「WordPressでオウンドメディアを立ち上げたい。ただ、テーマの候補が多すぎて決めきれない」。記事制作の現場で、私たちがもっとも多く受け取る相談のひとつがこれです。検索すればおすすめテーマを並べた記事はいくらでも見つかりますが、15本の候補を提示されたところで、自社にとっての正解が浮かび上がるわけではありません。
実務で数多くのメディアを見ていて感じるのは、テーマ選びだけで成果は決まらないということです。何を書くか、そして書き続けられるかのほうが、結果には大きく影響します。実際、無料テーマのまま検索流入を伸ばしているメディアもあれば、高価な有料テーマを入れたまま更新が止まっているメディアもある。違いを生んでいるのは、テーマではないように見えます。
とはいえ、テーマ選びを適当に済ませてよいという話でもないのです。選び方を誤ると、記事を入稿するたびに手間が増え、更新の負担がじわじわ積み上がっていきます。本記事では、数多くのオウンドメディアの立ち上げと記事制作に携わってきた立場から、WordPressでメディアを作る3つの方法、テーマ選びで見るべき観点、立ち上げの手順、そして公開後に必ず発生する運用コストまでを順に整理します。
- WordPressがオウンドメディアで選ばれ続ける理由と、その裏側にある制約
- 既存テーマ・カスタマイズ・独自開発という3つの作り方の違い
- オウンドメディア向けテーマを選ぶときに見る7つの観点
- 無料テーマと有料テーマの現実的な使い分け
- 立ち上げの6ステップと、テーマより先に決めておくべき設計
- 自社構築と制作会社への依頼をどう線引きするか
WordPressがオウンドメディアで選ばれ続ける理由
オウンドメディアのCMSとしてWordPressが定番になっているのは、単に有名だからではありません。メディアという「記事を出し続ける前提の資産」と相性が良い性質を、いくつも備えているからです。
まず大きいのが、情報量の多さです。WordPressは世界でもっとも広く使われているCMSで、日本語の解説記事も、対応できる制作会社も、公開されているテーマやプラグインも豊富にそろっています。運用中に「この機能を追加したい」「表示がおかしい」といった場面に出くわしたとき、調べれば答えが見つかる確率が高い。地味な話に見えて、これは長く運用するうえで効いてきます。導入時の華やかさより、詰まったときに前へ進めるかどうかのほうが、メディア運営では重要になるからです。
次に、記事を出す速度が落ちにくい点が挙げられます。オウンドメディアの成果は、公開した記事の数と質の掛け算で伸びていきます。となると、編集部が原稿を入稿してから公開するまでの手数が、そのまま生産性に直結する。WordPressの管理画面は、非エンジニアのライターや編集担当でも扱える設計になっており、記事の追加に開発者の手を借りずに済みます。入稿を自走できる体制が組めるかどうかは、CMS選定でもっとも見落とされやすい観点です。
WordPressの本当の強みは、機能の多さではなく「困ったときに解決策が見つかること」と「記事の追加に開発者を必要としないこと」の2点にあります。オウンドメディアは数年単位で更新し続ける前提の資産ですから、立ち上げの手軽さより、運用が止まらないことのほうが価値を持ちます。
3つ目に、データとコンテンツを自社で持てることも見逃せません。無料のブログサービスやSNSに記事を置いた場合、規約の変更やサービス終了によって、積み上げたものが一夜にして手元から離れる可能性があります。自社のサーバーとドメインで動かすWordPressなら、記事もアクセスデータもURLの構造も自社の管理下に置ける。オウンドメディアが「所有するメディア」と呼ばれる所以は、まさにここにあります。
最後に、SEOの土台となる要素を扱いやすいことも理由のひとつでしょう。URLの構造、見出しの階層、内部リンク、構造化データ、サイトマップの生成。検索エンジンに正しく読み取ってもらうために必要な処理は、テーマとプラグインの組み合わせでおおむね対応できます。ただし誤解のないように付け加えると、WordPressを使うだけで検索順位が上がるわけではありません。あくまで、やるべき対策を実装しやすい環境が整っている、という意味にとどまります。
関連記事:【2025年最新】オウンドメディア構築の完全ガイド|手順からコツまで徹底解
WordPressでオウンドメディアを作る3つの方法
