「CTAエリアを直すなら、まずボタンの色と文言を変えるのが早いはずだ」。CTAの解説では目立つ色を使う、補色を使うといった助言が繰り返し紹介され、改善の話題もボタンの見た目に集まるため、手を入れる場所はそこだと考えられがちです。ところが実際に色を変えても数字は動かず、次にどこを見ればよいのか分からなくなります。
しかし、記事の企画から公開後の見直しまでを支援してきた弊社の立場から言えるのは、コンバージョンを左右しているのはボタン単体ではなく、見出しから注記までを含む一区画だということです。読者は区画の見出しで自分に関係のある話かを判断し、注記を読んで今それをやってよいかを決めたうえで、最後にボタンへ手を伸ばします。ボタンのラベルが答えられるのは、押した後に何が起きるかという部分だけです。
本記事では、CTAエリアを構成する5つの要素から、目立たせたはずの区画が読まれなくなる原因、設置する位置と数の決め方、そして改善に着手する順番まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- CTAエリアとCTAボタンが指している範囲の違い
- CTAエリアを構成する5つの要素と、優先順位のつけ方
- 目立たせたはずのエリアが読まれなくなる原因
- 視線の調査データから決める、1つ目の設置位置と数の目安
- 改善に手を付ける順番と、押せる面にするためのサイズの基準
CTAエリアとは、行動を促す要素をまとめた一区画のこと
CTA(Call To Action)は、資料請求や問い合わせ、購入といった、読者に取ってほしい行動を促す仕掛け全般を指します。そのうちCTAエリアと呼ばれるのは、ボタンと、押すかどうかの判断材料を1つにまとめた区画です。
中に入るのは、誘導のための見出し、行動する理由を伝える説明文、ボタン、電話番号やフォーム、費用や所要時間を示す注記、そして本文と切り分けるための背景色や囲み。これらがひとまとまりになって、ページの中で「ここで決めてください」と示す領域になります。
CTAボタンとの違いは、引き受けている判断の数
CTAボタンが担当しているのは、押した後に何が起きるかを伝えること。役割は1つの動作の予告に絞られます。対してCTAエリアは、その手前にある複数の判断をまとめて引き受けます。
読者がボタンに手を伸ばすまでに通過する判断は、おおよそ3つに整理できます。自分向けの話なのか、今それをやる意味があるのか、押した後に何を負担するのか。ボタンのラベルだけで答えられるのは3つ目の一部にすぎません。残る2つは、見出しと説明文、注記が答えることになります。
ボタンの文言や色を何度書き換えても数字が動かないとき、多くの場合はこの2つに答える要素がエリアの中に無いか、あっても読まれない位置に置かれています。CTA全体の種類や考え方はCTAとは?意味と種類、成果につながる設計と改善の手順で扱っているため、前提から確認したい場合はあわせてご覧ください。
コンバージョンエリアという呼び方との関係
LPの制作現場では、同じ区画をコンバージョンエリア、あるいはCVエリアと呼ぶことがあります。厳密な定義の違いがあるわけではなく、どちらの語を使うかは制作会社や媒体によって分かれるのが実情でしょう。打ち合わせで呼び方が混ざると、指している範囲がずれたまま議論が進みかねません。最初に「ボタンだけの話か、区画全体の話か」を確認しておくと、そのあとが早く進みます。

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CTAエリアを構成する5つの要素
区画の中身は、役割で5つに分けられます。上位の解説記事では要素を3つや4つで整理していることが多いものの、実務で見直すときは注記を独立させたほうが漏れが減ります。
要素 | 担っている役割 | 欠けたときに起きること |
|---|---|---|
見出し | 自分に関係のある話かを判断させる | 区画ごと読み飛ばされる |
説明文 | 行動する理由と受け取れるものを伝える | ボタンの動作だけが唐突に見える |
ボタン | 押した後に起きる動作を示す | どこを押せばよいか分からない |
注記 | 費用、所要時間、入力項目、その後の連絡を示す | 押す直前で手が止まる |
背景や囲み | 本文と区画の境目をつくる | 本文の続きとして流し読みされる |
これに加えて、電話番号と受付時間、フォームをそのまま埋め込む形、実績数の表示といった補助要素が入ることもあります。ただし補助要素は、上の5つが揃ってから足すものだと考えたほうが安全です。
