広告なのに広告と書かれていない投稿を見かけて、これはステマではないかと感じたことはないでしょうか。ニュースやSNSでは日常的に流れてくる言葉ですが、いざ人に説明しようとすると、あいまいなまま使っていたことに気づきます。
ステマの意味は、広告であるにもかかわらず、広告だと隠して宣伝すること。見落とされやすいのは、判断の基準が「隠すつもりがあったかどうか」ではなく「受け取った人に広告だと分かるかどうか」に置かれている点です。
本記事では、ステマという言葉の意味と語源、正式名称を整理したうえで、「サクラ」「やらせ」「案件」といった近い言葉との違い、そしてステマにあたるかどうかを分ける2つの条件までを順に説明します。罰則の中身や個別の炎上事例には立ち入らず、まず言葉の輪郭をはっきりさせることに絞りました。
- ステマの意味と、正式名称・語源になった英語
- ステマかどうかを分ける2つの条件
- 「サクラ」「やらせ」「案件」との使い分け
- ステマにあたらない発信の具体例
- 規制の対象になるのは誰か
ステマの意味は「広告なのに、広告だと分からない状態にすること」
消費者庁は、広告であるにもかかわらず広告であることを隠すことを、いわゆるステルスマーケティングだと説明しています。この一文を分解すると、条件が2つあることが見えてきます。事業者の広告であるという事実。そして、そのことが受け手に伝わっていないという状態。この2つが揃ったときに、はじめてステマになります。
※ 出典:消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。」

なぜ、隠れているという一点がここまで重く扱われるのでしょうか。同庁は理由をこう整理しています。消費者は、企業の広告であれば多少の誇張が含まれているものと考えたうえで商品を選んでいる。ところが広告だと分からなければ、企業ではない第三者の感想だと誤って受け取り、書かれた内容をそのまま信じてしまう。つまり、文章の中身ではなく、書き手の立場が伝わるかどうかが問われているわけです。
同じ「使ってみたら良かった」という一文でも、友人の投稿として読むのと、メーカーが書いた文章として読むのとでは、どこまで真に受けるかが変わります。この差を利用する構造そのものが、ステマと呼ばれています。
「ステマ」は何の略か、正式名称と語源
ステマは「ステルスマーケティング」の略語で、これが正式名称にあたります。語源は英語の stealth marketing で、stealth は「こっそり行うこと」「気づかれないようにすること」を意味する単語です。レーダーに探知されにくい軍用機を指すステルス機と同じ語で、ネット上の「ステルス値上げ」「ステルスアップデート」に含まれる「ステルス」も、この意味から派生したものでしょう。
一方で「ステマ」という4文字の略し方は日本語圏で広まったもので、英語圏でそのまま通じる言葉ではありません。海外では stealth marketing のほか、undercover marketing といった呼び方も使われます。

判断されるのは意図ではなく、見え方
ここが実務で最も誤解されるところです。「だますつもりはなかった」「本当に良い商品だと思って書いた」という説明は、ステマかどうかの判定には効きません。判断されるのは意図ではなく、表示の見え方だからです。
たとえば従業員が自社製品を心から気に入っていて、率直な気持ちでレビューを書いたとします。動機に後ろ暗さは一切ない。それでも、その投稿を読んだ人が「メーカーの中の人が書いた文章だ」と分からなければ、条件は満たされてしまいます。悪意の有無ではなく、受け手の側に判別する手がかりが残っているかどうか。この置き換えを済ませておくと、自社の発信を点検するときに何を見ればよいかがはっきりします。
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ステマにあたるかを分ける2つの条件
消費者庁は、ステマにあたる表示を「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」という名称で告示しました。この長い名前が、そのまま判定の手順になっています。前半が1つ目の条件、後半が2つ目の条件です。

条件1|事業者による表示にあたるか
1つ目は、その投稿や記事が、商品やサービスを供給する事業者の広告といえるかどうか。ここには、企業が自ら書いたものだけでなく、インフルエンサーなどの第三者に依頼したり指示したりして書かせたものも含まれます。
