「離脱している人数がいちばん多いところから直せば、効果もいちばん大きいはずだ」。CRO対策で改善箇所を選ぶとき、そう考える方は多いでしょう。段階ごとの離脱人数はアクセス解析の画面に数字としてそのまま出てくるため、数の大きいところから順に手を入れるのが自然に見えるからです。
しかし、記事を納品したあとの成果までクライアントのサイトで見てきた弊社の立場から言えるのは、離脱の人数が多い段階が、必ずしも直したときの効果が大きい段階とは限らないということです。どこから手をつけるかは、その段階に届いている人数と、上げられる通過率の幅、その先の通過率を掛け合わせ、増えるコンバージョン数を比べたうえで決まります。
本記事では、CRO対策が対象とする範囲と、CVRを流入経路ごとに分ける手順から、改善の順番を計算で決める方法、ABテストが成立する母数の目安と記事から成果を得るときの考え方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- CRO対策とLPO・EFOが、それぞれどこまでの範囲を対象にしているか
- サイト全体のCVRを目標指標に置くと判断を誤る理由
- 改善箇所を「取りこぼしの人数」だけで決めてはいけない理由と、正しい計算式
- ABテストが成立するページと、成立しないページの分かれ目
- 記事流入からコンバージョンを取るときに、CTAの文言より先に見るべきもの
CRO対策とは、CVRを上げる取り組み全般のこと
CROはConversion Rate Optimizationの略で、日本語ではコンバージョン率最適化と訳されます。Webサイトを訪れた人のうち、問い合わせ・資料請求・購入といった成果に至る割合を高めるための取り組み全体を指す言葉です。
なお「CRO対策」という言い方には、厳密には重複があります。Optimizationの部分がすでに最適化を意味しているため、直訳すると「コンバージョン率最適化対策」になるためです。とはいえSEO対策と同じく、日本語では検索語として定着しました。本記事でも、CROの取り組み全般という意味でCRO対策と書きます。
CVRの計算式そのものは単純です。コンバージョン率(CVR)は、コンバージョン数をセッション数で割って求めます。ただし分母に何を置くかは組織によって違い、セッション数の場合もあればユーザー数の場合もある。社内で数字を比べるときは、どちらで計算しているかを先に揃えておいてください。分母が違うまま前年と比較して、改善したように見えていた例は珍しくありません。
LPO・EFOとの違いは、手をつける範囲
CROと並んで出てくるのがLPOとEFOです。3つは対立する概念ではなく、対象とする範囲が違います。LPO(ランディングページ最適化)は、広告や検索から入ってくる着地ページ1枚を対象にする施策。EFO(入力フォーム最適化)は、フォームの入力から送信までを対象にします。そしてCROは、サイトに入ってから成果に至るまでの全体を対象にします。
つまりCRO対策の対象はサイト全体で、LPOとEFOはその一部という関係にあります。LPOとEFOに取り組むことは、CROの一部を実行していることになる。逆に言えば、LPだけを直してもサイト全体のCVRが動かない場合、原因はLP以外の場所にあるという判断ができます。
SEOとの関係は「集客と接客」だけでは説明が足りない
CROの解説では、SEOが集客でCROが接客だという整理をよく見かけます。役割分担としては分かりやすいのですが、実務ではもう一段の補足が必要になります。
同じページでも、どの検索語から来たかによってCVRは大きく変わるためです。会社名で検索して入ってきた人と、「〇〇とは」という言葉で調べて記事にたどり着いた人では、そもそも検討の段階が違う。前者は資料請求まで数クリックの距離にいますが、後者は情報を集め始めたばかりです。同じCTAを置いて反応が同じになるほうが不自然でしょう。
したがってCRO対策の効き目は、ページ単位ではなく「流入経路とページの組み合わせ」で決まります。この前提を持たないまま全体のCVRだけを追いかけると、次のセクションで説明する取り違えが起きます。

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施策を選ぶ前に、CVRを流入別に分解する
CRO対策で最初にやるべきなのは施策の実行ではなく、現状のCVRを分解することです。サイト全体で1つのCVRを出している状態では、どこが悪いのかが見えません。
サイト全体のCVRは、施策と関係なく上下する
計算で確認してみます。あるBtoBサイトが、指名検索と広告から月2,000セッションを集め、そこから60件のコンバージョンを得ていたとしましょう。CVRは3.0%です。
