「タイトルを2案作って、CTRが高いほうを残せばよさそう」。広告やLPのABテストは、訪問者を2つの組に分けて同じ期間に2つの案を見せるので、記事のタイトルも同じように試せると考えがちです。ところが、Googleの検索結果に出る記事のタイトルは1つの記事につき1つで、比べられるのは同じ記事の変更前と変更後の期間です。表示回数と平均掲載順位をそろえて比べないと、CTRの差がタイトルの効果なのか偶然なのかを見分けられません。
本記事では、テストする記事の選び方からタイトルの直し方、Search Consoleのデータでの判定の基準まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- テストする記事は、平均掲載順位が10位以内で、自分のサイトの同じ順位帯よりCTRが低い記事から選ぶ
- 変更後の計測は、検索結果に新しいタイトルが出たことを確かめた日から始める
- CTRが3%前後なら、各期間の表示回数が1,000回のとき、1.5ポイントほどの差は偶然でも出る
- CTRが上がっても、問い合わせに進む人が減るタイトルは採らない
順位を変えずにクリックを増やすタイトル改善
記事タイトルの改善は、検索順位を上げなくても、検索結果から記事に来る人を増やせる施策です。クリック数は、表示回数にCTR(表示された回数のうちクリックされた割合)を掛けた数になるためです。たとえば、表示回数が月3,000回の記事でCTRが2%から3%に上がれば、順位が同じままでも、クリックは月60回から月90回に増えます。
記事の中身を直して順位を上げるSEO対策は、効果が出るまでに一般に3〜6か月ほどかかり、期間はサイトの状態とキーワードの競合の強さで変わります。順位はGoogleが決めますが、タイトルの文言は記事を書く側が決められます。
検索結果のABテストが広告やLPと違う点
検索結果のタイトルのABテストが広告やLPのABテストと違うのは、2つの案を同じ期間に振り分けて表示できない点です。広告やLPでは訪問者を2つの組に分けて比べますが、Googleの検索結果に出る記事のタイトルは1つの記事につき1つなので、変更前と変更後の期間を比べます。

同じ型のページが多いサイトなら、ページを2組に分けて片方だけタイトルを変え、同じ期間で比べる方法もあります。
LPのテストツールで記事のタイトルを出し分ければ、検索結果でも2つの案を比べられませんか。
編集部
テストツールで出し分けられるのは、記事を開いた後の画面です。検索結果のタイトルは、Googleがクロールしたページをもとに決まるので、検索結果に出る案は1つのままです。
見落とされがちなのが、新しいタイトルがすぐ、そのまま検索結果に出るとは限らない点です。Googleは、title要素のほか、ページの大見出しや見出し、ページへのリンクの文字などから、検索結果に出すタイトルを自動で決めているのです。変更が反映されるには再クロールと再処理が必要で、数日から数週間かかることがあります。新しいタイトルが検索結果に出るまでの日は、変更後のデータに入れません。
※ 出典:Google 検索セントラル「Google 検索結果のタイトルリンクの変更」

記事タイトルのABテストの手順
記事タイトルのABテストは、次の5つの手順で進めます。
Search Consoleの「検索パフォーマンス」でページごとのCTRと平均掲載順位を出し、平均掲載順位が10位以内でCTRが低い記事を選びます。CTRが低いかどうかは、自分のサイトで同じ順位帯にある記事のCTRの中央値と比べて決めます。同じ順位でも、キーワードや、検索結果に並ぶ広告・画像の有無でCTRは変わるためです。
クリックされない理由を1つに絞ります。検索結果だけで答えが分かるクエリや、ほかの結果に星の評価などのリッチリザルトが出ているクエリは、タイトルを変えてもCTRが上がらないことがあるので、テストの対象から外します。
仮説に対応する1か所だけを変え、変更日を記録します。変更後にSearch ConsoleのURL検査ツールでインデックス登録をリクエストするのが、Googleに変更を伝える方法です。リクエストにはプロパティの所有者かフルユーザーの権限が要り、同じURLを何度リクエストしてもクロールは早まりません。
主なクエリで検索し、新しいタイトルが出ているかを確かめます。Googleがtitle要素と別の文言を出しているときは、出ている文言をテストした案として記録します。
変更前と変更後は、14日と14日、28日と28日のように7日の倍数で同じ長さにし、平日と週末の日数をそろえます。期間の長さは、判定に必要な表示回数が集まるかで決めます。
変更前の期間は変更日の前日で区切り、変更日から、新しいタイトルを確かめた日の前日までは、どちらの期間にも入れません。
※ リクエストの方法:Google 検索セントラル「クロール・インデックス登録リクエスト」

