「記事の校正は、校正ツールにかけて指摘が出なくなれば終わり」。ツールの名前に「校正」と付いているため、ツールを通せば校正の作業が済んだと受け取られがちです。しかし、ツールが見ているのは文字の並びで、書かれた数字が正しいかや、見出しの問いに本文が答えているかは見ていません。事実を確かめる校閲と、構成や表現を練る推敲は、ツールとは別に人が見る工程です。
本記事では、校正と校閲・推敲の違いから、30項目のチェックリストの使い方と記事を公開するまでの手順まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 校正は表記、校閲は事実、推敲は構成と表現を直す作業で、照らし合わせる相手がそれぞれ違う
- AIの校正ツールに任せられるのは誤字や表記ゆれの検出までで、事実の正しさは人が一次情報で確かめる
- 30項目は推敲13、校閲6、校正6、公開前の設定5に分けて使う
- 公開までは、ツールで誤字を拾ってから人が構成、事実、表現の順に読み、直した箇所と設定を最後に確かめる
- 時間が足りないときも、校閲の6項目は公開前に必ず通す
記事の校正・校閲・推敲の違い
「記事の校正」と呼ばれる公開前の確認は、直すものと照らし合わせる相手の違いで、3つの作業に分かれます。
| 校正 | 校閲 | 推敲 | |
|---|---|---|---|
| 直すもの | 誤字脱字や表記ゆれ | 事実や数字の誤り、内容の矛盾 | 見出しの構成と文の表現 |
| 照らし合わせる相手 | 表記のルール | 一次情報 | 読者と記事の目的 |
| 例 | 「サーバー」と「サーバ」の混在 | 企業名や統計の数字の誤り | 見出しの問いに答えていない本文 |
校正は、出版の世界では、印刷前の試し刷りを原稿と見比べて誤りを直す作業のことです。Web記事には試し刷りが無いため、原稿の誤字脱字や表記ゆれを直す作業を校正と呼ぶのが一般的です。推敲は文章を練り直す作業で、本記事では見出しの構成を見直すことも推敲に含めます。
人が読むときは、3つの作業を別々の回に分けます。照らし合わせる相手が違う作業を1回の読み直しでまとめて見ると、相手を切り替えるたびに見落としが生まれるためです。
AIの校正ツールに任せられる範囲
AIの校正ツールに任せられるのは、誤字脱字や表記ゆれのように、文字の並びだけで誤りと分かる項目に限られます。ツールが得意とするのは、次の4つです。
- 誤字脱字と、同音異義語の取り違え
- 「お問い合わせ」と「お問合せ」のような表記ゆれ
- 助詞の重複と、ねじれた文
- 長すぎる一文
一方で、書かれた内容が正しいかや、読者にふさわしいかは、記事の外にある一次情報や読者像と照らし合わせないと判断できません。ツールでは判定できず、人が見るのは次の5つです。
- 書かれた事実の正確さ
- 文脈に合ったニュアンス
- 読者にとっての表現の自然さ
- 見出しと本文の論理のつながり
- 嘘ではないが誤解を招く表現
とりわけ見落とされがちなのが、ツールの指摘がゼロだった文章にも、事実の誤りはそのまま残るという点です。記事に「2024年の法改正」と書いてあっても、ツールは改正が本当に2024年かを確かめないため、年が誤っていても表記として正しければ指摘しません。任せる範囲を決めずにツールを入れると、「ツールが見てくれているから大丈夫」と考えて、人が事実を確かめる工程が抜けやすくなります。
生成AIに記事を読ませれば、事実の確認もまとめて済ませられませんか?
編集部
生成AIは、確かめるべき数字や固有名詞を洗い出す手伝いには使えます。ただ、生成AIの答えにも誤りが混ざることがあるので、最後は省庁の発表や企業の公式サイトなど、元の資料を開いて確かめてください。
記事の校正チェックリスト30項目
記事の校正チェックリストは30項目あり、どの工程で見るかで5つに分けています。ツールに任せるのは表記の6項目で、残りは人が読んで判断します。

推敲で見る構成の6項目
構成の6項目は、見出しと段落の並びが読者の疑問に答えているかを、人が見る項目です。
- 見出しだけを読んで、記事の全体像が伝わるか
- H3がH2の一部になっていて、階層が論理的に正しいか
- 導入文で、誰に向けた何の記事かが示されているか
- 結論が、記事タイトルの問いに答えているか
- 各セクションの順序に必然性があるか
- 同じ情報が重複していないか
セクションを入れ替えても話が通じる記事は、順序に必然性が無いと判断します。6項目はどれも、記事が誰の何に答えるために書かれたかを知らないと判断できないため、ツールには任せられません。
校閲で見る事実の6項目
事実の6項目は、記事に書いた固有名詞や数字が正しいかを、人が一次情報で確かめる項目です。
- 企業名やサービス名、人名などの固有名詞は正しいか
- 数値データの出典を確かめたか
- 引用した法律やガイドラインは最新の版か
- 日付と年号に誤りがないか
- リンク先のURLが開けるか
- 「〜と言われている」と書いた箇所に、主語と出典があるか
出典を示せない数字は、記事に残さず消します。「約7割が〜」のような記述を見たら、7割という数字がどの調査から来たのかを確かめてください。
推敲で見る表現の7項目
表現の7項目は、文が読みやすいかと、読者に合った言葉づかいかを見る項目です。7項目のうち、次の3項目はツールで検出できます。
- 一文が60文字を超えていないか
- 主語と述語がねじれていないか
- 「〜という」「〜ような」「〜といった」を多用していないか
ツールが検出した箇所を直すかどうかは、人が決めます。ツールは字数や語の並びで一律に指摘するので、指摘どおりに直すと、かえって意味が通りにくくなる文もあるからです。残りの4項目は、人が読んで判断します。
- 同じ接続詞が3回以上続いていないか
- 受動態が必要以上に多くないか
- 専門用語に、初めて出た箇所で説明があるか
- 断定すべき箇所で、ぼかした表現を使っていないか
専門用語をどこまで説明するかや、どこで言い切るかは、読者がどこまで知っているかで答えが変わるため、ツールには決められません。
校正で見る表記の6項目
表記の6項目は、ツールに任せる項目です。括弧の閉じ忘れや余分なスペースは、人が画面で読んでも目に入りにくく、ツールなら全文を一度に照らし合わせられます。
- 表記ゆれがないか
- 句読点が「、。」か「,.」のどちらかにそろっているか
- 数字の半角と全角、漢数字の使い分けがそろっているか
- WordPressやGitHubなど、固有名詞の大文字と小文字が正しいか
- 開き括弧と閉じ括弧の数が合っているか
- 不要な半角や全角のスペースがないか
ツールは表記ゆれを見つけられても、どちらにそろえるかまでは決められません。そろえ方は社内の表記ルールで決めます。ルールが無いときは、国の文書の表記や用語の留意点をまとめた文化審議会の建議「公用文作成の考え方」を土台にして、社内のルールを作る方法があります。

