「Webメディア ランキング」で検索すると、100社を超えるメディアを並べた一覧記事が上位を占めます。ところが、そこに並んだ月間PV数を見比べようとすると、多くの人が途中で手を止めることになります。ある媒体は月間PV、別の媒体は月間UU、さらに別の媒体はアプリを含めた合計値を出している。測っている対象が違う数字が、同じ表で順位づけされているためです。
数字の中身を確かめないまま順位だけを受け取ると、自社メディアの目標設定はそこから狂い始めます。月間300万PVを目標に置いたつもりが、比較していた相手の数字はアプリ配信を含む全体値だった、という取り違えは実際に起こります。
本記事では、数多くのオウンドメディア立ち上げと記事制作に携わってきた立場から、Webメディアのランキングをどう読み、自社の設計にどう使うかを整理します。ジャンル別の主要メディア一覧もまとめますが、狙いは有名メディアを暗記することではありません。ランキングは順位ではなく、参考にする一社を絞るために使うという前提で読み進めてください。
- WebメディアのPVランキングに載る数字が、どこから出てきているのか
- ジャンル別の主要Webメディアと、その運営会社および収益の作り方
- 上位に並ぶメディアに共通する3つの構造
- ランキングを自社メディアの参考にするときに起きやすい判断ミス
- 参考にする1社を選び、自社の記事企画に落とすまでの手順
Webメディアのランキングは何を測った数字で並んでいるのか
Webメディアのランキング記事は、大きく2種類に分かれます。ひとつは規模の順に並べたPVランキング、もうひとつはジャンルごとに代表的なメディアを列挙した一覧です。前者は数字が付いている分だけ客観的に見えるのですが、比較の土俵が揃っていない場合がほとんどでした。
土俵が揃わない理由は単純で、Webメディアのアクセス数には、業界共通の計測ルールが存在しないからです。テレビの視聴率や雑誌の発行部数にあたる標準規格が、Webメディア全体を覆う形では整備されていません。各社が自社の計測ツールで、自社の都合のよい範囲を切り取って公表している。それが現在の実情になります。
PV、UU、セッションはそれぞれ別のものを数えている
まず、混同されやすい3つの指標を整理しておきます。PV(ページビュー)は表示されたページの延べ枚数、UU(ユニークユーザー)は重複を除いた訪問者の人数、セッションは訪問そのものの回数を指します。1人の読者が1回の訪問で5ページ読んだ場合、PVは5、UUは1、セッションは1と数えられます。
同じメディアでも、どの指標を出すかで見え方は大きく変わります。1回の訪問で複数記事を読ませる回遊型のメディアはPVで見ると大きく映り、検索から入って1記事だけ読んで離脱する読者が中心のメディアはUUで見たほうが実態に近くなります。ランキング記事が指標を統一していないとき、その順位はメディアの実力ではなく、どの指標を選んで出したかの差を映しているにすぎません。
他社の数字を見比べる前に、必ず3点を確認します。指標の種類(PVかUUかセッションか)、集計期間(月間か四半期か年間か)、集計範囲(Webサイトのみか、アプリやSNSの配信面を含むか)。この3点が揃っていない数字は、そもそも並べて比べる意味がありません。
集計期間の取り方も見落とされがちです。媒体資料に載る数字は、年間で最もアクセスが伸びた月を採用していることがあります。季節性の強いジャンル、たとえば就職・転職、受験、旅行、ふるさと納税などは、繁忙期と閑散期で数倍の開きが出ます。年間平均で語るメディアと、ピーク月で語るメディアが同じ表に並べば、順位は実態から離れていきます。
ランキングの数字は3つの経路から出てくる
Webメディアのアクセス数が外部に公開される経路は、実質的に3つしかありません。それぞれ性質が異なるため、目の前の数字がどこから来たのかを見分けられるようになると、ランキングの読み方が変わります。
1つ目は、広告出稿を募るための媒体資料に記載された数値です。メディア側が自社の計測ツールから出しているため実数ではあるものの、媒体資料のPV数は各社の自己申告で、共通の物差しではありません。集計範囲を広く取るほど数字は大きく見えるため、営業資料としては盛りたい動機が働きます。悪意があるという話ではなく、条件を明示しないまま大きい数字を出す慣習が残っている、という理解が実務的でしょう。