ここでオウンドメディアを立ち上げ、記事から月3,000セッションが増えたとします。記事流入からのコンバージョンは15件でした。合計すると5,000セッションで75件、サイト全体のCVRは1.5%になります。
数字の上ではCVRが3.0%から1.5%へと半減しています。しかしコンバージョン数のほうは60件から75件へ増えている。サイト全体のCVRは、流入構成が変われば施策なしでも動きます。
この状態で「CVRが落ちているからCRO対策が必要だ」と判断すると、対策の方向を誤ります。もっとまずいのは、CVRを目標指標に置いてしまい、記事の公開を止める決定が下されるケースでしょう。分母が減ればCVRは3.0%に戻りますが、コンバージョン数も60件に戻ります。
CRO対策の目標指標は、CVRではなくコンバージョン数(または売上)に置いてください。CVRのほうは、流入経路・デバイス・ランディングページなどのセグメントを揃えたうえで、改善箇所を探すための指標として使います。サイト全体のCVRは、報告用の数字としては使えても、改善の意思決定には向きません。
分解の軸は、流入経路とランディングページ
分解に使う軸は多くありません。GA4の探索レポートで、まず2つの表を出せば足ります。1つ目は流入経路別のCVRで、参照元とメディア、あるいはチャネルグループごとにセッション数とコンバージョン数を並べたもの。2つ目はランディングページ別のCVRで、最初に着地したページごとに同じ数字を出します。
ここで見るのはCVRの高低ではありません。セッション数とCVRの掛け算です。CVRが0.2%でも月8,000セッション入っているページと、CVRが4%でも月50セッションしかないページでは、改善したときに増えるコンバージョン数がまったく違います。
セグメント別に出したところ、記事流入のCVRが極端に低い数字でした。記事を減らすべきでしょうか。
編集部
その判断は早いと思います。記事流入は検討段階が手前なので、指名検索と比べてCVRが低く出るのは自然な状態です。見るべきは、同じ記事流入の中でCVRに差があるページはどれか、そして記事から次に進んだ人がどこで止まっているか。比較の相手を揃えないと、記事そのものが原因に見えてしまいます。
比べる相手を揃えるという作業は地味ですが、ここを飛ばすと以降の施策がすべて的外れになります。記事流入は記事流入同士で、広告流入は広告流入同士で並べてください。
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手をつける順番は、取りこぼしの人数だけでは決まらない
改善箇所を決めるとき、通過率がいちばん低い段階から直すという考え方をよく見ます。あるいは、離脱している人数がいちばん多い段階から直すという判断も一般的でしょう。どちらも直感的には正しそうですが、計算してみると順番が変わります。
段階ごとの人数を並べる
月1万セッションのサイトで、コンバージョンが100件あるとします。途中の経路を分解すると、次のようになっていたとしましょう。
段階 | 到達人数 | 次に進む割合 | 進んだ人数 | 進まなかった人数 |
|---|---|---|---|---|
サイト訪問 | 10,000 | 20% | 2,000 | 8,000 |
サービス一覧ページ | 2,000 | 50% | 1,000 | 1,000 |
サービス個別ページ | 1,000 | 40% | 400 | 600 |
フォーム表示 | 400 | 25% | 100 | 300 |
進まなかった人数で並べると、多い順にサイト訪問(8,000人)、サービス一覧(1,000人)、サービス個別(600人)、フォーム表示(300人)となります。通過率で並べると、低い順にサイト訪問の20%、フォーム表示の25%、サービス個別の40%、サービス一覧の50%です。2つの順位はすでに食い違っています。
同じ幅だけ改善したときの増加数を比べる
判断に使うべきなのは、各段階の通過率を同じ幅だけ上げた場合に、コンバージョンが何件増えるかという数字です。通過率を10ポイント上げたと仮定して計算します。
改善する段階 | 通過率の変化 | 増えるコンバージョン数 |
|---|---|---|
サイト訪問 → 一覧 | 20% → 30% | 50件 |
一覧 → 個別 | 50% → 60% | 20件 |
個別 → フォーム表示 | 40% → 50% | 25件 |
フォーム表示 → 送信 | 25% → 35% | 40件 |
