「成果が出た事例と同じ場所を変えれば、うちのLPも数字が動くはず」。LPOの事例を探している方の多くは、そんな見当を付けて検索されているのではないでしょうか。ツールの紹介資料やセミナーで語られるのは「ボタンを変えてCVRが何パーセント改善」という変更点と結果の組み合わせがほとんどで、その会社が事前にどの数字を見ていたかまでは表に出てきません。だから、施策そのものが答えのように見えてしまいます。ところが同じ変更を自社のLPに当てても、数字が動かないことのほうが多いのです。
弊社はこれまで、数多くのSEO記事やサービス紹介ページの原稿を手がけ、公開後に数字がどう動いたかを追いかけてきました。その経験から言えるのは、事例から持ち帰るのは施策ではなく、その会社の決め方だということ。改善率だけを写しても、自社のLPのどこに手を入れるかは決まりません。
本記事では、出典をたどれるLPOの事例を4つ取り上げ、各社が何を変え、どの数字が動いたのかを整理したうえで、事例を自社の改善案に置き換える手順まで、原稿を書く側の視点でお伝えします。
- 出典をたどれるLPOの事例4つと、各社が変更した箇所・動いた数字
- 事例のCVR改善率を、そのまま自社の見込みにできない理由
- 事例を自社の改善案に置き換える4つのステップ
- LPの中を直しても数字が動かないときに疑う場所
LPOの事例4選と各社が変えた場所
まず、出典をたどれる事例を4つ並べます。LPO(ランディングページ最適化)そのものの意味や進め方はLPOとはで扱っているため、ここでは各社が実際に何を変え、どの数字が動いたのかに絞ってお伝えします。
事例 | 変更した場所 | 動いた数字 |
|---|---|---|
建設業界の交流サイト | ファーストビューのコピーと、その直下の説明 | CVRが2.82%から3.43%へ |
スマートフォン向けLP | 本文のテキストサイズ | CVRが0.60%から1.15%へ |
ファーストビューの写真 | 芸能人の写真から一般人の写真へ | 一般人の写真のほうが高い結果 |
大手金融のカードLP | ボタン、メインビジュアル、利用イメージ | CVRが119%改善 |
4つを並べてみると、変えられた場所がまるでばらばらであることに気づきます。共通しているのは変更箇所ではなく、手を付ける前に「読み手がどこで止まっているか」を絞り込んでいた点です。

建設業界の交流サイトで説明を足した事例
建設会社や個人事業主、ひとり親方を対象にした交流サイトのLPです。抱えていた課題は、「結局どういうサービスなのか」が直感的に伝わらず、しっかり読まなければ内容を理解できない構成になっていたこと。そこで立てられた仮説は、ユーザーは思っている以上にLPを読んでいない、というものでした。
打ち手は2つです。ファーストビューのコピーに「発注者と受注者がつながる」というメリットの説明を加え、その直下に、一言で言うとどのようなサービスなのかを端的に伝えるコンテンツを新しく置いています。結果として、CVRは2.82%から3.43%へ、フォーム遷移率は9.57%から10.97%へ動きました。
ここで注目したいのは、CVRと並んでフォーム遷移率が公開されている点です。フォームまで進む人が増えたうえでCVRも上がっているため、「説明を理解できないまま離れていた人」が減ったという読み方が成り立つでしょう。数字が2つあると、なぜ効いたのかを後から検証できます。
※ 出典: 株式会社PLAN-B「【LPO事例】提供サービスをわかりやすく説明しただけでCVR122%改善!」

スマートフォン向けLPの文字サイズを変えた事例
スマートフォン向けLPのテキストサイズを大きくした事例です。ターゲットは40代以上の男性で、変更後のコンバージョン率は0.60%から1.15%へ、およそ2倍になりました。
デザインとしては地味な変更です。ただ、40代以上の読み手にとって小さな文字は読みづらいという前提を置けば、書いてある内容を変えずに読める状態へ寄せるだけで結果が変わるのは筋が通ります。変えたのは訴求ではなく、読める状態かどうかでした。
同じ会社は、オーダーメイドジュエリーのLPで、注文の流れを手順として並べていた部分を、内容の説明まで踏み込んだ形に書き換えた事例も公開しています。獲得単価はおよそ半分に下がったと報告されています。
ファーストビューの写真を差し替えた事例
ファーストビューの写真を、芸能人から一般人に差し替えた事例です。同社の記事では、一般人の画像を使っているほうがコンバージョン率が高かったと報告されています。
有名人を起用すれば信頼される、という前提は広告の現場で長く共有されてきました。ところが実際に比べると、逆の結果が出ることがある。ここが事例を読むときの分かれ道です。他社の結果を「法則」として持ち帰ると、自社では外れます。持ち帰るべきなのは、有名人か一般人かを自分たちで確かめたという行為のほうではないでしょうか。
