インタビューの質問を用意する段になって、検索で見つけた質問例を並べてみたものの、これで本番が持つのか判断できない。取材の準備でこの不安が出てくるのは、質問の数が足りないからではありません。
質問例のリストは、探せばいくらでも見つかります。50個並んだものも、120個並んだものもあります。それでも当日になると想定と違う方向に話が進み、手元のリストが動かなくなる。原因は、リストの1行1行が「何を取るための質問か」と結びついていないところにあります。
本記事では、企業のオウンドメディアや採用サイトの取材記事を制作してきた立場から、そのまま使える用途別の質問テンプレートと、それを自社の企画に組み直すための型を解説します。答えが薄かったときの深掘りと、60分をどう配分するかまで含めて整理しました。
- 質問例を並べただけのリストが本番で機能しなくなる理由
- 使える質問に共通する4層の型(事実・変化・理由・再現条件)
- 社員、導入事例、経営者、職業インタビューの質問テンプレート
- 相手に送る質問票と、手元に置く質問票の分け方
- 答えが薄いときの深掘り3手と、避けたほうがよい質問の形
質問例を並べたリストが、本番で機能しなくなる理由
質問例をまとめた記事は数多く公開されており、準備の入り口としては役に立ちます。ただ、そこから20問ほどを選んで並べた質問票だけを持って当日に臨むと、途中で行き詰まる場面が出てきます。
行き詰まり方には、いくつか決まった形があります。
- 相手が一言で答えてしまい、次の質問へ進むしかなくなる
- 話が広がりすぎて、時間内に聞きたい項目が終わらない
- 全部聞き終えたのに、記事に使える具体的な話が出ていない
- 想定外の良い話が出たのに、その場で掘り下げられずに流してしまう
いずれも質問の数を増やせば解決する問題ではありません。分かれ目になるのは、質問文の数ではなく、1問で何を取るかが決まっているかという点です。
取材の場では、次に何を聞くかを数秒で決めることになります。そのとき手元にあるのが質問文だけだと、判断材料はリストの順番しかありません。順番どおりに進めるか、飛ばすか。選択肢が2つしかない状態で1時間を過ごすことになります。
質問の横に「この質問で取りたい素材」が書いてあれば、判断の中身が変わります。素材が取れたなら次へ進み、取れていなければ角度を変えてもう一度聞く。同じ質問票でも、列が1つ増えるだけで当日の動き方が違ってきます。
もう1つ、実務で効いてくるのが「記事のどこで使うか」を書き添えておく習慣です。導入部で使う予定の話が取れていないまま終盤に入ったら、そこで優先順位を組み替えられます。取材が終わってから素材不足に気づくと、再取材を依頼するか、記事の主題を変えるかの二択になってしまいます。
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使える質問に共通する4層の型
では、1問で何を取ればよいのでしょうか。取材で具体的な話が出てくるときの流れを分解すると、おおむね4つの層に整理できます。この4層を意識して質問を並べるだけで、返ってくる答えの質が変わります。

層 | 聞くこと | 質問文の例 | 記事での使いどころ |
|---|---|---|---|
1. 事実 | いつ、何を、どれだけ | 直近3か月でいちばん時間を使った仕事はどれでしたか | 具体性の土台となる描写 |
2. 変化 | 前と後で何が変わったか | 始めた頃と今とで、手順が変わったところはありますか | 記事の山場になる部分 |
3. 理由 | なぜその選択をしたか | 変えると決めたのは何がきっかけでしたか | 読者が納得する根拠 |
4. 再現条件 | 同じ状況の人は何をすればよいか | 同じ課題を持つ人には、何から始めるよう伝えますか | 読後に行動が残る締め |
順番には理由があります。抽象語を主語にした質問には、抽象的な答えが返ります。「やりがいは何ですか」と聞けば「お客様に喜んでいただけたときです」と返ってくる。この答えは誰が答えても同じ形になり、記事にしたときに人物が見えません。