2つ目は、第三者機関による計測です。一般社団法人日本ABC協会は、雑誌媒体社が運営するWebメディアのデータを継続的に公表しています。共通の基準で集計されるため媒体間の比較に耐えますが、対象は参加媒体に限られるため、事業会社のオウンドメディアやIT系の独立メディアは範囲外です。
3つ目は、外部の推定ツールによる数値です。ドメイン単位でトラフィックを推定するツールの出力を根拠にしたランキングも見かけます。推定である以上、絶対値をそのまま信じることはできません。ただし、同一ツール内での相対比較や、同じサイトの推移を追う用途であれば十分に役立ちます。
| 媒体資料の自己申告 | 第三者機関の計測 | 推定ツール | |
|---|---|---|---|
| 入手のしやすさ | ◎ | △ | ○ |
| 媒体どうしの比較可能性 | × | ◎ | ○ |
| 集計条件の明示 | ○ | ◎ | △ |
| 数字の鮮度 | ○ | △ | ◎ |
| 実数か推定か | 実数 | 実数 | 推定 |
自社メディアの目標設定に使うのであれば、数字の大きさより比較可能性を優先してください。第三者計測のデータは対象が限られるものの、同じ条件で並んだ数字なので、ジャンル内での相対的な位置を測る材料になります。逆に、条件が書かれていない媒体資料の数字を目標値として社内資料に転記するのは、判断材料としては弱すぎます。

※ 参考: 一般社団法人日本ABC協会(雑誌およびWebメディアの発行部数・アクセス数の公査を行う第三者機関)
ここまでの話を、現場でよく受ける質問の形にしておきます。
結局のところ、他社のPV数を正確に知る方法はないということでしょうか。
編集部
外から実数を突き止める方法はありません。ただ、目的が自社の目標を決めることなら、他社の絶対値はそれほど重要ではないと考えています。同じジャンルで同じ収益モデルのメディアが、公開から何年で、記事を何本積んで、どのくらいの規模に届いたのか。この「年数と本数」のほうが、自社の計画にはるかに直接使えます。
規模の順位よりも、そこに到達するまでの経過を見る。この視点の切り替えが、ランキング記事を「眺めて終わり」から「企画に使える材料」に変えていきます。

その数字がいつ時点のものかを確認する
指標と並んで見落とされやすいのが、数字の基準時点です。媒体資料は年に1回程度しか更新されないことが多く、ランキング記事に転記された数値は、記事の公開日より1年から2年前のものである場合があります。記事の更新日が新しくても、中身の数字が同じタイミングで更新されているとは限りません。
実際、「Webメディア ランキング」で検索上位に並ぶ一覧記事の中には、最終更新が数年前で止まったまま順位を保っているものが含まれます。検索エンジンは網羅性と被リンクを評価するため、情報の鮮度が落ちても上位に残り続けることがあるからです。読み手の側で公開日と更新日、そして本文中の「◯年◯月時点」という注記を確認する習慣を持たないと、すでに縮小したジャンルを成長市場だと誤認したまま企画を進めることになります。
確認の手順は難しくありません。記事上部または下部の更新日を見る、本文中の年号表記を拾う、気になったメディアは公式サイトの広告掲載ページで最新の媒体資料を直接取り寄せる。この3手順で、少なくとも「何年前の話を読んでいるのか」は把握できます。
大手という言葉の中身もランキングごとに違う
「Webメディア 大手」という言葉も、書き手によって指すものが変わります。新聞社や出版社が母体の媒体を大手と呼ぶ場合、月間PVの規模で線を引く場合、運営会社の売上規模で括る場合。この3つは重なるようでいて、実際にはかなりずれます。
たとえば、社員数十名の会社が運営するメディアが、大手出版社の媒体を上回るアクセスを集めている例は珍しくありません。逆に、企業規模は大きくてもWebメディア単体では小さい、という組み合わせもあります。自社が参考にしたいのが「会社の信用力」なのか「集客の仕組み」なのかで、見るべき大手は変わってくるという整理をしておくと迷いません。
