解析ツールは入れた。数字も毎月見ている。それでも記事は増えるばかりで、どれに手を入れればいいのかが決まらない。ブログ運営のご相談をいただくと、この状態で止まっているケースにいちばん多く出会います。
原因はツールの操作を知らないことではありません。集めた数字を打ち手に変換する道筋が用意されていないためです。たとえば、ある記事の表示回数が3,000回で掲載順位が14位という2つの数字を並べたところで、それだけでは次の作業は出てきません。判断に必要な数字が1つ足りないからです。
本記事では、SEO記事の制作と運用を支援している立場から、ブログのアクセス解析を「何を見るか」ではなく「何が決まるか」の順に組み立て直します。ツールの紹介は最小限にとどめ、数字の組み合わせから直す記事を選ぶところまでをお伝えします。
- Search ConsoleとGA4が映している範囲の違いと、開く順番
- ブログのアクセス解析を始めるときの設定と、最初に変えておく項目
- 無料で使えるアクセス解析ツールの比較と、選ぶときの基準
- 表示回数・掲載順位・クリック率の組み合わせで改善対象が決まる判断表
- 数字が食い違う理由と、ブログ運営では見なくてよい指標
ブログのアクセス解析でわかることは、2つの層に分かれている
アクセス解析という言葉は範囲が広く、そのままだと何を調べる作業なのかが定まりません。ブログに限って言えば、扱う情報は次の2つの層に分かれます。
ひとつは、検索結果の一覧に自分の記事が出てから、クリックされるまでの層。もうひとつは、クリックされてページが開いたあと、読者がどう動いたかの層。前者は検索エンジンの中で起きているため自分のサイトでは記録できず、後者は自分のサイトに設置した計測タグでしか記録できません。

この分け方が実務で効いてくるのは、改善の余地がどちらに眠っているかを見誤らなくなるからです。ページの閲覧数だけを追いかけていると、「表示はされていたのにクリックされなかった」という損失が視界に入りません。改善の余地は、来なかった人の側に大きく残っています。
検索結果の中で起きていること
記事が検索結果に何回出たか(表示回数)、そのうち何回クリックされたか(クリック数)、割合はどれくらいか(クリック率)、平均して何番目に出ていたか(掲載順位)。この4つが、クリックされる前の層で得られる情報です。
平均掲載順位には少し注意が要ります。Google公式の説明では、グラフに表示される数値はサイト内で最も上位に出た結果の平均であり、表に表示される数値はその行のURLやグループごとの平均とされています。表示されなかった検索は母数に含まれないため、順位が良く見えていても実際の露出が少ない場合があります。
※ 出典:Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」

サイトに入ってから起きていること
こちらは、どのページが何回読まれたか、どこから来たか(検索・SNS・直接入力など)、どのページからサイトを離れたか、資料請求や問い合わせに至ったか、といった情報です。読者の行動を追える代わりに、そもそも来なかった人のことは何ひとつわかりません。
つまり両者は補完関係にあり、どちらか一方では判断材料が揃わない。ここを押さえたうえで、ツールの話に進みます。
Search ConsoleとGA4は、見ている場所が違う
無料で使える解析ツールの代表格が、GoogleサーチコンソールとGoogleアナリティクス4(GA4)です。両方入れましょう、と書かれた解説は多いのですが、なぜ両方なのかまで説明されることは少ない。答えは前章のとおりで、Search Consoleは来る前、GA4は来た後を映します。
Search Console | GA4 | |
|---|---|---|
記録している場所 | Google検索の検索結果 | 自分のサイトのページ |
わかる主な数字 | 表示回数・クリック数・クリック率・掲載順位 | 閲覧数・ユーザー数・流入経路・コンバージョン |
検索キーワード | わかる | わからない |
データが残る期間 | 最長16か月 | 設定により2か月または14か月 |
導入方法 | サイトの所有権を確認 | 計測タグを全ページに設置 |
ブログ改善に限れば、開く順番はSearch Consoleが先です。理由は単純で、GA4には「来た人」しか記録されていないため。表示されたのにクリックされなかった記事、そもそも検索結果に出ていない記事は、GA4のレポートを何時間眺めても姿を現しません。伸びしろの大きい部分から先に見たほうが、限られた作業時間の使い道を間違えずに済むでしょう。
GA4だけでは足りないということでしょうか。うちはGA4しか入れていません。
編集部
足りないというより、守備範囲が違います。GA4は読まれ方と成果を見る道具で、検索でどう扱われているかは映りません。Search Consoleの登録はサイトの所有権を確認するだけなので、作業としては15分ほどで終わります。先にそちらを入れてしまうのが早いはずです。
ブログのアクセス解析を始める4つの手順
導入でつまずきやすいのは設置作業そのものより、設置後に触っておくべき設定を飛ばしてしまう点にあります。順番に見ていきます。
WordPressならテーマの設定欄かプラグイン、その他のCMSなら管理画面の外部連携の項目から測定IDを登録します。トップページだけに入れて記事ページに入っていない状態が起きがちなので、公開後にリアルタイムレポートで記事ページを開いて反応を確かめてください。
所有権の確認はいくつか方法がありますが、GA4を先に入れてある場合はGoogleアナリティクスによる確認がいちばん短時間で済みます。登録した時点からデータが貯まり始めるのではなく、過去分も遡って表示されます。
GA4の管理画面からSearch Consoleとのリンクを設定すると、GA4側のレポートで検索クエリを扱えるようになります。連携しなくても両方使えますが、後からまとめて見たくなるため最初に済ませておくほうが手戻りがありません。
GA4の初期設定では、イベント単位のデータ保持が短いほうに設定されています。管理画面のデータ設定から保持期間を変更しておくと、前年の同じ月と比べる作業ができるようになります。
4つ目は見落とされやすい割に、後から取り返しがつかない設定です。標準プロパティで選べるのは2か月か14か月の2択で、期間を延ばした場合に適用されるのはすでに収集したデータに対してのみ。放置した期間のデータが後から復元されるわけではありません。
保持期間の設定が影響するのは、データ探索とファネルのレポートです。標準の集計レポート(プライマリとセカンダリのディメンションを含む)には影響しないと公式に明記されています。つまり「2か月のままだと過去がまったく見られなくなる」わけではなく、掘り下げた分析をしようとしたときに期間の壁にぶつかる、という理解が正確です。
※ 出典:アナリティクス ヘルプ「データの保持」