対象になる場所はインターネットに限りません。SNSの投稿やレビューはもちろん、テレビ、新聞、ラジオ、雑誌の表示も同じ枠組みで扱われます。ネット特有の問題として語られがちですが、範囲はもっと広いと考えてください。
逆に、事業者が関与していない純粋な個人の感想は、そもそも1つ目の条件を満たしません。良い商品だったから自分の意思で投稿した、という発信まで規制されるわけではないという点は、押さえておく価値があります。
条件2|一般消費者が広告だと判別できるか
2つ目は、その表示を見た人が、事業者の広告だと分かるかどうか。ここで「分かる」と言えるためには、表示が明瞭であることが求められます。
判別できる状態になっていれば、企業の広告であってもステマにはあたりません。テレビCMのように誰が見ても広告だと分かるものが対象外になるのは、この条件によります。
- 投稿の冒頭に、広告であることが読み取れる表示がある
- 表示が小さすぎず、他の文字に埋もれていない
- 動画なら、音声か画面上のどちらかで広告だと伝わる
- 一連の投稿の一部にだけ表示があり、他は無表示、という状態になっていない
- ハッシュタグの列の末尾に紛れて見つけにくい状態になっていない
表示を入れたかどうかではなく、入れた表示が読み手の目に届いているかどうかが分かれ目になります。社内の確認では「書いてあるか」で判定しがちですが、実際に評価されるのは投稿を初めて見た人の視点です。
自社のSNSアカウントから新商品を紹介する投稿は、広告表示を付けないとステマになるのでしょうか。
編集部
公式アカウントだと分かる形で運用されているなら、その投稿自体が事業者の発信だと読み取れるため、通常は問題になりません。注意が必要なのは、社名を出さない個人名義のアカウントや、第三者を装った形での発信です。判断に迷ったら、自社を知らない人がその投稿だけを見たときに、どこの誰が書いたと受け取るかを想像してみてください。
判断の軸を「自社を知らない人にどう見えるか」に置き換えると、迷う場面はかなり減ります。運用の担当者が複数いる組織ほど、この基準を先に共有しておくと判定のばらつきが出にくくなるでしょう。
自社の記事やSNS投稿が、広告表記の面で問題ないか判断しきれていない方へ
表示が判別できるかどうかは、公開してから一件ずつ確認するより、制作の工程に確認を組み込んだほうが漏れません。Writers-hubの制作支援では、記事の企画から公開前チェックまでを編集部の機能ごとお引き受けし、表記のルールを社内に残る形で整えます。すでに運用中のメディアの点検からのご相談も承っています。
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「サクラ」「やらせ」「案件」との違い
ステマの近くには似た言葉がいくつも並んでいます。日常会話では混ざって使われますが、指しているものの層が違うため、整理しておくと理解が早くなります。
| 何を指すか | 主体 | ステマとの関係 | |
|---|---|---|---|
| ステマ | 広告だと分からない状態の表示そのもの | 商品を供給する事業者 | ー |
| サクラ | 第三者を装って場を盛り上げる人・その行為 | 依頼された個人 | 手口の1つとして重なる |
| やらせ | 事実でない演出を、事実のように見せること | 制作側・出演者 | 内容の虚偽まで含む点で範囲が違う |
| 案件 | 報酬を受けた投稿を指すネット上の呼び方 | インフルエンサー | 広告表示があれば案件、なければステマ |
サクラは、もともと芝居小屋で無料で見物し、場を盛り上げた客を指した言葉だとされます。現在では、行列に並んで人気があるように見せる人や、好意的な口コミを書き込む人を指すのが一般的でしょう。「サクラ」は人を指し、「ステマ」は表示のあり方を指すという違いが、両者を分ける軸になります。サクラを使った口コミ投稿はステマの代表的な手口ですが、言葉としては同じ層にありません。
やらせが指すのは、事実と異なる状況を作り、本当のことのように見せる行為です。テレビ番組の演出をめぐって使われてきた言葉で、内容そのものの虚偽に踏み込む点に特徴があります。ステマのほうは、内容が本当かどうかと関係なく、広告だと分からないだけで成立してしまう。本音で書かれた正直なレビューであっても、条件を満たせばステマにあたる。ここは重なりそうでいて、実は別の話をしています。
