「オウンドメディアを立ち上げることになったので、まずテンプレートを探している。ただ、検索するとWordPressのテーマを20も30も並べた記事ばかりが出てくる」。テンプレートという言葉で調べ始めた方から、この戸惑いをよく聞きます。並んでいるテーマの違いが読み取れず、結局どれを選べば自社に合うのか判断がつかない、というわけです。
先に、身も蓋もないところからお伝えします。テンプレート選びでオウンドメディアの成果が決まることは、まずありません。立ち上げから運用まで伴走してきたメディアを振り返っても、半年後に更新が続いているかどうかを分けていたのは、テーマの善し悪しではなく、記事をつくる側の型が用意されていたかどうかでした。
そしてもう一点。オウンドメディアで「テンプレート」と呼ばれるものは、実は2種類あります。サイトの見た目をつくるテンプレートと、記事をつくり続けるためのテンプレート。検索で出てくるのは前者ばかりですが、運用の現場で効いてくるのは後者のほうでしょう。本記事では、記事制作を生業とする立場から、2種類それぞれの選び方と、用意する順番を整理します。
- オウンドメディアの「テンプレート」が指す2つのもの
- WordPressテーマが成果に効く範囲と、効かない範囲
- 無料テーマ・有料テーマ・オリジナル開発の選び分け
- 運用で使う設計シート4種と、用意する順番
- テンプレートを入れても記事が伸びないときに起きていること
オウンドメディアの「テンプレート」が指す2つのもの
検索結果が噛み合わない原因は、テンプレートという言葉が2つの別物を指していることにあります。片方はサイトの外側、もう片方はサイトの中身をつくる道具であって、必要になるタイミングも、選ぶ基準もまったく違うものと考えてください。

見た目をつくるテンプレート(WordPressテーマ)
1つ目は、サイトのデザインとレイアウトをまとめて用意してくれるテンプレートです。WordPressでは「テーマ」と呼ばれ、記事一覧の並び方、記事ページの読みやすさ、スマートフォンでの表示、目次や関連記事といった機能まで、まとめて手に入ります。ゼロからデザインとコーディングを起こす場合と比べれば、立ち上げにかかる時間と費用は大きく圧縮できるでしょう。
なお、テンプレートを配布しているのはWordPressだけではありません。Studioのように、WordPressを使わずテンプレートからメディアを組めるノーコードツールも選択肢に入ります。両者の違いと選び分けは後半で扱います。
記事をつくり続けるテンプレート(設計シート・構成の型)
2つ目は、記事という中身を量産するための書式です。メディアの目的と読者像を1枚にまとめた設計シート、狙うキーワードを整理したキーワードマップ、記事の骨組みを決める構成テンプレート、表記の揺れを防ぐ編集ルール。いずれも見た目には関係しませんが、複数人で記事をつくり始めた瞬間から、あるかないかで進み方が変わります。
現場での実感を正直に書くと、外部ライターや他部署のメンバーが加わったとき、テーマの機能で困ることはほとんどありません。困るのは「見出しの粒度が人によってばらばら」「同じ用語が3通りに表記されている」といった、後者の欠落から生まれる差し戻しのほうです。
関連記事:【2025年最新】オウンドメディア構築の完全ガイド|手順からコツまで徹底解
WordPressテンプレートが成果に効く範囲と、効かない範囲
「SEOに強いテーマ」という売り文句は、テーマ選びの場面で必ず目に入ります。誇張ではないものの、正確に理解しておかないと期待の置き所を間違えます。ここは冷静に線を引きましょう。
テーマが効くのは、記事にたどり着いた後の体験と、技術的な土台まで。 検索順位そのものを押し上げるのは、テーマではなく記事の中身と、そのサイトが積み上げた評価です。
テーマが担ってくれる範囲は、たとえば表示速度、見出しの構造やパンくずなどのマークアップ、スマートフォン表示、目次や関連記事による回遊、記事下やサイドバーへのCTA設置といったところ。どれも成果に関わる要素であり、雑なテーマを選べば足を引っ張られます。ただし、これらはどのテーマを選んでも一定水準は満たされる、いわば減点方式の領域です。
一方、検索した人が求めている答えが記事に書かれているか、その情報が他より正確で具体的か、読み終えた人が問い合わせに進む理由があるか。加点が生まれるのはこちら側で、テーマは1ミリも肩代わりしてくれません。実際、同じテーマを使った2つのメディアで流入が10倍違う、という光景は珍しくないものです。

