「コンテンツ戦略は、狙うキーワードと公開の予定を一覧にすれば立てられそう」。キーワードツールで検索数を調べて表に並べると、それだけで計画の形が整うため、戦略づくりはそこで終わったと思われがちです。ところが、キーワードと公開日の一覧には、記事を読んだ人に次に何をしてもらうかも、公開した後に誰が記事を直すかも書かれていません。コンテンツ戦略で決めるのは、誰のどの疑問にどのコンテンツで答え、誰が作り続けて直すかです。
本記事では、コンテンツ戦略で決める3つの項目とコンテンツマーケティングとの違いから、立て方の5つの手順、記事が増えた後に起きる問題まで、自社と取引先のサイトで記事の企画から公開までを担っている制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- コンテンツ戦略では、目的と読者、コンテンツと役割、作り方と直し方の3つを決める
- 記事で集客するための計画なら、コンテンツマーケティングの戦略と中身はほぼ同じになる
- 今あるキーワードの一覧に、段階・役割・担当・見直すきっかけの列を足すと戦略の表になる
- 記事の重なりは、書く前に既存の記事のタイトルと見出しを読むと公開前に止められる
コンテンツ戦略とは何を決める計画か
コンテンツ戦略とは、事業の目標に向けて、誰のどの疑問にどのコンテンツで答え、誰が作って直すかを決める計画です。決める項目は次の3つです。
項目 | 決めること | 決めていないと起きること |
|---|---|---|
目的と読者 | コンテンツで増やしたい事業の数字と、その数字につながる読者 | 記事が読まれても、事業の成果につながったかを判断できない |
コンテンツと役割 | 読者の疑問ごとに答えるコンテンツと、読んだ人に次に取ってほしい行動 | 読んだ人が次に何をすればよいか分からないまま、記事を閉じる |
作り方と直し方 | 書く人、確かめる人、月の本数、公開した後に直す基準 | 公開が途中で止まり、古くなった記事を直す人がいない |
3つの項目は、目的と読者を決めてから、コンテンツと役割、作り方と直し方の順に決めます。増やしたい数字が決まっていないと、どの読者のどの疑問に答えるかを選べないためです。

コンテンツマーケティングとの違い
コンテンツ戦略とコンテンツマーケティングは、計画か手法かという点と、扱うコンテンツの範囲で違います。コンテンツマーケティングは、読者の役に立つ情報を届けて見込み客を集め、問い合わせや購入につなげる手法です。コンテンツ戦略は、コンテンツマーケティングで使うものを含めて、会社が出すコンテンツ全体を何のために作り、誰が直すかを決める計画です。
比べる項目 | コンテンツ戦略 | コンテンツマーケティング |
|---|---|---|
何か | コンテンツを作って直すための計画 | コンテンツで見込み客を集める手法 |
扱うコンテンツ | 記事、サービスページ、よくある質問、採用ページなど、会社が出すもの全体 | 記事、導入事例、資料、メールマガジンなど、見込み客に届けるもの |
主に決めること | 誰のどの疑問に何で答え、誰が作って直すか | どの経路で届け、読んだ人をどう問い合わせにつなげるか |
2つの違いがはっきり出るのは、サービスページやよくある質問のように、集客の記事以外まで誰が直すかを決めるときです。記事で集客するための計画なら、2つの戦略の中身はほぼ同じになります。社内で「コンテンツマーケティングの戦略」と呼んでいる計画も、3つの項目が書かれていれば作り直す必要はありません。

コンテンツマーケティングの種類や始め方は、コンテンツマーケティングとは?種類・メリット・始め方をわかりやすく解説で解説しています。
コンテンツ戦略を立てる5つの手順
コンテンツ戦略は、次の5つの手順で立てます。
コンテンツで増やしたい事業の数字を1つ決めます。問い合わせの数、資料請求の数、採用への応募数のように、月ごとに数えられるものを選びます。数字を2つ以上置くと、記事ごとにどちらの数字に向けて書くかを毎回決め直すことになります。
