「うちはドメインパワーが弱いので、上位表示は難しいはずです」。SEOの相談では、初回の打ち合わせでこうした言葉が出てきます。無料ツールにドメインを入れると0から100の点数がひとつ返ってくるため、自社の数字が競合より低いという結果は、そのまま勝ち負けの判定のように読めてしまうからです。
しかし、SEO記事の制作とキーワード戦略の設計を手がけてきた弊社の経験から言えるのは、この点数は自社の実力を採点したものではなく、狙うキーワードの検索結果に並ぶサイトと自社を比べるときにはじめて意味を持つ数値だということです。被リンクを積み上げて点数を10ポイント動かすには半年から1年かかる一方、どのキーワードを書くかを選び直す作業は数日で終わります。点数の低さを理由に見送る前に、いま入り込める検索結果を探すという順番もあります。
本記事では、ドメインオーソリティが何を予測した数値なのかという出発点から、DRやオーソリティスコアとの違い、無料での調べ方と目安の読み方、そして点数を上げる前にキーワードを選び分ける手順まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- ドメインオーソリティが誰の作った、何を予測する数値なのか
- DA・DR・オーソリティスコアで数字がずれる理由と、比較してよい範囲
- 無料でスコアを確認する手順と、確認するときの注意点
- 「いくつあれば十分か」という問いに共通の答えがない理由
- 数値を上げにいく前に、検索結果のスコア分布から書くキーワードを選ぶ手順
ドメインオーソリティとは、Mozが公開している0〜100の予測スコア
ドメインオーソリティ(Domain Authority、略してDA)は、アメリカのSEOツール会社Mozが提供している指標です。あるドメインが検索結果で上位に表示される可能性の高さを、0から100までの数値で表しています。
ここで押さえておきたいのは、この数値の出どころです。Googleの評価そのものではなく、Mozが独自に出した順位の予測値 にすぎません。Mozは自社でWeb上のリンクを収集したデータベースを持っており、そこに蓄積された被リンクの量と質、リンク元ドメインの多様性などを機械学習モデルにかけて、実際の検索結果との相関が最も高くなるようスコアを調整しています。

Googleの順位決定には使われていない
ドメインオーソリティを調べる方が最初に確認すべき事実は、この指標がGoogleのアルゴリズムの外側にあるという点です。Googleの検索担当者は、DAのような第三者ツールのスコアをランキングに使っていないと、これまで一貫して説明してきました。
つまり、DAが40から45に上がったからといって、Googleの内部で自社サイトの扱いが変わったわけではありません。変わったのはMozのデータベースに記録された被リンクの状況と、そこから逆算された予測値です。順位が動いたとすれば、スコアが上がったからではなく、スコアを押し上げた被リンクやコンテンツの実体が評価されたと考えるほうが筋が通ります。
「DAを上げれば順位が上がる」という因果は成り立ちません。順位とDAは、被リンクという共通の原因から生じた別々の結果だと捉えてください。
それでも多くの現場で確認されている理由
では、Googleが使っていない数値を、なぜSEOの現場は見続けているのでしょうか。理由は単純で、自分のサイトと他社のサイトを同じ物差しで並べられる公開データが、ほかにほとんどないからです。
競合のアクセス数も、被リンクの中身も、外からは正確に見えません。その状況で「A社とB社では、どちらが被リンクの蓄積が厚いか」を一目で見当づけられる数字には、判断を早める価値があります。ドメインオーソリティは自社の成績表ではなく、他社と並べたときにはじめて意味が出る比較用の目盛りです。
Googleが使っていないなら、見なくてもよいのではありませんか。
編集部
自社の数値だけを毎月眺めるのであれば、たしかに時間の使い方としてはもったいないです。使いどころは競合との比較で、狙っているキーワードの検索結果に並ぶ10サイトを一覧にして、そこに自社より低いスコアのサイトが混ざっているかを見る。この用途なら、数分で書くべきキーワードの優先順位が変わります。
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DA・DR・オーソリティスコアは、材料も対象範囲も異なる別の指標
ドメインパワーを調べようとすると、ツールごとに違う数字が出てきて戸惑う場面があります。同じサイトなのにMozでは32、Ahrefsでは45と表示される。これは、どちらかが間違っているわけではありません。
