「BERTも、SEOやLLMOと同じようにビーイーアールティーと一文字ずつ読むのだろう」。資料やニュースでこの4文字を見かけて、そう見当をつけたまま先へ進んだ方もいるはずです。この分野の略語は一文字ずつ読むものと単語のまま読むものが入り混じっているため、ふだんの呼び方の慣れがそのまま当てはまるとは限りません。
しかし、SEO記事の制作を請け負ってきた弊社の立場から言えるのは、読み方は一語で片づく話で、担当者に効いてくるのはその先の変化だということです。2019年にBERTが検索へ組み込まれて以降、キーワードを詰め込む書き方の効き目は落ち、代わりに条件や否定の言葉を省かずに書けているかが結果を分けるようになりました。
本記事では、読み方と正式名称が指す意味から、前後を同時に読む仕組み、Google検索に入って書く側に何が変わったのかまで、数多くのSEO記事を手がけてきた立場で順を追ってお伝えします。
- BERTの読み方と、正式名称が指している意味
- 「双方向」が当時なぜ大きな前進とされたのか
- 事前学習とファインチューニングという2段構えの仕組み
- Google検索に入って、検索する側と書く側に起きた変化
- BERT以後の検索で読まれる記事に共通する条件
BERTの読み方は「バート」
結論から書きます。BERTの読み方は「バート」。アルファベットを一文字ずつ「ビーイーアールティー」と読み上げるのではなく、ひとつの単語のようにそのまま発音します。
正式名称はBidirectional Encoder Representations from Transformers。日本語に置き換えるなら「Transformerによる双方向のエンコーダー表現」といったところでしょう。頭文字を並べた略語でありながら、英語の人名として自然に読める並びになっているため、単語読みが定着しました。

同じ2018年には、ELMo(エルモ)という言語モデルも発表されています。以降もERNIEなど、人名として読める略称のモデルが続きました。この分野の略語は「一文字ずつ読むもの」と「単語として読むもの」が入り混じっているため、SEOやLLMOを読み慣れている人ほど、BERTで手が止まりやすいわけです。
社内資料に「BERT」と書いてあって、会議で読み上げる直前に固まりました。ビーイーアールティーなのか、バートでいいのか。
編集部
「バート」で問題ありません。SEOやLLMOは一文字ずつ、BERTやELMoは単語として読む。この二種類が混ざっているだけなので、人名として読めるかどうかで見分けると迷いにくくなりますよ。
BERTの意味は「前後を同時に読む言語モデル」
BERTは、Googleが2018年に公開した自然言語処理(コンピューターに人間の言葉を扱わせる技術)のモデルです。論文と実装が公開されたことで、研究機関に限らず一般の開発者も自前の環境で使えるようになりました。
名前の先頭にあるBidirectional、つまり双方向が最大の特徴にあたります。それ以前の言語モデルは、文章を左から右へ、あるいは右から左へと一方向に読んでいました。対してBERTは、前後の文脈を同時に見て単語の意味を決めるという読み方をします。
なぜそこが重要なのか。Googleは検索への適用を告知した公式ブログで、実際に取りこぼしていた例を挙げています。「2019 brazil traveler to usa need a visa」という検索では、「to」という短い前置詞が、ブラジルからアメリカへ向かうのかその逆なのかを決めていました。従来のアルゴリズムはこの結びつきを重く見ず、アメリカ人がブラジルへ渡る場合の情報を返していた、という説明です。
- BERTは2018年にGoogleが公開した自然言語処理モデル
- 特徴は双方向、つまり単語の前と後ろを同時に見て意味を確定させること
- 「〜へ」「〜から」「〜ではない」のような、単体では軽く扱われがちな語を取りこぼしにくい
日本語に置き換えると、助詞と否定表現がこれに当たります。「返品できる条件」と「返品できない条件」は、たった二文字の違いで求めている答えが正反対になる。単語の一致だけを見る仕組みでは、この二つはよく似た文として扱われてしまいます。

