「AIで生成したSEO記事は、ファクトチェック機能のあるツールにかければ確認まで済みそう」。そう思えるのは、記事を書くAIやSEOツールに、本文をWeb上の情報と照らし合わせる機能が加わり、確認も自動で終わるように見えるためです。ところが、ツールが示すのはWeb上のほかのページと一致するかどうかで、一致したページが正しいかどうかまでは保証されません。AI記事のファクトチェックで確かめるのは、「間違いがないか」ではなく、事実を書いた文ごとに「正しいと言える根拠があるか」です。
本記事では、AI記事に混ざる誤りの型から、ファクトチェックの5つの手順、AIツールに任せられる範囲まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- AI記事の誤りは、存在しない統計や古いデータが、体裁の整った引用として混ざるため、読んだだけでは違和感が出ない
- ファクトチェックは、事実を書いた文を全件書き出し、機械で見つかる誤りを消してから一次情報で裏取りする
- 数値は公表値・社内観測値・仮説値に分けると、出典・算出根拠・「推計」の表示のどれが要るかが決まる
- 直した箇所は重大度と確かめた日をつけて記録し、AIが間違えやすい型を次の記事の指示に足す
- AIツールに任せられるのは事実の書き出しと出典の候補探しまでで、出典を開いて判定するのは人
AI記事に混ざるもっともらしいウソの4つの型
AI記事に混ざる誤りは、でたらめな文ではなく、ありそうな事実を作った文です。生成AIは、学習した大量の文章をもとにもっともらしい言葉をつないで文章を作るため、元データの無い数字や調査も、引用の体裁を整えて書くことがあります。「厚生労働省の2024年調査によると〜」と書かれていても、その調査が実在するとは限りません。
AI記事で確かめておきたい誤りの型は、次の4つです。
- 存在しない統計の引用:「〇〇協会の調査では78%が〜」と書かれているが、その調査が見つからない
- 古いデータの現在形:数年前の数字を、今の数字として書いている
- 因果関係の断定:相関があるだけのデータを「〇〇すると△△になる」と言い切っている
- リンク切れの出典:出典のリンクを開くと、ページが存在しない
4つの型に共通するのは、文章を読んだだけでは違和感が出ないことです。だからこそ、ファクトチェックでは間違いを探すのではなく、正しいと言える根拠があるかを1文ずつ確かめます。根拠を示せるかを問えば、読み心地に関係なく、根拠の無い文が見つかります。
SEO記事で問われるのも、AIを使ったこと自体より、内容に事実の誤りが無いかどうかです。Googleは、AIや自動化は適切に使っている限りガイドラインの違反にならず、作成方法ではなく内容が評価の対象になると説明しています。

そのうえでGoogleは、有用なコンテンツかを自分で評価するための質問の1つに、「コンテンツに明らかな事実誤認はありませんか。」を挙げています。

関連記事:【2025年最新】AIでの記事作成完全ガイド|初心者でも使える実践ノウハウ
ファクトチェックの5つのステップ
AI記事のファクトチェックは、次の5つのステップを毎回同じ順で行う作業です。感覚で確かめていると、記事ごと、担当者ごとに確かめる深さがそろいません。
記事の中から、確かめる必要のある事実の文をすべて書き出します。
ダミーのURL、編集メモの消し忘れ、リンク切れは、文字列の検索と自動のチェックで見つかります。
公的機関や公式サイト、論文の原文を開き、記事と同じことが書かれているかを確かめます。
数値を公表値・社内観測値・仮説値に分け、それぞれに要る根拠がそろっているかを見ます。
何を、なぜ、どう直したかを、重大度をつけて記録に残します。
5つのステップでは、重要そうな所だけでなく全件を確かめるのが原則です。読み手も確かめる人も、本筋の主張ほど補足の数字や固有名詞には注意を向けないため、補足の誤りほど残りやすくなります。

ステップ1・2の事実の書き出しと機械検出
ファクトチェックの最初の作業は、記事を通して読むことではなく、事実を書いた文を種類ごとに書き出すことです。書き出した主張には、間違っていたときの影響の大きさで、次の4段階の優先度をつけます。全件を確かめることは変わらず、優先度で決めるのは確かめる順番と深さです。
優先度 | 書き出す主張 | 理由 |
|---|---|---|
最高 | 統計・割合、法律・制度 | 誤情報の社会的影響が大きい |