広告出稿先を探している場合と、自社メディアの参考先を探している場合でも、見るべき「大手」は分かれます。出稿先を探すなら、読者の属性と広告メニューの選択肢が判断材料になるため、規模の大きさは意味を持ちます。一方、自社メディアの設計材料として見るなら、規模はほとんど関係がなく、記事の作り方と導線の設計だけを取り出せば足ります。同じ一覧記事でも、どちらの目的で読んでいるかを自覚しないまま眺めると、必要のない情報に時間を使うことになります。
関連記事:【2025年最新】オウンドメディア構築の完全ガイド|手順からコツまで徹底解
ランキングに並ぶWebメディアは4つの型に分かれる
ジャンル別の一覧に入る前に、もうひとつ整理しておきたい軸があります。Webメディアという言葉は、成り立ちのまったく違うサイトをまとめて指しているため、ランキングは性格の異なる4つの型を同じ表に混ぜている状態になっているのです。
型 | ページが増える仕組み | 該当する例 |
|---|---|---|
プラットフォーム型 | 他媒体から配信を受ける記事の量に比例 | Yahoo!ニュース、SmartNews |
編集型 | 編集部の人数と制作予算に比例 | 新聞社系、出版社系、デジタル専業メディア |
投稿・コミュニティ型 | 投稿するユーザーの数に比例 | @cosme、食べログ、ママリ |
オウンドメディア型 | 自社が投じる制作リソースに比例 | サイボウズ式、ferret、北欧、暮らしの道具店 |
この分類が重要なのは、型によってページ数の増え方が根本的に違うからです。プラットフォーム型は提携媒体を増やせば記事が増え、投稿型は利用者が増えればページが増えます。どちらも自社が1本ずつ書く必要がありません。一方で編集型とオウンドメディア型は、1本書けば1本しか増えない世界にいます。
事業会社がこれから立ち上げられるのは、ほぼオウンドメディア型です。にもかかわらず、ランキング上位に並ぶプラットフォーム型や投稿型と記事本数やPVを比べてしまうと、達成しようのない目標を立てることになります。ここを分けて見るだけで、目標設定の現実味はかなり変わってきます。

なお、ランキング記事の中には、型の違いに触れずに単純なPV順で並べているものが少なくありません。順位表を見るときは、その媒体がどの型に属するかを頭の中で分類しながら読むと、比較すべき相手が自然に絞られていきます。
関連記事:オウンドメディアリクルーティングとは?始め方と成果を出す運用の勘所を解説
ジャンル別に見る主要なWebメディア
ここからは、ジャンルごとに代表的なWebメディアを整理します。アクセス数の順位ではなく、運営主体と収益の作り方が分かる形で並べました。自社が参考にすべき相手を探す場合、まず見るのは規模ではなく、この2つが自社と近いかどうかになります。
読み方としては、まず自社の事業に近いジャンルの表を見て、収益の作り方の欄が自社の想定と一致するメディアに印を付けてください。ジャンルが同じでも収益の作り方が違えば、記事の設計は別物になります。逆に、ジャンルが違っても収益の作り方が同じなら、記事の構成や導線はかなりの部分を流用できます。
ニュース・総合系
もっとも規模が大きく、もっとも参考にしづらいのがこの領域です。速報性と取材体制で優位を築いているため、後発が同じ土俵に上がることは現実的ではありません。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
Yahoo!ニュース | LINEヤフー | 他媒体の記事を集約するプラットフォーム型。広告収益 |
SmartNews | スマートニュース | アプリ配信中心のアグリゲーター。広告収益 |
朝日新聞デジタル | 朝日新聞社 | 自社取材+有料購読モデル |
読売新聞オンライン | 読売新聞社 | 自社取材+新聞購読との連動 |
日本経済新聞 電子版 | 日本経済新聞社 | 自社取材+有料購読モデル |
この層のメディアが公表するPV数を自社の目標に据えても、意味のある比較にはなりません。参考にできるとすれば、記事の見出しの付け方や、速報と解説の書き分けといった編集技術の部分に限られます。
ビジネス・経済系
出版社系と新興のデジタル専業が混在する領域で、収益モデルの違いが記事の作り方にそのまま出ています。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
東洋経済オンライン | 東洋経済新報社 | 広告+雑誌・書籍への送客 |
ダイヤモンド・オンライン | ダイヤモンド社 | 広告+有料会員 |