DAとDRは別々の会社が別々の材料で出した数値で、直接比較できません。それぞれが独自のクローラーでWeb上のリンクを集めており、収集できている範囲も、スコアの計算式も違います。日本語サイトの被リンクをどれだけ拾えているかにも差があり、国内サイトでは数値のずれが大きく出ることがあります。
| 提供元 | 主な材料 | 使い分け | |
|---|---|---|---|
| ドメインオーソリティ(DA) | Moz | 被リンクの量と質、リンク元ドメイン数 | 海外を含む競合比較の定番。無料での確認手段が多い |
| ドメインレーティング(DR) | Ahrefs | 被リンク元ドメインの数と、その各サイトのDR | 被リンクの実数まで踏み込んで調べたいとき |
| オーソリティスコア(AS) | Semrush | 被リンクに加え、検索流入の推定値とスパム判定 | リンク以外の要素も含めて総合的に見たいとき |
| パワーランク | パワーランクチェックツール(アクセスSEO対策ツールズ) | 独自の被リンク評価 | 日本語サイトを日本の指標で見たいとき |
表を並べると、同じ「ドメインの強さ」という言葉でも、測っている中身が違うとわかります。とりわけ差が出やすいのがSemrushのオーソリティスコアで、被リンクだけでなく検索流入の推定値まで計算に入れているため、リンクが少なくても検索流入の多いサイトは相対的に高く出る傾向があります。
実務での結論は一つです。指標をまたいで数値を比べない。自社のDAと競合のDRを並べても、判断材料になりません。どれか一つのツールに決めて、そのツールの中だけで自社と競合を比較してください。

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ドメインオーソリティは無料ツールで調べられる
スコアの確認自体は、費用も手間もほとんどかかりません。ドメインを入力して数秒待つだけです。
自社サイトだけでなく、狙っているキーワードで実際に上位表示されている競合サイトを5件から10件、あわせて用意しておきます。1社だけ調べても比較にならないためです。
AhrefsのウェブサイトオーソリティチェッカーではDRを、Semrushのウェブサイトオーソリティチェッカーではオーソリティスコアを、いずれも登録なしで確認できます。MozのDAそのものを見たい場合は、Mozの無料アカウント登録が必要です。
example.com と blog.example.com では数値が変わります。測るときは、競合も自社も同じ粒度(ルートドメインならルートドメイン)にそろえてください。
スコアはツール側のデータ更新に合わせて動きます。表計算ソフトに測定日を添えて記録し、次回も同じツールで測る前提にしておくと、変化が読めるようになります。
無料ツールで注意したいのは、一度に測れる件数と、1日あたりの回数に制限がある点です。10件以上をまとめて比較したい場合や、毎月定点で記録したい場合は、有料プランか拡張機能の導入を検討したほうが作業が続きます。

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スコアの目安は絶対値ではなく、狙うキーワードの競合と比べて決まる
「いくつあれば十分ですか」という質問は、相談の場でも頻繁に出てきます。ただ、この問いに数字ひとつで答えると、かえって判断を誤らせます。
目安は業種と狙うキーワードで変わり、共通の合格ラインはありません。金融や医療のように大手メディアと公的機関が上位を占める領域では、上位10サイトのスコアが軒並み70を超えていることも珍しくありません。一方、ニッチな業務用機器や地域名を含むキーワードでは、上位のサイトが20台から30台に収まっているケースもあります。同じ「DA30」でも、前者では箸にも棒にもかからず、後者では十分に戦える位置です。
スコアは上がるほど動きにくくなる
もう一つ知っておきたいのが、このスコアが対数的な性質を持つことです。Moz自身も説明していますが、20から30へ上げるのと、70から80へ上げるのとでは、必要な被リンクの量がまったく違います。
新しく立ち上げたサイトのスコアが数か月で20台に届いたのに、そこから半年動かない。この停滞は異常ではなく、指標の設計どおりの動きです。同じ10ポイントの上昇でも、上の帯へ行くほど必要な被リンクの量は跳ね上がります。上昇が鈍ったこと自体を、施策の失敗と結論づけないでください。
公開直後のサイトでスコアが0から動かないのは、被リンクがまだ計測対象になるほど蓄積されていないためです。この段階でスコアを追いかけても判断材料になりません。記事数と被リンクが増えてから、はじめて意味のある数字になります。