では、テーマ選びに時間をかけるのは無駄なのか。そうではありません。減点方式の領域だからこそ、後から取り返しがつきにくいのです。テーマの入れ替えはデザインの作り直しに近く、記事が増えるほど移行の負担は重くなります。最初に選び直しの少ない1つを決めておくことが、テーマ選びの本当の目的だと考えてください。
関連記事:WordPressでオウンドメディアを作る方法|テーマの選び方と立ち上げ手順
オウンドメディア向けWordPressテンプレートの選び方
前提を踏まえたうえで、実務で確認している観点を挙げます。デザインの好みは最後で構いません。先に潰しておくべきは、後から変更しづらい構造の部分です。
- 記事一覧とカテゴリの見せ方を、後から変えられるか
- 記事下・サイドバー・記事中にCTAを差し込めるか
- 資料請求やメルマガのフォームを埋め込めるか
- ブロックエディタに対応し、書き手が迷わず入稿できるか
- 表示速度を落とす過剰な装飾機能を切れるか
- 直近1年以内に更新が続いているか
- 日本語の情報やサポート窓口があるか
とくに軽視されやすいのが、上から2つ目と3つ目のCTAまわりです。オウンドメディアは記事を読ませて終わりではなく、資料請求や問い合わせにつなげるための装置でしょう。ところが個人ブログ向けのテーマを選んでしまうと、記事下に置けるのが広告枠だけ、という状態になりがちです。後からCTAを追加する改修は、テーマ選びの段階で数分で済んだはずの判断を、数万円の実装費に変えてしまいます。
デザインが好みのテーマを見つけたのですが、決めてしまってよいものでしょうか。
編集部
デザインは最後の判断材料にしてください。先に、記事下にお問い合わせボタンを置けるか、記事一覧をカテゴリごとに分けられるかを、デモサイトで触って確かめてみてください。この2つが満たせていれば、多くの場合は候補として残して大丈夫です。
入稿のしやすさも、地味ながら後で効いてくる観点です。WordPressの標準はブロックエディタに移行しており、独自エディタや専用ショートコードに強く依存したテーマを選ぶと、そのテーマを離れられなくなります。書き手が外部ライターや他部署にも広がる前提なら、特別な操作を覚えなくても記事を入稿できるかを、実際に1本入れてみて確かめておくと安心でしょう。
装飾機能の多さも、必ずしも歓迎すべき要素ではありません。ボックスやランキング、アニメーションといった機能が豊富なテーマは魅力的に映りますが、読み込むファイルが増えれば表示速度は落ちます。使わない機能をオフにできる設計かどうかを見ておくと、後から速度改善に追われずに済みます。
更新頻度の確認も忘れないでください。WordPress本体は年に数回の更新があり、テーマ側が追随しないと表示崩れやセキュリティ上の不安が出てきます。公式ディレクトリで配布されているテーマなら、最終更新日と有効インストール数が公開されているため、判断材料として使えるはずです。

関連記事:オウンドメディアのCMSの選び方|4タイプ比較と運用で差がつく判断軸
無料テンプレートと有料テンプレートはどう選び分けるか
ここが最も迷うところでしょう。結論から言えば、事業のコンバージョンを狙うメディアなら有料テーマが無難です。ただし理由は「無料が劣るから」ではありません。
| 無料テーマ | 有料テーマ* | オリジナル開発 | |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | ◎ 0円 | ○ 1万〜2万円台が中心 | △ 数十万円から |
| 立ち上げの速さ | ◎ すぐ始められる | ◎ すぐ始められる | × 設計と開発に数か月 |
| CVへの導線設計 | △ 追加実装が要ることも | ○ 標準機能で足りやすい | ◎ 要件どおりに作れる |
| デザインの独自性 | △ 似た見た目になりやすい | ○ 設定である程度動かせる | ◎ 自由 |
| 不具合時のサポート | △ 有志の情報頼み | ◎ 公式の窓口がある | ○ 依頼先次第 |
| 向いている状況 | まず小さく試したい | 事業として成果を求める | ブランド要件や独自機能が明確 |
有料テーマを推す最大の理由は、サポート窓口とサポート期間にあります。表示が崩れた、更新後に不具合が出たという場面で、社内にWordPressに詳しい人がいないと、原因調査だけで数日が溶けかねません。1万円台の差額で、担当者の調査時間を買っていると捉えると判断しやすくなります。
無料テンプレートで十分なケース
まず記事を10本ほど出して手応えを見たい、社内にWordPressを触れる人がいる、といった段階なら無料テーマで問題ありません。代表的なものを挙げると、多機能で利用者が多く情報を探しやすいCocoon、コンテンツマーケティングを前提に設計されCTA設置機能を備えたXeory、メディアサイト向けのレイアウトが最初から用意されたLION MEDIA、企業サイト用途で実績のあるLightningあたりが候補になります。