※ BERTの原論文はarXivで公開されています。
仕組みは「事前学習」と「ファインチューニング」の2段構え
BERTの土台になっているのが、2017年に発表されたTransformerという仕組みです。文中の単語を先頭から順番に処理するのではなく、すべての単語どうしの関係をまとめて計算する点に特徴があります。BERTはそのうち、文を読み取る側(Encoder)だけを積み重ねた構造をとりました。
学習は二段階に分かれます。ここが実務での使いやすさに直結した部分でもあります。
書籍やWikipediaのテキストを使い、言語そのもののパターンを学ばせます。特定の用途を想定しない、いわば土台づくりの段階です。
入力する単語のうち15パーセントほどを隠し、前後の文脈から隠れた語を当てさせます。前だけ、あるいは後ろだけを見ていては正解できないため、両側を参照する力が育ちます。
二つの文を与え、後ろの文が前の文の続きかどうかを判定させます。単語だけでなく、文と文の関係をつかむための課題です。
学習を終えたモデルに、分類や質問応答といった個別課題のデータを少量与えて調整します。ゼロから学習させるより、必要なデータ量も時間も大きく減ります。
注目したいのは、前半の事前学習が用途を問わない共通作業になっている点でしょう。時間も計算資源も必要とするのは前半で、後半のファインチューニングは比較的軽く済みます。

2段構えという設計が、BERTが一気に広まった理由でしょう。用途ごとにモデルを一から作る必要がなくなり、公開された学習済みモデルを各社が自社のデータで調整して使う流れができました。日本語のテキストで事前学習したモデルも大学や企業から公開されており、問い合わせの自動振り分けや文書分類といった業務で使われています。
Google検索に入って何が変わったのか
Googleは2019年10月、BERTを検索のランキングと強調スニペットに適用したと発表しました。公式ブログには、英語による米国の検索において10件に1件の理解が改善する、と記されています。あわせて、その後ほかの言語や地域へ順次広げていくとも書かれていました。現在もGoogle検索セントラルの日本語ドキュメントに、BERTがランキングシステムの一つとして掲載されています。

この発表の中で、Googleは検索する側の癖にも触れています。ユーザーは検索エンジンに理解してもらおうとして「keyword-ese」、つまりキーワードを並べただけの不自然な言葉づかいをしてしまう、と。BERTを入れた狙いは、そうした言い換えをしなくても、自然な聞き方のまま結果を返せるようにすることだった、という説明でした。
そこから導かれる実務上の結論は、いささか拍子抜けするほど単純です。BERT向けの最適化という手段は存在しません。管理画面に設定項目があるわけでも、対応タグがあるわけでもない。書く側にできるのは、以下のような書き方から離れることだけです。
- 検索されている語を、その並びのまま本文に敷き詰める
- 「地域名 サービス名 おすすめ」のような不自然な語順を見出しに置く
- 共起語リストを埋めることが目的になり、文脈と関係のない単語を差し込む
- 同じ説明を語尾だけ変えて繰り返し、語数だけを増やす
ここに挙げた書き方は、BERT以前から褒められたものではありませんでした。ただ、検索エンジンが単語の一致でページを選んでいた時代には、多少なりとも効いてしまう場面があったのも事実です。文の意味を読む仕組みが入ったことで、キーワードを詰め込む書き方の効き目が落ちた、という順序で捉えると腑に落ちるはずです。
※ 検索への適用時期と対象範囲は、Googleの公式ブログおよびGoogle検索セントラルのランキングシステム解説に基づいています。
キーワードを並べる書き方から離れたあと、何を基準に記事を作るか
検索する人が実際に使う言葉で書き、意図ごとに記事を分ける。方針そのものは単純でも、既存記事のどこから直すかの判断には手が要ります。今ある記事群を見たうえで、着手する順番の設計から並走いたします。
BERTとGPT、ChatGPTとの違い
どちらもTransformerを土台にしていますが、使っている部分と目的が異なります。BERTは文を読み取るEncoder側を使い、意味の理解に向いた作りをしています。GPTは文を生み出すDecoder側を使い、次に来る単語を予測しながら文章を組み立てる方向へ進みました。
| BERT | GPT(ChatGPTなど) | |
|---|---|---|
| 使うTransformerの部分 | Encoder | Decoder |
| 文脈の読み方 | 前後を同時に見る双方向 | 前から後ろへの一方向 |
| 得意なこと | 分類、検索、質問応答、抽出 | 文章生成、対話、要約 |
| 主な学習課題 | 穴埋めと次文予測 | 次の単語の予測 |
| 出力の形 | ラベルや該当箇所 | 続きの文章 |
生成AIの話題が中心になって以降、BERTの名前を聞く機会は減りました。とはいえ役目を終えたわけではありません。文章を作る必要がなく、分類したい、探したい、抜き出したいという用途では、生成モデルより軽く速く動く点が今も利点として残っています。検索エンジンのように毎秒膨大な処理をさばく場面では、この差が効いてきます。
BERT以後の検索で読まれる記事に共通すること
ここからは、数多くの記事を作ってきた立場からの話になります。定義や仕組みの解説は各所にありますが、「では原稿の何を直すのか」まで書かれているものは意外と少ないためです。
まず押さえたいのが、Googleのランキングシステム一覧にはBERTと並んで、パッセージランキングシステムという項目が載っている点です。ページ内の個々のセクションを特定し、そのページが検索とどれだけ関連するかを判断するために使われる、と説明されています。評価の視点はページ全体にとどまらず、段落の粒度にまで及んでいるということでしょう。