高 | 具体的な数値、時事、比較・ランキング | 読者の意思決定に直結する |
中 | 固有名詞、因果関係の断定 | 記事全体の信頼を損なう |
低 | 一般通念 | 間違っていても実害は小さい |
健康、行政、金融に関する情報など、情報の質が特に重要なトピックについては、Googleのシステムが信頼性のシグナルをより重視すると説明されています。医療やお金、制度を扱う記事では、最高の行の主張から時間をかけて確かめましょう。
※ Google 検索セントラル ブログ「AI 生成コンテンツに関する Google 検索のガイダンス」
ステップ2では、機械的に見つけられる誤りを、裏取りの前に消します。記事の中を次の文字列で検索すれば、人が読まなくても見つかります。
- example.com:ダミーURLの消し忘れ
- search?q=:Google検索の結果のURLをそのまま貼ったリンク
- TBD、(仮):編集メモの消し忘れ
- lorem ipsum:ダミーテキスト
- javascript:void:機能しないリンク
編集メモは、人が通して読むと本文の一部に見えて、読み飛ばされがちです。あわせてリンク切れのチェックツールで記事の中のリンクをすべて確かめると、ページが存在しない出典も一度に見つかります。
ステップ3・4の一次情報での裏取りと数値の確認
ステップ3の裏取りは、主張の根拠になる一次情報の原文を開き、記事と同じことが書かれているかを確かめる作業です。ブログ記事やまとめサイトは一次情報ではありません。情報源は、信頼度で次の5つのランクに分けて扱います。
ランク | 情報源の種類 | 信頼度 |
|---|---|---|
S | 論文・政府統計・法令の原文 | 単独で根拠になる |
A | 公的機関・業界団体の公式発表 | 高い |
B | 企業の公式サイト・プレスリリース | 中〜高 |
C | ニュースメディア | 中。複数の情報源で確かめる |
D | 個人ブログ・まとめサイト | 低。単独では根拠にしない |
ランクごとの扱いは、次の3つです。
- SかAの情報源が見つかれば、それだけで根拠として確定する
- Cは、2件以上の情報源で同じ内容を確かめられたときに根拠にする
- Dだけを根拠にした主張は、消すか、根拠のある主張に書き換える
Cを2件で確かめるときは、2つの記事がそれぞれ別の取材や資料に基づいているかも見ます。同じ元の資料を写した2つの記事なら、根拠は1件です。
とりわけ見落とされがちなのが、出典の年度と版です。原文を開いたら、数字だけでなく、対象と条件が記事と同じかを読み、より新しい版や改正が出ていないかを、ページの公開日や更新日から確かめます。「古いデータの現在形」は出典が実在するため、年度まで見ないと見逃してしまうのです。
ステップ4では、数値を公表値・社内観測値・仮説値に分けてから確かめます。分けると、数値ごとに何がそろっていれば根拠になるかが決まります。
- 公表値:外部の調査や公的統計の数字で、出典が必須
- 社内観測値:自社で計測した数字で、計測した期間と算出方法が必要
- 仮説値:見込みや推計の数字で、「推計」と書いてあるかを確かめる
たとえば「〇〇を導入した企業の離職率は平均32%下がる」という文の中の数字は、公表値の形で書かれています。出典が無ければ、調査名や発表元で検索して元の調査を探し、見つからなければ数字を消すか、出典のある数字に置き換えます。
ステップ5の修正と記録の残し方
ステップ5では、誤りを直すだけでなく、何を、なぜ、どう直したかを記録に残します。記録が無いと、同じ型の誤りが次の記事でも繰り返されるためです。
修正記録は、次の4つの列の表にすると見返しやすくなります。出典のページは後から書き換わることがあるので、確かめた日も根拠と一緒に残しましょう。下は記入例です。
重大度 | 元の記述 | 直した後 | 根拠と確かめた日 |
|---|---|---|---|
高 | 「78%の企業が導入」 | 記述を削除 | 該当する調査が見つからない(2026年10月23日) |
中 | 「2023年の法改正で〜」 | 「2024年4月施行の改正で〜」 | 所管省庁の施行日の案内(2026年10月23日) |
低 | 「約100社が参加」 | 「約120社が参加」 | 主催者のプレスリリース(2026年10月23日) |
重大度は、次の3段階で判定します。
- 高:明らかに事実と違う記述や、存在しないデータの引用で、必ず直す
- 中:古い情報、出典の無い統計、誇大な表現で、直すことを勧める