先に事実を1つ置いてもらうと、話が変わります。「直近3か月でいちばん時間を使った案件はどれでしたか」と聞き、具体的な案件が出てから「その案件で、いちばん手応えがあった瞬間はいつでしたか」と続ける。同じやりがいを聞いているのに、返ってくるのは特定の場面の話になります。
事実から順に聞くと話が事務的になって、盛り上がらない気がします。最初に想いを聞いたほうが、良い言葉が出てくるのではないでしょうか。
編集部
想いから聞いて良い言葉が返るのは、相手が何度も取材を受けていて、話が完成している場合です。初めて取材を受ける方に想いを先に聞くと、その場で作った一般論が返ってきます。事実を1つ置いてもらってから理由を聞けば、その事実に紐づいた言葉が出てきます。想いを聞かないのではなく、聞く順番の話だと考えてください。
4層のうち、準備段階で抜けやすいのは4番目です。事実と変化と理由まではリストに入っていても、再現条件を聞く質問を用意していないケースは多く見かけます。記事の読者は取材相手の人生を知りたいのではなく、自分がどうすればよいかを知りたい。その橋渡しをする質問が、最後の層になります。
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インタビューの質問テンプレートを作る4ステップ
用途別のテンプレートを見る前に、自分の企画に合わせて質問を組み立てる手順を押さえておくと、後の作業が早くなります。既存の質問例を使う場合も、この順で当てはめていくと不要な質問を落とせます。
掲載する媒体、想定の分量、見出しの仮案を先に書き出します。質問は見出しを埋める素材を取るための手段であって、質問から記事が生まれるわけではありません。見出しが3つなら、そこに必要な素材も3系統に絞られます。
ここではまだ質問文を書きません。「何が書いてあれば、この見出しが成立するか」を書きます。たとえば「入社前後で変わったこと」という見出しなら、必要なのは入社前の想像、実際に起きたこと、その差に気づいた場面の3点です。素材の粒度で書いておくと、質問文が自然に決まります。
素材ごとに、4層のどこを取る質問なのかを決めて文にします。1つの素材に対して質問文は1つに絞り、聞けなかった場合の言い換えを別列にメモしておきます。1文に2つの内容を詰め込まないよう、書いた後で読み返してください。
作った質問のうち、相手に事前共有するものを選びます。全部を送ると当日の答えが準備された内容に寄るため、大きな枠だけを送るのが基本です。分け方の考え方は次の章で詳しく説明します。

この順で作ると、質問数は自然と減ります。20問を超えた場合は、同じ素材を取る質問が重複しているか、記事に使う予定のない素材を聞こうとしている可能性が高いでしょう。
見出しの仮案は、取材で外れて構いません。むしろ仮案を持って臨むからこそ、その場で「想定と違う」と気づけます。外れたと分かった時点で、残り時間の質問を組み替えればよい。仮案を持たずに臨むと、外れていることにすら気づけないまま終わります。
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用途別のインタビュー質問テンプレート
ここからは、実際の制作でよく使う4つの用途について、質問テンプレートを掲載します。3つ目の列には、答えが短く返ってきたときの一手を添えました。そのまま全問を聞くのではなく、前章の手順で自分の企画に当てて削ってから使ってください。
社員インタビュー(採用サイト・オウンドメディア)
採用サイトの社員インタビューは、応募者が「自分がここで働く姿」を想像できるかどうかで価値が決まります。会社の良さを語ってもらうより、1日の中身と判断の場面を取りに行くほうが結果的に効きます。
質問 | この質問で取る素材 | 薄い答えが返ったときの一手 |
|---|---|---|
直近3か月で、いちばん時間を使った仕事はどれでしたか | 担当業務の実像 | その仕事は週にどのくらいの時間でしたか |
始めた頃と今とで、手順が変わったところはありますか | 成長の具体 | 変える前は何が起きていましたか |
入社前に想像していた働き方と、実際で違ったのはどこですか | 入社前後の差 | 違うと最初に感じたのはいつでしたか |