WordPressでメディアを構築するといっても、進め方は一つではありません。実務では大きく3つに分かれ、費用も期間も、公開後の自由度も変わってきます。自社がどれを選ぶべきかは、予算だけでなく、社内にどんな人材がいるかで決まる部分が大きいと言えます。
| 既存テーマをそのまま使う | 既存テーマ+カスタマイズ | 独自テーマを開発する | |
|---|---|---|---|
| 初期費用の目安 | 数万円以内 | 数十万円〜 | 100万円以上 |
| 立ち上げまでの期間 | 数日〜2週間 | 1〜2か月 | 2〜4か月 |
| デザインの自由度 | △ | ○ | ◎ |
| 独自機能の追加 | × | ○ | ◎ |
| 運用中の保守負担 | 小 | 中 | 大 |
| 向いている企業 | まず検証したい | 長く育てる前提の多く | 独自要件が強い大規模 |
表で「既存テーマ+カスタマイズ」を軸に置いたのは、それが唯一の正解だからではありません。長く運用する前提のメディアでは、この形がもっとも失敗しにくいためです。理由は2つあります。ひとつは、テーマ本体の更新やセキュリティ対応を開発元に任せられること。もうひとつは、記事一覧の見せ方やCTAの配置といった、成果に直結する部分だけを自社仕様に寄せられることです。
既存テーマをそのまま使う
配布されているテーマをインストールし、色やロゴ、メニューを設定するだけで公開まで持っていく方法です。最短で数日、費用もテーマ代のみで済みます。まずメディアという取り組みが自社に合うのかを確かめたい段階や、記事を出す体制づくりを優先したい場合には、この選択が理にかなっています。
一方で、デザインはテーマが用意した枠を出られません。「トップページの並び順を変えたい」「資料請求のバナーを記事の途中に差し込みたい」といった要望が出てきたときに、実現できるかどうかはテーマ次第になります。とはいえ立ち上げ直後にそこまでの要望が出ることは稀ですから、実質的な制約として顕在化するのは、記事が数十本たまってからでしょう。
既存テーマにカスタマイズを加える
テーマをベースにしつつ、子テーマや追加のコードで自社仕様の部分を作り込む方法です。多くの制作会社が採る現実的な進め方でもあります。既存テーマの更新の恩恵を受けながら、記事下のCTAやカテゴリー一覧の設計など、成果を左右する箇所に手を入れられる。費用と自由度のバランスが取りやすく、オウンドメディアの用途にはもっとも合いやすい方法です。
注意点をひとつ挙げるなら、カスタマイズの範囲が広がるほど、テーマ更新時の検証作業が増えていくことでしょう。何をどこまで独自実装したかを記録に残しておかないと、担当者が変わった瞬間に手を入れられない箇所が生まれます。
独自テーマを開発する
要件に合わせてテーマをゼロから設計・実装する方法です。会員限定コンテンツや、外部システムとの連携、複雑な検索機能など、既存テーマでは実現できない要件がある場合に選択します。自由度は最大ですが、費用と期間がかかるうえ、公開後の保守も自社または開発元が担い続けることになります。
独自開発を選ぶ前に、その機能が本当に立ち上げ時点で必要かを確かめてください。オウンドメディアの成果は記事から生まれます。開発に予算と時間を注ぎ込んだ結果、肝心の記事を出す体力が残らなかった、という失速の仕方がもっとも避けたいパターンです。凝った機能は、読者の反応を見てから足しても遅くありません。
関連記事:オウンドメディアの立ち上げ方|手順・費用と、続く運用体制の作り方
オウンドメディア向けWordPressテーマの選び方7つ
ここからが、多くの方が迷う部分です。テーマを比較する際、デザインの好みだけで決めてしまうと、公開後に「思っていたのと違う」が続出します。オウンドメディアという用途に絞ったとき、見るべき観点は次の7つに整理できます。
- メディアの目的(リード獲得・認知・採用)と、テーマが想定する用途が合っているか
- 記事一覧でアイキャッチ画像がどう並ぶか、その見え方が自社の記事と相性が良いか
- CTAやバナーを、記事下・記事中・サイドバーに置ける余地があるか
- 編集画面が、書き手にとって扱いやすいか
- テーマの更新が継続しており、サポート窓口があるか
- スマートフォンでの表示速度が実用的な水準にあるか
- 見出しや内部リンクなど、SEOの基本構造が素直に組めるか
7つのうち、実務でとくに差が出るのは4つ目です。テーマは「書き手が毎日触る画面」で選ぶという基準を、私たちは強く推しています。というのも、オウンドメディアの原稿は、多くの場合ライターや編集担当が毎月何本も入稿するものだからです。装飾を入れるたびにHTMLを書かなければならない、画像の差し替えに手順が多い、そうした小さな摩擦は1本あたり数分でも、年間100本になれば無視できない時間になります。