プレジデントオンライン | プレジデント社 | 広告+雑誌との連動 |
現代ビジネス | 講談社 | 広告中心 |
NewsPicks | ニューズピックス | 有料課金モデルが中核 |
ZUU online | ZUU | 金融領域の広告と送客 |
有料課金を中核に置くメディアと、広告収益で回すメディアでは、記事の設計思想が変わります。課金型は「有料でも読みたい独自の視点」に投資し、広告型は到達数を確保するために間口の広いテーマを扱う。同じビジネスジャンルでも、この違いを見ずに記事構成だけ真似ると、自社の収益とかみ合わなくなります。
IT・テクノロジー系
専門性の高さで読者を囲い込むタイプが多く、法人向けの広告・リード獲得と相性のよい領域です。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
ITmedia | アイティメディア | 法人向け広告・ホワイトペーパー経由のリード獲得 |
日経クロステック | 日経BP | 有料購読+法人広告 |
CNET Japan | 朝日インタラクティブ | 広告+法人向けイベント |
ZDNET Japan | 朝日インタラクティブ | 法人IT領域の広告・リード獲得 |
TECH+ | マイナビ | 広告+自社サービスへの送客 |
BtoBのオウンドメディアを立ち上げる企業にとって、この領域は参考価値が高くなります。とくに、記事を読ませたあとに資料ダウンロードへつなげる導線の作り方は、規模が違っても構造をそのまま持ち帰れる部分です。
マーケティング・Web担当者向け
自社サービスへの送客を明確に設計している媒体が多く、事業会社のオウンドメディアにとって最も参考にしやすい領域といえます。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
MarkeZine | 翔泳社 | 広告+イベント・書籍 |
Web担当者Forum | インプレス | 広告+イベント |
ferret | ベーシック | 自社SaaSへの送客 |
バズ部 | ルーシー | 自社コンサルティングへの送客 |
電通報 | 電通 | 自社の知見発信によるブランディング |
DIGIDAY[日本版] | メディアジーン | 広告+イベント |
ferretやバズ部のように、メディア単体で広告収益を狙うのではなく、自社サービスの見込み客を集める装置としてメディアを運営している形は、そのまま多くの企業に当てはめられます。メディアで直接稼ぐのか、事業の入口として使うのかという選択が、記事本数の目標も、扱うテーマの広さも決めていきます。

求人・転職系
ランキング記事でしばしば上位に入る領域ですが、性格としてはメディアというよりサービスサイトに近く、記事はサービス利用への導線として置かれています。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
リクナビNEXT | リクルート | 求人掲載料と成功報酬 |
doda | パーソルキャリア | 求人掲載と人材紹介 |
マイナビ転職 | マイナビ | 求人掲載+関連メディアからの送客 |
ビズリーチ | ビズリーチ | 求人掲載とスカウト課金 |
OpenWork | オープンワーク | 口コミ投稿と求人送客 |
Wantedly | ウォンテッドリー | 掲載課金と採用支援 |
この領域のページ数が大きくなるのは、求人1件ごとにページが生成されるためです。編集部が記事を書いて積み上げているわけではありません。求人検索の結果ページや企業ページが自動で増えていく構造を、記事本数と同じ土俵で比べてしまうと、自社の計画は最初から破綻します。データベース型のサイトと記事型のメディアでは、SEOの設計も別物になります。
暮らし・グルメ・ライフスタイル系
生活者向けの領域で、検索とSNSの両方から読者を集める設計が主流です。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
食べログ | カカクコム | 予約送客と店舗向け課金 |
クックパッドニュース | クックパッド | 自社サービスとの連動 |
macaroni | トラストリッジ | 広告+タイアップ+動画 |
