「インタビューの台本を用意しておいてください」と頼まれて、質問を10個ほど書き出したところで手が止まる。取材の経験が浅いうちは、多くの人がここでつまずきます。この並びで合っているのか、数は足りているのか、判断する基準がないからです。
結論から申し上げると、台本の出来を決めるのは質問の数ではありません。台本は「聞きたい順」ではなく「記事に載せる順」で組む。この一点を変えるだけで、当日の進行も、取材が終わったあとの執筆にかかる時間も変わってきます。
本記事では、取材を伴う記事制作を数多く手がけてきた制作会社の視点から、台本の中身、質問の作り方と並べ方、時間配分の決め方、そして当日どう使うかまでを通して整理しました。最後にそのまま流用できるひな形も置いていますので、次の取材の準備からお使いください。
- 質問リストと台本の違い、台本に書くべき6つのブロック
- 記事の見出し案から質問を逆算する、大問と小問の作り方
- 30分・60分・90分それぞれの時間配分と、用意する質問数の目安
- コピーして使える台本のひな形
- 当日どこで台本を崩し、どの質問を捨てるかの判断基準
インタビューの台本とは、当日の進行を書き出した進行表
インタビューの台本とは、取材当日に何を、どの順番で、どれくらいの時間をかけて聞くのかを書き出した進行表を指します。舞台の台本のように一言一句を読み上げるものではなく、進行役が手元に置く運行表に近いものだと考えてください。
現場では「質問リスト」と同じものとして扱われがちですが、両者は役割が違います。質問リストは聞きたい項目を並べた一覧で、台本はそこへ時間配分と深掘りの分岐、終了時の確認事項まで組み込んだものです。項目が並んでいるだけの紙は、当日ほとんど機能しません。
| 質問リストだけ | 台本にしておく | |
|---|---|---|
| 当日の時間管理 | × 残り時間の判断がつかない | ◎ ブロックごとに目安時刻がある |
| 話が逸れたとき | △ 戻す基準がない | ○ 削る質問を先に決めてある |
| 深掘り | × その場の思いつき | ◎ 想定回答と追加の問いを用意済み |
| 取材後の執筆 | △ 素材の並べ替えから始まる | ◎ 見出し順に素材が並んでいる |
| 事前共有 | ○ そのまま送れる | ○ 共有用を切り出して送る |
台本という言葉から、一字一句を決めた原稿を想像した方もいるかもしれません。実際に用意するのは、話の骨組みと時間の目安、そして答えが浅かったときの逃げ道です。書き込む量は多くありません。
台本が要るのは、聞き漏らしより「記事にならない」を防ぐため
台本の目的は聞き漏らし防止だと説明されることがありますが、実務でより重いのは別の失敗です。録音を聞き返せば発言そのものは拾えても、その場で聞かなかったことは、あとから取り返せません。
たとえば導入事例の取材で、導入前の課題は詳しく聞けたのに、導入後にどの業務がどう変わったかを具体的に聞き逃したとします。この素材で原稿を書くと、事例記事の核心である前後の変化が薄くなる。再取材を依頼するには相手の時間をもう一度押さえる必要があり、公開スケジュールも後ろへ倒れます。台本は、この取り返しのつかない抜けを構造的に減らす道具だといえます。
もうひとつ、台本があると当日の判断が速くなります。相手が想定より熱心に語り始めたとき、そのまま任せてよいのか、次へ進むべきか。この判断は、残り時間と未消化の質問が見えていて初めて下せるものです。
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台本を書く前に決めておく3つの前提
いきなり質問から書き始めると、あとで大幅な組み替えが起きます。先に固めておきたい前提が3つあります。
記事のゴールを一文にする
その記事を読んだ人に、何を理解して、次に何をしてほしいのか。採用サイトの社員インタビューなら「応募をためらっている人の不安を減らし、エントリーまで進んでもらう」。導入事例なら「同じ課題を抱える担当者に、自社でも再現できそうだと感じてもらう」。この一文が決まると、聞くべきことと聞かなくてよいことが自然に分かれます。
ゴールが曖昧なまま作った台本は、質問が総花的になりがちです。経歴、やりがい、今後の目標といった当たり障りのない項目が並び、どの会社の記事にも見える原稿ができあがってしまう。質問の良し悪しは、ゴールとの距離で決まります。
掲載形式を先に選ぶ