3つ目のCTAの余地も、成果を左右する割に見落とされがちな観点です。オウンドメディアは記事を読ませて終わりではなく、資料請求や問い合わせにつなげて初めて事業に貢献します。ところが、ブログ用途を前提としたテーマの中には、記事下に定型の要素しか置けないものがある。導線を差し込む場所が固定されていると、後から「記事の内容に応じてCTAを出し分けたい」と考えても手が出せません。テーマを検討する段階で、デモサイトの記事ページを開き、CTAをどこに置けるか確かめておいてください。
逆に、優先度を下げてよい観点もあります。「SEOに強いテーマ」という売り文句は、比較検討の材料としてはあまり有効ではありません。見出しの構造化やパンくずリスト、サイトマップの生成といった基本は、いまや多くのテーマが備えているうえ、備えていなくてもプラグインで補えるからです。テーマ単体で順位が動くわけではなく、決め手になるのは記事の中身のほうだと考えてください。
社内から「有料テーマを買えばSEOに強くなるのか」と聞かれます。予算を通すべきでしょうか。
編集部
有料テーマは、編集画面の使い勝手や表示速度、サポート体制にお金を払うものだと説明するのが実態に近いと思います。順位そのものはキーワードの選び方と記事の内容で決まるため、テーマ代を上乗せするより、その予算を最初の10本の記事に回したほうが成果は早く出ます。
テーマ選びに費やす時間そのものにも、上限を設けておくことをおすすめします。候補を3つに絞り、デモサイトで記事ページと一覧ページを確認して決める。ここに1週間以上かけているなら、その時間はキーワード設計に振り替えたほうが、最終的なリターンは大きくなるはずです。
テーマは決まったとして、最初の10本に何を書きますか
オウンドメディアの検索流入は、どのキーワードで書くかでほぼ決まります。誰のどんな検索に応える記事を、どの順番で出すのか。この設計から一緒に描けば、テーマ選びに悩んでいた時間が、そのまま成果につながる作業に変わります。
関連記事:【2025年最新版】オウンドメディアの作り方|プロが教える立ち上げ手順と成功のコツ
オウンドメディアに使われるWordPressテーマ
具体的なテーマ名を知りたい方のために、オウンドメディアの構築で採用例が多いものを、無料と有料に分けて整理します。なお価格や機能は改定されることがあるため、検討の際は必ず各テーマの公式サイトで最新の情報を確認してください。
無料テーマ
無料テーマは、費用をかけずに始めたい場合や、まず記事を出す体制を試したい段階に向きます。代表的なものとして、多機能でカスタマイズ項目が豊富なCocoon、コンテンツマーケティングを前提に設計されたXeory、メディアサイト向けのレイアウトを備えたLION MEDIA、企業サイトでの採用例が多いLightningなどが挙げられます。
無料テーマの制約は、価格ではなくサポートの部分に出ます。不具合や操作方法について問い合わせられる窓口がなく、公式のフォーラムやユーザーコミュニティを頼ることになる。社内にWordPressをある程度扱える人がいれば問題になりませんが、そうでない場合は、つまずいたときに前へ進めなくなるおそれがあります。
有料テーマ
有料テーマの価格帯は、買い切り型で1万円台から3万円前後が中心で、年額のサブスクリプション型を採る製品もあります。ブロックエディターへの最適化が評価されているSWELL、読みやすさを重視した設計のSANGO、表示速度とSEO機能を打ち出すTHE THOR、収益化に向けた機能が充実したAFFINGER、SEOのノウハウ資料が付属する賢威、Web集客の導線を備えたEmanon、柔軟な拡張性を持つSnow Monkey、デザイン性の高いテーマ群を展開するTCDのシリーズなどが、メディア用途でよく名前が挙がります。
| 無料テーマ | 有料テーマ | |
|---|---|---|
| 初期費用 | 0円 | 1万円台〜3万円前後が目安 |
| サポート窓口 | × (フォーラム中心) | ◎ |
| 編集画面の作り込み | ○ | ◎ |
| CTAの設置しやすさ | △ | ○ |
| 更新の継続性 | 開発者次第 | ○ |
| 向いている段階 | 試験的に始めたい | 数年運用する前提 |
