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ChatGPTの指示の出し方|伝わる6要素と外れた時の直し方

ChatGPTの指示は、言い回しを整えるより先に、出力形式と判断基準を書いたほうが結果が安定しやすいです。形が決まっていれば、返ってきた文章のどこが違うかを名指しでき、直しの往復が短くなります。この記事では6要素の組み立て方と、外れた時の再指示の手順を分けて説明します。

人が投げかけた一言の依頼が、役割・背景・出力形式といった要素に分かれて整理され、狙いどおりの成果物として返ってくる流れを表したイラスト。

「もっと具体的に書いて」と打ち返しても、返ってくる文章の抽象度が変わらない。指示を長くしたのに、かえって的外れな回答になった。ChatGPTを仕事で使い始めた方から、こうした話をよく聞きます。

原因の多くは、語彙や言い回しではありません。渡している情報そのものが足りていないのです。ChatGPTはあなたの会社の事情も、その文章を誰に見せるのかも知りません。人間の部下なら察して補える部分を、言葉にして手渡す必要があります。

本記事では、記事制作の現場でAIを日常的に使っている立場から、ChatGPTの指示の出し方を「組み立て方」と「直し方」の二段階に分けて解説します。例文集は世の中に数多くありますが、コピーしただけでは自分の業務に当てはまらない場面が必ず出てきます。そのときに自力で書けるよう、指示を要素に分解するところから始めましょう。

この記事でわかること
  • ChatGPTへの指示が伝わらない3つの原因
  • 通る指示を組み立てる6つの要素と、書く順番
  • ダメな指示を書き直したbefore・afterの実例
  • 出力が外れたときの再指示の手順
  • メールや議事録など業務別の指示例と、指示を使い回す方法

ChatGPTへの指示が伝わらない3つの原因

総務省の令和7年版情報通信白書によると、日本で生成AIサービスを使ったことがある個人の割合は2024年度時点で26.7パーセントでした。前年度の9.1パーセントから3倍近くに増えており、20代に限れば44.7パーセントに達しています。使う人は急速に増えている一方で、「触ってはみたが期待した答えが出ない」という段階で止まっている方も相当数いるはずです。

※ 出典:総務省「令和7年版 情報通信白書」

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🌐 www.soumu.go.jp
外部リンク

うまくいかない指示には、はっきりした共通点があります。3つに整理して見ていきましょう。

会社の前提を共有していない

もっとも多いのがこれです。「うちの製品の紹介文を書いて」と打てば、ChatGPTは一般論としての製品紹介文を返すだけでしょう。あなたの製品が何で、誰に売っていて、競合と何が違うのかを知らないのですから、当然の結果といえます。

人間の新人であれば、社内資料を読み、先輩の会話を聞き、少しずつ前提を吸収していきます。AIは社内の前提を知らないまま答えを作ります。ここを理解しないまま「察してくれない」と評価すると、いつまでも噛み合いません。

完成物の形を決めていない

「議事録をまとめて」という依頼には、実は形の指定がひとつも入っていません。箇条書きなのか文章なのか、何字くらいか、誰が読むのか。指定がなければChatGPTは無難な形を選びます。無難な形は、たいてい誰の役にも立たない形です。

形を決めていないと、直すときにも困ります。「なんとなく違う」としか言えないので、修正指示も曖昧になり、二度目も三度目も外れます。

一度のやり取りで終わらせようとしている

完璧な指示文を一発で書き上げようとして、長大な文章を作り込む方がいます。ところが指示が長くなるほど、要求同士が矛盾したり、優先順位が読み取れなくなったりして精度が落ちる場面が出てきます。

ChatGPTとのやり取りは、発注書を投げて納品を待つ形ではなく、隣の席の担当者と相談しながら詰めていく形に近いものです。この認識の差が、そのまま結果の差になって表れます。

  • 「いい感じの文章を書いて」と、評価の基準を渡さない
  • 手元の資料を貼らずに、記憶だけで答えさせようとする
  • 出力の長さも形式も指定せず、返ってきてから不満を言う
  • 一度で完成させようとして、指示文だけを何度も書き直す
  • 会話が長く続いたチャットで、まったく別の作業を始める