mybest | マイベスト | 商品比較からのアフィリエイト送客 |
ウォーカープラス | KADOKAWA | 広告+おでかけ情報の送客 |
北欧、暮らしの道具店 | クラシコム | 自社ECへの送客が中核 |
北欧、暮らしの道具店は、Webメディアとしての読み物と自社ECが一体になっている点で、他と性格が異なります。読者を集めてから広告を当てるのではなく、世界観に共感した読者がそのまま買い物客になる構造で、メディア運営を検討する事業会社が一度は見ておきたい形です。

美容・ファッション・女性向け
口コミやユーザー投稿を組み込んで、記事以外のコンテンツ量を確保している媒体が目立ちます。
メディア名 | 運営 | 収益と流入の作り方 |
|---|---|---|
@cosme | アイスタイル | 口コミ+自社EC・店舗 |
LIPS | AppBrew | アプリの口コミ+広告 |
VOGUE JAPAN | コンデナスト・ジャパン | 広告+ブランドタイアップ |
美的.com | 小学館 | 雑誌連動+広告 |
マイナビウーマン | マイナビ | 広告+自社サービスへの送客 |
ママリ | コネヒト | Q&A+アプリ+広告 |
ユーザー投稿を抱える媒体は、編集部が書く記事の本数以上にページ数が積み上がります。ランキング記事でこの層が上位に来るのは、編集力だけでなく投稿という供給源を持っているからで、記事本数の目標を立てるときに同列に扱うと計画が成り立たなくなります。
事業会社が運営するオウンドメディア
規模のランキングにはほとんど登場しないものの、企業のメディア担当者にとって最も現実的な参考先がここです。
メディア名 | 運営 | 目的 |
|---|---|---|
サイボウズ式 | サイボウズ | 企業姿勢の発信とブランディング |
メルカン | メルカリ | 採用広報 |
LIGブログ | LIG | Web制作案件の獲得と認知 |
MONEY PLUS | マネーフォワード | 金融領域での認知と自社サービス送客 |
東証マネ部! | 日本取引所グループ | 投資の裾野拡大と啓発 |
オウンドメディアは、集めた読者を広告主に売るのではなく、自社の商品やサービス、あるいは採用に結びつけるために運営されます。PVが小さくても事業目標を達成していれば成功であり、ランキングに載らないことは失敗を意味しません。評価指標が最初から違う、と理解しておくと比較の迷いが減ります。
この中でも長期運営の例として参照されることが多いのが、サイボウズが運営するサイボウズ式です。自社製品の紹介記事を並べるのではなく、働き方やチームのあり方をテーマに据えることで、製品をまだ知らない層との接点をつくっています。

なお、Webメディアそのものの定義や種類、立ち上げの流れについては、Webメディアとは?種類と立ち上げ方、成果を出す運営のコツを解説で詳しく扱っています。ジャンル一覧を見て「そもそも自社はどの型を作るべきか」から考えたい場合は、そちらを先に読んでおくと整理が早くなるはずです。
関連記事:ECメディアとは?業界情報メディアとメディアECの違い・始め方を解説
ランキング上位のWebメディアに共通する3つの構造
100社を超える一覧を眺めても、たいていは「有名なところが並んでいる」という感想で終わります。そこから一段掘るために、規模の大きいメディアが共通して持っている構造を3つに分解しておきます。この3つは、規模に関係なく自社でも設計できる部分です。
流入の入口を1つに絞っていない
上位メディアを個別に見ると、検索だけで読者を集めているところはほとんどありません。検索、SNS、メールマガジン、アプリ通知、ニュースアグリゲーターへの配信。少なくとも3つ以上の入口を持ち、どれかが落ちても全体が崩れない形を取っています。
これは規模が大きいから複数持てるのではなく、順序が逆であることが多いようです。検索順位はアルゴリズムの更新で大きく動きます。入口が検索だけのメディアは、一度の更新で流入が半減し、そこから回復できないまま終わることがあります。複数の入口を先に作ったメディアが結果として生き残り、上位に残っている、という見方のほうが現実に近いでしょう。