要素は足すのではなく、優先順位を決める
CTAエリアの相談でよく見かけるのは、要素が増えすぎて視線の行き先が分からなくなっている区画です。見出しが2行、説明文が5行、ボタンが3つ、その下に実績のロゴが8個。1つずつは正しく見えても、まとめて置かれると読者はどれから読めばよいか判断できなくなります。
区画の中で最初に目に入るべきは見出し、次にボタン、その次が注記。要素を足す前に、削れる要素を先に決めるという順番を持っておくと、区画は自然と読める形に落ち着きます。
ボタンを複数置く場合は、大きさと色で明確に差をつけてください。「資料請求」と「お問い合わせ」を同じ見た目で横並びにすると、読者はどちらが本命か判断できず、結果としてどちらも選ばれにくくなります。主にする行動を1つ決め、もう一方は枠線だけのボタンにするか、テキストリンクへ落とす形が扱いやすいでしょう。
社内では「情報が多いほうが安心して押してもらえる」という意見が出ています。要素は多いほうがよいのでしょうか。
編集部
安心材料が必要なのはその通りですが、置き場所を分けることをおすすめします。押すかどうかの判断に直接効くのは費用と所要時間、入力項目の数、その後の連絡方法の4つで、これは注記として区画の中に。実績や導入社数といった信頼材料は、区画の直前のセクションに置いたほうが読まれます。区画の中で全部を語ろうとすると、肝心の4つが埋もれてしまいます。
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目立たせたはずのCTAエリアが、読まれていないことがある
「目立つ色にする」「補色を使う」という助言は、CTAの解説記事でよく見かけます。ただ、目立たせ方の方向を間違えると、かえって読まれなくなる場合があります。
Nielsen Norman Groupは、広告だと認識した領域を読者が無視する現象について、広告そのものだけでなく、広告に似た特徴を持つ通常のコンテンツも同じように無視されると報告しています。無視の手がかりとして挙げられているのは、広告が置かれやすい位置(ページ最上部や右側の縦長の枠)、アニメーションのような広告的な見せ方、そして実際の広告のすぐそばという3点です。
※ 出典:Nielsen Norman Group「Banner Blindness Revisited: Users Dodge Ads on Mobile and Desktop」
つまり、CTAエリアを「バナーらしく」作り込むほど、読者の目が滑る確率は上がります。派手な帯を全幅に敷き、画像に文字を焼き込み、点滅する装飾を付けたエリアは、作り手の意図とは逆に、読み飛ばす対象として学習された見た目に近づいていきます。
広告に見える区画に共通する特徴
自社のCTAエリアが広告寄りになっていないかを確認するとき、目安になるのは次のような特徴です。
- 画像1枚に文字を焼き込み、バナーとして書き出している
- 本文の配色とまったく無関係な色で、全幅の帯を敷いている
- 点滅や拡大縮小など、注意を引くための動きを付けている
- 本文の話題と関係のない汎用の訴求文が載っている
- ページ最上部や右カラムなど、広告の定位置に置いている
逆に言えば、本文と同じ書体で、本文の続きとして読める文章が置かれ、背景の変化は控えめという区画のほうが読まれます。目立たせるべきなのは区画そのものではなく、区画の中のボタンです。本文の続きとして読める見た目にする。ここが、上位の解説記事の助言をそのまま実行したときにずれやすい部分でしょう。
CTAエリアをどこに、いくつ置くか
設置位置の議論は「ファーストビューに置くべきか」「記事下だけでよいか」という形になりがちですが、視線の計測データを見ると判断の基準を数字で持てます。
Nielsen Norman Groupが1920×1080の画面で120人分、13万件を超える視線の停留を分析した調査では、ページの閲覧時間のうち57パーセントがファーストビュー内に費やされていました。最初の2画面分、縦2160ピクセルまでで見ると74パーセントに達します。ページ全体を5等分した分析では、上から20パーセントの範囲に42パーセント以上、上から40パーセントの範囲に65パーセント以上の時間が集中していました。
※ 出典:Nielsen Norman Group「Scrolling and Attention」