心当たりがあっても落ち込む必要はありません。裏を返せば、この5点を潰すだけで出力はかなり変わります。

通る指示を作る6つの要素

指示文をゼロから考えるのは負担が大きいので、要素に分けてしまうのが早道です。実務で安定するのは次の6つです。

要素

何を書くか

書き忘れたときに起きること

役割

どんな立場・専門性で答えてほしいか

一般論の域を出ない回答になる

背景

なぜ必要か、誰に渡すか、現状はどうか

状況に合わない提案が混ざる

タスク

何をしてほしいか(動詞ひとつ)

複数の作業が中途半端に混ざる

入力

判断材料になる手元の資料・データ

事実でない内容を補って書かれる

出力形式

形(表・箇条書き・文章)と分量

直したい箇所を指定できない

制約

禁止事項と、良し悪しの判断基準

使えない表現や余計な内容が入る

6つ全部を毎回書く必要はありません。短い調べものなら「タスク」だけで足ります。ただし成果物として人に見せる文章を作らせるなら、6つとも埋めておくと修正の回数が目に見えて減ります。

ChatGPTへの指示を構成する6つの要素

6つをつないで1本の指示文にする

要素はマークダウンの見出し記号で区切ると、ChatGPTが構造を読み取りやすくなります。実際に書くと次のような形です。

TEXT
# 役割
BtoBメーカーの営業担当として回答してください。

# 背景
・取引先への納品が、こちらの確認漏れで5営業日遅れました
・先方の担当者とは3年の取引があり、普段はくだけた文面です
・電話での一次連絡と口頭の謝罪は済んでいます
・このメールは、原因と再発防止策を文書で残すことが目的です

# タスク
お詫びのメールを1通作成してください。

# 出力形式
・件名(30文字以内)と本文
・本文は400字前後、段落は「お詫び」「原因」「再発防止策」「今後のお願い」の順

# 制約
・言い訳と受け取られる表現を使わない
・原因は事実のみを書き、社内の人名は出さない
・締めに、次回納品日を確認する一文を入れる

この形をひとつ覚えておけば、中身を差し替えるだけでほとんどの依頼に応用できます。記号は全角の丸印でも半角のハイフンでもかまいません。大切なのは見た目ではなく、要素が区切られていることです。

迷ったら出力形式から書く

6つの中でどれかひとつだけ足すとしたら、出力形式を選んでください。理由は精度そのものより、その後の直しやすさにあります。

「表で、列は案名・想定コスト・実施までの期間の3つ」と決めておけば、返ってきた内容のどこが不満なのかを列単位で指定できます。出力形式を決めると、直す場所を名指しできます。逆に自由形式で書かせた文章は、良し悪しの議論が印象論になりがちです。

💡

分量の指定は「簡潔に」ではなく数字で伝えてください。「400字前後」「箇条書き5行以内」「見出しは3つ」のように書くと、出力のばらつきが小さくなります。字数がぴったりそろうわけではありませんが、方向性は確実に伝わるはずです。

良し悪しの判断基準を一緒に渡す

上級者とそれ以外の差が出るのが、この一手です。制約の欄に「何をもって良い出力とするか」を書き添えます。

たとえば企画案を出させるなら「既存商品と1行で違いを説明できること」、原稿なら「専門用語を使った直後に必ず言い換えを添えること」といった具合です。判断基準があると、ChatGPTは出力前に自分でその基準へ照らそうとします。人間のレビューでも同じでしょう。基準のないレビューは感想に流れ、基準のあるレビューは指摘になります。

OpenAIも公式のプロンプト設計ガイドで、望ましい出力の条件を明示することと、繰り返し改善していくことの両方を推奨しています。

Prompt engineering | OpenAI API
Learn strategies and tactics for better results using large language models in the OpenAI API.
🌐 platform.openai.com
外部リンク