数字につながる読者が、申し込む前に持つ疑問を書き出します。営業やサポートが受けた質問や、Search Consoleの検索パフォーマンスに出ている検索語などが材料です。書き出した疑問は、困りごとを調べる段階、手段を比べる段階、依頼先を決める段階に分けて並べます。
疑問1つに、答えるコンテンツを1つ割り当てます。形式は記事に限らず、導入事例やサービスページからも選び、読んだ人に次に取ってほしい行動を役割として書きます。自社が答えを持たない疑問と、増やす数字につながらない疑問には「作らない」と書きます。
書く人、内容を確かめる人、公開する人を決め、月に出せる本数を数えます。割り当てたコンテンツが何か月分になるかを計算し、増やす数字に近い疑問から順番を付けます。
公開した後の記事を直す、まとめる、消すのどれにするかを、どの数字で判断するかを決めます。戦略全体を見直す日も、事業の目標を見直す時期に合わせて決めます。
作らない疑問を決めるのは、扱うテーマを広げて本数を増やしても、検索で評価されるとは限らないからです。Googleは「有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」で、作り方を見直すべき警告の質問を挙げています。警告の質問の1つは、「いずれかが検索結果の上位に表示されることを期待して、さまざまなトピックで多くのコンテンツを制作していますか」です。

月に出せる本数から順番を決める計算は、SEO戦略の立て方を6ステップで解説|出せる本数から決める優先順位で詳しく解説しています。
コンテンツ戦略を1枚にまとめる表
コンテンツ戦略は、読者の疑問を1行に1つずつ並べ、次の6つの列を埋めた表にすると、1枚で社内に共有できます。
列 | 書くこと | 例 |
|---|---|---|
読者の疑問 | 読者が申し込む前に持つ疑問 | 導入の費用はいくらか |
段階 | 調べる、比べる、決めるのどれか | 比べる |
答えるコンテンツ | 疑問に答える記事やページ、または「作らない」 | 費用を解説する記事 |
役割 | 読んだ人に次に取ってほしい行動 | 料金ページへ進む |
担当 | 書く人と、内容を確かめる人 | マーケティング担当が書き、営業が確かめる |
見直すきっかけ | 記事の中身が古くなる出来事 | 料金を改定したとき |
キーワードの一覧と公開の予定表は、もう作ってあります。戦略の表は、一から作り直さないといけませんか?
編集部
作り直さなくて大丈夫です。今ある一覧は、表の「読者の疑問」と「答えるコンテンツ」の列にあたります。一覧の右に段階、役割、担当、見直すきっかけの列を足し、埋まらない行があれば、その記事を作るかどうかから見直してください。
記事が増えた後に起きる3つの問題
コンテンツ戦略に沿って記事を作り始めると、公開した本数が増えるにつれて、次の3つの問題が起きやすくなります。
同じ疑問に答える記事の重なり
同じ疑問に答える記事の重なりは、過去の記事を知らない担当者や外注先が企画を出したときに起きます。重なった2本は検索結果で順位が入れ替わることがあり、どちらを直せばよいかも決められなくなります。順位への影響は、ブログのコンテンツとは?1記事ずつ書くと伸びない理由と作り方6ステップで解説しています。
記事を毎日公開してきた立場から言えば、重なりは、公開した後に直すより、書く前に止めるほうが手間がかかりません。書く前に、狙う語を含む既存の記事を下書きまで含めて検索し、タイトルと見出しを読みます。答える疑問が重なる記事があれば、新しく書かずに既存の記事を直すか、新しい記事から既存の記事へリンクで案内します。

載せた情報の古さ
料金、ツールの操作画面、法令、統計の数字のように変わる情報を載せた記事は、公開した後に中身が古くなります。戦略の表の「見直すきっかけ」の列に、料金の改定やツールの画面の変更のような出来事を書いておくと、出来事が起きたときに直す記事と直す人がすぐに決まります。