この数字から言えることは2つあります。1つ目のCTAエリアは、最初の2画面以内に置く。そして記事下だけに置く設計は、閲覧時間の4分の1程度しか届かない範囲に賭けている、ということです。
ただし、上に置けば押されるわけではありません。判断材料が揃う前に区画を見せても、読者は押す理由を持っていません。実際に効くのは、判断材料が揃った直後に置き、その位置を上へ引き上げるという考え方です。順番を入れ替えるのではなく、読者が知りたい情報の提示を早めることで、自然と最初の2画面以内に区画が入る構成にします。
記事ページとLPでは、1つ目を置く位置が変わる
同じCTAエリアでも、読者が来たときの状態が違えば設計は変わります。
観点 | 記事ページ | LP |
|---|---|---|
読者の状態 | 情報を集めている途中 | 商材を見に来ている |
1つ目の位置 | 課題が言語化された最初のH2の直後 | ファーストビューのすぐ下 |
数の目安 | 2から3か所 | 3から5か所 |
求める行動 | 資料や関連記事など負担の軽いもの | 主目的の1つに絞る |
文言の重さ | 読者の段階に合わせて変える | 全体で揃える |
記事ページで数を増やしすぎると、本文が広告に挟まれた見た目になり、前節の問題が起こります。逆にLPで1か所しか置かないと、読み進めた読者が申し込もうと思った時点で区画が画面外にあり、探す手間を生みかねません。LP側の設計についてはLPOとは?SEO・EFOとの違いと改善の手順、成果につながる施策でも扱っています。

記事のどこで判断材料が揃うのか、記事ごとに設計する手が足りないなら
記事の企画と執筆に加えて、その記事のどこで読者の判断材料が揃うか、区画をどこに置いて何を書くかまで含めて設計します。公開済み記事の点検から始める形も選べます。
押せる区画にするための、サイズと間隔
見た目の話に加えて、寸法にも基準があります。Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)2.2では、達成基準2.5.8「ターゲットのサイズ(最低限)」がレベルAAとして追加され、ポインタ入力のターゲットに少なくとも24×24CSSピクセルを確保することが求められました。より高い水準である2.5.5「ターゲットのサイズ(高度)」はレベルAAAで、基準は44×44CSSピクセルです。

※ 出典:ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG) 2.2 日本語訳」
ここで注意したいのは、24×24が下限であって推奨値ではないことです。CTAエリアの主ボタンをこの寸法で作る話ではありません。スマートフォンで指を使って押す前提なら、44×44を満たす大きさから考え始めるほうが現実的でしょう。
見落とされやすいのが、ボタンとボタンの間隔です。WCAG 2.2の基準では、小さなターゲットが並ぶ場合に、中心から直径24CSSピクセルの円を描いて他のターゲットと重ならないことが条件に挙げられています。CTAエリアに複数のボタンやリンクを縦に並べるときは、押し間違いが起きない間隔を確保してください。とくに区画の下に小さなテキストリンクを添える構成では、ボタンとの距離が近すぎる例をよく見かけます。
ボタンは大きければ大きいほど押されるのでしょうか。
編集部
一定の大きさを超えると、押しやすさはほぼ変わらなくなります。むしろ大きくしすぎると、前の節で触れたバナーらしい見た目に近づき、読み飛ばされる側に寄ってしまいます。押されない原因が寸法にあるケースは実は多くありません。まずスマートフォンの実機で親指が届く位置に入っているか、押した後に何が起きるかがラベルから分かるかを確認するほうが先です。
改善は、区画の内側より先に外側から
CTAエリアの改善というと、色を変える、文言を変える、といった区画内部の調整から入りがちです。ただ、順番としては外側から見たほうが手戻りが減ります。
ページ名、区画の位置、見出し、説明文、ボタンのラベル、注記、遷移先のURLを一覧にします。この段階で、同じ行動を求める区画が別の言い回しになっている、遷移先が古いページのまま、といった問題が見つかることが多くあります。
本文のどこで読者が押す理由を得るのかを確認し、区画がその直後に来ているかを見ます。理由の提示より前に区画がある場合は、区画を下げるのではなく、理由の提示を早められないかを先に検討してください。
画像に焼き込んだ文字、本文と無関係な配色の帯、注意を引くための動き。これらを外して、本文と同じ書体の文章とボタンだけの構成に戻します。派手さを削ると数字が下がるように思えますが、読まれる確率が上がる分で相殺されることが少なくありません。