有料テーマ側におすすめを付けているのは、機能の差というより、運用が止まらないことへの投資として合理的だからです。数年にわたって記事を出し続けるつもりなら、購入費は月あたりに均せば数百円程度の負担にしかなりません。その額で、編集画面の使いやすさと問い合わせ先が手に入るなら、判断は難しくないでしょう。
なお、テーマを探す場所についても触れておきます。WordPressの公式テーマディレクトリでは、審査を通過したテーマが配布されており、検索やインストールを管理画面から直接行えます。出所の不確かな配布サイトからテーマを入れると、不正なコードが混入している事例も報告されているため、公式ディレクトリか、開発元の公式サイトから入手するようにしてください。

※ 参考 WordPress.org 公式テーマディレクトリ
WordPressでオウンドメディアを立ち上げる6ステップ
テーマの見当がついたら、実際の構築に入ります。手順そのものは複雑ではありません。詰まりやすいのは技術面ではなく、決めごとの部分です。
すでに自社サイトがあるなら、その中の一区画(サブディレクトリ)にメディアを置くと、既存ドメインの評価を活かせます。サーバーは、想定するアクセス規模に耐えるものであれば十分で、レンタルサーバーの標準的なプランから始めて問題ありません。
主要なレンタルサーバーには、WordPressを数クリックで導入できる機能が用意されています。導入したら、サイト名とキャッチフレーズ、パーマリンクの形式、タイムゾーン、常時SSL化の設定までを最初に済ませておきます。
テーマを有効化したあと、カスタマイズを加える予定があるなら子テーマを作成します。親テーマを直接編集すると、更新のたびに変更が消えてしまうためです。ロゴ、配色、メニュー、トップページのレイアウトをここで整えます。
SEO設定、セキュリティ、バックアップ、問い合わせフォーム、キャッシュ。この5領域を押さえれば、立ち上げ時点では足ります。入れすぎると表示が重くなり、不具合の切り分けも難しくなるため、必要になってから足す姿勢が安全です。
公開時点で記事が数本しかないメディアは、読者から見ても検索エンジンから見ても評価しにくい状態にあります。狙うテーマの束を決め、10本前後を用意してから公開に踏み切ると、立ち上がりが変わってきます。
アクセス解析と検索パフォーマンスの計測ツールを設定し、資料請求や問い合わせの完了を計測できる状態にしてから公開します。ここを後回しにすると、初期の数か月分のデータが手元に残りません。
このうち、想定より時間がかかるのは5番目です。技術的な作業は数日で終わりますが、記事を10本そろえるには、キーワードの選定から構成、執筆、確認までを含めて1か月から2か月ほどを見ておくのが現実的でしょう。構築のスケジュールを引くときは、この期間を最初から織り込んでおいてください。
プラグインについても補足します。WordPressの利点は拡張性の高さですが、その裏返しとして、プラグインを入れるほど表示が重くなり、更新の手間と不具合のリスクが増えます。オウンドメディアで最初に必要なのは、SEO設定を補うもの、フォームを作るもの、バックアップを取るもの、そしてセキュリティを固めるものくらいです。「便利そうだから」で足していくと、半年後に何のために入れたか分からないプラグインが並ぶことになります。
テーマより先に決めておきたい3つの設計
構築の手順とは別に、公開前に決めておくべき設計があります。後から変更すると影響範囲が大きく、放置すると成果の伸びを抑え込む項目です。テーマ選びに使う時間の半分でも、こちらに回す価値があります。
1つ目がURLの構造、いわゆるパーマリンクの設定です。パーマリンクは公開前に確定させるのが鉄則で、記事が増えてから変更すると、既存のURLがすべて変わり、それまでに集めた評価や外部からのリンクが分断されます。転送の設定で救えるとはいえ、本数が増えるほど作業も事故のリスクも膨らむ。投稿名を使ったシンプルな形式を、最初に選んでおいてください。
2つ目がカテゴリーの設計です。オウンドメディアのカテゴリーは、単なる分類ラベルではなく、サイトの構造そのものを表します。読者がどんな順序で情報をたどるのか、検索エンジンにどのテーマで強いサイトだと認識してほしいのか。この2つを踏まえて、階層を浅く、数を絞って設計するのが原則です。運用を始めると「この記事はどこにも入らない」という事態が必ず起きますから、そのたびにカテゴリーを増やさず、既存の枠に収める判断を持つ人を決めておくとよいでしょう。

