「名前の知られた会社のオウンドメディアをまとめて見れば、自社に合うものが見つかりそう」。有名なメディアほどデザインや業種の切り口で紹介されることが多いため、見た目や業種が近い事例を選べば参考になると思われがちです。ところが、採用の応募を集めるメディアと商品を売るメディアでは、記事の題材も、記事の後に置く案内も、成果を確かめる数字も違います。事例は、運用で出た成果の種類で分けて見ると、自社が狙う成果を決めやすくなります。
本記事では、オウンドメディアで出る4つの成果から、成果ごとの企業の事例、自社が狙う成果の決め方まで、記事の制作を支援する会社の視点で順を追ってお伝えします。
- オウンドメディアで出る成果は主に4つで、問い合わせ、商品の購入、採用、会社の考え方の理解に分かれます
- 北欧、暮らしの道具店は商品の購入に、メルカリのメルカンは採用に、サイボウズ式は会社の考え方の理解につなげる作りです
- 問い合わせの件数は公開されることが少ないため、記事から相談や資料請求へ進む作りを見て事例を探します
- 自社では、いちばん足りない成果を1つ選び、その成果を出す人の疑問から記事を書き始めます
オウンドメディアで出る4つの成果
オウンドメディアで出る成果は、主に次の4つに分かれます。4つの成果は、記事を読む人も、記事の後に置く案内も、成果を確かめる数字もそれぞれ違います。
成果の種類 | 記事を読む人 | 記事の後に置く案内 | 成果を確かめる数字 |
|---|---|---|---|
問い合わせ | 製品やサービスを比べている会社の担当者 | 資料請求、相談の申し込み、導入事例 | 記事を読んだ人からの問い合わせと資料請求の件数 |
商品の購入 | 商品を使う場面を思い描いている消費者 | 記事で紹介した商品のページ | 記事から商品ページへ進んだ人数と購入数 |
採用 | 転職や就職を考えている人 | 求人の一覧、社員の紹介 | 応募数と、面接で記事を読んだと話す応募者の数 |
会社の考え方の理解 | まだ社名を知らない人や取引を考えている人 | 関連する特集、メールマガジンの登録 | 社名での検索数、取材や講演の依頼 |
成果の種類によって、記事の題材も変わります。問い合わせを狙うなら、製品を比べている担当者が営業に聞く質問が題材です。採用を狙うなら、応募を迷っている人が知りたい仕事の中身や、働く人の考え方が題材になります。狙う成果が違えば、同じ業種でもまねる事例は変わります。

成果の種類ごとに見る3社の事例
成果の種類ごとに事例を見ると、北欧、暮らしの道具店は商品の購入、メルカリのメルカンは採用、サイボウズ式は会社の考え方の理解につながる作りになっています。3社とも、運営元が自社のサイトでメディアの役割や広がった事業を説明しているので、外から確かめられます。業種や目的ごとに、より多くの企業のメディアを見比べたいときは、目的別に企業10社を並べたオウンドメディアの一覧が使えます。
商品の購入につなげる北欧、暮らしの道具店
北欧、暮らしの道具店は、記事やビデオと商品を同じサイトで届けている、クラシコムのメディアです。クラシコムの事業紹介には、2007年にビンテージの北欧食器を売るECサイトとして始まったと書かれています。今はセレクト商品やオリジナル商品に加えて、記事やドラマ、ポッドキャスト、劇場映画なども届けています。
サイトのメニューには「買いもの」と「コンテンツ」が並び、検索窓では商品と記事を切り替えて探せます。クラシコムは、コンテンツを発信する目的を、お客様との接点を増やし、愛着を深めることだと説明しています。商品の売上の半分以上は、オリジナルブランドの商品が占めています。