順位が入れ替わりました。離脱人数が2番目に多かった「一覧から個別」は、改善効果では最下位の20件。逆に離脱人数が最も少なかった「フォーム表示から送信」は、40件で2位に入っています。離脱の人数が多い段階が、改善効果の大きい段階とは限りません。
理由は計算式を書けばはっきりします。増えるコンバージョン数は「その段階に到達している人数 × 上げられる通過率の幅 × その先の通過率をすべて掛け合わせたもの」で求まります。下流の段階は到達人数が少ない代わりに、1人を通すとそのままコンバージョンに届く。上流の段階は人数が多い代わりに、通した人の大半が下流で失われます。

実際の判断を分けるのは、何ポイント動かせるか
ここまでの数字は「10ポイント上げられたら」という仮定の話です。実務で順番を決めるときは、そこに実現可能性を掛けます。
通過率20%を30%に上げるのと、80%を90%に上げるのでは難易度が違う。前者は改善の余地が広く、後者はすでに大半が通過しているぶん、伸ばせる幅が限られています。加えて、原因が特定できているかどうかも効いてきます。フォームの離脱なら、入力項目の数・エラー表示の出方・必須項目の位置と、原因の候補を絞り込める。一方で記事からサービスページへの遷移が少ない理由は、記事の内容・導線の位置・そもそもの読者層と、候補が広がってしまいます。
したがって最初に着手するのは、増加数の計算値が大きく、かつ原因が絞り込める段階です。多くの解説でフォーム周りから手をつけるよう勧められるのは、効果が読みやすく、原因の特定が容易だという2つの条件を満たしているからでしょう。
記事は増えているのに、サービスページまで進んでいないなら
記事とサービスの距離は、書く前のキーワード選びでほぼ決まります。検索されている語のうち、どれが問い合わせにつながる位置にあるのかを整理し、公開する順番まで設計します。すでに出した記事の並べ直しからのご相談も承っています。
関連記事:LPOとは?SEO・EFOとの違いと改善の手順、成果につながる施策
CRO対策の主な施策と、それぞれが効く条件
順番の決め方を押さえたうえで、代表的な施策を見ていきます。施策名だけを並べても判断できないため、どういう状態のサイトで効くのかをあわせて書きました。
ファーストビューで、誰向けのページかを示す
着地して数秒で離脱される場合、多くは「自分に関係のあるページかどうか」が判断できていません。サービス名と機能の説明だけが並び、対象となる企業規模や業種、解決する状況が書かれていないページはよく見かけます。
有効なのは、キャッチコピーの言い回しを凝ることではなく、対象を言葉にすることです。「従業員50名以下の製造業向け」「月10本以上の記事を公開している企業向け」といった記述があるだけで、該当する人が読み進める率は変わります。該当しない人が早い段階で離脱するのも、CVRという観点では望ましい状態でしょう。
CTAの文言は、押した先の行動が分かる言葉にする
「詳しくはこちら」「送信する」といった文言では、押した後に何が起きるかが分かりません。「資料をダウンロードする(PDF・全12ページ)」「30分のオンライン相談を予約する」のように、行動と得られるものを書いたほうが、押す前の不安が減ります。
ボタンの色や大きさの調整は後回しで構いません。文言の変更のほうが効果が大きく、実装も早く終わる。デザインの検討に会議を重ねるより、まず言葉を直したほうが先に進みます。
入力フォームの項目を減らす
フォームは、CRO対策の中でも効果が読みやすい場所です。入力項目が20個あるフォームを8個に減らせば、送信数はほぼ確実に増えます。ただしBtoBでは注意が要ります。
項目を減らすとコンバージョン数は増えますが、営業が使える情報も同時に減ります。従業員規模や検討時期の項目を外した結果、送信数は1.5倍になったのに商談化した件数は変わらない、という展開はよく起きます。フォームを触るときは、送信数と、その先の商談化率・受注率をセットで記録してください。CVRだけを見て改善したと判断すると、営業側の工数だけが増えます。
項目を減らす代わりに使えるのが、入力の負担そのものを下げる方法です。郵便番号からの住所自動入力、必須と任意の明示、エラーを送信後ではなく入力中に表示する仕組み。項目数を維持したまま完了率を上げられる余地は、まだ残っている場合が多いはずです。
成果に至るまでの導線を短くする
サービスページから問い合わせフォームまで3クリック必要なサイトと、1クリックで届くサイトでは、途中で離れる人数が変わります。ヘッダーやサイドバーに関係のないリンクが並んでいる場合も同様で、選択肢が多いほど本来進んでほしい先に届きません。
導線の確認は、ツールを使わなくても始められます。自社サイトを初めて見る人のつもりで、トップページから問い合わせ完了までを実際に操作してみてください。何回クリックしたか、迷った箇所はどこかを記録するだけで、直すべき場所の候補が出ます。