3つ目がCTAの配置と計測です。どの記事を読んだ人に、何を次の行動として提示するのか。資料のダウンロードなのか、無料相談なのか、事例集の閲覧なのか。記事の種類によって適した提案は変わります。そして提示したものがどれだけ選ばれたかを測れる状態にしておかないと、改善の手がかりが得られません。テーマを適用した直後、記事を書き始める前にここまで決めておくと、公開後の判断が早くなります。
3つの設計に共通しているのは、いずれも読者の使い勝手に直結するという点です。検索エンジンからの評価という観点でも、Googleは「役立つ、信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツ」を評価すると公式に示しています。テーマやプラグインの選定で迷ったときは、それが読者の役に立つかという一点に立ち返ると、判断がぶれにくくなるはずです。

※ 出典 Google検索セントラル「役立つ、信頼性の高い、ユーザー第一のコンテンツの作成」
WordPressオウンドメディアのデメリットと運用コスト
ここまで利点を中心に述べてきましたが、WordPressにも当然、負担となる部分があります。導入前に把握しておかないと、公開後に想定外の作業が降ってくることになります。
- WordPress本体・テーマ・プラグインの更新作業が定期的に発生する
- 利用者が多いぶん攻撃の対象になりやすく、セキュリティ対策が欠かせない
- プラグインを増やすほど表示が重くなり、不具合の原因も特定しにくくなる
- サーバー費用、テーマ代、保守費用など、月々の固定費がかかり続ける
- 記事を書き続ける人的コストが、実際にはもっとも大きい
最初の3つは技術的な話ですが、実務でボトルネックになるのは4つ目と5つ目のほうです。WordPressの運用コストは記事制作に集中するというのが、多くのメディアを見てきた実感になります。サーバー代が月に数千円、テーマは買い切り。それに対して、記事を月4本外注すれば十数万円から、社内で書くなら担当者の工数がそのまま乗ります。CMSの費用を比較検討する時間より、記事の制作体制をどう組むかを考える時間のほうが、事業への影響ははるかに大きいのです。

更新作業についても触れておきます。WordPress本体やプラグインの更新を放置すると、既知の脆弱性を突かれる危険が高まります。かといって、確認せずに更新すると表示が崩れることもある。実務的な落としどころは、バックアップを自動で取得する仕組みを入れたうえで、月に一度、更新と表示確認をまとめて行う運用でしょう。担当者を決めずに「気づいた人がやる」にしておくと、たいてい誰もやらなくなります。
記事は月に何本くらい出せば、検索から人が来るようになりますか。
編集部
本数そのものより、関連するテーマをひとかたまりで押さえられているかが先です。そのうえで目安を挙げるなら、月4本を12か月続けられる体制を先に組めるかどうかで見てください。単発で10本出すより、同じテーマの記事が面として揃っているほうが、検索では効いてきます。
つまり、WordPressでオウンドメディアを作るという判断は、CMSを選ぶ判断であると同時に、記事を出し続ける体制を持てるかという判断でもあります。サイトが完成した時点で気が緩み、3か月後に更新が止まる。この失速の仕方が、私たちの見てきた範囲ではもっとも多いパターンでした。
サイトはできた、でも記事を書く人がいない状態になっていませんか
WordPressの構築は数週間で終わりますが、記事は数年出し続けることになります。編集部の機能ごと引き受ける制作支援なら、キーワード設計から執筆、入稿までのうち、御社に足りない工程だけを補う形で運用を回していけます。
自社で作るか、制作会社に任せるか
最後に、構築を自社で進めるか、制作会社に依頼するかという分かれ道について整理します。判断の軸は予算だけではありません。社内に誰がいるか、そして何年運用するつもりかで、合理的な選択は変わります。
- WordPressの構築・保守を担える人材が社内にいない
- 立ち上げから記事の運用までを、早く軌道に乗せたい
- カテゴリー設計やCTA導線まで含めて設計を任せたい
- 本業に集中しながら、成果の出る型を先に手に入れたい
- 社内にWeb制作の経験者がいて、保守まで担える
- まず小さく試し、続けるかどうかを見極めたい
- 更新頻度が低く、記事の本数も少なくて足りる
ここで持っておきたいのは、構築と運用を分けて考える視点です。構築は一度きりの作業ですが、運用は続きます。したがって「構築だけ外注して運用は自社で」という形も、「構築は自社の情報システム部門が担い、記事制作を外部に任せる」という形も成立します。全部を任せるか全部を抱えるかの二択ではありません。