※ 出典: 株式会社キーワードマーケティング「LP改善を10の要素に分解!LPOの基本と実践方法を現役運用者が解説」

大手金融のLPで多変量テストを回した事例
クレジットカードのLPで、ボタン、メインビジュアル、利用イメージという複数の要素をまとめて検証した事例です。LPOツールを提供するDLPOの事例ページでは、多変量解析によってCVRが119%改善したと紹介されています。
先の3つと違うのは、変える箇所を1つに絞っていない点です。多変量テストは要素の組み合わせごとに結果を比べる方法で、組み合わせの数だけ訪問者を振り分けるため、十分な訪問数がなければ判定が付きません。訪問数が足りないまま複数箇所を変えると効果を切り分けられません。大手金融のLPだから成立している方法だと理解しておくほうが安全でしょう。
※ 出典: DLPO株式会社「事例・活用アイデア」
事例のCVR改善率を自社に当てはめられない理由
事例を読んだあと、多くの方が「うちも同じくらい上がるだろうか」と考えます。ただ、公開されている改善率は、その会社の条件の上に乗った数字です。
先ほどの表をもう一度見てください。同じ「およそ2倍」でも、0.60%が1.15%になった話と、2.82%が3.43%になった話では、起きたことの中身が違います。前者は元の水準が低く、伸びる余地が大きい状態でした。後者はすでに一定の水準にあり、そこから0.61ポイントを積み上げています。改善率は元のCVRが小さいほど大きく見えます。

では、ベースラインのほかに何が再現を妨げるのか。1つ目は流入の構成です。指名検索で来た人と、比較検討の途中で広告から来た人では、同じLPを見ても判断の速さが違います。2つ目はテストの規模と期間で、訪問数が少ないうちに出た差は翌週には消えていることがある。3つ目は商材の検討期間です。その場で決まる商材と、社内で稟議を通す商材とでは、LPが担える役割の範囲そのものが変わります。
公開されている事例には、成果が出た検証だけが載ります。同じ会社が試して効果がなかった変更は、記事にならないまま消えていきます。事例の数を根拠に「この施策は効く」と判断すると、外れた回数を勘定に入れないまま進むことになります。
つまり、事例から受け取れるのは「効く施策のリスト」ではありません。受け取れるのは、その会社がどんな筋道で変更箇所を決めたのかという判断の過程です。
事例から写すのは施策でなく決め方
では、事例をどう使えばよいのか。ここからは、公開情報を自社の改善案に置き換える作業に話を移します。
他社がファーストビューのコピーを変えて数字を上げたのなら、うちも同じところを直せばよいのではないでしょうか。
編集部
その順番で当たることもあります。ただ、先に見ておきたいのは自社の数字のほうです。ファーストビューで離れているのか、フォームの手前まで来て止まっているのかで、直す場所は変わります。事例に出てくる会社も、変更する前にその見当を付けていました。
先ほどの建設業界の事例が分かりやすい例です。あの会社は「ユーザーはLPを読んでいない」という仮説を先に立て、そのうえでファーストビューとその直下に手を入れました。順番が逆ではありません。手順にすると、次の4つになります。
変更箇所ではなく、公開されている数字の種類を控えます。CVRだけなのか、フォーム遷移率や直帰率まで出ているのか。数字が複数あるほど、どの地点の詰まりが解けたのかを読み取れます。
アクセス解析で、LPの表示数、フォームへ進んだ数、送信完了数を分けて出します。3つの間で落ち込みが最も大きい区間が、最初に手を入れる候補です。事例と同じ場所とは限りません。
「ユーザーは思っている以上に読んでいない」を、自社の商材でどう言い直せるかを書き出します。読んでいないのか、読んだうえで比べているのか、そもそも対象外の人が来ているのか。ここで言葉にできない仮説は、検証しても解釈できません。
訪問数が月に数千件までの規模なら、同時に変えるのは1か所にとどめます。複数を一度に変えると、上がっても下がっても理由が分かりません。期間は最低でも1週間、広告の出稿量が週内で偏る場合は2週間を目安にします。
4つのうち、最も飛ばされやすいのが2番目です。自社の数字を測らないまま事例の施策だけを当てると、詰まっていない場所を直すことになり、当然ながら数字は動きません。
改善の当たりを付ける4つの離脱地点
自社の数字を測ると、どこで人が減っているかは見えます。ただ、なぜ減っているかまでは数字だけでは分かりません。実務では、次の4か所を順に疑っていくと当たりを付けやすくなります。4つの地点のうち3つは、デザインより言葉の問題です。