表示速度を改善する
ページの表示が遅いと、内容を読む前に離脱されます。GoogleのCore Web Vitalsでは、主要なコンテンツが表示されるまでの時間(LCP)は2.5秒以内が良好とされています。
※ 出典 Google「Web Vitals」
現状の計測は、PageSpeed InsightsにURLを入力するだけで確認できます。画像の圧縮と遅延読み込み、使っていないスクリプトの削除あたりが、実装の手間に対して効果が出やすい範囲でしょう。
- ファーストビューに、対象となる企業規模や業種が書かれている
- CTAの文言から、押した後に何が起きるか分かる
- フォームの必須項目が10個以内に収まっている
- サービスページから問い合わせまで2クリック以内で届く
- 主要ページのLCPが2.5秒以内に収まっている
未達の項目があれば、そこが着手候補になります。ただし前のセクションで計算したとおり、未達だからといって効果が大きいとは限りません。到達人数の多い段階から順に確認してください。
ABテストが成立するページと、成立しないページ
CRO対策の解説では、ほぼ必ずABテストが出てきます。2つのパターンを同時に出して成績の良いほうを採用する手法で、考え方としては正しい。ただ、実行できるサイトは限られます。
必要なセッション数は、検出したい差の大きさで決まる
ABテストで「どちらが良いか」を判定するには、偶然の変動と実際の差を区別できるだけのデータが要ります。必要な数は、現状のCVRと検出したい改善幅から計算できます。両側検定・有意水準5%・検出力80%という一般的な条件で計算すると、次のようになります。
現状のCVR | 目標のCVR | 改善幅 | パターンごとに必要なセッション数 |
|---|---|---|---|
2.0% | 2.4% | 相対20% | 約21,000 |
2.0% | 3.0% | 相対50% | 約3,800 |
1.0% | 1.2% | 相対20% | 約43,000 |
パターンは2つあるため、テスト全体では表の2倍のセッションが必要になります。現状CVR2.0%のページで相対20%の改善を検証するなら、およそ4万2,000セッション。月1万セッションのページなら4カ月かかる計算です。
小さな差を検証できるのは、月1万セッション規模のページだけという結論になります。その間にキャンペーンや季節変動が入れば、結果の解釈はさらに難しくなる。多くの企業サイトでABテストが「やってみたが結論が出なかった」で終わるのは、手法の問題ではなく母数が足りていないためです。
※ 上記のセッション数は統計的な計算による概算です。前提条件を変えれば数値も変わります。

母数が足りないときに使える確認方法
セッション数が足りないサイトでも、改善のヒントを得る方法はあります。統計的な検証ではなく、明らかな不具合を見つけるための調査に切り替えることです。
| セッション録画 | ヒートマップ | ユーザーテスト | フォーム離脱の計測 | |
|---|---|---|---|---|
| 少ない母数で使えるか | ◎ | ○ | ◎ | ○ |
| 導入の手間 | ◎ | ◎ | △ | ○ |
| 原因の特定しやすさ | ○ | △ | ◎ | ◎ |
| 費用の抑えやすさ | ◎ | ◎ | × | ○ |
| 数値で判断できるか | × | △ | × | ◎ |
Microsoft Clarityは、セッション録画とヒートマップを無料で利用できるツールです。導入はタグを1つ設置するだけで済み、数十セッションからでも「フォームの途中で止まっている」「特定のボタンが押されていない」といった状態は確認できます。

ユーザーテストは費用と手間がかかるものの、原因の特定という点では有効な手段です。ヤコブ・ニールセンは、5人にテストすれば発見できるユーザビリティ上の問題のうち約85%が見つかると述べています。全員に聞く必要はないという指摘は、母数の小さいサイトにとって使いやすい前提でしょう。
※ 出典 Nielsen Norman Group「Why You Only Need to Test with 5 Users」

なお、母数が足りているサイトでもABテストの運用でつまずく箇所は共通しています。次の4つに当てはまっていないかを確認してください。
- テスト期間を2週間と決め、差が出ないまま「効果なし」と結論づける
- ボタンの色と文言とレイアウトを同時に変え、どれが効いたか分からなくなる
- 有意差が出た瞬間にテストを止め、その時点の数字を採用する