「案件」は、インフルエンサーが企業から報酬や商品提供を受けて投稿することを指すネット上の呼び方です。広告表示があれば「案件」、なければ「ステマ」という使い分けが、視聴者の側にもかなり浸透してきました。案件であること自体は何ら問題のない広告手法で、隠したときにだけ性質が変わります。

ステマの2つの型と、意味が変わった2023年
ステマの手口は、大きく2つに分けて語られるのが一般的です。1つは、事業者やその従業員が第三者になりすまして投稿する型。もう1つは、第三者に報酬や商品を提供したうえで、その関係を伏せさせる型です。前者はなりすまし型、後者は利益提供型と呼ばれます。
言葉としてのステマは以前から使われていましたが、位置づけが変わったのが2023年10月1日でした。この日から、ステルスマーケティングは景品表示法上の不当表示にあたるものとして規制の対象になっています。それ以前は、内容に誇大な点がなければ法律で直接取り締まる根拠がなく、批判は受けても違法とまでは言えない状態が続いていました。
規制の対象になるのは、商品やサービスを供給する事業者、つまり広告主です。企業から依頼を受けたインフルエンサー等は、規制の対象になりません。ただし規制の対象外であることと、投稿を見た人からの信頼が保たれることは別の話で、発覚したときに評価を落とすのは投稿者の側でもあります。
なぜ隠すことがそこまで問題視されるのか、実際にどのような対応が求められるのかについては、論点が別にあります。本記事は言葉の意味の整理までとし、そちらは個別の記事に譲ります。
ステマの意味に関するよくある質問
言葉の意味を調べる過程で、細かい部分に引っかかることは少なくありません。検索されることの多い疑問に、ここまでの内容を踏まえて答えます。
ステルスマーケティングの略です。英語の stealth marketing に由来し、stealth は「こっそり行う」「気づかれないようにする」という意味を持ちます。「ステマ」という短縮形は日本語圏で広まった呼び方で、英語圏ではそのまま通じません。
定着した対義語と呼べる言葉は見当たりません。実務上その反対側に位置するのは、広告であることを明示したうえで行うタイアップ広告やインフルエンサー広告になります。ステマと同じ座組みでも、関係性を示すかどうかだけで扱いが変わると考えると分かりやすいはずです。
提供を受けた事実だけでは決まりません。提供を受けたことが読み手に伝わる形で示されていれば、広告だと判別できる状態になります。逆に、提供の事実を伏せたまま個人の感想のように見せると、条件を満たしてしまいます。
表示があることに加えて、その表示が読み手に届く形になっているかが問われます。文末のハッシュタグの列に紛れていたり、他の文字に対して極端に小さかったりすると、明瞭とは言いにくくなります。冒頭に置く、単独で示す、といった見え方の工夫まで含めて考えてください。
規制の開始前に投稿されたものであっても、現在も表示され続けている状態であれば、その時点の表示として扱われる余地があります。長く残るレビューやブログ記事を抱えている場合は、過去分の点検も検討する価値があります。
どの質問も、突き詰めれば「読んだ人に広告だと分かるか」という一点に戻ってきます。判断に迷ったときは、条文の細部より先にこの問いへ立ち返るほうが、答えが早く出るはずです。
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まとめ
ステマの意味は、広告であるにもかかわらず、広告だと分からない状態で宣伝することでした。正式名称はステルスマーケティングで、語源は「こっそり」を意味する英語の stealth にあります。
判定を分けるのは2つの条件。事業者による表示であること、そして一般消費者がそれを広告だと判別しにくいこと。悪意があったかどうかは問われず、受け手に手がかりが残っているかで決まります。近い言葉との関係を整理すると、サクラは人を、やらせは演出を、ステマは表示のあり方を指す言葉、という層の違いが見えてきます。
言葉の意味がはっきりすると、自社の発信を点検する基準も具体的になります。誰が書いたか分かるか、その表示は読み手に届く大きさと位置にあるか。合同会社Writers-hubでは、記事やオウンドメディアの制作を、公開前の確認工程まで含めてお手伝いしています。表記の判断に迷う場面が増えてきたと感じたら、体制づくりの相談先として思い出していただければ幸いです。