インタビュー記事の形式は大きく3つに分かれます。話し手と聞き手のやりとりをそのまま見せるQ&A形式(対談形式)、話し手の一人称で語らせるモノローグ形式、書き手が第三者として描くルポ形式(三人称形式)です。
形式が変われば、必要な素材も変わります。Q&A形式では質問文がそのまま小見出しになるため、質問の文言まで整えておく価値がある。一人称形式の場合、聞き手の質問は原稿に残らないので、相手が主語で語り切れる問いを立てる必要があります。三人称形式なら、場の様子や表情など発言以外の情報も「観察項目」として台本に入れておくと、原稿に厚みが出るでしょう。
相手に渡す版と手元版を分ける
質問を事前に共有すると相手が準備してくれるため、回答の精度は上がります。ただし手元の台本をそのまま送るのはおすすめしません。共有版には大きな問いだけを載せ、深掘り用の細かい問いや想定回答、時間配分は手元に残す。事前共有は大問だけ、深掘りは当日という線引きが扱いやすいところです。
理由は2つあります。細かい質問まで見せると相手が回答を用意しすぎて、当日の言葉が朗読のようになってしまう。もう1つは、想定回答や「ここは踏み込む」といったメモが相手の目に触れると、警戒を招きかねないためです。
共有版に一言添えるだけで当日の進行が楽になります。「当日はこの流れで伺いますが、お話の展開によって順番が前後します」と書いておくと、台本どおりに進まなくても相手が不安を感じません。
前提を3つ挙げましたが、社内から「社員の魅力が伝わる記事にして」程度の指示しか降りてこないことも珍しくないでしょう。その場合は、採用活動のどの段階を動かしたいのかをひとつ選んでみてください。応募数を増やしたいのか、面接後の辞退を減らしたいのかで、聞くべき内容は変わります。前者なら仕事の面白さや入口のハードル、後者なら入社後のギャップや働き方の実態が中心になる。選びきれないときは、直近で困っている数字はどれかと逆から尋ねると答えが出やすいはずです。
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インタビュー台本の構成
台本に決まった書式はありませんが、実務で使いやすい形はおおむね共通しています。前から順に、基本情報、進行の時間配分、アイスブレイク、本題、締めの確認、事務連絡という並びです。

ブロック | 書く内容 | 60分取材での目安 |
|---|---|---|
基本情報 | 日時、場所、参加者、役職の正式表記、記事のゴール一文 | ー |
進行の時間配分 | ブロックごとの開始時刻 | ー |
アイスブレイク | 最初に触れる話題を2つか3つ | 3分 |
本題 | 大問と小問、想定回答 | 40分 |
締めの確認 | 言い残しの確認、写真、掲載範囲 | 12分 |
事務連絡 | 原稿確認の期日、公開予定日、連絡先 | 5分 |
見落とされやすいのは、最後の2ブロックです。役職の正式表記、社名の表記ゆれ、写真の撮影可否、掲載してよい範囲。こうした項目は取材後にメールで確認できると思われがちですが、往復が増えるほど公開は遅れていきます。確認事項を台本の末尾に固定の欄として置き、その場で潰す運用にすると、原稿確認の戻りが目に見えて減ります。
録音データの扱いにも一度目を向けておきましょう。取材音声には個人に関する情報が含まれるため、保存期間や社内での共有範囲をあらかじめ決めておくほうが安全です。判断に迷う場面では、公式の解説を参照しておくと社内説明もしやすくなります。

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質問の作り方と並べ方
台本の中身でもっとも差が出るのが本題のブロックです。ここは3つの手順に分けて組み立てます。
質問より先に、記事の見出し案を書きます。導入事例なら「導入前に何に困っていたか」「何を基準に選んだか」「導入後に何が変わったか」「これから何をしたいか」。この段階では仮の言葉でかまいません。見出しが決まると、その見出しの下に入る発言を取ってくればよい、という形に取材の目的が具体化します。
見出し1つにつき、正面から尋ねる大問を1つ用意します。そこへ、答えが浅かったときに使う小問を添える。小問は「具体的にはどんな作業でしたか」「そのときどう感じましたか」「社内に反対の声はありませんでしたか」のように、深さの方向を変える問いにしておくと使いやすいでしょう。
大問の下に、返ってきそうな答えを一行で書いておきます。当てにいくためではなく、想定と違ったときに気づくためです。想定どおりなら次へ進み、外れたらそこが記事の面白い部分なので深掘りする。この判断が当日その場で下せるようになります。
