「3ヶ月続けたのに、PVが二桁から動かない。これってもう向いてないってことですか?」——立ち上げ期のブログ担当者から、こういう相談を受けることがある。気持ちはわかる。書いても書いても数字が動かない時、人間は「やり方が間違っている」より先に「自分が向いていない」を疑い始める。
でもその前に、5つだけ見直してほしい。立ち上げ期にPVが伸び悩むブログには、ほぼ例外なく構造的な共通点がある。書き手の才能じゃない、設計の話だ。
1. そもそも時間軸を間違えている
ブログ立ち上げ期のPV停滞は、「時間がかかる前提を知らない」だけのケースが一番多い。ここ、最初に潰しておきたい。
新規ドメインがGoogleに認知され、検索順位がついて、PVに乗るまでには3〜6ヶ月かかる。これはSEOコンサル各社が口を揃えて言っていて、Google Search Centralのドキュメントでも「SEOの成果が出るまでには通常4ヶ月〜1年かかる」と明示されている。
ブログのPVは比例で伸びない。最初の数ヶ月はほぼゼロのまま、ある時急に立ち上がる——いわゆるホッケースティック曲線になる。3ヶ月で「全然伸びない」と言って撤退するのは、滑走路の途中でアクセルを離すのと同じだよ。
チェックすべきこと:
- 開設してから何ヶ月経っているか
- Google Search Consoleで「インデックス済み」になっている記事はいくつあるか
- 「合計クリック数」ではなく「合計表示回数」が増えているか(表示回数が伸びていれば、評価は始まっている)
3ヶ月以内なら、まだ判断のタイミングじゃない。やるべきは記事数を積むこと。
2. 「自分が書きたいこと」と「読者が検索する語」がズレている
ここから、本当の話。ブログのPVが伸び悩む最大の原因は、「自分が書きたいこと」と「読者が検索する語」が噛み合っていないこと。
私が立ち上げ期の支援に入って最初にやるのは、過去記事のタイトルを並べて「このタイトル、誰がどんな状況で検索するか」を1記事ずつ言語化する作業。これをやると、3割〜5割の記事は「誰も検索しない言葉」になっていることが普通にある。
検索クエリは大きく4つに分けられる:
- Knowクエリ:「〜とは」「〜方法」「〜やり方」(知りたい)
- Goクエリ:「近くの〜」「〜駅 ランチ」(行きたい)
- Doクエリ:「〜 始め方」「〜 設定」(やりたい)
- Buyクエリ:「〜 おすすめ」「〜 比較」(買いたい)
立ち上げ期で多いのは、Knowクエリの検索結果に体験談ベースの記事を出してしまうパターン。「〇〇 とは」で検索した人が読みたいのは定義と仕組みであって、書き手が初めて触った時の感想じゃない。逆に体験談を読みたい人は「〇〇 やってみた」「〇〇 失敗」で検索する。クエリと記事形式が噛み合っていないと、Googleは正しく評価できない。
最低限のチェック:
- 各記事の主要KWを1つ決めて、その言葉でGoogle検索してみる
- 上位10件を見て、自分の記事が「同じカテゴリ」に入っているか確認する
- 同じカテゴリに入っていなければ、その記事は構造から作り直し
3. 記事数を増やすより、束ねる構造が先
「100記事書けばPVが伸びる」と言われるけど、これは半分本当で半分嘘。
正確には、トピッククラスターになっている100記事は伸びる、バラバラの100記事は伸びない。
トピッククラスターというのは、メインテーマ(ピラー記事)と派生テーマ(クラスター記事)を内部リンクで束ねた構造のこと。たとえば「コンテンツマーケティング」をピラーにするなら、「KW選定」「構成案作成」「外注ライター管理」「リライト手順」みたいな関連記事をクラスターとしてぶら下げて、相互に内部リンクで繋ぐ。
これをやらないと、Googleから見た時に「このサイトは何のテーマで何を語っているか」が読み取れない。記事1本1本がバラバラのトピックだと、ドメイン全体の専門性が積み上がらないんだよね。