だとすれば、原稿でやるべきことははっきりします。段落ごとに答えを言い切る。前の段落を読まないと意味が取れない書き方や、「これ」「それ」で前を受け続ける文章は、切り出された瞬間に意味を失います。段落の頭で話題を名指しし、その中で完結させる。地味な作業ですが、生成AIが回答の材料として一節を抜き出す場面でも、同じ形が効いてきます。

もう一つ、原稿の点検で見落とされやすいのが条件と否定の扱いです。BERTが「to」や「ない」のような語を拾うようになったということは、書く側がそこを省略していれば、省略したままの意味で読まれるということでもあります。文字数を削る作業で真っ先に消されるのは、たいてい「〜の場合は」「〜でない限り」といった条件句でしょう。読みやすさのために削ったつもりが、検索意図との一致を自分で外していた、という事故は珍しくありません。
- 見出しが、読者が実際に打ち込む問いの形になっているか
- 段落の先頭で結論を言い切り、その段落だけで意味が通るか
- 「これ」「それ」で前の文を受けたまま、話を進めていないか
- 「〜でない場合」「〜に限り」といった条件を削っていないか
- 一つの記事に、性質の違う検索意図を詰め込んでいないか
突き詰めれば、どれも「読み手に対して正確に書く」という当たり前に戻ってきます。BERT対応と身構えるより、原稿の精度を上げる作業の延長として扱うほうが、手も止まりにくいでしょう。
段落ごとに答えを言い切る形へ、既存記事を直す手は足りていますか
検索意図に沿った構成を組み、条件や前提を省かずに書く。手順は明確でも、記事数が増えるほど社内だけで回すのは難しくなります。構成設計から執筆、既存記事の見直しまでお任せいただけます。
BERTの読み方や仕組みでよくある質問
最後に、BERTをめぐって実際によく受ける質問をまとめました。
通じないわけではありませんが、日本語圏でも英語圏でも「バート」が一般的です。用語集や技術記事でも、多くはカタカナで「バート」と併記されています。会議などで表記を口にする場面では、単語読みを選んでおくと話が止まりません。
読み方は「バート」、意味はBidirectional Encoder Representations from Transformersの略で、Transformerを土台に、前後の文脈を同時に読んで単語の意味を決める言語モデルを指します。
話題の中心が生成AIへ移ったため目立たなくなりましたが、Google検索セントラルには現在もランキングシステムの一つとして掲載されています。分類や検索といった用途では、文章を生成するモデルより軽く速い点が今も利点です。
Googleの説明では、RankBrainは単語とコンセプトの関連を理解するシステムとされ、検索語がそのまま含まれていなくても関連するコンテンツを見つけられるようにします。BERTは文中の語と語の関係を読み解く点に重心があります。どちらも現在のランキングシステム一覧に並んでおり、片方がもう片方を置き換えた関係ではありません。
BERTを直接操作する設定はありません。検索する人が実際に使う言葉のまま見出しを立てること、段落ごとに答えを言い切ること。この二点に集約されます。キーワードの詰め込みや共起語の埋め合わせは、狙いと逆方向へ働きます。
使われています。Google検索の日本語ドキュメントにランキングシステムとして掲載されているほか、日本語のテキストで事前学習した公開モデルも複数あり、社内文書の分類や問い合わせ対応の自動化に利用されています。
まとめ BERTは「バート」、対策ではなく書き方の話
BERTの読み方は「バート」。正式名称のBidirectional Encoder Representations from Transformersが示すとおり、Transformerを土台に、単語の前後を同時に見て意味を決める言語モデルを指します。
読み方から一歩進むと、この技術がSEOにもたらしたものが見えてきます。設定でどうにかする対象ではなく、キーワードを並べる書き方を手放し、条件や否定を省かず、段落ごとに答えを言い切る。原稿の側の話に落ちてくるのです。BERTが検索に入った2019年から、その方向は変わっていません。
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