- ファーストビューの見出しに、広告文や検索キーワードと同じ言葉が入っているか
- 最初の1画面で、何を提供するサービスなのかを1行で言えているか
- 料金、対応範囲、他社との違いのうち、書かれていない項目はないか
- フォームの必須項目に、後から聞けるものが混ざっていないか
4つは、読み手がLPを上から下へ見ていく順番とほぼ重なっています。上から順に潰していくと、どの段階で止まっているのかを切り分けやすくなるはずです。

広告や検索結果とファーストビューのずれ
広告文では「初期費用0円」と書き、LPの見出しでは「業界No.1の実績」と書く。このずれがあると、読み手は自分が求めたページに着いたのかどうかを一瞬迷います。ファーストビューで離脱が集中しているときは、デザインを疑う前に、流入元の文言とLPの見出しを並べて読み比べてみてください。
流し読みでサービス内容が伝わらない状態
建設業界の事例が解いたのがここです。読み手はLPを上から順に熟読しません。見出しと太字と画像だけを拾って、続きを読むかどうかを数秒で決めます。見出しだけを上から読んで意味が通らないLPは、この段階で人を落としています。
比較の判断材料が足りない状態
料金の目安、対応できる範囲、他社との違い。この3つのいずれかが書かれていないと、読み手はページを離れて検索に戻ります。戻った先で競合を見つけてしまえば、そのまま帰ってきません。書かない理由が「金額に幅があるから」であれば、幅のまま書いて条件を添えるほうが離脱は減ります。
フォームの入力負荷
最後の関門です。必須項目のうち、初回の問い合わせ時点では不要なものが混ざっていないかを確認してください。従業員規模、予算、導入希望時期といった項目は、営業側にとって便利でも、読み手にとっては答えを考える手間になります。フォーム遷移率は高いのに送信完了が少ないなら、原因はここに集まりがちでしょう。
LPに載せる言葉を、社内で書き直す時間が取れていますか
4つの地点のうち3つは、デザインではなく説明の書き方に関わる部分でした。何を、どの順番で、どこまで具体的に書くか。商材を理解したうえで文章を組み立てる作業は、社内の担当者が片手間で回すには重くなりがちです。弊社では、LPの周辺で読み手の疑問に答えるコンテンツづくりを、編集の体制ごとお引き受けしています。
LPの中を直しても数字が動かないとき
4か所を順に直しても数字が変わらない場合があります。そこで文言をさらに練り直す前に、視点を一段外側へ移してください。LPの中だけでは直せない離脱があります。
1つは流入の質です。広告のターゲティングや、検索で狙っているキーワードが商材とずれていると、そもそも買う可能性の低い人がLPに来ます。この状態でLPを何度書き直しても、上限は動きません。検索キーワードの選び直しのほうが先に効きます。
もう1つは、LPの外で行われる検討です。読み手はLPを読んだあと、社名で検索して評判を調べたり、比較記事を読んだり、導入事例を探しに行きます。そこで判断材料が見つからなければ、LPには戻ってきません。
LPの離脱をすべてLP内部の問題として扱うと、直しようのない部分まで文言の調整で解こうとしてしまいます。広告のターゲティング、検索キーワードの選び方、LPの前後で読まれるページ。3つともLPの外側にありながら、LPの数字を左右します。
正直にお伝えすると、この構造に気づかないまま、ファーストビューの文言を何度も差し替えている現場は珍しくありません。1か月かけてCVRが0.1ポイントしか動かないとき、疑うべきはコピーの出来ではなく、来ている人の顔ぶれのほうです。
LPを直しても数字が動かないなら、来ている人が違うのかもしれません
広告のクリック単価が上がり続けるなか、検索から来る人の割合をどう増やすかは、LPのCVRと同じくらい成果を左右します。どのキーワードで、どの検討段階の人を連れてくるか。弊社では、検索とAI検索の両方を見据えた流入設計から、その受け皿になるコンテンツまでを一緒に組み立てています。
LPOの進め方3パターンと向き不向き
改善の方針が決まったら、次は誰が回すかを決めます。取り得る形はおおむね3つで、訪問数と社内の人員によって向き不向きが分かれます。
| 社内だけで進める | LPOツールを導入する | 外部の制作会社と組む* | |
|---|---|---|---|
| 初期の費用 | ◎ | △ | △ |
| 検証を始めるまでの早さ | ○ | △ | ○ |
| 必要な訪問数 | 少なくても可 | 多く必要 | 少なくても可 |
| 仮説を出す力 | 社内の経験に依存 | ツールは仮説を出さない | 外部の視点が入る |
| 継続しやすさ | △ | ○ | ○ |