自社メディアであれば、立ち上げから半年ほどは検索に集中するのが効率的です。人員も予算も限られる段階で複数の入口を同時に育てようとすると、どれも中途半端になりやすいためです。ただし、記事が20本を超えたあたりから、メールマガジンの登録導線やSNSでの再配信を並行して仕込んでおくと、後々の振れ幅が小さくなります。
とくにメールマガジンは、検索順位にもSNSのアルゴリズムにも左右されない入口として機能します。記事末に登録フォームを1つ置くだけの作業ですから、記事を書き始めた初期の段階で用意しておくと、あとから遡って全記事に追加する手間を省けます。

収益モデルが記事の作り方を決めている
ジャンル別の一覧を見ながら気づいた方もいるかもしれませんが、収益モデルが決まると、記事の作り方はほぼ自動的に決まります。広告収益で回すメディアは、単価の高い広告枠を埋めるために到達数が必要になり、間口の広いテーマを高頻度で出す設計になります。有料課金型は、無料では読めない切り口に人と時間を投じます。自社サービスへの送客型は、本数より購買に近いテーマの網羅を優先します。
- 見出しの付け方や速報記事の型など、編集技術は学べる
- 業界全体のトレンドをつかみやすい
- 取材体制も予算も前提が違い、記事設計をそのまま持ち帰れない
- PV目標をそのまま置くと、達成不可能な計画になる
事業会社が自社メディアを立ち上げるとき、最初に参考先として挙がるのは知名度の高い大手であることが多いのですが、実務で使えるのは後者、つまり自社と収益モデルが近いオウンドメディアのほうです。記事の本数、1本あたりの文字量、CTAの置き方、内部リンクの張り方まで、そのまま検証できます。
収益モデルの違いは、記事の書き出しにも表れます。広告収益型の記事は、離脱を防ぐために結論を早く提示し、関連記事への回遊を促す構成を取ります。自社サービスへの送客型は、読者の課題を丁寧に言語化してから解決手段としてサービスを置くため、前半に検討材料をまとめる構成になりやすいのです。参考メディアの記事を読むときは、本文の内容だけでなく、どの位置で何を提示しているかを合わせて記録しておくと、自社の記事構成に落とすときの判断が早くなります。
更新の量ではなく更新の型がある
長く続いているメディアには、更新の型が存在します。毎週この曜日にこの種類の記事を出す、月に1本は取材記事を入れる、四半期に一度は既存記事をまとめ直す。こうした反復の設計があるため、担当者が交代しても運営が止まりません。
逆に、更新頻度だけを目標にしたメディアは、書き手の負荷が上がった時点で崩れます。現場でよく見るのは、初月に10本公開して、3か月目に2本、半年後には更新が止まっているという経過です。続けられる本数を先に決めてから、テーマの配分を設計するほうが、結果として1年後の記事数は多くなります。
型と呼べる状態まで落とすには、記事の種類を3つか4つに分類し、それぞれの比率を先に決めておく方法が扱いやすいでしょう。たとえば、検索流入を取りにいく解説記事、自社の商品やサービスに近い比較検討記事、取材やインタビューによる独自記事、既存記事の更新。この4種類で「月4本のうち解説2本、比較検討1本、更新1本」といった配分を決めておけば、毎月の企画会議でゼロから考える必要がなくなります。
実際、長く続いているオウンドメディアの記事一覧を古い順に見ていくと、この配分が一定に保たれていることが多いようです。書き手が変わっても記事の粒度がぶれないのは、個々の担当者の技量ではなく、配分の設計が先にあるからだと考えられます。逆に、更新が止まったメディアの一覧を見ると、公開初期は解説記事が並び、途中から社内向けのお知らせや不定期のイベント報告が混ざり始め、テーマが散らばっていく経過をたどっているケースが目につきます。
ランキングを自社メディアの参考にするときに起きる判断ミス
ランキング記事は、読み方を間違えると意思決定をゆがめます。実際に相談を受ける中で繰り返し見てきた、典型的なつまずき方を挙げておきます。
- 上位メディアの月間PVを、そのまま自社の目標値に置く
- ジャンル一覧の中から、規模が最大のメディアだけを参考先に選ぶ
- 記事本数の多さを見て、まず量を出す方針に切り替える
- ユーザー投稿でページ数を積んでいる媒体と、編集部が全記事を書く媒体を同列に比べる
- 順位が高いメディアのデザインや構成だけを写して、収益設計を確認しない