立ち上げ期で50記事書いてもPVが伸びていないブログを開いた時、まず確認するのはこれ。「最近書いた10記事のテーマ」を並べてみて、それが1つのピラーに繋がるか?繋がっていなければ、新規記事を書く前にカテゴリ設計をやり直した方がいい。
よくある悪い例: ピラーがないまま「今日学んだこと」「最近気になったツール」「個人的に良かった本」が並ぶ → サイト全体が雑記ブログ扱いになり、専門性で評価されない
良い例: 「BtoB SaaSのコンテンツマーケ」をピラーにして、その配下に「KW設計」「外注体制」「分析KPI」のクラスターが並んでいる → ドメイン全体が「BtoB SaaSコンテンツマーケの専門サイト」として評価される
4. E-E-A-Tが薄い——AI生成と区別がつかない記事
2024年以降、Googleの評価基準でE-E-A-T(Experience / Expertise / Authoritativeness / Trustworthiness:経験・専門性・権威性・信頼性)の比重が大きく上がっている。AI生成コンテンツが氾濫した結果、「ネット上の他の記事をまとめただけ」の記事は加速度的に評価が落ちている。
ここ、大事。立ち上げ期のブログで一番足りないのはExperience(経験)。
具体的には:
- 自分で実際に試した時の数字(時間・コスト・成功率)
- 失敗した時の具体的な状況とリカバリ手順
- 一次情報(社内データ・実測・取材)
- 引用元のはっきりしたデータと、自分の解釈の両方
このどれかが本文に入っていないと、E-E-A-Tの軸では加点されない。「AIが書いた一般論」と区別がつかないからだ。
立ち上げ期の支援で必ず聞くのは「この記事の中で、あなたしか書けないのはどの段落ですか」。即答できない記事は、書き直しの候補。逆に「この一段落だけは私の体験」と即答できる記事は、その段落を冒頭に出すだけで反応が変わる。
5. コアアップデートで沈んでいる可能性
最後に、見落としがちな話。Googleのコアアップデートで、特定の記事だけが急に沈んでいるケース。
2025年12月のコアアップデートでは、検索結果トップ10ページの約15%が入れ替わったというデータが出ている。続く2026年3月のコアアップデートも12日かけてロールアウトされ、ランキングが大きく動いた。立ち上げ期のブログは評価軸が安定していないので、こうしたアップデートで特に影響を受けやすい。
確認方法は単純で、Google Search Consoleの「掲載順位」を見て、特定の日を境に階段状に順位が下がっている記事があれば、コアアップデートの影響を受けている可能性が高い。アップデート日と日付を照合してみてほしい。
対策はE-E-A-T強化(4番に戻る)と、内部リンク構造の整理(3番に戻る)に尽きる。小手先のテクニックでは戻らない、というのが2025年以降のSEOの実感。
まとめ——「向いてない」より先にチェックする
整理しておく。
1. 開設から3ヶ月以内なら、判断は早い。表示回数が伸びていれば評価は始まっている 2. 各記事のKWで実際に検索して、自分の記事が同じクエリタイプの結果に入っているか確認 3. 記事数を増やす前に、ピラー+クラスターの構造になっているか見直す 4. 各記事に「あなたしか書けない段落」があるか、なければ書き直し候補 5. Search Consoleで階段状の順位低下があれば、コアアップデートの影響を疑う
全部やる必要はない。でも5つのうちどれが自分のブログに当てはまるかは、Search Consoleと過去記事タイトルを並べた瞬間にわかるはず。「向いてない」を疑う前に、設計を疑ってほしい——大体は、書き手じゃなくて構造の問題だよ。
(私が言うのもなんだけど、立ち上げ期に「向いてない」と言って撤退する人は、半年続けていれば伸びていたかもしれない人がほとんどだったりする)

