取材の依頼メールを書きながら、「インタビュイー」という言葉の意味を検索した方もいるかもしれません。企画書やメディアの用語集ではよく見かけるのに、日常会話ではまず使わない言葉です。
答えを先に書くと、インタビュイーとはインタビューを受ける側の人を指します。ただ、意味を知っただけでは取材の準備は一歩も進みません。実際に原稿の出来を分けているのは、誰にお願いするかという人選と、当日までにどこまで情報を渡しておくかという段取りのほうでした。
本記事では、数多くの取材記事の制作に携わってきた立場から、用語の整理に加えて、人選の基準や事前共有の中身まで踏み込んで解説します。
- インタビュイーの意味と読み方、インタビュアーとの違い
- インタビューイ、インタビュー者といった表記のゆれの扱い方
- 記事の中身を変える人選の基準と、決裁者と実務担当者の使い分け
- 取材前にインタビュイーへ渡しておきたい情報の中身
- 自分が取材を受ける側になったときの準備
インタビュイーとは、インタビューを受ける側の人
インタビュイーとは、インタビューを受ける側の人のことです。英語のintervieweeをそのままカタカナにした言葉で、取材対象者、取材を受ける人、インタビューに答える人などと言い換えられます。マーケティングリサーチの現場では調査対象者とほぼ同じ意味で使われることもあります。
読み方とインタビュアーとの違い
読み方は「インタビュイー」。対になるのが、質問する側を指すインタビュアー(interviewer)です。英語のinterviewに「する人」を表すerが付けばインタビュアー、「される人」を表すeeが付けばインタビュイーになります。employer(雇う側)とemployee(雇われる側)と同じ作りだと考えると、取り違えにくくなるはずです。
呼称 | 英語 | 立場 | 主な役割 |
|---|---|---|---|
インタビュアー | interviewer | 質問する側 | 質問の設計、進行、深掘り |
インタビュイー | interviewee | 答える側 | 経験や見解を自分の言葉で語る |
つまり、聞き手がインタビュアー、答え手がインタビュイーという関係です。国語辞典では「インタビューをされる人。取材を受ける人」と定義され、インタビュアーの対義語として扱われています。

※ 出典 デジタル大辞泉「インタヴュイー」(コトバンク)

表記のゆれをどう扱うか
インタビューイ、インタビュイ、インタヴュイーなど、この言葉の表記は一定していません。辞書ではインタヴュイーの見出しで立てられている例もあり、どれかひとつだけが正解というわけでもないのです。
社外に出す原稿で気にすべきなのは、正誤よりも一貫性でしょう。同じ記事のなかで表記を1つに統一する、それだけで読み手のつまずきは減ります。社内に表記ルールがあるなら、そちらを優先してください。
そもそも記事のなかで「インタビュイー」と書く必要はあるのでしょうか。読者に伝わりにくい気がしています。
編集部
制作側のやりとりでは便利ですが、一般読者向けの本文では「取材を受けた方」「お話を伺った○○さん」と書いたほうが伝わります。用語として使うのは、業界向けの記事や社内の企画書までにとどめるのが無難です。
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インタビュイーの人選が記事の中身を決める
取材記事の相談を受けたとき、こちらが最初に確認するのは質問内容ではなく人選です。同じテーマ、同じ質問票でも、答える人が変われば原稿はまったく別のものになります。
よくあるのは、社内で一番役職の高い方を立てるケースです。窓口としては自然な判断ですが、記事の狙いが「導入の経緯を具体的に語ってもらうこと」であれば、肩書きではなく、その現場に立ち会った人を選ぶほうが読める原稿になります。決裁者は判断の理由を語れる一方、現場で何が詰まったかまでは記憶に残っていないことが多いからです。
社としての公式見解を出したいので、代表に受けてもらう予定でした。それでは弱いということでしょうか。
編集部
弱いというより、記事の狙いとの組み合わせの問題です。方針や判断の背景を語る記事なら代表の方が最適ですし、導入手順や失敗の中身を伝えたいなら実務担当の方に伺うほうが具体的になります。両方必要なら、無理に1人へ押し込まず2本に分けたほうが、結果的に取材時間は短く済みます。
人選を迷ったときは、次の4点で見ています。ひとつでも欠けると、当日の会話が一般論に流れやすくなります。
- 記事の狙いに対応する経験を、自分の言葉で持っている
- 当日までに30分程度の事前すり合わせに応じられる
- 数字や固有名詞の公開可否を、その場か社内で判断できる
- 公開後の反応を、業務のなかで受け止められる立場にある
4つ目は見落とされがちですが、問い合わせが増えたときに対応する人と、記事で語る人がずれていると、社内で話が止まります。