ダメな指示と良い指示を書き比べる

要素の話だけでは実感が湧きにくいので、同じ依頼を書き直して比べてみます。ここで見てほしいのは指示の長さではなく、どの要素が足されたかです。

議事録の要約を頼む

多くの方が最初に試すのが要約でしょう。ところが、そのまま投げると使いどころのない要約が返ってきます。

TEXT
【書き直す前】
この議事録を要約して。

これでは「誰のための要約か」がないため、ChatGPTは平均的な長さの平均的な要約を作ります。会議に出ていない上長に読ませたいのか、自分の備忘なのかで、残すべき情報はまったく違うはずです。

TEXT
【書き直した後】
# タスク
以下の議事録を、会議に出ていない上長が3分で把握できる形に要約してください。

# 出力形式
1. 決まったこと(3〜5行の箇条書き。各行の末尾に決定者の氏名を添える)
2. 決まらなかったこと(次に誰が、何を、いつまでに判断するか)
3. 数字(金額・期日・件数だけを抜き出す)

# 制約
・原文にない情報を補わない
・発言者は役職ではなく氏名のまま残す
・全体で600字以内

# 議事録
(ここに本文を貼り付け)

「原文にない情報を補わない」の一文が効きます。要約でありがちな事故は、文脈を整えようとしてAIが自然な接続を作り、原文になかった因果関係が生まれてしまうこと。あらかじめ禁止しておけば、発生する頻度は下がります。

企画のアイデア出しを頼む

アイデア出しは、指示の質がそのまま案の質になる作業です。

TEXT
【書き直す前】
新商品のアイデアを10個出して。

数だけ指定すると、案の粒度がそろわないまま10個並びます。似た案が3つ入っていたり、そもそも自社では作れない案が混ざっていたりして、選ぶ側の手間が増えるだけに終わります。

TEXT
【書き直した後】
# 役割
食品メーカーの商品企画担当として考えてください。

# 背景
・既存商品は常温保存のスープ、主な購入層は40〜50代の共働き世帯
・売上は横ばいで、20〜30代の新規購入が伸びていない
・生産設備の都合上、常温流通できる商品しか作れません

# タスク
20〜30代の単身世帯に向けた新商品の方向性を5案出してください。

# 出力形式
案ごとに「一言説明/食べる場面/既存商品との違い/作るうえでの懸念」を表で

# 制約
・大手がすでに展開している形態(カップスープ、フリーズドライ)は除く
・5案のうち1案は、社内で反対されそうな案をあえて入れる

最後の制約は、実務で使ってみると効き目が分かります。無難な案だけを並べさせたとき、会議で全部落ちる案がそろってしまうのはよくある光景でしょう。極端な案を1つ混ぜておくと、議論の幅そのものが変わります。

Web担当者Web担当者

毎回これだけ書くのは、正直しんどいのですが……。自分で書いたほうが早い気がしてきます。

Writers-hub編集部Writers-hub
編集部

最初の1回だけです。この形で書いた指示は保存して、次からは背景と入力の中身を差し替えるだけで使えます。実際に手間がかかるのは背景の部分ですが、そこは自分の頭の整理にもなるので無駄になりません。使い回す方法は記事の後半で説明します。

指示の型を3つ使い分ける

世の中には名前のついたプロンプトの型がいくつも紹介されています。ただし、覚えるべきは多くありません。用途の違う3つを押さえれば、大半の業務は回ります。

深津式は、深津貴之氏が紹介したものとして広く知られる型です。命令書・制約条件・入力文・出力形式を見出しで区切って渡します。この記事で紹介してきた6要素の構成も、考え方としてはこの系統に含まれるといえるでしょう。

要素指定型は、埋める欄をあらかじめ決めておき、値だけを差し替える形です。定型業務との相性がよく、慣れていない人に渡しても同じ品質が出ます。

ゴールシーク型は、最初に到達したい状態だけを伝え、必要な情報をChatGPT側から質問させる形です。自分でも要件が固まっていないときに向いています。

深津式要素指定型ゴールシーク型
向いている場面単発の作りこみ繰り返す定型業務要件が固まっていない相談
書き始める手間
出力のばらつき
他の人への渡しやすさ×
やり取りの往復少なめ少ない多い