数値を上げる前に、検索結果に並ぶサイトのスコアを見てキーワードを選ぶ
ここからが、比較記事ではあまり書かれていない使い方です。私たちが記事の企画で実際にドメインオーソリティを見るのは、自社の数値を確認するためではなく、スコアを上げるより先に、勝てる検索結果を選ぶほうが早い という判断のためです。
なぜそう言えるのか。被リンクを増やしてスコアを10ポイント動かすには、通常、半年から1年単位の取り組みが要ります。一方、キーワードを選び直す作業は数日で終わります。同じ工数をかけるなら、動きの遅い変数を動かすより、すぐ動かせる変数から手を付けるほうが先に成果が出ます。
広告を除いた自然検索の1位から10位のURLを書き出します。ツールの推定ではなく、実際の検索結果を見てください。
ここで指標を混ぜないことが重要です。すべてAhrefsのDRなら、10件すべてDRでそろえます。
自社スコア以下のサイトが3件以上入っていれば、そのキーワードは記事の質で順位を取りにいける可能性が残っています。0件なら、被リンクの差が順位差の主因になっている可能性が高く、記事を1本足しても順位は動きにくいと判断します。
低スコアで上位に入っているページが、なぜ評価されているのかを読みます。網羅性なのか、一次情報なのか、更新の新しさなのか。そこが自社で再現できる要素であれば、書く価値のあるキーワードです。
この作業を候補キーワード20個から30個に対して行うと、リストの並び順が大きく入れ替わります。検索ボリュームが大きいという理由だけで上位に置いていたキーワードが下がり、ボリュームは小さくても上位10件に低スコアのサイトが混ざっているキーワードが繰り上がる。実際に成果が出はじめるのは、たいていこの繰り上がった側からです。

もう一点、実務でよく効く見方を挙げておきます。上位に個人ブログや小規模サイトが1件でも入っているキーワードは、Googleがそのクエリで「ドメインの規模より内容の適合」を優先している合図と読めます。逆に、上位が公的機関と大手メディアだけで固まっているキーワードは、内容をいくら磨いても入り込む隙が小さい。この線引きは、スコアの数値そのものよりも判断に効きます。
候補キーワードは出したものの、どれから書くべきか決めきれないとき
検索結果のスコア分布を見る作業は、候補が20個を超えたあたりから手が回らなくなります。合同会社Writers-hubでは、候補キーワードの洗い出しから上位サイトの実査、書く順番の設計までをまとめて引き受けています。自社サイトの現在地に合わせて、最初の3か月で狙う範囲を絞るところから始められます。
ドメインオーソリティを上げる作業は、被リンクとコンテンツと継続に絞られる
キーワードの選び直しと並行して、中長期でスコアを押し上げる取り組みも進めておきたいところです。とはいえ、やることは多くありません。
参照される理由をつくって被リンクを得る
スコアを構成する要素のうち、最も影響が大きいのが被リンクです。ただし、被リンクは依頼して増やすものではなく、参照される理由をつくった結果 として増えます。自社で実施した調査の結果、業界の慣行を整理した一覧、公開されていない数値を集計した資料。こうした「引用したくなる素材」を持っているページは、こちらから何もしなくても言及されます。
有料でリンクを買う行為はGoogleのスパムに関するポリシーに反しており、順位下落のリスクを抱えるだけです。短期的にスコアが動いたとしても、施策としては選べません。
検索意図に答える記事を積み上げる
被リンクを得るには、まず読まれる必要があります。読まれるには、検索した人が知りたかったことに正面から答えている記事が要ります。順序としては、記事を積む、検索流入が生まれる、その一部が参照される、スコアが動く、という流れです。逆順にはなりません。
更新を止めずに運営を続ける
被リンクは時間をかけて蓄積されるため、運営期間の長さは無視できない要素になります。半年で30本書いて止まったサイトと、2年かけて同じ30本を出し続けたサイトでは、後者のほうが参照される機会が多くなります。月に2本でも、止めないほうが結果として早いという判断は現場でもよく成り立ちます。
- 自社で取得したデータや調査結果を、引用しやすい形で公開している
- 記事の公開が3か月以上途切れていない
- 被リンクの獲得を目的にした有料リンクの購入をしていない
- 検索結果の1位から10位を実際に確認したうえでキーワードを選んでいる