CTRが低い理由別のタイトル改善例
タイトルの直し方は、CTRが低い理由の仮説ごとに変わります。元のタイトルを「SEO記事のタイトルの付け方|基本を解説」としたとき、理由ごとに1か所だけ変えた例は次の4つです。
CTRが低い理由の仮説 | 変える1か所 | 変更後の例 |
|---|---|---|
読んで得られる答えが見えない | 答えの中身を書く | SEO記事のタイトルの付け方|7つの手順を解説 |
上位の記事と言い回しが同じ | 上位に無い切り口を書く | SEO記事のタイトルの付け方|上位10記事と比べて決める |
誰に向けた記事か分からない | 読者を書く | SEO記事のタイトルの付け方|初めて記事を書く担当者向け |
主なクエリの「文字数」がタイトルに無い | クエリの言葉を左に寄せる | SEO記事のタイトルの文字数と付け方|基本を解説 |
1回のテストで変えるのは、仮説に対応する1か所だけにします。2か所を同時に変えると、CTRが動いても、どちらが効いたのかを判断できません。主なクエリの言葉を確かめる場所は、Search Consoleでページを絞り込んだ「クエリ」タブです。
数字や経歴をタイトルに入れるのは、本文にその内容があるときだけにします。本文に無い約束を書くと、CTRが上がっても記事を開いた人は答えを見つけられず、Googleがページの内容に合わないと判断して、別の文言を検索結果に出すこともあります。
CTRデータの見方と判断基準
タイトルを変えた後は、CTRを偶然の振れ幅と順位の動きを除いて比べ、問い合わせへの影響まで見て採否を決めます。2つの期間は、Search Consoleの「日付」の「比較」タブで並べられます。
表示回数で変わる偶然の振れ幅
CTRの差が改善か偶然かは、各期間の表示回数で決まります。表示回数が少ないと、クリックが数回増減しただけでCTRが大きく動くためです。CTRが3%前後で、2つの期間の表示回数が同じときの目安は次のとおりです。
各期間の表示回数 | CTRが3%のときのクリック数 | 偶然でも出る差の目安 |
|---|---|---|
500回 | 15回 | 約2.1ポイント |
1,000回 | 30回 | 約1.5ポイント |
3,000回 | 90回 | 約0.9ポイント |
10,000回 | 300回 | 約0.5ポイント |
※ 2つの割合の差を正規分布で近似し、95%の範囲で計算した目安です。同じ人が何度も検索するなど条件がそろわないため、実際の振れ幅はこれより大きくなることがあります。
CTRの差が目安より小さいうちは、改善と判断しません。表示回数が月に数百回の記事は、期間を延ばすか、表示回数の多い記事を先にテストします。
平均掲載順位をそろえた比較
平均掲載順位が変更前と変更後で1位以上ずれたときは、CTRの差をタイトルの効果と判断しません。順位が1つ違うだけで検索結果での表示位置が変わり、CTRも変わるためです。順位が動いたときは、落ち着いてから同じ順位の期間どうしで比べ直します。
主なクエリごとのCTR
CTRは、記事全体ではなく、記事に来る人が多い主なクエリごとに比べます。記事が表示されるクエリは時期によって入れ替わり、CTRの低いクエリで表示が増えるだけでも、記事全体のCTRは下がるためです。
問い合わせへの影響
CTRが上がっても、記事から問い合わせに進む人が減ったら、新しいタイトルは採りません。タイトルの約束と本文の答えがずれると、クリックした人が記事から離れるためです。GA4で、テストした記事をランディングページにしたキーイベントの数を2つの期間で比べ、件数が少ない記事は、タイトルの約束と本文が合っているかを読み直します。
CTRが下がったときの戻し方
平均掲載順位が同じままCTRが偶然の振れ幅の目安を超えて下がったら、元のタイトルに戻します。戻した後もインデックス登録をリクエストし、外れた仮説として結果を記録します。
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関連記事:SEO記事のリライト手順——検索順位が落ちた記事を再浮上させる方法
タイトル改善を毎月続ける仕組み
タイトル改善は、月に1回、テストする記事を3〜5本選び、結果を同じ記録表に書く作業として続けます。
記録表に残す項目は、次の6つです。
- タイトルの変更日と、新しいタイトルを確かめた日
- 変更前と変更後のタイトル
- 立てた仮説と、変えた1か所
- 各期間の表示回数、クリック数、CTR
- 各期間の平均掲載順位
- 採ったかどうかと理由
月に3本ずつでも、12か月続ければ36本分の記録がたまる計算です。どの仮説の変更でCTRが上がったかが分かるので、新しい記事のタイトルを決めるときにも記録を使えます。Search Consoleで見られるのは過去16か月分なので、数字はテストのたびに記録表へ書き写します。
まとめ|CTRは条件をそろえた前後比較で判定
記事タイトルのABテストでは、同じ記事の変更前と変更後を、新しいタイトルの表示を確かめた日から同じ長さの期間で比べます。平均掲載順位がそろい、CTRの差が表示回数から見た偶然の振れ幅を超え、問い合わせも減っていなければ、新しいタイトルを採ります。
表示回数が少ないサイトでは、タイトルより、上位に入る記事を増やすのが先です。
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関連記事:SEO記事の書き方完全ガイド|上位表示を実現する18のテクニックと対策
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