3つの中でおすすめしやすいのは要素指定型です。書く手間が小さく、担当者が変わっても品質が保たれるからで、業務に組み込むなら第一候補になります。ただしゴールシーク型を切り捨てる必要はありません。自分でも要件が固まっていない企画の初期段階では、質問されること自体に価値があるでしょう。

一度で決めない。外れた出力を直す手順

ここからが、多くの解説記事であまり触れられない部分です。一度で完成させようとしないほうが、結果的に速く終わります。指示の設計と同じくらい、返ってきたものを直す技術が効きます。

1
STEP
何が違ったかを名詞で伝える

「もっと良くして」は指示になっていません。「導入の2文が一般論になっている」「3つ目の見出しが前後と重複している」のように、ずれている箇所と、ずれの種類を名詞で示します。ChatGPTは抽象的な不満を解釈できませんが、具体的な指摘には正確に反応します。

2
STEP
直す範囲を限定する

全文の書き直しを命じると、直してほしくなかった部分まで変わります。「見出し3の本文だけを書き直し、他はそのまま出力してください」と範囲を切ってください。良かった部分を守ることが、往復を減らす近道です。

3
STEP
直させる前に自己評価をさせる

修正を命じる前に、「最初に渡した制約に照らして、この出力の不足を3点挙げてください」と聞きます。ChatGPTが自分で問題を言語化してから直すと、修正の精度が上がります。人間の推敲でも、指摘を先に挙げてから直すほうが早いでしょう。

4
STEP
3往復で改善が止まったらチャットを作り直す

同じ会話を延々と続けると、過去の失敗作が文脈として残り、そこに引きずられます。3回直しても近づかないなら、新しいチャットを開き、これまでのやり取りで判明した条件を最初から指示文に組み込んでください。会話を捨てるのではなく、学んだ条件を持ち越すのがコツです。

この4つを回すと、指示文そのものも育っていきます。1回目で足りなかった条件は、2回目の指示文に書き足すべき条件です。やり取りの記録は、次に使うテンプレートの下書きだと考えてください。

指示と再指示のループ

やり直しのたびに指示文全体を書き換えるのは避けてください。何が効いた変更なのか分からなくなります。変えるのは一度に1か所にすると、自分の中に再現できる知見が残ります。

業務別の指示例

ここまでの型を、よくある業務に当てはめてみます。そのままコピーしても動きますが、背景の欄は必ず自分の状況に書き換えてください。ここが空のままだと、結局は一般論が返ってきます。