メディアそのものが商品の販売とは別の収益を生んでいる点は、見落とされがちです。クラシコムは、世界観に共感する企業に向けて、メディアでのコンテンツの企画・制作・配信や商品の共同開発を行う「ブランドインテグレーション」も提供しています。
商品の購入を狙うなら、記事で描いた暮らしの場面から、その場面で使う商品のページへ直接進めるようにします。
採用につなげるメルカリのメルカン
メルカンは、メルカリの「いま」と「未来」を伝えるオウンドメディアで、ミッションを軸に、働く人の思いやカルチャーを発信しています。以前のURLから転送され、今はメルカリの採用サイトの中に置かれています。
記事は、会社・事業と職種のカテゴリーから探せます。画面には「募集中の求人一覧」のボタンがあり、記事を読んだ人が採用サイトへ進めます。成果の数字は外からは見えませんが、自分の職種の記事を読んだ人が求人へ進む作りは、画面から確かめられます。採用を狙うなら、記事を職種で探せるようにし、読んだ人がその職種の求人へ進めるようにします。
考え方の理解につなげるサイボウズ式
サイボウズ式は、チームワークあふれる社会をつくりたいというサイボウズの考え方を伝えるため、2012年に立ち上げたオウンドメディアです。サイボウズ式ブックスのページには、インターネットで届けられる範囲を超えて、さまざまな価値観を持つ人に届けるために本をつくり始めたと書かれています。
2023年には『山の上のパン屋に人が集まるわけ』、2025年にはオードリー・タン氏らの『PLURALITY』を出版しました。kintoneの導入事例をまとめた非売品の本も、PDFのダウンロードと無料の郵送で配っています。会社の考え方の理解という成果は、記事の閲覧数よりも、本の出版のように記事の外へ広がった形で確かめられます。
問い合わせを狙う事例の探し方
問い合わせを狙うオウンドメディアの事例は、問い合わせの件数ではなく、記事から相談や資料請求へ進む作りで探します。運営元が問い合わせの件数を公開することは少ないからです。
問い合わせの数字が公開されにくい理由
採用の成果は求人ページ、本の出版は書籍、商品の売上は決算の資料のように、外から確かめられる形で表に出ます。一方、問い合わせや商談の件数は営業の数字です。取引先や競合に知られたくない数字なので、公開されにくいと見ています。
もう1つ確かめたいのが、事例の出どころです。BtoBの問い合わせの事例には、運営元ではなく、制作を手伝った会社が自社の実績として書いたものもあります。その場合、数字の数え方や期間は書いた会社の基準なので、運営元の公式サイトに同じ説明があるかを確かめてから参考にします。

問い合わせを狙う事例の見分け方
数字が見えない事例は、記事の作りで見分けます。問い合わせを狙うメディアかどうかは、次の3つがすべてそろっているかで判断できます。
- 製品やサービスを比べている人の疑問に答える記事がある
- 記事の最後に、資料請求や相談の申し込みの案内がある
- 記事から導入事例やサービス紹介のページへ進める
3つのうち1つでも欠けていれば、読まれる記事があっても問い合わせまで進む人は限られるはずです。問い合わせの事例は、件数より記事の後の作りで選びます。
問い合わせにつながる記事を、どの疑問から書くか決まっていますか
問い合わせにつながる記事は、製品を比べている人が検索する言葉から書き始めます。弊社の記事コンテンツの制作支援では、KW戦略設計として、検索意図を読み、上位を取れる見込みの高いKWから優先して書くロードマップを作ります。料金は公開しておらず、オンライン30分の無料相談で見積もります。
自社が狙う成果を決める4つの手順
自社が狙う成果は、事業でいちばん足りない成果を1つに絞り、その成果を出す人の疑問、記事の後の案内、見る数字の順に決めます。
採用も問い合わせも足りないので、事例のように1つのメディアで全部を狙いたいのですが、無理でしょうか?