- 低:軽い表記ゆれや、より正確な言い方がある記述で、直すかは任意
すべてを「高」にして同じように扱うと、本当に危険な誤りが目立たなくなります。重大度をつけるのは、必ず直す誤りと、直さなくても読者が困らない違いを分けるためです。
記録がたまると、AIが間違えやすい型が見えてきます。出典の無い公表値が多いと分かれば、次の記事からは出典の無い数字を最初に確かめ、記事を生成するときの指示にも「出典の無い数字を書かない」を足しましょう。
記録をつけても、誰がどの工程で確かめるかが決まっていないままですか
ファクトチェックを毎回同じ深さで続けるには、5つのステップを誰がどの工程で受け持つかを決めておく必要があります。記事コンテンツの制作支援の制作体制構築では、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーション策定、品質管理フローまでを組み立てます。
関連記事:校閲AIとは?校正AIとの違いとできること・使いこなす手順を解説
AIのファクトチェックツールに任せられる範囲
AIのファクトチェックツールに任せられるのは、事実を書いた文の書き出しと、出典の候補探しまでです。記事を書くAIやSEOツールの中には、本文をWeb上の情報と照らし合わせる機能を備えたものがあります。Geminiのような生成AIも、回答の中や下にソースを示すことがあります。
- 記事から事実を書いた文を書き出す
- 主張ごとに、根拠になりそうなページの候補を探す
- Web上の情報と食い違う文に印をつける
- 示された出典を開き、数字と年度と条件が記事と同じかを読む
- 照らし合わせた相手のページが一次情報かを判断する
- 社内観測値の算出根拠を確かめる
AIツールの結果をそのまま判定に使えないのは、照らし合わせる相手がWeb上のほかのページだからです。相手のページの数字が古かったり誤っていたりしても、記事と同じなら食い違いとしては見つかりません。自社の計測データや、Webに公開していない料金・実績は、照らし合わせることもできません。
示される出典が主張を支えているかも、別に確かめる必要があります。確認を頼んだ生成AIも、文章を書くときと同じ仕組みで答えを作るため、出典に無い数字を「書かれている」と返すことがあります。Geminiのヘルプにも書かれているとおり、すべての回答に関連リンクやソースが含まれるわけではありません。AIツールの結果は、出典を開いて読むまで判定に使わないようにしましょう。
※ Gemini アプリ ヘルプ「Gemini アプリの関連ソースを表示する」(2026年10月23日に確認)
ChatGPTに「この記事をファクトチェックして」と頼めば、確認は済みますか。
編集部
事実の文の書き出しと、出典の候補探しには使えます。ただ、「正しい」と返ってきた文も、示された出典を開いて、数字と年度と条件が記事と同じかを確かめてください。出典が示されない文は、確かめられていない文として扱います。
AIが書いた文章かどうかを判定するツールは、文章の書き方から判定するもので、事実が正しいかは確かめません。判定の結果が「人が書いた文章」でも、ファクトチェックは別に行う必要があります。
AIに「正確に書いて」と指示するだけでは、誤りは防げません。正確に書くよう指示されても、AIは元データの無い数字を書くことがあるからです。誤りを減らすには、書かせる前に一次情報の原文を渡し、「渡した資料に無い数字は書かない」「数字の文には出典を添える」を指示に入れます。出典つきで書かれた文はステップ3で開くページが決まっているので、裏取りの手間も減るでしょう。

まとめ|誤りを探すより根拠があるかを確かめる
AI記事のファクトチェックは、間違いを探す作業ではなく、事実を書いた文ごとに正しいと言える根拠があるかを確かめる作業です。AIツールは書き出しと出典探しに使い、判定は出典を開いて人が行いましょう。
5つのステップを一度に始めなくても構いません。次に確かめる1本では、記事の中の事実の文を全部書き出すところから始めてください。書き出すだけで、根拠を確かめていない文がどれかが見えてきます。
私たち合同会社Writers-hubは、累計8,000記事以上を制作してきました。代表は、記事は質か量かの二択ではなく、両方を取るものと考えています。そのうえで、型と検品の無い量産は勧めていません。
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