発案件
収入の安定性	安定した月収が見込める	案件獲得の営業活動が常に必要
レギュレーション	一度覚えれば効率的に執筆可能	案件ごとに新しいルールを習得
単価交渉	実績を積めば段階的な単価アップが期待できる	毎回の交渉が必要
精神的負担	営業活動のストレスが少ない	常に次の案件を探す必要がある
クライアントとの関係	長期的な信頼関係を構築	都度関係構築が必要

単発案件では毎回異なるクライアントのレギュレーションを理解する必要があり、案件獲得のための営業活動にも時間を取られます。一方で継続案件は、一度信頼関係を構築すれば、執筆そのものに集中できる環境が整います。

発注者が継続依頼しないライターの特徴

まず発注者の視点から、「このライターには継続依頼できない」と判断される特徴を見ていきましょう。筆者自身が複数のメディアでディレクターを務めた経験から、継続依頼されないライターには明確な共通点があることがわかっています。

基本的な約束を守れない

発注者が最も重視するのは、ビジネスパーソンとしての基本的な約束を守れるかどうかです。どれだけ文章力が高くても、この点ができていなければ継続依頼には至りません。

納期を守れない

納期遵守は継続案件における最低限のルールです。メディア運営には編集スケジュールがあり、1人のライターの遅延が全体の公開計画に影響を及ぼします。

特に問題なのは、納期に遅れそうなときに事前連絡をしないケースです。納期当日になって「間に合いません」と連絡が来ると、発注者側は代替案を立てる時間がなく、大きな混乱を招きます。

一方で、納期の数日前に「体調不良で執筆が遅れそうです。3日延長させていただけないでしょうか」と連絡をくれるライターには、発注者も柔軟に対応できます。納期を守ることと同じくらい、守れない場合の早期報告が重要なのです。

レギュレーションを無視する

各メディアには独自のレギュレーション（執筆ルール）があります。表記統一、文体、見出しの付け方、画像の選定基準など、細かく定められていることがほとんどです。

レギュレーションを守らない記事は、編集者が大幅に修正する必要があり、工数が増えてしまいます。「この程度なら大丈夫だろう」という自己判断での執筆は、発注者にとって大きな負担です。

特にSEO記事では、タイトルや見出しにキーワードを含める、メタディスクリプションを指定文字数内に収めるといったルールが厳密に設定されています。こうした基本的なルールを守れないライターは、どれだけ文章がうまくても継続依頼の対象から外れてしまいます。

同じミスを繰り返す

初回の納品でミスがあるのは仕方ありません。しかし修正指示を出しても、次の記事で同じミスを繰り返すライターは継続依頼されません。

たとえば「『Webライター』は『W』を大文字にしてください」というフィードバックをしたにもかかわらず、次の記事でも「webライター」と表記されていると、発注者は「この人は前回の指摘を覚えていないのか」「そもそもフィードバックを読んでいないのでは」と不信感を抱きます。

メモを取る、チェックリストを作るなど、指摘された内容を次回に活かす仕組みを自分で構築できるライターが求められています。

フィードバックを素直に受け入れない

修正依頼に対して防衛的な態度を取るライターも、継続依頼の対象から外れやすくなります。

たとえば「この部分、もう少し具体例があるとわかりやすいです」というフィードバックに対して、「私はこう考えて書きました」「この表現の方が正しいと思います」と反論するケースです。

発注者は記事の品質を上げるために修正を依頼しており、ライター個人を否定しているわけではありません。自分の書いた文章に愛着を持つのは自然なことですが、ビジネスとして受注している以上、クライアントの要望に応える姿勢が必要です。

もちろん、明らかに事実と異なる修正依頼や、SEO的に不適切な変更を求められた場合は、根拠を示して説明することは重要です。ただしその際も、「こういう理由でこの表現の方が適切だと考えますが、いかがでしょうか」と提案ベースで伝えるコミュニケーション能力が求められます。

連絡レスポンスが遅い

発注者からの連絡に対して、返信が極端に遅いライターも継続依頼されにくくなります。

「この部分、事実確認をしたいので情報源を教えてください」「納期を1日前倒しできますか」といった確認事項に対し、数日間返信がないと、発注者は次の作業に進めません。

理想は24時間以内の返信ですが、難しい場合でも「確認して後ほど回答します」という一報を入れるだけで印象は大きく変わります。即答できない内容でも、受信したことを伝える返信をすることで、発注者は安心して待つことができます。

記事の品質が安定しない

1本目の記事は素晴らしかったのに、2本目以降の品質が明らかに落ちるライターも、継続依頼されにくくなります。

テストライティングの段階では全力で取り組むものの、継続案件になった途端に手を抜いてしまうケースです。発注者は「この人は本気を出せばいい記事を書けるのに、普段は手を抜いている」と判断し、他のライターを探すことになります。