順番は、原則として時系列に沿わせます。人は記憶を時間の流れで持っているため、過去から現在へ向かう並びのほうが思い出しやすく、話も具体的になりやすい。逆に「今後の展望は」といった未来の問いを序盤に置くと、抽象的な言葉が返ってきがちです。
そのうえで、並べ替えの基準は聞きたい順ではありません。記事に載せる順に質問を並べるのが基本です。取材が終わった時点で素材が見出し順にそろっていれば、文字起こしを眺めながら構成を考え直す工程がまるごと不要になります。

質問の文言は「はい・いいえ」で終わらない形にする
台本の質問を見直すとき、最初に確認したいのは文末です。「〜されていますか」で終わる問いは、一言で答えが終わってしまいます。「どのように」「なぜ」「どんな場面で」を頭に置くと、答えが文章の形で返ってくる。
ただし、開いた問いばかりを並べるのも考えものでしょう。話が広がりすぎて時間内に収まらなくなります。事実関係の確認は閉じた問いで短く済ませ、記事の核になる部分だけを開いた問いで深く聞く。この配分が、限られた取材時間を活かす現実的なやり方です。
質問設計まで含めて任せられる先を探していませんか
見出し案から質問を逆算する作業は、記事の設計そのものです。社内に取材の経験者がいない、あるいは編集の手が足りないという場合は、企画から取材、執筆までを一体で預ける方法もあります。合同会社Writers-hubでは、台本の設計段階から関わる記事制作の支援を行っています。
時間配分と質問数の目安
取材時間は60分で設定されることが多く、90分や30分になる場合もあります。ここで気をつけたいのは、確保した時間がそのまま質問に使える時間ではないという点です。名刺交換、趣旨説明、録音の許可取り、写真撮影、事務連絡。前後の工程で15分前後は消えていきます。
| 30分 | 60分 | 90分 | |
|---|---|---|---|
| 名刺交換・趣旨説明・アイスブレイク | 2分 | 3分 | 5分 |
| 本題に使える時間 | 20分 | 40分 | 65分 |
| 締めの確認・事務連絡 | 8分 | 12分 | 15分 |
| 用意する大問の数 | 4問前後 | 7問前後 | 10問前後 |
| 深掘りの余裕 | × ほぼない | ○ 1問あたり2、3回 | ◎ 脱線した話も拾える |
※ 上記は取材を伴う記事制作の現場で使っている目安であり、公的な統計にもとづく数値ではありません。相手の話す速度や題材によって前後します。

大問の数を決める考え方は次のとおりです。1つの大問に小問を2つから3つぶら下げると、深掘りまで含めて1問あたり5分前後かかります。本題が40分なら単純計算で8問。ここへ、想定外の話に乗るための余白を1問分残して7問前後に収めておく。質問を詰め込むほど、記事は浅くなります。
初めて台本を作る人ほど、質問数を多く用意する傾向があります。不安だから増やす。ところが当日は、用意した質問を消化することが目的にすり替わり、相手の答えを追いかける余裕がなくなってしまう。結果として、どの答えも表面をなぞっただけの素材が並びます。用意する質問を減らし、深掘り用の小問を増やすほうが、取材の密度は上がるでしょう。
60分の取材で質問を7問しか用意しないと、話が途切れて沈黙になりませんか。
編集部
沈黙は、相手が考えている時間でもあります。すぐ次の質問へ移ると、いちばん本音に近い言葉を取りこぼしてしまう。3秒ほど待ってみてください。それでも言葉が出てこないときのために、小問を用意しておくわけです。
そのまま流用できる台本のひな形
ここまでの内容を、実際の台本の形に落とし込みます。コピーして、見出し案と質問を差し替えてお使いください。
【インタビュー台本】
■ 基本情報
日時 / 場所(オンラインの場合は接続URL)
取材対象者:氏名・役職の正式表記
同席者:
記事のゴール(一文):
掲載形式:Q&A / 一人称 / 三人称
公開予定日:
下調べで判明していること(当日は聞かない):
■ 進行(60分)
00:00 名刺交換・趣旨説明・録音の許可
00:03 アイスブレイク
00:06 本題1
00:12 本題2
...
00:46 締めの確認
00:55 事務連絡・写真撮影
■ 本題
見出し案1:
大問:
小問a:具体的にはどんな場面でしたか
小問b:そのときどう感じましたか
想定回答:
優先度:必須 / あれば厚みが出る
見出し案2:
...
