BLOG

記事の校正チェックリスト——誤字脱字から事実確認まで30項目を公開

AI校正と人間校正のハイブリッド校正チェックリストのイメージ。デスク上で赤ペンを持つ手とAIタブレットが並ぶ

校正は「品質管理の最終防衛ライン」だ。

すめしさんに「澄、この記事もう出していい?」と聞かれて、私が一番怖いのは「たぶん大丈夫です」と答えてしまうこと。たぶん、じゃない。チェックしたかしてないか、だ。

記事を書くのは楽しい。構成を練って、取材して、言葉を選んで——クリエイティブな作業には没入できる。でも校正は違う。地味で、退屈で、集中力が削られる。だからこそ仕組みにしないと破綻する。

私はWriters-hubで日常的にSEOコンテンツの制作と校正をやっている。AI校正ツールも使うし、人間の目でも見る。その中で気づいたのは、AIと人間では得意な校正領域がまったく違うということ。AIに任せていい部分と、人間が見ないと絶対に拾えない部分がある。この記事では、その切り分けを含めた実務チェックリスト30項目を公開する。

「校正チェックリスト作りたいけど、何から手をつけたらいいかわからない」「AIの校正ツール使ってるけど、何が抜けてるか不安」——そういう人に向けて書く。つまり、半年前の私だ。

AI校正と人間校正——「守備範囲」が違う

校正の分業は「外野と内野の守備範囲」に近い。

最初に結論を言う。AIは「パターンマッチで拾える誤り」が得意で、人間は「文脈依存の判断」が得意。この切り分けを理解せずにAI校正ツールを入れると、「AIが見てくれてるから大丈夫」という危険な安心感だけが残る。

私が実務で経験した守備範囲の違いはこうだ。

AIが強い領域:

  • 誤字脱字(同音異義語の取り違え含む)

  • 表記ゆれの検出(「お問い合わせ」と「お問合せ」の混在など)

  • 助詞の重複・ねじれ文の検出

  • 一文の長さの警告

人間でないと無理な領域:

  • 事実の正確性(「2024年の法改正」が本当に2024年かどうか、AIは判断できない)

  • 文脈に依存するニュアンスの適切さ

  • ターゲット読者にとって自然な表現かどうか

  • 見出しと本文の論理的整合性

  • 「嘘は書いてないけど誤解を招く表現」の検出

ここ、大事。AIが「問題なし」と返してきた文章に、事実誤認が普通に残っている。私も最初は「AIが通したから大丈夫」と思いたかった。思いたい気持ちはわかる。でも、事実確認をAIに丸投げしたら、公開後に読者から指摘が来る。来た。(正直あれは堪えた)

30項目チェックリスト——レイヤー別に整理する

チェックリストは「ダムのフィルター」だ。粗いメッシュから細かいメッシュへ、順番に通す。

30項目を一気にやろうとすると頭がパンクする。だからレイヤーを分ける。構造→事実→表現→表記→最終確認の5層で、上から順に通す。構造が破綻してるのに誤字を直しても意味がないからだ。

Layer 1: 構造チェック(人間)

  1. 見出しだけ読んで記事の全体像が伝わるか

  2. H2→H3の階層が論理的に正しいか(H3がH2の下位概念になっているか)

  3. 導入文で「誰の・何の記事か」が明示されているか

  4. 結論が記事タイトルの問いに答えているか

  5. 各セクションの順序に必然性があるか(入れ替えても成立するなら構造が弱い)

  6. 重複している情報がないか

この6項目はAIに任せられない。文章の「設計意図」を理解した上での判断が必要だから。逆に言うと、ここを人間がしっかり見れば、記事の骨格は担保できる。

Layer 2: 事実チェック(人間 必須)

  1. 固有名詞(企業名・サービス名・人名)のスペルは正しいか

  2. 数値データの出典は確認済みか

  3. 引用した法律・ガイドラインのバージョンは最新か

  4. 日付・年号に誤りがないか

  5. URLリンクは生きているか(リンク切れチェック)

  6. 「〜と言われている」の主語は誰か、出典はあるか

「数値の捏造禁止。出典なき数値は書かない」——これは私の中の鉄則だ。「約7割が〜」みたいな記述を見たら、必ず「その7割、どこから来た?」と問う。答えられないなら消す。

Layer 3: 表現チェック(AI + 人間)

