「LPO会社は、改善の実績が多いところを選んでおけば大きくは外さないだろう」。発注を検討し始めた段階では、そう考えるのが自然だと思います。制作会社や広告代理店を選んできたときと同じように、実績の件数と事例に載った改善率を横に並べる。使い慣れた物差しですから、疑う理由もありません。ところが、この並べ方で決めた会社と契約したあとに、「提案されたのは、うちが直したかった場所ではなかった」というずれが起こります。
しかし、企業のWebページやランディングページの原稿を作る側として改善の現場に立ち会ってきた弊社の立場から言えるのは、LPO会社の提案は、その会社が母体としてきた事業に引っ張られるということです。テストの仕組みを売ってきた会社はテスト設計から、広告を運用してきた会社は流入の質から、ページを作ってきた会社はデザインと構成から入ります。どれも正しい入口でしょう。ただ、自社のコンバージョンが止まっている場所と入口が噛み合わないと、半年たっても肝心の箇所に手が入らないまま終わります。
本記事では、LPO会社を5つのタイプに分けて対応範囲を整理し、費用の内訳と料金体系の読み方、商談で確かめておきたい3つの質問、依頼から成果判定までの進み方を、外注を受ける側の視点でお伝えします。会社名の一覧ではなく、自社の状況に合う相手を絞り込む材料としてお使いください。
- LPO会社とLP制作会社、広告運用代行それぞれの対応範囲の違い
- 母体事業によって提案の入口が変わる、5つのタイプの見分け方
- 費用の内訳と、月額型・単発型・成果報酬型の使い分け
- 商談での受け答えから相手の力量が読める3つの質問
- 依頼しても成果が出にくい状態と、その前に片付けること
LPO会社とはどこまでやる会社か
LPO会社という呼び方に、業界で共有された定義があるわけではありません。ランディングページのコンバージョン率を上げる仕事を請け負う会社の総称であり、実際にどこまで手を動かすかは会社ごとに差があります。まずは仕事の中身から確認していきます。
LPO(Landing Page Optimization)は、広告や検索から訪れた人が最初に着地するページを改善し、問い合わせや購入といった成果に至る割合を上げる取り組みを指します。LPO会社が担う工程は、おおまかに4つに分かれます。現状の数値分析、改善案の立案、ページの改修、そして効果の検証。このうちどこまでが契約に含まれるかが、見積もりの金額と成果の出方を左右します。
たとえば分析と立案だけを請け負う契約なら、改修は自社か既存の制作会社が行うことになります。提案の質が高くても実装が止まれば数字は動きません。逆に改修まで含む契約は金額が上がる代わりに、修正から検証までの間隔が短くなるという違いがあります。
LPOと混同されやすい3つの取り組み
- SEO:検索結果からページへ人を連れてくるまでの改善。LPOは着地したあとを扱う
- EFO:入力フォームに絞った改善。LPOはページ全体を対象にする
- CRO:サイト全体の成果率を上げる取り組み。LPOはその一部に位置づけられる
LP制作会社に頼むと足りないもの
ページを作った会社にそのまま改善を頼むケースは多いはずです。作った本人が直すため話が早く、費用も抑えやすい。ただし制作会社の主業務は、決まった内容を形にすることにあります。何を変えるべきかを数値から判断する工程は、契約に含まれていない場合が少なくありません。
見分け方は単純で、改修の見積もりに分析とレポートの項目が立っているかどうかを見ます。項目がなければ、直す箇所を決めるのは発注側の仕事です。それを判断できる担当者が社内にいるなら、制作会社への直接依頼で十分に回るでしょう。
広告運用代行と重なる領域
広告運用代行の側からLPOを引き受ける会社も増えました。広告の費用対効果はクリック単価とコンバージョン率の掛け算で決まるため、運用者にとってページの改善は自分の成績に直結する仕事だからです。
押さえておきたいのは、広告運用側から見たLPOが、多くの場合「広告と同じ言葉がページに書かれているか」の調整から始まる点でしょう。広告文とファーストビューの主題を揃える作業は効果が出やすく、着手も早い。その一方で、ページ後半にある説明の順序や、訴求する価値そのものの選び直しまでは、運用の契約範囲から外れることがあります。
提案の中身は母体事業で変わる
ここからが、比較記事ではあまり整理されていない部分です。LPO会社を名乗る会社のほとんどは、別の事業を母体として持っています。母体が違えば、最初に疑う場所も、得意な打ち手も変わってくるでしょう。