いずれも根は同じで、順位という一次元の物差しで、性格の違うメディアを並べてしまうところにあります。PVは結果であって、設計ではありません。順位表から読み取るべきなのは「どれが大きいか」ではなく「どういう仕組みで大きくなったか」です。
規模の大きいメディアほど、その規模に到達した理由が過去の特殊な条件に依存していることがあります。SNSの初期に伸びた媒体、検索アルゴリズムが今と違った時期に順位を固めた媒体、親会社の既存メディアから読者を引き継いだ媒体。現在の順位だけを見て真似ても再現できない事情が背後にあるため、いつ、どうやって伸びたのかまで確認してください。
では、どういう条件を満たすメディアなら参考先として機能するのか。自社の状況に照らして、次の項目にいくつ当てはまるかで判断してください。
- 収益モデルが自社と同じか、近い(広告型/課金型/自社サービス送客型)
- 運営体制の規模が、自社が用意できる人数と大きく離れていない
- 公開時期が分かり、そこからの経過年数を追える
- 記事一覧から、更新の頻度と本数の推移が確認できる
- 記事内のCTAや資料請求の導線が、外から見える形になっている
3つ以上当てはまるメディアが見つかれば、それは規模の大小にかかわらず、自社の計画づくりに使える参考先です。PVの順位ではなく、収益構造が近いかどうかで選ぶという基準を先に置いておくと、100社の一覧を前にしても迷わなくなります。
一覧に載っていないメディアのほうが参考になることがある
もうひとつ、実務的な補足を加えておきます。ランキングや一覧に載るメディアは、知名度と規模で選ばれています。裏を返せば、自社と同じ規模帯で、同じ収益モデルで運営されているメディアは、そもそも一覧に登場しません。
参考先を探すなら、ランキング記事だけでなく、自社が狙いたいキーワードで実際に検索してみる方法が確実です。上位10件のうち、大手ではないのに繰り返し顔を出すサイトがあれば、そこは自社が競う相手であり、同時に最も条件の近い参考先でもあります。ドメイン名から運営会社を調べ、会社概要を見れば、社員数や事業内容から運営体制の規模も推測できます。
競合として見るか参考先として見るかで、同じサイトから得られる情報の量は変わります。順位が上だから勝てないと判断するのではなく、どういう記事構成で、どのくらいの本数で、いつからその順位にいるのかを確認する。この作業は、100社の一覧を眺めるより短時間で、自社の企画に直接使える材料が集まります。
参考にすべきメディアは絞れた。次は何を書くかを決める段階です
参考先が決まっても、自社が書くべきテーマは自動的には決まりません。検索需要と自社の商材が重なる領域を洗い出し、記事同士をどう束ねるかまで設計して初めて、メディアは積み上がっていきます。合同会社Writers-hubでは、キーワードの選定から記事群の設計までを支援しています。
参考メディアを選び、自社の企画に落とすまでの手順
最後に、ランキング記事を読んだあと、実際に自社の企画へつなげるまでの流れを整理します。所要時間は、担当者1名で2日から3日ほどが目安になります。
広告収益で回すのか、自社サービスの見込み客を集めるのか、採用のために運営するのか。ここが決まっていないと、参考先の選定基準そのものが定まりません。多くの事業会社では、自社サービスへの送客か採用のどちらかになります。
ジャンル別の一覧から、収益の作り方が近いメディアを拾います。この段階では規模を見ません。自社と同じ規模かやや上、程度の相手のほうが、記事の型を持ち帰りやすくなります。
公開初期に何を書いていたか、どの時期に本数が増えたか、途中でテーマが変わったかを追います。多くのメディアは記事一覧やサイトマップから公開日順に辿れます。ここが最も情報量の多い工程です。
検索で上位に出ている記事を選び、見出し構成、文字量、画像の点数、CTAの位置を表に落とします。5社分やると、ジャンル共通の型と、その媒体固有の工夫が分かれて見えてきます。
分解した型を自社の記事テンプレートに反映し、参考先2社と並べて差分を確認します。差分が説明できない箇所は、まだ設計になっていない部分です。
この5工程を踏むと、「有名メディアを眺めた」で終わっていたランキング記事が、自社の記事テンプレートという形の成果物に変わります。とくに3つ目の工程、公開初期まで遡って推移を追う作業は手間がかかるものの、ここを飛ばすと現在の完成形だけを写すことになり、自社が今どの段階にいるのかが分からなくなります。