有料テンプレートを選ぶ判断
問い合わせや資料請求を明確な目標に据えるなら、有料テーマの候補を見ていきます。ブロックエディタでの編集のしやすさで選ばれるSWELL、Web集客の導線があらかじめ組み込まれたEmanon、読みやすさに寄せたデザインのSANGO、表示速度とSEO機能を前面に出すTHE THOR、収益化まわりの機能が厚いAFFINGER6、SEOのノウハウ提供元が手がける賢威、拡張性の高いSnow Monkeyなど、方向性はテーマごとにはっきり分かれています。
選び方はシンプルで構いません。候補を3つに絞り、それぞれの公式デモサイトで「自社の記事1本」を頭の中で流し込んでみる。読みやすいか、記事下のボタンが目に入るか、次の記事に進みたくなるか。これだけで、機能一覧の比較より確かな判断ができるはずです。
※ 有料テーマの価格帯は改定されることがあります。購入前に各テーマの公式サイトで最新の価格とライセンス条件をご確認ください。
ライセンス条件も購入前に見ておきたいところです。複数サイトで使い回せるか、購入後のアップデートがいつまで無料か、この2点は同じ価格帯でもテーマによって差があります。自社で複数のメディアを持つ計画があるなら、複数サイト利用が認められているかどうかで実質的な費用が変わってくるでしょう。
WordPress以外のテンプレートという選択肢
テンプレートを探していると、Studioのようなノーコードツールが提供する既製デザインにも行き当たります。テーマとの違いは、サーバーやWordPress本体の管理から解放される点。更新作業やセキュリティ対応の手間を減らせるため、Web担当者が実質1人という体制では現実的な候補になります。
一方で、記事数が数百本規模まで伸びたときの一覧設計、カテゴリやタグでの絞り込み、既存のコーポレートサイトと同じドメイン配下に置けるかどうかは、事前に確認しておきたいところです。検索からの集客を主目的に据えるなら、同一ドメインのサブディレクトリで運用できる構成かどうかを最初に確かめてください。別ドメインで立ち上げると、既存サイトが積み上げてきた評価を活かせず、立ち上がりに時間がかかります。
テンプレートは決まった。では、最初の10本に何を書きますか
テーマ選びで悩む時間より、何を書くかを決める工程のほうが成果を左右します。誰のどんな検索に、どの順番で答えていくのか。市場と競合を調べたうえで記事テーマの設計から入れば、書いた記事が届く確率が変わってきます。
運用で使うテンプレート4種と、用意する順番
ここからが本題です。冒頭で触れた2つ目のテンプレート、つまり記事をつくり続けるための書式について整理します。この4種を用意しているかどうかが、公開から半年後の更新頻度にそのまま表れると考えてください。
1枚のシートに、メディアの目的、読者像、読者が抱える課題、最終的に取りたい行動(問い合わせ・資料請求・採用応募など)、記事から見て遠いか近いかを書き出します。分量はA4で1枚に収めてください。関わる全員が同じ絵を見るための共通言語であり、長い企画書は読まれないまま形骸化します。
狙う検索キーワードを一覧にし、検索意図(知りたいのか、比べたいのか、申し込みたいのか)と、想定する着地ページ、公開の優先順位を並べます。ここまで用意できていれば、記事ネタが尽きる状況はまず起こりません。逆にこれがないと、思いつきで書いた記事が同じテーマで重複し、互いに順位を食い合う事態が起きます。
1本の記事の骨組みを型として固定します。狙うキーワード、想定読者、読後に取ってほしい行動、リード文の役割、H2とH3の並び、参照する一次情報、内部リンク先。執筆前にこの型を埋め、埋まった時点で内容の是非を判断すれば、書き上げてから全面差し戻しという事故が減ります。
数字は半角か全角か、社名の正式表記はどれか、使わない言い回しは何か。あわせて、公開前に確認する項目をチェックリスト化します。細かく感じるかもしれませんが、書き手が2人を超えた時点から、確認作業にかかる時間が目に見えて変わってきます。
順番には意味があります。設計シートがないままキーワードを集めても、そのキーワードが自社の事業につながるかを判断できません。キーワードマップがないまま構成テンプレートを配っても、書き手は何のテーマで書けばよいか分からないまま。上から順に、前の1枚が次の1枚の前提になるという構造だと押さえてください。