| ツール提供型 | 広告運用型 | LP制作型 | 分析・CRO型 | コンテンツ制作型 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 主な対応範囲 | テスト環境の提供と設定 | 流入とページの整合 | デザインと実装 | 計測設計と課題抽出 | 原稿と訴求の設計 |
| 得意な改善 | 出し分けとテスト運用 | 入口の言葉を揃える | 見た目と操作性の改修 | 離脱箇所の特定 | 説明の順序の組み替え |
| 手薄になりやすい箇所 | 何を試すかの発案 | ページ後半の構成 | 数値からの原因特定 | 改修の実装速度 | テスト環境の構築 |
| 向いている状態 | 試す案が社内にある | 広告費を下げたい | 直す場所が決まっている | 原因が分からない | 書く材料が眠っている |
表の4行目にあるとおり、同じ「LPO会社」でも、依頼して効果が出る前提条件がまるで違います。順に見ていきましょう。

テスト環境を売ってきた会社
LPOツールを開発・販売してきた会社が、その使い方の支援まで手を広げたタイプです。強みははっきりしていて、出し分けの設計とテストの運用に慣れています。タグを1本入れるだけでページの一部を差し替えられるため、制作会社に依頼せずに検証を回せる点も利点でしょう。
注意したいのは、テストする案そのものは発注側が持ち込む前提の契約が混ざっている点です。仕組みは借りたものの、試す案が3回目で尽きたという相談は珍しくありません。
広告運用から派生した会社
リスティング広告やSNS広告の運用代行を本業とし、その延長でページの改善を請け負うタイプです。広告の管理画面を見ながら判断できるため、どの流入がコンバージョンに近いかを最初から把握できている点が強みでしょう。着手が早いのは、この情報量によるものです。
ただし提案は流入と入口の調整に寄りやすく、ページ後半にある説明の弱さは指摘されないまま残ることがあります。広告費の削減が主目的であれば、相性は良いはずです。
LP制作を本業とする会社
デザインとコーディングの体制を持ち、改修の実装まで一貫して行えるタイプです。作り直しを含む大きな変更に踏み込めるのは、この形の会社に絞られます。
一方で、変更の根拠が制作者の経験に依存しやすい面もあります。過去にうまくいった型を当てはめる提案が続くようであれば、数値で判断する工程が契約に入っているかを確かめたほうが安全でしょう。
分析とCROに特化した会社
アクセス解析やヒートマップの設計から入り、どこで人が離れているかを特定してから改善案を出すタイプです。原因の切り分けに時間をかけるため、最初の1か月は動きが遅く見えます。
その代わり、原因を特定してから直すため、初動は遅くても手戻りが減ります。計測タグが正しく入っていない状態から始まる案件ほど、この工程に払う費用の意味が出てきます。ただし改修の実装は別会社に回ることが多く、提案から反映までの日数は長くなりがちです。
コンテンツ制作を母体とする会社
ページに載せる文章と、訴求する順序を設計するタイプです。記事制作やオウンドメディアの運用を母体とする会社が該当します。デザインを触らずに、見出しと説明の並びを組み替えるだけでコンバージョンが動く場面は確かにあり、書かれている情報が読み手の判断材料として足りていない場合、色や配置をいくら変えても結果は変わりません。
弱点も明確です。テスト環境の構築や計測タグの設定は範囲外になることが多く、検証の仕組みは別途用意する必要があります。
5つを並べてみると、絞り込みの物差しが見えてきます。実績の件数より、自社の課題に届く工程を持っているかを先に見るほうが早い。相見積もりを3社に依頼する前に、自社のコンバージョンがどこで止まっているのかを1つに絞ってください。
改善案は出ているのに、書き換える原稿が用意できていませんか
分析レポートで直す箇所が分かっても、そこに入れる文章を誰が書くのかが決まらないまま止まる案件をよく見かけます。弊社はページに載せる原稿と訴求の設計を、制作体制ごとお引き受けしています。
商談で確かめる3つの質問
候補が2、3社に絞れたら、次に見るのは提案書の見栄えではありません。打ち合わせでの受け答えです。ここで挙げる3つは、答え方によって相手の実力がおおよそ判断できる質問になります。
ABテストというのは、何回くらい回せば結果が出るものでしょうか。
編集部
回数ではなく、判定に必要な件数が集まるかで決まります。変化の幅が小さいほど必要な訪問数は増えるため、コンバージョンが月に数十件のページで1割程度の改善を検証しようとすると、決着がつく前に季節の変動や広告の変更が混ざってしまいます。この前提を先に説明してくれる会社かどうかが、見極めの材料になります。