分解までは自社で進められても、そこから毎月の記事を安定して出し続ける段階でつまずくケースは多く見られます。型が決まっていても、書き手の確保と品質の均一化は別の課題だからです。
型は分解できた。あとは毎月出し続ける体制をどう作るか
参考メディアの分解が終わり、記事テンプレートまで用意できたなら、次に必要なのは書き続ける仕組みです。編集体制の設計から執筆、品質チェックまでを外部の編集部機能として引き受ける進め方もあります。自社の人員でどこまで担い、どこから任せるかの線引きからご相談いただけます。
Webメディアのランキングに関するよくある質問
最後に、Webメディアの一覧やランキングを調べている方から実際に寄せられる質問をまとめておきます。
各メディアの広告掲載ページや媒体資料に記載されているほか、媒体資料をまとめて請求できるプラットフォームでも確認できます。ただし、そこに載る数字は各社の自己申告値です。指標の種類と集計期間、集計範囲が明記されているかを必ず確認してください。第三者による共通基準の数値としては、一般社団法人日本ABC協会が雑誌媒体社のWebメディアのデータを公表しています。
Webメディアは、インターネット上で情報を発信するメディア全般を指す広い言葉で、ニュースサイトも比較サイトも含まれます。オウンドメディアはそのうち、企業が自社で保有し、自社の事業目的のために運営するメディアを指します。収益を広告から得るか、自社の商品やサービスへの送客から得るかが、実務上の大きな違いになります。
記事構成の分解まで行うなら2社から3社が現実的です。5社を超えると比較の軸が増えすぎて、どの要素を採用するかの判断がつかなくなります。まず収益モデルで5社まで絞り、更新の推移を追ったうえで2社に落とす進め方をおすすめします。
ジャンル全体で正面から競うのは現実的ではありません。ただし、上位メディアが薄くしか扱っていない領域は必ず残ります。自社の商材に近く、かつ検索需要のある狭いテーマから記事を積み、そこで上位を取ってから隣接テーマへ広げる進め方であれば、後発でも成立します。
総合ニュース系よりも、特定のテーマに絞った編集型のメディアや、事業会社が運営するオウンドメディアのほうが独自の切り口を持っています。速報性で競う必要がないぶん、取材や検証に時間をかけた記事が出やすいためです。気に入ったメディアが見つかったら、記事一覧から書き手の名前をたどると、同じ書き手が関わる別のメディアにも行き着きます。
総合ニュース系の規模に届くことは現実的ではありません。一方で、専門領域に絞ったメディアであれば、少人数の運営でもジャンル内で存在感を持つ例はあります。目指すべきは総合の順位ではなく、自社の商材に関係するキーワード群で上位を取ることです。
まとめ
Webメディアのランキングは、そのまま順位表として読むと、比較できない数字を比較することになります。指標の種類、集計期間、集計範囲。この3点が揃っていない数字は、大小を論じても意味を持ちません。
一覧記事から取り出すべきなのは、順位ではなく構造です。流入の入口を複数持っているか、収益モデルが記事の作り方とかみ合っているか、更新の型が担当者の交代に耐えるか。この3つは、規模に関係なく自社でも設計できます。そして参考先を選ぶときは、順位の高さより収益の作り方が近いかを見る、という順序が実務では効率的でしょう。
加えて、ランキングに並ぶメディアが4つの型に分かれている点も押さえておいてください。プラットフォーム型と投稿型はページが自動で増える仕組みを持っており、1本ずつ記事を書く自社メディアとは前提が異なります。比べる相手を同じ型に揃えるだけで、目標の現実味は大きく変わります。
100社の一覧を眺めて終わるか、そこから2社を選んで記事テンプレートに落とすか。この違いが、半年後のメディアの姿を分けていきます。一覧記事は情報源としては十分に役立ちますが、そこから何を取り出すかを決めるのは読み手の側です。
一覧を眺める段階から、自社の記事を積む段階へ
参考にすべきメディアが見えてきたものの、自社で何から手をつけるか決めかねている段階でしたら、一度状況を整理するところからご一緒できます。合同会社Writers-hubは、キーワード戦略の設計から記事制作、内製化の支援まで、企業のメディア運営を実務面から支えています。