公開前に見る設定の5項目
設定の5項目は、本文の外にあるCMSの設定と、読者の端末での表示を確かめる項目です。本文を何度読み直しても見つからない誤りなので、人がプレビュー画面で確かめます。
- メタディスクリプションが記事の内容を反映しているか
- OGP画像が設定されているか
- カテゴリとタグが正しく設定されているか
- 公開日時が正しいか
- スマートフォンで表示して読みやすいか
PCの画面だけで確かめると、スマートフォンで表や長い見出しが折り返されて読みにくくなっていても気づけません。
メタディスクリプションの長さに制限は無く、検索結果では端末の幅に合わせる場合などに、必要に応じて切り詰められることが、Google検索セントラルにも明記されています。字数を数えるより、記事の要点が前半で伝わるかを確かめましょう。

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記事を公開するまでの校正の流れ
記事を公開するまでの校正は、次の6つの段階で進めます。ツールを通すのは、最初と、直し終えた後の2回です。

6つの段階は、後の段階で直したときに、やり直す作業が最も少なくなる順に並べています。
表記の6項目と、表現のうちツールで検出できる3項目を、校正ツールにまとめて通します。誤字が残ったまま読むと、構成や事実に向けるはずの注意が誤字に取られるためです。ツールの指摘のうち、すぐに直すのは誤字と表記の誤りまでです。
構成の6項目を、見出しの並びから順に確かめます。事実の確認より先に構成を見るのは、構成を直すと段落が入れ替わったり消えたりするからです。
事実の6項目を、一次情報を開いて確かめます。裏付けに使うのは、省庁の発表や企業の公式サイトなどの元の資料です。二次情報1つで済ませると、情報源が誤って引用していたときに、誤りをそのまま写すことになります。
表現の推敲で読むのは、人が判断する4項目です。最初の段階でツールが指摘した長い文やねじれた文を直すかどうかも、表現の推敲で決めます。
直した箇所の前後2段落を読み直します。AをBに直したのに、3段落先に「Aの場合は」という記述が残っていた、というように、直したことで新しい矛盾が生まれることがあるためです。読み直したら、直した文に入った誤字を拾うためにツールにもう一度通し、最後に記事全体を1回通して読みます。項目ごとの確認では見つからず、通し読みで初めて拾えるのが、文法は正しいのに読みにくい箇所です。
設定の5項目を、CMSのプレビュー画面とスマートフォンで確かめます。
社内の複数の人で校正を分担するなら、段階ごとに受け持つ人を決め、同じチェックリストを共有しておけば、人によって見る項目が変わりません。書き手は、自分で書いた数字を正しいものと思い込んだまま読んでしまいがちなので、校閲は書き手とは別の人が受け持つ形が向いています。
校正の段階ごとに、だれが受け持つかを決められていますか
記事コンテンツの制作支援では、記事の書き方の決まり(レギュレーション)と品質管理の流れを、編集者・ライター・監修者のチーム編成とあわせて組み立てます。校正の6つの段階をだれが受け持つかを決めるのも、制作体制の構築の一部です。
校正チェックリストの絞り方と見直し方
校正チェックリストの30項目は、最初から全部を通せなくても、事実を確かめる校閲の6項目から始められます。時間が足りないときも、校閲の6項目は公開前に必ず通します。誤字は読者が前後から正しい語を読み取れますが、誤った数字や日付は、読者がそのまま信じて使ってしまうためです。
30項目は、どの分野の記事にも共通する項目だけを挙げています。記事の分野や社内の表記ルールに合わせて項目を足し引きするため、チェックリストは一度作ったら終わりではありません。
公開後に誤りが見つかったら、見つかった誤りを防げたはずの項目をチェックリストに足します。半年に1回は、一度も誤りを見つけていない項目を見直し、外してよいかを決めます。
まとめ|表記はツール、事実は人が見る記事の校正
記事の校正でツールに任せられるのは、表記の確認までです。事実の正しさは一次情報で、構成と表現は読者と記事の目的に照らして、人が確かめます。
30項目は工程ごとに分け、1回の読み直しでは1つの工程の項目だけを見てください。時間が足りないときも、校閲の6項目だけは公開前に必ず通してください。
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構成の誤りを、書く前の設計で減らしませんか
見出しが問いに答えていない、結論がタイトルとずれている、といった構成の誤りは、書く前にKWと読者の問いを決めておくと減らせます。KW戦略設計とコンテンツ計画から、御社の記事の作り方を一緒に見直します。