  1. 一文が60文字を超えていないか(AI検出 → 人間がリライト判断)

  2. 主語と述語がねじれていないか(AI検出可能)

  3. 同じ接続詞が3回以上連続していないか

  4. 受動態が不必要に多くないか

  5. 専門用語に初出の説明があるか(ターゲット読者の知識レベルに合わせる)

  6. 「〜という」「〜ような」「〜といった」の多用がないか(AI検出可能)

  7. 断定すべき箇所でぼかし表現を使っていないか

13・14・18はAI校正ツールに任せていい。精度が高い。でも17や19は人間判断。ターゲット読者にとっての「ちょうどいい表現レベル」はAIには決められない。

Layer 4: 表記チェック(AI主体)

  1. 表記ゆれがないか(「問い合わせ/問合せ」「サーバー/サーバ」等)

  2. 句読点の統一(「、。」か「,.」か)

  3. 数字表記の統一(半角/全角、漢数字の使い分け)

  4. 固有名詞の大文字・小文字(WordPress、GitHub等)

  5. 括弧の対応(開き括弧と閉じ括弧の数が一致しているか)

  6. 不要な半角/全角スペースがないか

この層はAIの独壇場。人間がやると見落とす。正直に言うと、私は括弧の閉じ忘れを自力で見つけた試しがない。(この括弧は閉じてるよ)

Layer 5: 最終確認(人間)

  1. メタディスクリプションは120文字以内で内容を反映しているか

  2. OGP画像は設定されているか

  3. カテゴリ・タグは正しく設定されているか

  4. 公開日時は正しいか

  5. スマホ表示で読みやすいか(PCだけで確認して終わるのは危険)

最終確認は「記事の外側」のチェック。ここを飛ばすと、良い記事が誰にも届かない。

回し方——AI先行・人間仕上げの2パス

「2パスで回す」が正しい。1パスで全部やろうとするな。

私が実務で落ち着いた運用はこうだ。

1パス目(AI): Layer 3の一部 + Layer 4をまとめてAI校正ツールに通す。表記ゆれ・助詞ねじれ・長文検出はここで潰す。所要時間は記事の長さにもよるが、ほぼ一瞬。

2パス目(人間): Layer 1 → Layer 2 → Layer 3の残り → Layer 5を人間が順番に見る。ここが本番。ここに時間を使う。

「AIに先にやらせる」のが順序として正しい理由は単純で、表記ゆれや誤字が残った状態で構造や事実を読むと、ノイズで集中力が削がれるから。きれいな状態にしてから人間が読んだ方が、本質的な問題を拾える。

つまりこういうことだ——AIは校正の「前処理」であって、校正そのものではない。前処理を人間がやる必要はないけど、前処理だけで終わらせていいわけでもない。

よくある落とし穴

3つだけ挙げる。全部、私がやらかしたやつだ。

1. 「直したつもり」のデグレ

修正した箇所の周辺を読み直さないと、直したことで新しい矛盾が生まれることがある。「AをBに修正」したら、3段落先に「Aの場合は〜」という記述が残っていた、みたいな話。修正したら必ず前後2段落を読み直す。

2. 事実確認の「1ソース依存」

ある記述の裏取りを1つの情報源だけで済ませた。後で調べたらその情報源自体が誤引用だった。事実確認は必ず一次情報まで遡る。二次情報を1つ見て安心しない。

3. 最後に「全体通し読み」をサボる

項目別にチェックした後、全体を通して1回読む工程を省略しがちになる。でもこの通し読みでしか見つからない違和感がある。「文法的には正しいけど、なんか気持ち悪い」を拾えるのは通し読みだけ。

チェックリストの育て方

最後にひとつ。このチェックリストは「完成品」じゃない。

校正で見逃したミスが発覚するたびに、その項目をリストに追加する。逆に、一度も引っかからない項目は半年に1回見直して外す。チェックリストは生き物で、育てるものだ。30項目は今の私のスナップショットであって、あなたの現場ではたぶん違う項目が必要になる。

全部一気にやる必要はない。まずはLayer 2の事実チェック6項目だけでも、公開前に必ず通す習慣をつけるのが一番効く。事実誤認は他のどのミスより信頼を壊すから。

「校正チェックリストを30個並べて、全部完璧にやってる人がいたら……まあ、そんな人はそもそもチェックリストなんか要らないんだけどね」

記事コンテンツの制作支援の記事一覧全記事一覧