役割を果たさない記事の放置
役割を果たさない記事とは、検索結果にほとんど表示されない記事や、読まれても次の行動につながらない記事のことです。直すか、まとめるか、消すかは、記事の状態ごとに次のように決めます。
記事の状態 | 確かめるもの | 対処 |
|---|---|---|
検索結果に表示されるが、クリックが少ない | Search Consoleの表示回数とクリック数 | タイトルと説明文を直す |
読まれているが、次の行動につながらない | GA4で計測したページごとの問い合わせや資料請求の数 | 記事の中の案内と、案内する先を直す |
同じ疑問に答える記事がほかにある | 2本の記事が表示されている検索語 | 1本にまとめ、残さない記事のURLから残す記事へリダイレクトする |
扱わなくなったサービスの記事 | 役割の列に書いた行動が今も取れるか | 消すか、今のサービスの記事へリダイレクトする |
公開から何か月で判断するかは、自社の過去の記事が検索結果に表示され始めるまでにかかった期間を見て決めます。消すのは、役割を終えた記事だけにします。Googleはユーザーを第一に考えたコンテンツの作成についての文書で、サイトを新鮮に見せようと大量の古いコンテンツを削除しても、ランキングは向上しないとしています。
書く前の確認と公開後の見直しを、担当者が変わっても続けられますか
記事コンテンツの制作支援では、事業とターゲットの聞き取りと競合の調査から、キーワードマップとコンテンツの計画、KPIの設計までを一緒に作ります。編集者・ライター・監修者のチーム編成やレギュレーションの策定まで行い、担当者が変わっても品質が落ちない制作体制をつくります。
コンテンツ戦略のよくある質問
コンテンツ戦略を初めて立てる担当者が持ちやすい3つの質問に答えます。
コンテンツ戦略は誰が作る?
コンテンツ戦略のうち、増やす数字と作らない疑問は、事業の数字に責任を持つ人が決めます。読者の疑問の書き出しから表にまとめるまでは、現場の担当者が進められます。外注先と一緒に作るときも、増やす数字と作らない疑問は自社で決めます。顧客が申し込む前に何で迷うかは、外注先より自社の営業やサポートのほうが知っているためです。
担当者が1人でも必要?
担当者が1人でも、コンテンツ戦略は要ります。担当者が1人の会社ほど、作らない疑問を先に決める意味が大きくなります。月に出せる本数が少ないので、増やす数字から遠い記事を1本書くと、近い記事の公開がその分だけ遅れるからです。表は1枚、行は答える疑問の数だけで足ります。
戦略はどのくらいの頻度で見直す?
戦略全体は、増やす数字や売るサービスが変わったときに見直します。変わらない間は、決めた本数を出せているかと、記事が役割どおりに次の行動につながっているかを、月に1回、数字で確かめます。記事ごとの見直しは、表の「見直すきっかけ」の列に書いた出来事が起きたときに行います。
まとめ|コンテンツ戦略は記事の一覧より役割と直し方
コンテンツ戦略は、狙うキーワードと公開日の一覧ではなく、誰のどの疑問にどのコンテンツで答え、誰が作って直すかを決める計画です。記事で集客するための計画なら、コンテンツマーケティングの戦略と中身はほぼ同じです。5つの手順で1枚の表にまとめられます。
役割と直す人を書いた表があれば、記事が増えた後も直す記事を数字で選べます。まずは今ある記事を表に並べ、役割と見直すきっかけの列が埋まらない記事を探すところから始めてください。
私たち合同会社Writers-hubは、自社と取引先のサイトで記事の企画から公開までを続け、キーワードの設計から制作の体制づくりまでを企業の担当者と一緒に進めています。
今ある記事のうち、役割の決まっていない記事がどれか分かりますか
公開済みの記事のURLの一覧と、コンテンツで増やしたい数字をお送りください。無料相談(オンラインで30分程度)で、同じ疑問に答えて重なっている記事と、役割の決まっていない記事を一緒に確かめ、直す順番を決めます。