その違いに慣れるまで、どのくらいかかりましたか | 適応の期間 | 慣れたと感じた出来事はありましたか |
いちばん相談することが多いのは、社内のどなたですか | 人間関係の具体 | 直近だと、どんな相談をしましたか |
うまくいかなかった案件を1つ挙げるとしたら、どれでしょうか | 失敗とその後 | 同じ状況になったら、次は何を変えますか |
この会社を人に勧めるとしたら、どんな人に勧めますか | 適性の言語化 | 逆に、合わないのはどんな方だと思いますか |
入社を迷っている人が1日見学するなら、どの日を見せたいですか | 職場の実像 | その日は何が起きている日ですか |
最後の質問は、実際の取材で反応が良い形です。「うちの職場の魅力は」と聞かれると多くの人は言葉に詰まりますが、「どの日を見せたいか」なら具体的な1日を思い出して答えられます。抽象的な問いを、選択の問いに置き換える考え方は他の場面でも使えます。
導入事例・お客様インタビュー(BtoB)
導入事例は、読み手が自社の状況と重ねられるかどうかが要点になります。成果の大きさより、導入前の状態がどれだけ具体的に書けているかで説得力が決まると考えてください。
質問 | この質問で取る素材 | 薄い答えが返ったときの一手 |
|---|---|---|
導入前、どの業務にいちばん時間がかかっていましたか | 課題の所在 | 1件あたり、どのくらいの時間でしたか |
変えようと動き出したきっかけは何でしたか | 検討の起点 | その判断をされたのはいつ頃でしたか |
検討時、ほかにどんな選択肢を比べましたか | 比較の軸 | 比べるときに見ていた項目は何でしたか |
最終的に決め手になったのはどの点でしたか | 選定理由 | その点が欠けていたら、どうされていましたか |
社内で反対や懸念の声はありましたか | 導入の障壁 | どう説明して合意を取りましたか |
導入後、最初に変化を感じたのはいつ頃でしたか | 効果の実感 | そのとき、何が起きましたか |
数字で変わったところがあれば教えてください | 定量的な成果 | 公開できる範囲だと、どのくらいの幅で言えますか |
同じ課題を抱える会社には、何から始めるよう伝えますか | 読者への示唆 | 準備しておくとよかったものはありますか |
数字を聞く質問は、そのまま投げると「あまり出せません」で終わりがちです。公開範囲を先に確認したうえで聞くと通りやすくなります。「社名を伏せた形なら出せますか」「率だけならいかがですか」と、出し方の選択肢を用意して聞くのが実務的な進め方でしょう。
代表・経営者インタビュー
経営者への取材は、相手が話し慣れている分だけ、既に完成した物語が返ってきやすい領域です。会社案内やほかのメディアで語られている内容を事前に読み込み、そこに載っていない場面を取りに行く設計にします。
質問 | この質問で取る素材 | 薄い答えが返ったときの一手 |
|---|---|---|
創業前、直前まで何をされていましたか | 出発点の事実 | その仕事は何年続けられましたか |
事業を始めると決めた日のことを覚えていますか | 意思決定の場面 | その日は何がありましたか |
最初のお客様はどうやって見つかりましたか | 初期の具体 | その方とは今も取引がありますか |
いちばん人や資金が足りなかった時期はいつでしたか | 危機の実像 | その時期、何を優先されましたか |
事業のやり方を大きく変えた判断はありましたか | 転換点 | 変える前と後で、何が違いますか |
ご自身で決めることと任せることの線引きはどこですか | 経営の考え方 | 任せると決めたきっかけは何でしたか |
3年後、社内の何が変わっていてほしいですか | 将来像 | そのために今年やることは何ですか |
当時のご自身に1つ助言できるとしたら、何と言いますか | 読者への示唆 | それはどの経験から言えることでしょうか |
「覚えていますか」という聞き方は、記憶の掘り起こしを促す形です。「なぜ創業したのですか」と聞くと理由の説明が返りますが、日付や場面を尋ねると、その日の光景から話が始まります。理由を聞きたいときほど、事実を先に置いてもらうという原則がここでも効きます。