■ 締めの確認
言い残したこと、伝えておきたいことはあるか
掲載してよい範囲(社名・数値・固有名詞)
役職と氏名の表記
写真の撮影可否と使用範囲
■ 事務連絡
原稿確認の依頼日と返送期限
公開予定日
連絡先このひな形で肝になるのは、進行の欄に経過時刻を書き込む点です。「アイスブレイク3分」と書くより「00:03」と書いたほうが、当日の残り時間を一目で把握できます。取材が押しているのか巻いているのかを時計だけで判断できる状態にしておくと、削る決断が速くなります。
優先度の欄も忘れずに埋めてください。この一列があるかないかで、終盤の進め方が変わってきます。
オンライン取材なら、この台本を画面の横に開いたまま進められます。対面の場合はA4用紙1枚に収まる分量まで削ってください。ページをめくる動作が増えるほど、相手から視線が外れる時間が長くなります。
当日、台本をどう使うか
台本を作った人がいちばん陥りやすい失敗は、台本どおりに進めようとすることです。用意した順番を守ること自体は目的ではありません。
順番は崩れる前提で持つ
相手が3問目の答えの中で、5問目に聞くつもりだった内容を語り始める。よくある展開です。ここで「では次の質問ですが」と巻き戻すと、相手の話の流れを断ち切ってしまう。乗っている流れに合わせて質問の順番を入れ替え、消化した質問には台本へ線を引く。この操作を繰り返すほうが、結果として濃い素材が集まります。
捨てる質問を先に決めておく
時間が足りなくなったとき、その場で優先順位を考える余裕はありません。台本を作った段階で、記事に不可欠な質問と、あれば厚みが出る質問に印を分けておく。削る候補は取材前に決めておくわけです。終盤の判断が機械的になり、焦りから重要な問いを飛ばす事故も防げます。
深掘りは方向を決めて聞く
「もう少し詳しく」と重ねるだけでは、同じ話の言い換えが返ってくることも少なくありません。深掘りには方向があります。
- 具体化 — そのとき具体的にどんな作業をしていたか
- 数量化 — 何人で、どれくらいの期間がかかったか
- 感情 — 判断した瞬間、どう感じたか
- 対立 — 社内に反対の声はなかったか
- 分岐 — もし別の方法を選んでいたらどうなっていたか
この5方向を台本の余白に書いておくと、答えが浅かったときの次の一手が出てきます。とくに「対立」と「分岐」は、記事の読みどころになる話を引き出しやすい方向です。順調に進んだ話だけを並べた原稿は、読み手にとって既視感の強いものになってしまいます。
メモは全部取らない
手元の台本に書き込むのは、あとから探しにくい情報だけで足ります。数値、固有名詞、印象的な言い回し、そして深掘りしたい箇所への印。発言そのものは録音が拾ってくれるからです。メモを取ることに集中すると、相手の表情の変化や言いよどんだ瞬間を見落とします。言いよどみは、多くの場合そこに本音があるという合図でもあります。
台本づくりでよくある失敗
制作の現場で見かける失敗は、いくつかの型に収まります。
- 質問を20問以上並べ、当日は消化に追われて深掘りができない
- 事前に送った質問状と手元の台本が同じで、相手の回答が用意された朗読になる
- 見出し案を作らずに質問を書き、取材後に素材の並べ替えから始めることになる
- 締めの確認欄がなく、役職表記や掲載範囲の確認がメールの往復に膨らむ
- 下調べを省き、公開情報で分かることを貴重な取材時間で聞いてしまう
最後の項目は、相手の心証にも直結します。公式サイトや過去の取材記事を読めば分かることを質問に入れると、準備不足がそのまま伝わります。下調べで判明した事実は台本の基本情報欄にまとめ、当日は「◯◯と伺っていますが」と前置きしてからその先を尋ねる。この一言があるかないかで、会話の深さが変わってきます。
下調べはどこまでやれば十分と言えるのでしょうか。
編集部
公開情報で答えが出てしまう質問が、台本から消えるまでが目安です。会社概要や沿革、代表的な製品、過去に出ているインタビュー記事にひととおり目を通すと、「これは載っているから聞かなくていい」という項目が自然に落ちていきます。残った問いが、その人にしか答えられない質問です。
台本の完成度は、質問の数ではなく、消した質問の数で測るという見方もできます。書き足すより削るほうが難しいところではありますが、削った分だけ当日の余白が生まれます。
取材の台本づくりに毎回時間を取られていませんか