メールの添削を頼む

自分で書いた文章を直させるほうが、ゼロから書かせるより早く終わる場面は多いものです。

TEXT
# タスク
以下のメール文を、社外の取引先に送れる文面に添削してください。

# 出力形式
1. 添削後の全文
2. 直した箇所と理由を表で(元の表現/修正後/理由)

# 制約
・意味を変える書き換えはせず、変える場合は理由に明記する
・へりくだりすぎた表現は使わない

# 入力
(ここに自分が書いたメール本文を貼り付け)

理由を書かせるのが要点です。理由まで出させると、自分の癖が分かり、次から同じ指摘を受けなくなります。

資料の構成案を作らせる

いきなりスライドの文章を書かせず、構成だけを先に固めます。

TEXT
# 役割
社内の経営会議に資料を出す立場の担当者として考えてください。

# 背景
・報告内容は、既存顧客の解約率が半年で上昇したこと
・原因の調査は途中で、確定した結論はまだありません
・会議の持ち時間は10分、決裁者は数字を先に見たがる傾向があります

# タスク
スライドの構成案を作ってください。本文はまだ書かなくて結構です。

# 出力形式
スライド番号/タイトル/そのページで言い切ること/載せる数字 の4列の表で、8枚以内

# 制約
・結論が出ていない論点は、断定せず「検討中」と分かる書き方にする
・数字は私が後で入れるため、必要な数字の種類だけを指定する

表計算の関数やマクロを作らせる

自然文で条件を伝えると、関数の形で返ってきます。エラーになったらそのエラー文をそのまま貼るのが最短です。

TEXT
# 前提
Google スプレッドシートで作業しています。

# やりたいこと
A列に日付、B列に担当者名、C列に金額が入っています。
指定した担当者の、当月分の金額だけを合計したいです。

# 出力形式
1. そのまま貼れる数式
2. 数式の各引数が何をしているかの説明
3. 想定される失敗(日付が文字列だった場合など)と、その対処

# 制約
・関数は標準機能の範囲で、アドオンは使わない

出力形式の3番目が重要です。失敗のパターンまで出させておくと、動かなかったときに自分で切り分けられます。

ChatGPTで速くなったのに、業務全体は楽になっていませんか

指示が上手くなると、1つの作業は確実に速くなります。一方で、その作業が毎週発生し続ける構造そのものは変わりません。どの業務を仕組みで減らせるのか、現状の作業を洗い出すところからご相談いただけます。

指示を資産にして毎回書かずに済ませる

良い指示を書けるようになった人が次にぶつかるのが、「毎回同じことを書いている」という状態です。ここを整理すると、AI活用は個人の技能から組織の仕組みに変わります。段階は大きく3つ。順に見ていきましょう。

1
STEP
使えた指示をその場で保存する

出力に満足できたら、そのときの指示文をテキストファイルなりメモアプリなりに残します。良かった指示は、その場で保存します。後から会話履歴を探すのは想像以上に手間で、たいていの人はやりません。ファイル名は業務名にしておくと、探すときに迷わずに済みます。

2
STEP
共通する前提をカスタム指示に移す

毎回書いている自社紹介や文体の指定は、ChatGPTのカスタム指示に登録すると、以降の全会話に自動で適用されます。所属や職種、扱う商材、避けたい表現をここに書いておけば、個別の指示文は「タスク」と「入力」だけで済むようになります。

3
STEP
チームで型を共有して品質をそろえる

個人のメモのままだと、隣の人は同じ試行錯誤を最初から繰り返します。部署で使う指示テンプレートを1か所にまとめ、書き換える欄を明示しておくと、AIを使い慣れていないメンバーでも一定の出力にたどり着けます。運用としては、月に一度、実際に使われた指示を持ち寄って更新する形が続きやすいでしょう。

カスタム指示の設定方法や、業務で使える記入例は別記事で詳しくまとめています。

机の上のノートパソコンから、歯車で表した設定が複数の会話バブルへ光の線でつながって広がっていく様子を、斜め上からの俯瞰で描いたイメージ。
生成AI活用・業務効率化

ChatGPTのカスタムインストラクションとは?設定方法と業務で使えるおすすめ例文

ChatGPTのカスタムインストラクションとは何かを、プロンプトとの違いから設定方法、立場別のおすすめ例文、反映されないときの対処、組織で使う勘所まで、生成AI活用の支援者の視点で解説します。

3つの段階は、どれも大きな投資を必要としません。保存する、登録する、共有する。順に進めるだけで、AIを使う場所が個人のデスクから部署の業務フローへ移っていきます。

指示を資産化する3段階

3段階目まで進めるかどうかで、社内でのAIの位置づけが変わります。個人の工夫として終わるか、業務の標準になるか。この分かれ目は、ツールの性能ではなく運用の設計で決まります。

社内でAI活用を広げる段階でつまずいていませんか

一部の社員だけが使いこなしている状態から、部署の標準にするまでには、テンプレートの整備とルールづくりが必要になります。実務に沿った指示の型づくりから、社内研修の設計までご支援しています。

指示を出す前に押さえる注意点

精度の話とは別に、指示を出す段階で気をつけたいことがあります。ここを外すと、出力の良し悪し以前の問題になります。

まず入力してはいけない情報です。ChatGPTに渡した内容が、設定によっては学習に使われる場合があります。社内の資料を丸ごと貼る前に、次の項目が含まれていないか確認してください。

  • 顧客の氏名・連絡先・契約金額といった個人情報や取引条件
  • 未公開の財務数値、開発中の製品仕様
  • 秘密保持契約の対象になっている資料の本文
  • 社内システムのIDやパスワード、APIキー
  • 他社が著作権を持つ文章や画像の全文