| 向いている規模 | 月数百件の訪問 | 月数万件以上の訪問 | 訪問数を問わない |
3つを並べると、判断の分かれ目が訪問数にあると分かります。ツールの多くはABテストの自動振り分けと集計を担うもので、統計的な判定に耐える訪問数がなければ機能を活かしきれません。
社内のリソースだけで進める
費用は抑えられます。ただ、LPを作った本人が改善案を出すと、書いたときの前提から抜け出しにくくなります。社内で回す場合は、商材を知らない人にLPを見せて、最初の10秒で何のサービスだと思ったかを聞く工程を入れてください。それだけで前提のずれが見つかります。
LPOツールを導入する
検証の回数を増やしたい段階で効いてきます。手作業では難しい振り分けや集計を任せられるためです。一方で、何を試すかという仮説はツールから出てきません。訪問数が月に数千件までの段階では、ツール費用に見合う検証回数を確保できないことが多いでしょう。
外部の制作会社や支援会社と組む
社外の目が入るため、社内では当たり前になっていた説明の飛躍を指摘してもらえます。費用は発生しますし、商材の理解を共有する時間も要るでしょう。ただ、仮説の数が足りていない状態が改善の停滞につながっているなら、ここを外から補うのが近道です。判断の権限まで渡す必要はなく、案を出す部分だけを外に出す形でも成り立ちます。
事例を真似たときにつまずきやすい点
最後に、事例を参考にした改善でよく起きる失敗を挙げておきます。いずれも、原因の切り分けができなくなる点で共通しています。
- 一度に複数の箇所を変えてしまい、何が効いたのか分からなくなる
- 検証期間が短く、曜日や広告出稿の波を成果と取り違える
- CVRだけを見て、その先の商談化率や受注単価の変化を見ていない
- 自社より予算も知名度も大きい会社の施策を、そのまま持ち込む
- 一度当たった施策を、季節や競合の状況が変わったあとも使い続ける
とりわけ見落とされがちなのが、3つ目の商談化率です。フォームの項目を減らせば問い合わせは増えますが、検討の浅い人の割合も一緒に増えます。営業の手間が増えて受注が変わらなければ、事業としては前に進んでいません。LPOの成否は、CVRの前後で1つずつ数字を確認して判断してください。
LPO事例についてよくある質問
事例を読んだ方から受けることの多い質問をまとめました。
数字自体は事実として扱って構いません。ただし自社の見込みにはできません。元のCVR、訪問数、流入の構成が違えば、同じ変更をしても結果は変わります。参考にするのは改善率ではなく、どの数字を見て変更箇所を決めたかという部分です。
できます。事例のなかには、文字サイズや写真の差し替えのように、ツールなしでも試せる変更が含まれています。ツールが必要になるのは、複数パターンを自動で振り分けて統計的に判定したい段階です。月の訪問数が数千件までなら、手作業での入れ替えでも検証は成り立ちます。
最低1週間、広告の出稿量が週内で偏るなら2週間が目安です。曜日によって訪問者の属性が変わるため、数日で判断すると偏りを成果と読み違えます。期間より先に決めておきたいのは、どの数字がどれだけ動いたら採用するかという基準のほうです。
広告からの流入がすでにあるならLPOが先です。LPの改善は検証から結果までが早く、数週間で判断できます。一方で、流入そのものが足りていない場合は、LPをいくら直しても母数が増えません。訪問数が月に数百件を下回る段階では、集客側の設計を先に見直すほうが順当です。
まとめ|LPO事例は変えた場所でなく決め方を写す
ここまで、4つのLPO事例と、それを自社に置き換える手順を見てきました。振り返ると、成果が出た会社に共通していたのは施策の種類ではありません。変更する前に自社の数字を見て、どこで人が止まっているかの見当を付けていた点です。
事例が教えてくれるのは、変えるべき場所ではなく、変える場所を決める順番だと考えています。動いた数字を抜き出し、自社の同じ数字を測り、仮説を自社の言葉に置き換え、1か所ずつ試す。この4つを回せるようになれば、次に読む事例からも持ち帰れるものが増えていきます。
私たち合同会社Writers-hubは、検索から人を連れてくる設計と、その受け皿になるページの原稿づくりを手がけています。LPの数字が動かない原因が、書かれている言葉にあるのか、来ている人にあるのか。切り分けの段階からご相談いただけます。
自社のLPで、どの数字から手を付けるか決めきれないとき
アクセス解析の数字を見ても、次に何を変えればよいか決めきれない。そんな状態でしたら、現状のLPと流入の内訳を拝見したうえで、手を付ける順番を一緒に整理します。まずは今どこで止まっているのかを言葉にするところから始めましょう。