職業インタビュー(お仕事紹介・学生の職業調べ)
働く人を紹介する記事や、学校の課題として行う職業インタビューでは、読み手が職業を知らない前提で組み立てます。専門的な話より、1日の流れと道具の話のほうが伝わります。
質問 | この質問で取る素材 | 薄い答えが返ったときの一手 |
|---|---|---|
昨日1日の流れを、朝から順に教えてください | 仕事の実像 | その中で、いちばん長かった作業は何ですか |
この仕事に就くまで、どんな道を通られましたか | 経路 | 必要だった資格や勉強はありましたか |
就いてみて、思っていたのと違ったのはどこですか | 想像との差 | 違うと気づいたのはいつでしたか |
一人前になるまで、どのくらいかかりましたか | 習熟の期間 | 一人前だと感じた出来事はありましたか |
使う道具のうち、これがないと困るものは何ですか | 仕事の具体 | それはどんな場面で使いますか |
うまくいかない日は、どんな日ですか | 仕事の難所 | そういう日はどう立て直しますか |
この仕事に向いているのは、どんなことが好きな人ですか | 適性 | 逆に、続かないのはどんな方ですか |
中学生が今日から始められることがあるとしたら、何ですか | 読者への行動 | それはなぜ役に立つのでしょうか |
「昨日1日の流れを」という聞き方は、職業インタビューで最も外れが少ない切り出しです。「どんなお仕事ですか」だと職種の説明が返ってきますが、昨日の話なら具体的な作業が並びます。記事にしたとき、読者が想像できるのは後者のほうでしょう。
質問設計から取材、原稿まで手が回っていませんか
テンプレートは用意できても、企画ごとに組み直し、取材に同席し、原稿にまとめるところまで社内で回すのは負担の大きい工程です。Writers-hubでは、取材設計から当日の進行、執筆、原稿確認までを制作体制ごと支援しています。まず1本だけ試したいという形でも対応できます。
質問票は「送る用」と「手元用」の2種類つくる
質問リストを事前に相手へ送るべきかどうかは、取材準備で必ず迷うところです。結論から言えば、送る内容を絞ったうえで送るのが最も安全な進め方になります。
事前共有には、はっきりした利点と副作用の両方があります。
- 相手が数字や事例を用意してくれる
- 当日に説明する時間を短縮できる
- 話しづらい話題を事前に外してもらえる
- 取材の目的が伝わり、当日の温度が上がる
- 用意された模範解答だけが返ってくる
- 原稿を読み上げる口調になり、言葉が硬くなる
- 想定外の話へ踏み込みにくくなる
- 質問順に固執され、話の流れを変えにくくなる
副作用を避けつつ利点を取るために、質問票を2種類に分けます。送る用は5問から7問、手元用は深掘りまで含めて15問前後が目安です。送る用には大きな枠だけを書き、手元用にはその枠を掘るための派生質問を紐づけておきます。
たとえば送る用に「導入前に時間がかかっていた業務について」とだけ書いておき、手元用には所要時間、担当人数、いつからその状態だったか、といった深掘りの質問を並べておく。相手は何を聞かれるか分かった状態で臨めますし、答えを一字一句用意する必要もありません。
相手が広報部門を通す場合や、上場企業への取材では、全質問の事前提出を求められることがあります。その場合は素直に全問を出したうえで、当日その場で派生する質問については確認を取りながら進める旨を添えておくと、後の調整が楽になります。事前に外した話題を当日いきなり聞くのは避けてください。
送る用の質問票には、質問以外の情報も入れておきます。所要時間、実施方法、録音の可否、写真撮影の有無、公開予定時期、原稿確認の有無。当日に確認すると細かい話で時間を使ってしまうため、事前に文書で渡しておくほうが効率的でしょう。
答えが薄いときの深掘り3手と、避けたい質問
準備を尽くしても、返ってきた答えが一言で終わることはあります。そこで諦めて次の質問に進むと、記事に使えない素材ばかりが積み上がります。答えが薄いのは相手の問題ではなく、質問の粒度の問題だと考えて、その場で角度を変えてください。