4つのうち、最初に手を付けやすいのは2番目です。引用される素材づくりは企画から逆算が要りますが、公開を途切れさせないことは今月から実行できます。
施策の方向は見えているのに、記事を書く手が足りないとき
更新を止めないことが効くとわかっていても、社内のリソースだけで毎月の本数を維持するのは簡単ではありません。キーワードの選定を終えたあとの構成づくりから執筆、公開前の確認までを、必要な工程だけ切り出して依頼する形にも対応しています。
スコアを見るときに避けたい扱い方
最後に、数値の扱いを誤りやすい場面を挙げておきます。どれも実際の相談で見かけるものです。
- 月次レポートの目標値にドメインオーソリティを置く(Googleが使っていない第三者の推定値を成果指標にすると、施策の判断がずれます)
- MozのDAとAhrefsのDRを同じ表に並べて比較する(材料も計算式も違うため、差分に意味がありません)
- 中古ドメインの高いスコアを根拠に購入を判断する(過去の被リンクが残っているだけで、現在の評価を保証しません)
- スコアが上がらないことを理由に、記事の制作を止める(上がらない期間があるのは指標の設計どおりで、施策の失敗とは限りません)
とくに一つ目は影響が大きく、注意が必要です。目標にした瞬間、被リンクの数を増やすこと自体が目的化し、関連性の薄いサイトからのリンクを集める方向に流れやすくなります。見るべきは検索流入、掲載順位、問い合わせ件数といった事業側の数字で、ドメインオーソリティはその手前で参照する補助的な材料にとどめてください。
経営会議で報告する数字としては、どれを使うべきでしょうか。
編集部
自然検索からのセッション数と、対象キーワードの掲載順位、そこから発生した問い合わせ件数の3つで足ります。ドメインオーソリティを報告に入れるなら、目標値としてではなく、上位表示の難しさを説明する補足として競合との比較表の形で添えるのが実態に合っています。
ドメインオーソリティに関するよくある質問
相談の場で実際に聞かれることの多い5点をまとめました。
厳密には違います。ドメインパワーは複数のツールのスコアをまとめて指す日本語の通称で、ドメインオーソリティはそのうちMozが提供している指標の名称です。会話のなかで「ドメインパワー」と言われた場合は、どのツールの数値を指しているのかを確認してください。
ツールによって異なり、月に1回程度のまとまった更新をかけるものもあれば、より短い間隔でデータを反映するものもあります。日単位の増減を追う意味は薄いため、月に1回、同じ日付で記録する程度で十分です。
被リンクが計測されるほど蓄積されていない段階では、0または1桁で止まります。異常ではありません。記事を公開して検索流入が生まれ、他サイトから言及されるようになってから動き始めます。
ツール側のデータ更新やアルゴリズム変更で、サイトに変化がなくても数ポイント動くことがあります。同時に検索流入や掲載順位も下がっているかを先に確認し、そちらに変化がなければ様子を見て構いません。
1社だけを見て判断しないでください。判断材料は上位10サイトの分布です。自社より低いサイトが数件混ざっているなら、記事の内容で入り込む余地があります。
まとめ|ドメインオーソリティは上げる目標ではなく、比べるための目盛り
ドメインオーソリティは、Mozが被リンクの状況から算出した0から100の予測スコアです。Googleの順位決定には使われておらず、DRやオーソリティスコアとは材料が違うため、指標をまたいだ比較もできません。それでも実務で見られ続けているのは、自社と競合を同じ物差しで並べられる公開データが、ほかに少ないからです。
使い方をひとことで言えば、自社の点数として眺めるのではなく、狙うキーワードの検索結果に並ぶサイトと比べる。上位10件に自社より低いスコアのサイトが混ざっていれば、記事の内容で順位を取りにいける可能性が残っています。混ざっていなければ、そのキーワードは後回しにして、別の入口から流入をつくったほうが早い。数値を上げる取り組みは、この選び分けと並行して、被リンクとコンテンツと継続の3点で進めれば十分です。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作とキーワード戦略の設計を手がけています。スコアの高低にかかわらず、いま書けば順位を取りにいけるキーワードはどのサイトにも残っているというのが、これまでの制作を通じた実感です。
自社サイトのスコアで、どこまで狙えるのか確かめたいとき
自社と競合のスコアを並べてみたものの、そこから何を書くか決めきれないという段階でのご相談も承っています。狙えるキーワードの範囲を一緒に見立てるところから始められます。