- 勝ったパターンを、流入経路の違う別ページにそのまま適用する
記事コンテンツからコンバージョンを取るときのCRO
ここからは、オウンドメディアやブログを持っている場合の話です。記事を作る立場で関わることが多い領域なので、実感を交えて書きます。
記事とオファーの距離が、CTAの反応を決める
記事の末尾に置いたCTAが押されないとき、多くの担当者はまず文言とデザインを変えようとします。ただ、記事の主題と提供物が離れている場合、記事とオファーの距離が遠いほどCTAの文言では埋まりません。
たとえば「CRO対策とは」を調べている人に「無料相談はこちら」を出しても、間が空きすぎています。読者が今いるのは用語を理解する段階であって、相談を申し込む段階ではない。一方、同じ読者に「改善箇所の優先順位を出すためのファネル整理シート」を出せば、記事の続きとして受け取られます。
CTAは、記事の結論の次の一手として設計する。記事のテーマごとにオファーを変える手間はかかりますが、共通のCTAを全記事に貼るより反応は安定します。
CTAの配置と、次の記事への導線
配置についても、末尾に1つだけという形が多く見られます。記事を最後まで読む人は一部なので、途中にも設置したほうが接触の機会は増えます。ただし内容と無関係な位置に差し込むと読みづらくなり、それ自体が離脱の原因になる。
現実的な置き方は、読者の課題が言語化された直後です。「うちのサイトはこれに当てはまる」と読者が気づいた地点の直後にオファーを置けば、文脈がつながります。
もう一つ効くのが、次に読むべき記事への導線です。1本の記事で問い合わせまで進む読者は多くありません。関連する記事へ送り、複数回接触したうえでコンバージョンに至る経路のほうが、実際の件数は積み上がります。GA4で経路を確認すると、コンバージョンした人が事前に複数の記事を読んでいる例は珍しくないはずです。
- 記事のテーマと、CTAで渡すものの距離が近いか
- CTAが末尾だけでなく、課題が言語化された直後にも置かれているか
- 関連記事への導線があり、次に読むものが提示されているか
- 記事流入のコンバージョンを、複数回の訪問を含めて計測できているか
記事の導線まで含めて作り直すなら
記事のテーマごとにオファーを変える設計は、1本ずつ判断していると続きません。キーワードの選定から本文の執筆、記事内のCTAと関連記事の導線設計までを一括でお引き受けしています。すでに公開している記事の導線を見直すところからでも対応できます。
CRO対策で成果が出ない典型パターン
最後に、CRO対策が空回りする状況を3つ挙げます。いずれも施策そのものではなく、数字の扱い方に原因があります。
コンバージョンの定義を変えて、数字だけを良くする
マイクロコンバージョンの設置は、CRO対策の施策としてよく紹介されます。資料請求の手前に「事例集のダウンロード」を置くような設計です。中間指標が増えるため、改善の手がかりは確かに多くなります。
- 最終コンバージョンの件数が少なくても、改善の効果を測れる
- 検討段階の手前にいる見込み客と接点を持てる
- どの段階で止まっているかを数値で追える
- 定義が変わるため、過去の数字と単純に比較できなくなる
- 全体のCVRは上がるが、売上や商談数は変わらない場合がある
- 中間指標の改善に工数が集中し、最終指標が放置されやすい
導入するなら、最終コンバージョンの件数を別に記録し続けてください。数字が良くなったように見えて実際の成果は変わっていない、という状態を避けられます。
複数箇所を同時に変えて、原因が分からなくなる
改善案がまとまると、一度にすべて反映したくなります。ただ、ファーストビューとCTAとフォームを同時に変えると、CVRが上がっても下がっても理由を特定できません。
サイト全体の作り直しなら同時変更でも構いませんが、既存サイトの部分改善では、変更を分けて記録を残すほうが後の判断に使えます。
変更のたびに、日付・変更した箇所・変更前後の数字を1行で記録するだけでも、半年後の判断材料になります。専用のツールは不要で、スプレッドシート1枚あれば足ります。担当者が交代したときに、過去に試した施策をもう一度試す事態を避けられる点も見逃せません。
勝ったパターンを、条件の違うページに広げる
あるLPでCTAの文言を変えて成績が上がったとして、その文言を全ページに展開するのは危うい判断です。ページごとに流入経路が違い、読者の検討段階も違います。指名検索で来た人に効いた言葉が、記事から来た人に同じように効くとは限りません。
横展開するなら、展開先でも数字を確認する前提で進めてください。「前に効いたから」という理由だけで広げると、効果を測らないまま変更だけが積み上がります。
CRO対策の進め方