質問の順番にも意味があります。1つ目で原因の絞り込み方を、2つ目で検証の設計力を、3つ目で改善が回る速さを確かめる流れです。
直さない箇所を言えるか
1つ目は「今のページで、直しても効きにくい箇所はどこですか」という問いかけです。改善提案は足し算になりやすく、指摘が20個並んだ資料は一見すると熱心に見えます。ただ、全部直せば良くなるという提案は、原因を絞り込めていないことの裏返しでもあるでしょう。
直さない箇所を言える会社は、原因を先に絞り込んでいます。「ファーストビューは今の広告文と合っているので触りません。手を入れるのは料金の説明の順序です」といった答えが返ってくれば、数値を見て判断していると考えて差し支えないでしょう。
判定に必要な件数を答えられるか
2つ目は「この改善が効いたと判定するのに、毎月どれくらいの件数が必要ですか」という質問になります。ふきだしで触れたとおり、ABテストは変化の幅が小さいほど判定に必要な訪問数が増えます。件数が足りないまま実施すると、勝ったように見えて再現しない結果を掴むことになりかねません。
この問いに「まずは2週間ほど回してみましょう」としか返らない場合、テストの設計に慣れていない可能性があります。件数が足りないと分かっている相手なら、変更を大きく振る、ページごと作り分ける、テスト以外の方法で判断するといった代案を持っているはずです。
改修を実装するのは誰か
3つ目は「改修は御社が実装しますか、それとも改善案の提出までですか」という確認です。実装が別会社に回るのであれば、提案から反映までに1か月近くかかることも起こるでしょう。改善が進む速さは、分析の精度よりも実装の待ち時間で決まる場面が多いのです。
契約書では「LPO支援」の一言でまとめられがちな部分ですから、口頭で確かめたうえで、対応範囲を書面に残しておくと、あとの食い違いを防げます。

費用の内訳と料金体系の読み方
金額の話に移ります。同じ月額30万円でも、含まれる工程が違えば比べたことになりません。相場そのものより、内訳の読み方を先に押さえておきます。
LPO会社の見積もりは、おおむね次の要素の組み合わせでできています。初期の分析と計測設計、月々の改善案の立案とレポート、ページの改修と実装、そしてツールの利用料。このうち改修と実装が含まれるかどうかで、総額は大きく動きます。
月額で伴走する契約
毎月の改善案とレポートを継続して受け取る形です。実務で見かける水準は、月20万円から80万円ほどに収まります。改修の実装まで含む場合は上限側に寄り、対象ページ数と月あたりのテスト本数で金額が決まる契約が中心でしょう。1枚に絞れば当然下がります。
単発で診断する契約
現状の分析と改善案の提出までを一度きりで請け負う形になります。10万円台から50万円程度が目安で、社内に改修できる人がいる会社に向いた契約です。診断書を受け取ったまま動けなくなる例もあるため、提出物に優先順位と実行の手順が含まれるかを事前に確かめてください。
成果報酬で受ける契約
コンバージョン数の増加分に対して費用が発生する形です。初期費用を抑えられる反面、成果の数え方を詰めておかないと、あとから解釈が割れます。
成果報酬型で契約前に決める3点
- 何をもって成果と数えるか:資料請求と商談化では1件の重みが変わる
- 比較の基準となる期間をいつに固定するか:繁忙期を基準にすると差が出にくい
- 広告費の増減をどう扱うか:出稿を増やせば件数は自然に伸びる
3つの形を並べたとき、金額の大小より、改修の実装が含まれるかで総額が決まります。提案書の月額だけを横に並べても、片方は案の提出まで、もう片方は反映までとなれば、比較の意味は薄いままです。
※ 金額は対象ページ数、月あたりのテスト本数、改修の実装をどちらが行うか、既存の計測環境の状態によって変わります。相見積もりは総額ではなく、含まれる工程を並べて比べてください。
依頼から成果判定までの進み方
契約後の進み方を事前に把握しておくと、期待値のずれを防げます。多くの案件は、次の4つの段階を踏みます。
どこで人が離れているかを数字で確認します。計測タグが正しく入っていない状態から始まる案件も多く、この段階だけで2週間から1か月かかることがあります。
離脱の多い区間に絞って改善案を作ります。ここで、手を入れない箇所も同時に決めておきます。
ページを書き換え、ABテストまたは期間の比較で効果を見ます。判定に必要な件数が集まるまで、結論を出しません。
効いた変更を残し、外れた仮説から次の案を作ります。この往復を続ける契約が、月額型にあたります。
最初の1か月で数字が動かないのは、ほとんどの案件で起こることです。計測の整備と原因の特定に時間を使う段階だからで、この期間を折り込まずに3か月契約を結ぶと、判断がつく前に契約期間が終わってしまいます。