深掘りの手は、大きく3つに整理できます。どれも同じ話題を別の面から聞き直す動きです。
具体化(いつ、どれだけ、誰と)
最も使う頻度が高い一手です。「大変でした」に対して「どのくらいの期間でしたか」「その間、何人で対応されていましたか」と数量や時期を尋ねます。数字が1つ入るだけで、記事の描写が変わります。
相手が数字を覚えていない場合も、「だいたいで構いません」と添えれば概算が出てきます。概算であることを記事で明示すれば、正確性を損なわずに具体性を足せるでしょう。
比較(前はどうだったか、ほかはどうか)
「今はどうですか」に対する答えが薄いときは、比較対象を持ち出します。「以前はどうでしたか」「ほかの部署ではどうされていますか」と並べると、差分として語れるようになります。人は絶対的な評価より、差を語るほうが言葉が出やすい傾向があります。
反証(そうしなかったら、どうなっていたか)
3つ目は、選ばなかった側を聞く手です。「もし導入していなかったら、今どうなっていたと思いますか」「別の方法を選んでいたら、何が違いましたか」と尋ねます。この問いは選択の理由を裏側から照らすため、本人も整理できていなかった判断基準が言葉になる場面があります。
沈黙が怖くて、答えが返る前に次の質問を足してしまいます。どう我慢すればよいでしょうか。
編集部
3秒だけ待つと決めておくのが実践的です。二重質問になりやすいのは、まさにその沈黙の場面でしょう。相手は答えを組み立てている途中で、待った分だけ具体的な話が出てきます。どうしても間が持たないときは、質問を足すのではなく「今のお話、もう少し伺ってもよいですか」と一言置くだけで十分です。
避けたほうがよい質問の形
深掘りの反対側として、答えを狭めてしまう質問の形も押さえておきます。準備の最後に、作った質問文を次の観点で読み返してください。
- 1文に2つの内容が入っている(何を答えればよいか分からなくなる)
- 答えを先に示して同意を求めている(誘導になり、記事の信頼を落とす)
- はいかいいえで終わる確認だけになっている
- 相手が公開できない数字を、出し方の相談なしに正面から聞いている
- 本人の適性や仕事と関係のない、私生活に踏み込む内容が入っている
最後の項目は、採用サイト向けの社員インタビューでとくに注意が要ります。採用選考の場面では、本籍や出生地、家族に関すること、住宅状況、宗教や支持政党といった、本人に責任のない事項や本来自由であるべき事項を尋ねて把握することが、就職差別につながるおそれがあると示されています。

※ 出典: 厚生労働省「公正な採用選考の基本」
上記は採用選考を対象にした考え方であり、取材そのものを規制するものではありません。ただし採用サイトに載る社員インタビューは応募者が読む前提の媒体です。記事の企画として社員の家族構成や出身地を扱う場合は、本人の同意を取ったうえで、応募者に「選考でも聞かれる」と受け取られない書き方になっているかを確認してください。
60分のインタビューをどう配分するか
質問票ができたら、最後に時間の配分を決めます。ここを決めずに臨むと、前半で丁寧に聞きすぎて後半が駆け足になる進み方になりがちです。

区間 | 目安 | やること |
|---|---|---|
導入 | 5分 | 挨拶、企画の目的説明、録音と撮影の許諾 |
事実の確認 | 15分 | 経歴や担当業務など、調べた内容の裏取りと補足 |
深掘り | 25分 | 変化と理由。最も時間を使う区間 |
まとめ | 10分 | 再現条件、読者へのメッセージ、自由に話す時間 |
事務確認 | 5分 | 写真の掲載可否、数字の公開範囲、原稿確認の段取り |
配分から逆算すると、本題に使える時間は実質40分、聞ける質問は10問前後という計算になります。準備段階で30問持っていても構いませんが、当日に全部を通す前提で組むと必ず溢れます。
見落とされやすいのが最後の5分です。事務確認を「後でメールすれば良い」と省くと、公開直前に写真の許諾が取れていないと分かって進行が止まる、という事故につながります。相手が目の前にいる時間のほうが、確認は圧倒的に早く終わります。