機密情報は指示文に含めないでください。要約させたい資料に機密が含まれるなら、固有名詞を伏せ字に置き換えてから貼るという運用が現実的です。

次に、返ってきた内容の扱いです。ChatGPTは事実と異なる内容を、それらしい文体で書くことがあります。数字、固有名詞、法令の条文、URLは、必ず一次情報にあたって確認してください。指示の段階で「出典が確認できない情報は書かず、分からないと答えてください」と制約に入れておくと、頻度は下げられます。ただしゼロにはならないという前提で扱うのが安全です。

社内で使うなら、確認が必要な項目をあらかじめ決めておくと運用が安定します。数字と固有名詞は人が確認する、文章表現はAIに任せる、といった線引きです。全部を疑えば使う意味がなくなり、全部を信じれば事故につながりかねません。

ChatGPTの指示の出し方に関するよくある質問

最後に、指示の書き方をひととおり試した方から実際に受けることの多い質問をまとめます。細かい疑問ほど、放っておくと余計な回り道につながりやすい部分です。

指示は長ければ長いほど精度が上がりますか。

長さと精度は比例しません。要素が整理されていない長文は、要求同士が矛盾したり優先順位が読み取れなくなったりして、かえって精度を落とすことがあります。役割・背景・タスク・入力・出力形式・制約の6つに分けて、それぞれ簡潔に書くほうが安定します。

日本語と英語では、どちらで指示したほうがよいですか。

日本語の業務文書を作るのであれば、日本語で問題ありません。英語のほうが有利とされたのは初期のモデルの話で、現在は日本語でも十分な精度が出ます。指示の言語より、前提と出力形式が書けているかどうかの影響のほうが大きいでしょう。

記号は「#」や「・」など、どれを使うべきですか。

見出しと項目が区別できていれば、どの記号でもかまいません。「#」はマークダウンの見出し記号として広く使われているため構造が伝わりやすい、という程度の差です。記号を工夫するより、区切る中身を決めるほうに時間を使ってください。

同じ指示なのに、日によって結果が変わるのはなぜですか。

ChatGPTは同じ入力に対して常に同じ文章を返す仕組みではないため、ある程度のばらつきは避けられません。出力形式と分量、判断基準を具体的に指定するほど、ばらつきの幅は小さくなります。完全に固定したい場合は、出力を表形式にするなど、自由度の低い形を指定するのが有効です。

指示を工夫しても、文章に自分らしさが出ません。

文体は制約の欄で指定できますが、抽象的な指定では伝わりにくい部分です。自分が過去に書いた文章を数本貼り、「この文体に合わせてください」と例示するほうが再現しやすくなります。それでも足りない場合は、文体を保つことに特化したツールを検討する余地もあります。

まとめ

ChatGPTの指示の出し方は、才能や慣れの問題ではなく、渡す情報を決める作業です。役割・背景・タスク・入力・出力形式・制約の6要素を押さえ、迷ったら出力形式から書く。この2点だけでも、返ってくる内容は変わります。

そのうえで、一度で決めようとしないでください。ずれた箇所を名詞で指摘し、直す範囲を限定し、3往復で近づかないならチャットを作り直す。この直し方を身につけると、指示文そのものが手元に貯まっていきます。最後は、貯まった指示をカスタム指示やチーム共有のテンプレートに移し、毎回書かずに済む状態を作るところまで進めてみてください。

合同会社Writers-hubでは、記事制作の現場で日々AIを使いながら、社内でのAI活用の立ち上げや、業務そのものを減らす仕組みづくりのご支援をしています。どこから手をつけるか決めきれない段階でも、現状を伺うところから始められます。

自社の業務にどう組み込むかを、一緒に整理しませんか

指示の型は作れても、どの業務から手をつけるかは会社ごとに違います。現在の業務内容と体制を伺ったうえで、AIに任せる範囲と人が判断する範囲の線引きからご提案します。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

読んで終わりにしないために

記事の内容を自社に当てはめるとどうなるか、オンライン30分で一緒に整理します。費用はかかりません。

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