成果の判定基準は、契約時に文書で決めておくと後が楽になります。「コンバージョン率が上がったか」だけでは、広告の出稿量が変われば評価が割れるためです。対象ページ、比較する期間、除外する流入の3点を先に揃えておいてください。
段階ごとの所要期間をあらかじめ共有しておくと、社内で進捗を説明するときの負担も軽くなります。

LPO会社への依頼が向かないケース
正直にお伝えすべきこともあります。LPO会社に頼んでも成果が出にくい状態というものが確かに存在し、その場合は先に別のことを片付けたほうが早く進みます。
- 月あたりのコンバージョンが1桁で、テストの結果を判定できない
- ページに載せる実績や導入事例が、社内でまだ確定していない
- 広告の停止と再開が頻繁で、比較できる期間が取れない
- 決裁者が改修のたびに変わり、変更の承認に2週間以上かかる
- 流入の大半が、商品と関係の薄いキーワードから来ている
上から3つ目までは、ページの中を直しても数字が動かない状態を指します。最後の項目はとくに見落とされやすく、この場合に必要なのはページの改善ではなく、広告や検索の入口を組み替える判断です。
もっとも、当てはまるからといって手が打てないわけではありません。テストで判定できない件数なら、変更を小さく刻まずにページごと作り分ける。載せる事実が固まっていないなら、訴求として使える材料を社内から集めるところから始める。順番を入れ替えるだけで、外注が効く状態に持っていけます。
ページに載せる材料が、社内でまだ言葉になっていませんか
何を強みとして打ち出すかが決まらないまま改修に入ると、テストの結果が出ても次の案が続きません。弊社は、社内にある実績や事例をページで使える形に整理するところから、設計をお手伝いしています。
よくある質問
LPO会社への発注を検討する段階で、実際にいただくことの多い質問をまとめました。
契約に含まれる判断の工程が違います。制作会社は決まった内容を形にする工程を担い、LPO会社は数値から直す箇所を決める工程を含みます。両方を自社で持つ会社もあるため、見積もりの項目で確かめてください。
早くて2か月、多くは3か月から半年です。最初の1か月は計測の整備と原因の特定に使うため、この期間に数字は動きません。
依頼できます。ただし月あたりのコンバージョンが少ないと、テストで小さな差を判定しきれません。その場合は変更を大きく振る進め方が現実的です。
コンバージョンの増加分と月額費用を並べて比べます。前提として、対象ページと比較する期間を契約時に決めておかないと、評価そのものが割れます。
頼めます。ただし広告の管理画面を見られるかどうかで提案の精度が変わるため、閲覧権限を共有する前提で進めるほうが早く進みます。
質問の多くは、契約範囲と評価の前提をどこまで詰めておくかに集約されます。ここが曖昧なまま発注すると、成果の解釈で揉めることになりかねません。
どのタイプに頼むべきか、社内で意見が割れていませんか
コンバージョンが止まっている場所さえ特定できれば、選ぶべき会社のタイプはおおむね決まります。まずは現状を伺ったうえで、外注が要る工程と社内で足りる工程の切り分けからご一緒します。
まとめ|LPO会社は実績数より対応範囲で選ぶ
LPO会社を選ぶときに見るべきは、事例に並んだ改善率ではなく、自社のコンバージョンが止まっている場所に手が届く工程を契約に持っているかどうかです。ツール提供、広告運用、LP制作、分析、コンテンツ制作。母体の違いによって最初に疑う場所が変わるため、同じタイプの会社を3社比べても、判断の材料は増えません。
順番としては、自社の状況の特定が先、会社探しが後になります。どこで人が離れているかを1つに絞り、直すのに必要な工程を書き出す。そのうえで、その工程を契約に含む会社だけを候補に残していく流れです。
- 人が離れている区間を1つに絞り込めているか
- 直すのに必要な工程を、分析・原稿・実装の別で書き出したか
- 候補が同じタイプの会社ばかりに偏っていないか
- 判定に必要なコンバージョン件数が、毎月集まるか確認したか
- 改修を誰が実装するのかを、書面で決めたか
私たち合同会社Writers-hubは、この5つのタイプのうち、ページに載せる原稿と訴求の設計を担うコンテンツ制作型に位置しています。デザインを変えずに書かれている内容を組み替えるだけで数字が動く案件を、これまで数多く手がけてきました。改善案は出ているのに書き換える手が足りない、あるいは何を強みとして書くかが定まらないという段階でしたら、一度ご相談ください。