自由に話す時間を終盤に置くのも、経験的に効く設計です。「最後に、聞かれなかったけれど話しておきたいことはありますか」と尋ねると、こちらが用意していなかった角度の話が出てくることがあります。記事の主題そのものが変わる発言が、この時間に出るケースも珍しくありません。
社内でインタビューを回せるようにしたい方へ
質問の型や時間配分は、一度作れば担当者が変わっても使えます。とはいえ、社内の手順として定着させるには、最初の数本を一緒に回して基準をそろえる過程が要ります。Writers-hubの内製化支援では、質問設計から取材の同席、原稿レビューまで伴走し、外部に頼らず回せる状態づくりをお手伝いしています。
インタビューの質問についてよくある質問
制作の相談を受けるなかで、繰り返し聞かれる質問をまとめました。
60分の取材であれば、当日に聞くのは10問前後です。準備としては、その2倍から3倍にあたる20問から30問を手元に置いておくと安心できます。多く用意すること自体は問題ありませんが、全部を聞き切る前提で臨むと深掘りができなくなるため、優先順位を付けておいてください。
事前に調べた事実の確認から入るのが安全です。「公開情報では入社が2019年とありましたが、合っていますか」といった形なら、相手は短く答えられますし、こちらが下調べをしていることも伝わります。自己紹介を求める形は、何をどこまで話せばよいか相手が判断できず、最初から重い問いになりがちです。
送る内容を絞って送るのが基本です。大きな枠にあたる5問から7問だけを共有し、深掘りの質問は手元に残します。全問を送ると準備された答えに寄り、当日の言葉が硬くなる傾向があります。ただし広報部門を経由する取材では全問提出を求められる場合があるため、その際は指示に従ってください。
質問そのものは変わりませんが、配分が変わります。オンラインでは沈黙が対面より重く感じられ、深掘りの間を取りにくくなります。1つの話題を掘る質問をあらかじめ3つほど手元に用意しておくと、間を埋めながら進められます。会議ツールの背景に質問項目を貼っておく方法も、視線を落とさずに済むため有効です。
目的が違うため、そのまま流用はできません。採用面接は応募者を評価するための場であり、社員インタビューは既に働いている人の話を記事にする取材です。とくに家族や生活環境など本人の適性と関係のない事項は、採用選考の場では把握しないことが求められています。記事の企画でその領域に触れる場合は、本人の同意を前提に扱ってください。
事実を尋ねる質問の比率を上げてください。意見や感想を求める質問は、話し慣れていない方にとって答えの正解が見えず、答えづらいものです。昨日の作業、使っている道具、担当した件数といった、思い出せば答えられる問いを並べ、そこから理由を聞く順にすると言葉が出やすくなります。
まとめ
インタビューの質問テンプレートは、質問文を集めた一覧ではなく、1問ごとに何を取るかを決めた対応表として持つと機能します。記事の見出しから必要な素材を割り出し、素材を質問文に翻訳する。この順を守れば、質問の数は自然に絞られていきます。
当日に迷ったときの拠り所になるのは、事実、変化、理由、再現条件という4つの層です。答えが薄いと感じたら、具体化、比較、反証のいずれかで角度を変える。その判断ができれば、想定と違う方向に話が進んでも記事に必要な素材を持ち帰れます。
合同会社Writers-hubでは、企業のオウンドメディアや採用サイトの取材記事を、企画設計から取材、執筆、原稿確認の運用まで一貫して支援しています。質問設計に毎回時間がかかっている、担当者によって取材の質が揺れるといった課題があれば、現状の進め方を伺ったうえで、どの工程を仕組みにできるかからご提案します。
次の取材の質問設計から、相談してみませんか
本記事のテンプレートは、企画ごとに組み直して初めて力を発揮します。とはいえ、その組み直しに毎回時間を使うのは負担でしょう。今回の取材で何を取りに行くべきか、質問票のどこを削るべきか。無料の相談枠で、実際の企画を見ながらご一緒に整理するところから始められます。