見出し、説明文、ボタン、注記、背景。手持ちの文言をこの5つに割り当て、どこにも入らない情報は区画の外へ出します。とくに実績や導入社数は、区画の直前のセクションへ移したほうが読まれます。
比較する期間の長さ、流入経路の内訳、季節要因を揃えたうえで数字を見ます。条件が違うまま比べると、施策の良し悪しを取り違えます。
この順番の要点は、3番目までが論理で判断できることにあります。位置が判断材料より前にある、広告に見える要素が入っている。どちらも数字を取らなくても直せる問題です。
ABテストで文言や色を検証する場合は、必要なクリック数を先に見積もってください。元のクリック率が低く、検出したい差が小さいほど、判断に必要な回数は増えます。月のクリックが数十回という規模では、差が出たように見えても偶然の範囲に収まることが多く、判断材料になりません。テストを回せる規模に達するまでは、上の3番目までを済ませるほうが確実です。
検証そのものの進め方は記事タイトルのA/Bテスト方法——CTRを1.5倍にした改善プロセスで扱っている考え方が、CTAエリアにもそのまま応用できます。区画を含めたサイト全体の受け皿設計はCV改善を実現する導線設計とは|課題別の改善策と実践的な設計手法を解説にまとめました。

CTAエリアについてのよくある質問
記事ページなら2から3か所、LPなら3から5か所が目安になります。ただし数そのものより、1つ目が最初の2画面以内にあるか、それぞれの区画が直前の本文とつながっているかのほうが結果に影響します。同じ区画を機械的に等間隔で貼り付けると、本文が広告に挟まれた見た目になり、読み飛ばされる側に寄ります。
スマートフォンでは有効な場面がありますが、本文の表示領域を常に削る点は考慮してください。長い記事で読了までに時間がかかる場合や、申し込みが主目的のLPでは効果が出やすい一方、短い記事では読みづらさのほうが目立ちます。導入する場合は、本文を隠す高さを抑え、閉じる操作を用意しておくと扱いやすくなります。
特定の色に正解はなく、本文の配色との関係で決めるほうが実務的です。本文で使っていない色を1色だけ使い、彩度は抑える。全幅に濃い帯を敷くとバナーに見えやすくなるため、薄い背景に枠線を添える形のほうが読まれやすい傾向があります。色より先に、区画の位置と中身の順番を確認してください。
バナーは画像1枚で完結する広告の形式、CTAエリアは見出しや注記を含む区画という違いがあります。バナーとして作ったCTAは、Nielsen Norman Groupが報告している通り、広告として認識されて無視される確率が上がります。文字はテキストとして書き、画像は補助にとどめるほうが安全です。
電話での問い合わせが実際に多い業種であれば入れてください。その場合は受付時間を必ず併記します。時間の記載がないと、営業時間外の読者が押してつながらず、その一回で離脱します。逆に電話対応の体制が薄い場合は、フォームに絞ったほうが取りこぼしは減るでしょう。
既存記事のCTAエリアが、読者の段階と噛み合っているか点検したいなら
公開済みの記事を検索意図の段階で分類し、どの記事にどの区画を置くかの整理からお引き受けします。必要な工程だけを切り出す形も可能です。
まとめ|CTAエリアは、区画として設計する
CTAエリアを構成するのは、見出し、説明文、ボタン、注記、背景の5つ。ボタンが答えられるのは押した後の動作だけで、自分向けの話かどうか、今やる意味があるかどうかには、その周囲の要素が答えます。色や文言を変えても動かない場合、多くはこの周囲が欠けています。
置く位置は、視線の調査データが判断基準になりました。閲覧時間の57パーセントがファーストビュー内、74パーセントが最初の2画面以内。1つ目の区画は、この範囲に入れておきたいところです。そして目立たせ方の方向を間違え、バナーらしい見た目に寄せると、広告として読み飛ばされる確率が上がります。
改善に着手するときは、色や文言より先に、位置と広告らしさという外側の2点を確認してください。この2つは数字を取らなくても判断できます。
合同会社Writers-hubでは、記事の企画から執筆、公開後の見直しまでを支援しています。既存記事のどこで読者の判断材料が揃うのか、区画をどこに置くべきかといった点検からご相談いただけます。
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