品質の安定性は、ライターの信頼性を測る重要な指標です。どの記事も一定以上のクオリティを保てるライターこそ、発注者が求める存在なのです。

ライター側から見た継続依頼が難しい理由

次にライターの視点から、なぜ継続依頼を獲得するのが難しいのかを見ていきましょう。

そもそも継続前提の案件が少ない

クラウドソーシングサイトで募集されている案件を見ると、「継続あり」と記載されているものの、実際には10本程度納品したら記事が不要になって契約終了、というケースが非常に多いです。

これはメディア側の事情として、特定のトピックについて必要な記事数が限られているためです。たとえば「脱毛サロン比較メディア」であれば、主要な比較記事やエリア別記事を一通り作成すれば、あとは更新頻度が落ちるのが自然です。

本当の意味での継続案件を得るには、複数ジャンルを扱う大型メディアや、継続的にコンテンツを必要とする企業と契約する必要があります。

単価と継続性の両立が難しい

高単価の案件ほど継続性が低く、継続依頼がある案件ほど単価が低い、という傾向があります。

文字単価3円以上の案件は専門性が高く、求められる品質も厳しいため、テストライティングのハードルが高く、合格しても長期的に案件が続くとは限りません。一方で文字単価1円前後の案件は比較的継続しやすいものの、収入面で満足できないという悩みを抱えるライターが多いです。

この問題を解決するには、最初は低単価でも確実に継続案件を獲得し、実績を積んだ上で単価交渉をする、あるいは並行して高単価案件にも応募し続けるという戦略が必要になります。

テストライティングで全力を出しても評価されない

テストライティングに全力で取り組んだつもりなのに、なぜか不採用になる、というケースも多く見られます。

この背景には、「求められているポイント」と「自分が頑張ったポイント」のズレがあります。たとえばクライアントが「読者にとってわかりやすい具体例」を求めているのに、ライターが「専門用語を駆使した高度な解説」を提供してしまうケースです。

テストライティングでは、募集要項やレギュレーションに書かれた「求める人物像」「記事の方向性」を正確に理解し、それに沿った執筆をすることが何より重要です。自分のスタイルを押し通すのではなく、クライアントの期待に応える柔軟性が求められます。

継続案件を獲得するための具体的な方法

ここからは、実際に継続案件を獲得し、長期的な関係を築くための具体的な方法を解説します。

継続前提の案件に絞って応募する

まず応募する段階で、本当に継続性のある案件かどうかを見極めることが重要です。

募集要項に「月20本以上の安定発注」「長期でお付き合いできる方を探しています」といった記載があるか確認しましょう。また過去の募集履歴を見て、同じクライアントが頻繁にライター募集をしている場合、継続的にコンテンツを必要としている可能性が高いです。

反対に「10記事限定」「特定ジャンルの記事のみ」と明記されている案件は、どれだけ良い記事を納品しても継続にはつながりにくいでしょう。

納期より早めに納品する

納期を守ることは最低限のルールですが、納期より早く納品できるライターは発注者にとって非常に助かる存在です。

たとえば納期が10日後であっても、8日後に納品すれば、編集者は余裕を持って修正作業に取りかかれます。また急な予定変更にも対応しやすくなるため、発注者からの信頼度が高まります。

ただし早く納品することを優先して品質を下げるのは本末転倒です。品質を保ったまま、計画的に執筆を進めて早期納品を実現する能力が求められます。

コミュニケーションを丁寧にする

発注者とのやり取りでは、丁寧なコミュニケーションを心がけましょう。

• メッセージは24時間以内に返信する
• わからないことは曖昧にせず質問する
• 修正依頼には「承知しました。○日までに修正いたします」と明確に回答する
• 納品時には簡単な報告を添える

こうした細かい配慮の積み重ねが、「このライターは安心して任せられる」という信頼につながります。

また納品時に「今回の記事では、○○という観点から△△を詳しく解説しました」と一言添えることで、どこに注力したかが伝わり、編集者も記事の意図を理解しやすくなります。

クライアントの求める記事を正確に理解する

「良い記事」の定義はクライアントによって異なります。あるメディアでは専門性の高い解説が求められ、別のメディアでは初心者にもわかりやすい平易な文章が求められます。

そのため、過去に公開されている記事を必ず確認し、そのメディアのトンマナ（トーン&マナー）や記事の方向性を把握することが重要です。

たとえば同じ「ダイエット」をテーマにした記事でも、トレーニングジムが運営するメディアなら筋トレ寄りの内容が好まれ、栄養士が監修するメディアなら食事管理の視点が重視されます。こうした違いを理解せずに執筆すると、どれだけ丁寧に書いても「求めているものと違う」と判断されてしまいます。