編集部
1つのメディアで複数の成果を出している会社もあります。北欧、暮らしの道具店も、商品の販売と企業向けの事業を同じメディアで行っています。ただ、成果ごとに記事を読む人と記事の後の案内が変わるので、最初は1つに絞るほうが、どの記事が成果につながったかを確かめやすくなります。
成果を1つに絞ったら、次の4つの手順で記事の題材と案内まで決めます。
問い合わせ、商品の購入、採用、会社の考え方の理解のうち、今いちばん足りないものを1つ選びます。迷ったら、1件増えたときに売上や採用の計画がいちばん動く成果を選びます。
その成果を出す人が、行動の前に知りたいことを書き出します。問い合わせなら営業が商談で毎回聞かれる質問、採用なら面接で応募者から出る質問が、そのまま記事の題材になります。
記事を読んだ人が次に進む先を、成果に合わせて1つ決めます。問い合わせなら資料請求や相談、採用なら求人の一覧、商品の購入なら記事で紹介した商品のページです。
成果を確かめる数字と、見直す日を決めます。数字は、問い合わせならフォームの送信数、採用なら応募数のように、4つの成果の表にある「成果を確かめる数字」から選びます。
見直す日は、記事が検索から読まれ始めるまでの時間を見込んで決めます。Googleの「SEO スターター ガイド」にも、サイトの変更が検索結果に反映されるまで数時間から数か月かかり、一般には数週間待ってから効果を確かめるよう書かれています。数字の目標の立て方は、オウンドメディアの目標の決め方にまとめています。
成果は、ページビューより記事の後の案内が使われた数で確かめます。公開した翌週に数字が動かなくても、記事の方向を変える理由にはなりません。
オウンドメディアの事例でよくある質問
事例を参考にするときに出やすい3つの質問に答えます。
事例と同じデザインにすれば成果は出る?
デザインを事例と同じにしても、狙う成果に合う記事と記事の後の案内がなければ、問い合わせや応募は増えません。デザインで変わるのは、読む人が記事を読み進めやすいかどうかです。先に狙う成果と記事の題材を決め、デザインはその後に選びます。
小さな会社でも大企業の事例を参考にできる?
小さな会社でも、事例の作りは参考にできます。まねるのは記事の本数や編集部の人数ではなく、読んだ人が次に進む先の作りです。メルカンのように記事を職種で探せるようにする作りは、記事が数本しかない段階でも取り入れられます。
成果を出している事例はどこで探せばいい?
成果を確かめられる事例は、運営元の公式サイトで探すのが確実です。採用の成果なら採用サイト、事業としての成果なら会社の事業紹介やIRのページに、メディアの役割が書かれていることがあります。デザインの参考を集めたギャラリーサイトは見た目を比べるのに使い、成果は運営元のページで確かめます。
まとめ|事例は見た目より出た成果の種類で選ぶ
オウンドメディアの事例は、デザインや業種ではなく、運用で出た成果の種類で分けて見ると、自社が狙う成果を決めやすくなります。商品の購入、採用、会社の考え方の理解につながる事例は、北欧、暮らしの道具店やメルカン、サイボウズ式のように、運営元のサイトでメディアの役割を確かめられます。問い合わせの成果は数字が公開されにくいため、記事から相談や資料請求へ進む作りで事例を選びます。
まずは足りない成果を1つ選び、その成果を出す人の疑問から書き始めます。私たち合同会社Writers-hubは、記事コンテンツの制作支援として、KW戦略設計、制作体制の構築、毎日出している記事の型をお渡しする支援を行っています。
狙う成果が決まったら、記事を出し続ける体制はありますか
弊社の記事コンテンツの制作支援では、制作体制の構築として、編集者・ライター・監修者のチーム編成、レギュレーション策定、品質管理フローを作ります。弊社が自社と取引先のサイトで毎日公開している運用の、記事の指示文を作るツールを、御社で回せる形でお渡しすることもできます。その場合、公開前の確認は御社で行っていただきます。料金は公開しておらず、オンライン30分の無料相談で見積もります。