ここまでの内容を、着手の手順として並べます。
何をコンバージョンとするかを文章で書き出し、GA4で正しく計測できているかを確認します。フォームの完了ページに到達しないと計測されない設定になっていないか、重複してカウントしていないかも見てください。ここが崩れていると、以降の分析はすべて無駄になります。
サイト全体のCVRではなく、セグメントを分けた数字を出します。同時にセッション数も並べ、改善したときに増える件数の見当をつけておきます。
サイト訪問からコンバージョンまでを3つから5つの段階に区切り、それぞれの到達人数を出します。段階の区切り方は、サイトの構造に合わせて決めて構いません。
各段階の通過率を同じ幅だけ上げた場合の増加数を計算し、原因を特定できる段階を優先します。上位3つまでを着手対象にし、それ以外はいったん保留にしてください。
変更は1箇所ずつ、記録を残しながら進めます。母数が足りるページならABテスト、足りないなら前後比較とセッション録画の確認で判断します。
CVRだけでなく、商談化率や受注率まで確認します。中間の数字だけが動いて最終的な成果が変わっていない場合、施策の方向を見直す材料になります。
6ステップのうち時間がかかるのは最初の2つです。計測の設定が正しくないまま分析を進めてしまい、後から数字をやり直す例は少なくありません。急ぎたい気持ちは分かりますが、ここは丁寧に確認してください。
よくある質問
現在の流入量によります。月間セッションが数百程度であれば、CVRを改善しても増えるコンバージョン数が限られるため、まず集客を増やすほうが効果は大きくなります。一方、月間1万セッション以上あってコンバージョンが月10件を下回るような状態なら、CRO対策から着手したほうが早く成果が出ます。判断の目安は、現在のセッション数にCVRの改善幅を掛けて、増える件数を実際に計算してみることです。
施策の種類によって変わります。フォームの項目削減やCTAの文言変更は、実装後1カ月程度で数字の傾向が見えます。一方、サイト構造や導線の見直しは、変更後のデータが十分に貯まるまで2カ月から3カ月かかると考えてください。ABテストで小さな差を検証する場合は、ページのセッション数によってはさらに時間が必要になります。
業種・商材・流入経路で大きく変わるため、他社の平均値と比べる意味は乏しいと考えています。比較すべきは自社の過去の数字で、同じ流入経路・同じランディングページという条件を揃えたうえで前月や前年と比べてください。他社との比較が必要な場合も、業界と商材が近い企業に限定したほうが判断を誤りません。
できます。ただしABテストのような統計的な検証は成立しにくいため、明らかな不具合を見つけて直す方向に切り替えてください。フォームの入力途中で止まっている箇所、押されていないボタン、スマートフォンでの表示崩れといった問題は、セッション録画を数十件確認するだけでも見つかります。
分析と施策立案を支援する会社はあります。ただしコンバージョンの定義や、その先の商談化の状況は社内にしかない情報なので、丸投げでは進みません。計測の設計と数字の分解を外部に任せ、何をコンバージョンとするかの判断は社内で持つ分担が現実的でしょう。
まとめ
CRO対策は、コンバージョン率を高めるための取り組み全般を指す言葉です。LPOとEFOは対象範囲を限定した施策で、CROはそれらを含む上位の概念にあたります。
進めるうえで先に決めるのは、施策ではなく着手する箇所です。サイト全体のCVRは流入構成で動くため、流入経路とランディングページで分解してから見てください。改善の順番は、各段階の到達人数と、上げられる通過率の幅、その先の通過率を掛け合わせた増加数で判断します。離脱している人数が多い段階が、必ずしも効果の大きい段階とは限らないという点だけは押さえておいてください。
ABテストは有効な手法ですが、小さな差を検証するにはパターンごとに数千から数万のセッションが必要になります。母数が足りないサイトなら、セッション録画やフォーム離脱の計測から明らかな不具合を見つけるほうが早く進むでしょう。
記事から成果を得たい場合は、CTAの文言やデザインより先に、記事のテーマと提供するものの距離を確認してください。読者が今いる検討段階に合ったオファーを置くだけで、同じ記事でも反応は変わります。
記事は出しているのに、問い合わせにつながっていないなら
合同会社Writers-hubでは、キーワードの選定から執筆、記事内のCTAと関連記事の導線設計までをお引き受けしています。現在の記事一覧とコンバージョンの数字を見せていただければ、どこから直すかの整理からお手伝いします。すでに公開している記事の見直しだけのご依頼も承っています。