オリジナリティのある記事を提供する

SEO記事では競合サイトの内容を参考にすることが一般的ですが、それだけでは他の記事との差別化ができません。

たとえば「Webライターの始め方」という記事を書く場合、基本的な手順は他の記事と同じになりがちです。しかしそこに「実際に初月で3万円稼いだ筆者の体験談」や「クラウドソーシングでプロフィールの書き方を工夫して受注率が2倍になった方法」といった独自の情報を加えることで、読者にとって価値のあるオリジナル記事になります。

こうした付加価値を提供できるライターは、発注者にとって替えの利かない存在となり、継続依頼につながりやすくなります。

適度なタイミングで単価交渉をする

継続案件を獲得した後、ある程度実績を積んだら単価交渉を検討しましょう。ただし極端な単価交渉は、せっかくの継続案件を失うリスクがあります。

適切なタイミングは、20〜30本程度納品し、クライアントからの信頼を得たと感じた頃です。その際、「これまで○本納品させていただき、修正依頼もほとんどなくなってきたと感じています。つきましては、文字単価を○円から○円に引き上げていただくことは可能でしょうか」と、実績を根拠に丁寧に交渉しましょう。

もしクライアントの予算上難しい場合でも、「では○本以上の発注があれば単価を上げていただく、という形はいかがでしょうか」と代替案を提示することで、柔軟に対応できる姿勢を示せます。

クライアントの目的を理解する

記事を発注するクライアントには、必ず明確な目的があります。SEO流入を増やしたい、商品の購入につなげたい、ブランディングを強化したいなど、その目的は様々です。

たとえばSEO流入を目的としたメディアであれば、検索意図を満たす網羅的な記事が求められます。一方で商品購入を目的とした記事であれば、読者の悩みに寄り添いながら自然に商品紹介につなげる構成が重要です。

クライアントの目的を理解し、それに沿った記事を提供できるライターは、継続的に重宝されます。わからない場合は「この記事の最終的な目標は何でしょうか」と質問することで、より的確な執筆が可能になります。

継続案件を失わないための注意点

継続案件を獲得した後も、油断は禁物です。ここでは継続案件を失わないための注意点を解説します。

慣れてきても手抜きをしない

同じクライアントとの仕事に慣れてくると、無意識のうちに手を抜いてしまうライターがいます。

「このクライアントはここまでチェックしないだろう」「前回も指摘されなかったから今回も大丈夫だろう」という油断が、記事の品質低下につながります。編集者は品質の変化に敏感であり、明らかに手抜きだと感じた時点で、他のライターを探し始めます。

どれだけ継続案件が安定していても、毎回初心を忘れず丁寧に執筆する姿勢が重要です。

スキルアップを怠らない

Webライティングの世界は日々進化しており、SEOのアルゴリズムも定期的に変化します。過去のやり方に固執していると、いずれクライアントの期待に応えられなくなります。

たとえば近年のSEOでは、単なるキーワードの詰め込みではなく、読者の検索意図を深く理解した記事が評価されるようになっています。またE-E-A-T（経験・専門性・権威性・信頼性）の重要性も高まっており、実体験や専門家の監修を盛り込んだ記事が求められるようになってきました。

こうした変化に対応するため、継続的に学び続ける姿勢が必要です。SEO関連の情報をチェックする、他のライターの記事を研究する、ライティング講座を受講するなど、自己投資を惜しまないライターが長期的に生き残ります。

キャパシティを超える案件を受けない

複数の継続案件を抱えるようになると、つい「もっと稼ぎたい」と考えて案件を増やしすぎてしまうことがあります。

しかしキャパシティを超えた案件を受けると、すべての案件で品質が低下し、納期遅延も発生しやすくなります。結果としてすべてのクライアントから信頼を失い、継続案件を一気に失うリスクがあります。

自分が無理なく対応できる案件数を把握し、それを超える依頼があった場合は丁寧にお断りする勇気も必要です。「現在の案件が落ち着いたら、ぜひお引き受けしたいです」と伝えることで、将来的な機会を残すこともできます。

継続案件獲得に向けて本当に必要なこと

ここまで継続案件を獲得し、維持するための具体的な方法を解説してきました。最後に、継続案件獲得において本当に重要なポイントをまとめます。

継続案件を獲得するための最大の秘訣は、「発注者にとって安心して任せられるライター」になることです。

高度な文章力や専門知識も重要ですが、それ以上に「この人なら納期を守ってくれる」「修正依頼にも柔軟に対応してくれる」「コミュニケーションがスムーズ」といった信頼感が、継続依頼の決定打になります。

また発注者側も、優秀なライターを見つけるのは簡単ではありません。信頼できるライターと出会えたら、できるだけ長く一緒に仕事をしたいと考えています。つまり継続案件は、ライターだけでなく発注者にとっても理想的な関係なのです。

この記事で紹介した方法を実践し、発注者から「この人と長く仕事をしたい」と思ってもらえるライターを目指しましょう。

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