もう一つ、実務で効く工夫を挙げておきます。テンプレートは配って終わりにせず、最初の3本を自分で埋めてみてから配ることをおすすめします。埋めてみると、書き手にとって答えづらい欄や、埋めても誰も使わない欄が必ず見つかります。他社のフォーマットをそのまま持ち込んだテンプレートが現場で使われないのは、この工程を飛ばしているからでしょう。
テンプレートは用意した。ただ、埋める人と時間が足りていませんか
型があっても、構成づくりと執筆、編集の工数は残ります。編集部の機能ごと引き受ける制作支援なら、御社に足りない工程だけを補う形で運用を回せます。まずは足りていない工程からご相談いただけます。
テンプレートを使っても記事が伸びないときに起きていること
テーマを入れ、設計シートも用意した。それでも流入が伸びない、という相談も少なくありません。原因はだいたい次のいずれかに落ち着きます。
- 型に沿って書いた結果、どの記事も同じ構成になり、検索意図と噛み合わなくなっている
- 上位記事の見出しを写した構成テンプレートを使い、独自の情報が入る欄がない
- キーワードマップを作ったまま、公開後の順位と流入を誰も見ていない
- 記事の本数を目標に置き、1本ごとの検索意図の確認が省かれている
- テーマの装飾機能を盛り込みすぎ、表示速度が落ちている
とくに上の2つは、テンプレートを導入した組織で高い確率で起きます。型は判断を減らすための道具ですが、減らしてよい判断と、減らしてはいけない判断があるという点を見落としがちなのです。見出しの書式や記事の長さは型に任せてよい。しかし「この検索をした人は何に困っているのか」だけは、記事ごとに考える必要があります。
構成テンプレートを使うと記事が似てしまう気がして、導入に踏み切れずにいます。
編集部
テンプレートに「この記事だけが書けること」という欄を1つ加えてみてください。自社の実績、取材で得た数字、他社が触れていない条件など、何でも構いません。その欄が埋まらない記事は公開しない、という運用にすると、型を使いながら似た記事になるのを避けられます。
もう一点、テンプレートの見直し時期についても触れておきます。作った型は、記事が30本ほど貯まった時点で一度読み返してください。当初は必要だと思っていた項目が使われていなかったり、逆に毎回手作業で足している要素が見つかったりするはずです。型は固定するものではなく、運用しながら削って足していくもの、というのが実感に近いところです。
オウンドメディアのテンプレートに関するよくある質問
技術的には可能ですが、記事が増えるほど負担は重くなります。テーマ独自の装飾機能を多用していた場合、切り替え後に表示が崩れ、全記事の手直しが必要になることもあります。切り替えの可能性があるうちは、テーマ固有の装飾に依存しない書き方を選んでおくと安全です。
あります。ノーコードのWebサイト制作ツールやヘッドレスCMSを使う方法があり、更新のしやすさやデザインの自由度で選ばれています。判断軸は、記事を書く人が迷わず入稿できるか、記事数が増えても一覧と検索が破綻しないか、CVへの導線を自由に置けるか、の3点です。
分けたほうが機能します。検索して情報を知りたい人向けの解説記事、他社と比べたい人向けの比較記事、導入を検討している人向けの事例記事では、必要な要素も読者が求める順番も違うためです。ただし最初から何種類も作る必要はなく、まず解説記事の型を1つ固め、必要になった時点で派生させる進め方をおすすめします。
渡してください。むしろ渡さないほうが、期待とずれた原稿が上がってくる原因になります。あわせて、埋め方の見本として完成済みの記事を1本添えると、初回から精度が上がります。
まとめ
オウンドメディアのテンプレートは、見た目をつくるものと、記事をつくり続けるものの2種類に分かれます。前者はCTAを置けるか、記事一覧を設計できるか、更新が続いているかを基準に、迷いすぎず1つに決めてしまってください。後者は、設計シート、キーワードマップ、記事構成、表記ルールの順に用意すると、前の1枚が次の1枚の前提になり、無理なくつながります。
テンプレートは判断を減らす道具であって、判断そのものを代行してはくれません。何を書くかを決める工程と、その記事だけが持つ情報を入れる工程。この2つを残しておけば、型は運用の速度を上げる方向に働くはずです。
合同会社Writers-hubでは、キーワード戦略の設計から記事制作、公開後の改善までを支援しています。テンプレートの整備段階から並走することも、記事制作の工程だけを引き受けることも可能です。今の体制で足りていない部分から、お気軽にご相談ください。
最初の10本を、どう積むか決まっていますか
立ち上げ直後の数か月は、何本書くかより、どのキーワードから書くかで到達点が変わります。戦略設計から記事制作まで、御社の体制に足りない工程だけを補う形でお手伝いします。