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取材前にインタビュイーへ渡しておくもの
準備の質は、当日の会話の深さにそのまま出ます。ここでいう準備とは、インタビュアー側が一方的に整えるものではなく、インタビュイーと分担するものだと考えてください。渡すべき情報は、おおむね次の順番で届けます。
どのメディアに、誰に向けて載るのかがわからないまま話すと、答えは一般論に寄ります。既存記事のURLをひとつ添えるだけでも、話す粒度が変わります。
質問票は当日ではなく、遅くとも3日前には渡すのが目安です。その場で聞いたほうが素の言葉が出るという考え方もありますが、数字や経緯を伴う取材では、思い出す時間を渡したほうが具体的な話になります。
取引先名、金額、人事に関わる話など、公開できない領域を先に確認します。ここを飛ばすと、原稿確認の段階でまとまった分量が削られます。
録音の可否、写真撮影の有無、原稿確認の回数と締切まで含めて伝えます。撮影があるなら、服装や背景の案内も添えておきたいところです。
質問票を事前に渡すことには副作用もあります。用意された回答をそのまま読み上げられ、会話にならないケースです。防ぐには、質問票には大枠の項目だけを書き、細部は当日その場で掘るという二段構えにします。「導入前の課題について伺います」とだけ書いておけば、相手は準備しつつも、答えを一字一句までは固めません。

質問設計から当日の進行まで、社内で誰が持つか決まっていますか
人選、質問票、進行、文字起こし、原稿確認。取材記事はこの工程を片手間で回すと、どこかが必ず薄くなります。編集の役割ごと外に置く選択肢もあります。
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インタビュイーとして取材を受けるときの準備
立場が逆になり、自分が取材を受ける側になることもあるでしょう。その場合、話す内容そのものより先に決めておきたいのが範囲です。答えられない範囲を、取材前に決めておくと、当日「そこは持ち帰ります」と言いやすくなります。数字、取引先名、社内の体制。この3つは特に、事前に線を引いておくと安全です。
もうひとつ役に立つのが、結論から話すという原則です。取材の場では時系列で語りたくなりますが、記事の多くは結論が先に来る構成になります。「結果としてこうなりました。理由は3つあって」という順で話すと、記事に使いやすい塊が自然にできあがるのです。
記事で使われやすいのは、抽象度の高い決意表明ではなく、場面が浮かぶ話です。数字をひとつ添える、一番困った瞬間から語り始める、当時のやりとりを再現する。この3つを意識するだけで、原稿に残る発言は増えます。
逆に、事前に用意した文章をそのまま読み上げるのは避けたほうがよいでしょう。整った文章は、話し言葉としては不自然に響きます。要点をメモに書き出しておく程度にとどめ、あとは会話に任せるほうが、結果として使える発言が多くなります。
取材がうまく進まないときに起きていること
取材が空回りする原因は、当日の話術ではなく段取りにあることがほとんどでした。振り返ると、次のような形で共通しています。
- 掲載先も読者像も伝えないまま当日を迎え、話が一般論で終わる
- 役職だけで人選し、現場で何があったかを聞けないまま終了する
- 公開の可否を決めずに録音し、原稿確認の段階で大半を削ることになる
- 60分の枠に詰め込みすぎて、後半の質問を消化するだけになる
どれも当日には取り返せません。裏を返せば、前半で挙げた人選と事前共有を押さえておけば、取材そのものは驚くほど静かに進みます。インタビュアーの技術が問われるのは、その土台が整ったあとの深掘りの部分です。
よくある質問
どちらも使われており、一方が誤りというわけではありません。辞書ではインタヴュイーの表記も見られます。社外向けの原稿では正誤を争うより、記事内で1つに統一することを優先してください。
弊社で取材記事を制作する場合は、1本あたり60分から90分の枠を取ることが多いです。それ以上長くなると、後半の内容が薄くなりやすく、文字起こしの負荷も増えます。
依頼したほうが安全です。事実誤認や社内表現の食い違いは、公開後に直すほうが手間がかかります。確認の回数と締切を事前に伝えておくと、進行が滞りません。
まとめ
インタビュイーとは、インタビューを受ける側の人を指す言葉です。意味そのものは1行で説明できますが、実務でつまずくのはその先にあります。誰に依頼するか、何を先に渡すか、どこまで話せるかを取材前に決められるかどうかで、当日の会話も、その後の確認作業の量も変わってきます。
取材する側なら人選と事前共有を、受ける側なら公開範囲と話す順番を。役割は違っても、どちらも当日より前に終わらせておける準備です。
合同会社Writers-hubでは、取材記事の企画から人選のご相談、当日の進行、原稿制作までを一貫してお引き受けしています。1本目をどう立ち上げるかで迷っている段階でも、遠慮なくお声がけください。
取材記事を1本作るのに、社内で何時間かかっていますか
日程調整、質問設計、文字起こし、確認のやりとり。取材記事は書く工程よりも、その前後に時間がかかります。どこから外に出せるかを整理するところからご一緒できます。