下調べ、質問設計、当日の進行、文字起こし、執筆。インタビュー記事1本にかかる工数は、通常のSEO記事より確実に多くなります。本数を増やしたいのに社内の手が回らない場合は、取材の同席から原稿化までを外部に預ける選択肢もあります。現在の制作フローを見せていただくところから相談を受けています。
用途別に変わる台本の作り分け
同じインタビューでも、記事の用途が違えば台本の重心は移ります。代表的な3つを見ておきましょう。
採用向けの社員インタビュー
読者は、応募を迷っている求職者です。仕事のやりがいだけを並べた原稿は、かえって信用されません。台本には「入社前に想像していたことと違った点」「大変だった時期と、その乗り越え方」といった、影の部分に触れる質問を必ず入れてください。ここに正直な言葉が入ると、ほかの前向きな発言の説得力が上がります。
顧客の導入事例インタビュー
記事のゴールは、同じ課題を持つ読者に「自社でも再現できそうだ」と感じてもらうことです。台本の軸は、導入前の課題、選定の判断基準、導入時に苦労した点、導入後の変化の4つ。とくに選定の判断基準は、比較検討中の読者がもっとも知りたい部分でありながら、聞き逃されやすいところでもあります。数値の掲載可否は、その場で必ず確認しておきましょう。
対談や複数名での取材
参加者が増えると、話す量に偏りが出ます。台本には、質問ごとに「誰へ最初に振るか」を書いておいてください。同じ質問を全員へ順番に振ると時間が足りなくなるため、この人にはこのテーマ、と担当を割り振る形が扱いやすいところです。進行役が誰なのかも、事前に決めておく必要があります。
用途は違っても、台本の骨格は変わりません。記事のゴールから見出し案を作り、見出しごとに大問と小問を置き、時間配分をつける。この作り方を身につけておけば、初めて扱う題材でも台本の形は再現できます。
インタビュー台本に関するよくある質問
台本づくりの相談でよく挙がる疑問をまとめました。
大問だけを送るのがおすすめです。相手が資料や記憶を準備できるため、回答の精度は確実に上がります。ただし小問まで送ると回答が作り込まれ、当日の言葉が固くなりがちです。送る際は「お話の展開によって順番が前後します」と添えておくと、進行が変わっても相手が戸惑いません。
大問を4問前後まで絞り、記事の核になる部分だけを聞いてください。経歴や会社概要のような公開情報で書ける内容は、事前アンケートやメールで先に埋めておく。取材の時間は、その場でしか聞けないことに使うのが原則です。
失敗ではありません。相手の話が想定を超えて広がったのであれば、むしろ良い取材だと考えてよいでしょう。判断の基準は、記事のゴールに必要な素材がそろったかどうかです。台本は進行を縛るためではなく、その判断を当日その場で下すために持っています。
相づちのタイミングが対面よりつかみにくいため、質問と質問の間に一拍おく前提で時間配分を組んでください。通信が途切れる場合に備えて、録音は会議ツール側と手元の両方で取っておくと安心です。台本の冒頭に、接続不良時の連絡手段を書いておく運用も役に立ちます。
台本の見出し順に素材が並んでいれば、全文起こしは必ずしも要りません。記事に使う箇所だけを書き起こし、そのほかは要点のメモで足ります。全文起こしは正確ですが時間がかかるうえ、量が多いほど取捨選択の判断が鈍りやすくなります。
まとめ
インタビューの台本は、質問を並べた紙ではなく、当日の判断を支える進行表です。記事のゴールを一文にして、見出し案から質問を逆算し、大問と小問に分けて時間配分をつける。この順番で作れば、取材の進行と取材後の執筆が同じ流れの上に乗ります。
そして、できあがった台本は当日守るためのものではありません。捨てる質問を先に決めておき、想定と違う答えが返ってきた場所を深掘りする。台本の価値は、書いた内容よりも当日の判断を速くする点にあります。
インタビュー記事は、企画から公開まで工数の読みにくいコンテンツです。台本の設計、取材の同席、文字起こし、執筆、原稿確認の進行管理。どこか1つが止まると全体が遅れます。合同会社Writers-hubでは取材を伴う記事の制作支援を行っており、台本づくりの段階から関わることも可能です。社内に体制を残したい場合の進め方も含めて、現状のフローを伺ったうえでご提案します。
次の取材から、台本の設計を任せてみませんか
本記事の手順はそのままお使いいただけますが、本数が増えるほど設計と進行の負荷は積み上がります。取材記事を継続的に出していきたい場合は、制作フローごとご相談いただくのが近道です。現在の進め方を伺ったうえで、どこを外部に預けると効果が大きいかを整理してお伝えします。