依頼先を選ぶ際に確かめておきたいのが、記事の運用まで見てくれるかどうかです。サイトを作るところまでで契約が終わる会社に頼むと、公開後に「何を書けばいいか」で止まります。制作会社を比較する場面では、テーマの実装力より、キーワード設計や編集の伴走まで含めて相談できるかを尋ねてみてください。オウンドメディアの成果は公開後に生まれるものですから、公開後の話ができる相手を選ぶのが理にかなっています。
依頼先に尋ねるとよい質問を3つ挙げます。「公開後の記事制作はどこまで支援できますか」「カテゴリー設計とCTAの配置はどんな考え方で決めますか」「テーマは何を採用し、その理由は何ですか」。この3つに具体的に答えられる相手なら、運用まで見据えた提案が期待できます。
WordPressのオウンドメディアに関するよくある質問
検討の場面でよく寄せられる質問を、ここまでの要点の振り返りとしてまとめます。
選択肢としては十分にあります。月額型のメディア構築サービスは、更新やセキュリティ対応を提供元に任せられる点が利点です。ただし、テンプレートの範囲を超えたカスタマイズや、他社への乗り換えのしやすさでは、WordPressのほうが自由度は高くなります。数年単位で自社の資産として育てるなら、WordPressが無難な選択肢です。
運用そのものは可能です。実際、無料テーマで成果を出しているメディアもあります。判断の分かれ目はサポートの有無で、社内にWordPressを扱える人がいない場合は、問い合わせ窓口のある有料テーマのほうが結果的に手間が少なくなります。
特別な理由がなければ、既存ドメインのサブディレクトリに置くことをおすすめします。これまで積み上げた評価を活かせるためです。別ドメインで独立させると、検索エンジンからの評価をゼロから育て直すことになり、立ち上がりが遅くなります。
変更自体は可能ですが、記事内で使った装飾や独自のショートコードがテーマ依存の場合、表示が崩れることがあります。記事本数が増えるほど確認の手間も増えるため、変更するなら本数が少ない早い段階が現実的でしょう。
既存テーマをそのまま使うなら数日から2週間、カスタマイズを加えるなら1か月から2か月が目安です。ただし公開時に10本前後の記事をそろえるなら、記事制作の期間を別途1か月から2か月見込んでおく必要があります。
明確な上限はありませんが、目的を説明できないプラグインは入れないという基準が現実的です。SEO設定、フォーム、バックアップ、セキュリティ、キャッシュの5領域を押さえたうえで、必要になった時点で足していく進め方をおすすめします。
まとめ|WordPressのオウンドメディアは公開してからが本番
WordPressは、オウンドメディアのCMSとして無難で、外れの少ない選択肢です。情報が多く、記事の追加に開発者を必要とせず、SEOの基本を実装しやすい。この3点が、長く運用する前提のメディアと噛み合っています。
一方で、テーマ選びにかける時間は短いほうが得策でしょう。見るべきは、書き手が毎日触る編集画面と、CTAを置ける余地と、サポートの有無です。候補を3つに絞ってデモサイトを確認し、決めたら記事の設計に移る。テーマ比較に費やした1週間より、キーワード設計に費やした1週間のほうが、半年後の流入にはるかに大きく効いてきます。
そして構築が終わった時点は、ゴールではなく出発点にあたります。パーマリンクとカテゴリーとCTAの設計を公開前に固め、記事を出し続ける体制を先に組む。この2つを押さえたメディアだけが、時間とともに成果を積み上げていきます。
私たち合同会社Writers-hubは、オウンドメディアのキーワード戦略設計から記事の制作、公開後の改善までを一貫して支援しています。WordPressの構築をどこまで自社で担い、どの工程を外に出すのか。その線引きの相談から承っています。
構築の次に来る「何を書き続けるか」を、一緒に決めませんか
テーマもサーバーも決まったあと、メディアの成否を分けるのは記事の中身と更新の継続です。キーワード設計から執筆、入稿までのどこを任せるかを整理するところから、御社の体制に合わせてご相談いただけます。
※ 本記事に記載した費用と期間はいずれも一般的な目安であり、依頼範囲やサイト規模によって変動します。テーマの価格および機能は改定される場合があるため、検討時は各テーマの公式サイトで最新の情報をご確認ください。