無料で使えるアクセス解析ツールを比べる
ツールの数は多いものの、ブログ運営で選択肢に入るものは絞られます。判断に必要な観点だけを並べました。
| Search ConsoleとGA4の併用* | ブログサービスの標準解析 | Microsoft Clarity | 有料の解析ツール | |
|---|---|---|---|---|
| 費用 | 無料 | 無料(サービスに付属) | 無料 | 月額数千円から |
| 検索キーワードがわかる | ◎ | × | × | ○ |
| 記事ごとの成果を追える | ◎ | △ | ○ | ◎ |
| 読まれ方を画面で確認できる | × | × | ◎ | ○ |
| 導入の手間 | 中 | なし | 小 | 中 |
| ブログ改善に使えるか | ◎ | △ | ○ | ○ |
はてなブログやnote、Amebaといったサービスに付いている標準の解析機能は、閲覧数の推移を確かめるには十分です。ただ、検索キーワードや記事ごとの詳しい動きまでは追えないため、記事を直す判断には材料が足りません。数字が合わないと悩む前に、役割が違うものだと割り切るほうが健全でしょう。
Microsoft Clarityは、読者がどこまでスクロールしたか、どこをクリックしたかを画面上で確認できる無料ツールです。順位やキーワードは扱えませんが、「長文にしたのに前半で離脱されている」といった仮説の裏づけには向きます。導入の優先度としては、Search ConsoleとGA4を入れて数か月まわしてからで構いません。

有料ツールは、競合サイトの推定流入や被リンクの調査まで含めて必要になったときの選択肢です。ブログを始めて間もない段階で契約しても、見る前の準備が追いつかず使いこなせないことが多い。まずは無料の2つで判断できる範囲を使い切ってからの検討で遅くありません。
記事単位で見ないと、改善の打ち手は出てこない
ここがこの記事の中心です。アクセス解析でもっとも多い行き詰まりは、サイト全体の折れ線グラフを見て「先月より少し減った」と確認するところで止まってしまうこと。全体の増減は結果であって、原因ではありません。
ブログの成果は、記事1本ずつの成果の合計です。したがって、ブログの数字は、サイト単位でなく記事単位で並べる必要があります。Search Consoleの検索パフォーマンスを開き、期間を28日にして「ページ」のタブに切り替える。この操作だけで、記事ごとの表示回数・クリック数・クリック率・掲載順位が一覧になります。

そのうえで、次の3つの数字の組み合わせを見ます。表示回数は需要のある検索に届いているかを示し、掲載順位は中身がどう評価されているかを示し、クリック率はタイトルと説明文が選ばれているかを示す。3つが揃うと、やるべき作業がほぼ一意に決まります。
表示回数 | 掲載順位 | クリック率 | 起きていること | 直す場所 |
|---|---|---|---|---|
多い | 1〜10位 | 低い | 見られているが選ばれていない | タイトルと説明文を書き直す |
多い | 11〜20位 | 問わない | あと一歩で1ページ目に届く | 本文を加筆してリライトする |
多い | 21位以下 | 問わない | 需要はあるが評価が低い | 検索意図から構成を作り直す |
少ない | 1〜10位 | 高い | キーワードの需要自体が小さい | 触らず関連テーマで新規に書く |
ほぼゼロ | 圏外 | 問わない | 検索されている言葉とずれている | キーワード選定からやり直す |
作業の順番に迷ったら、2行目から手を付けてください。順位11〜20位の記事が、最も少ない手間で動きます。検索結果の2ページ目はほとんど見られないため、1ページ目に押し上げられた瞬間にクリック数の伸び方が変わるからです。逆に、圏外の記事を1本ずつ直していく作業は、投じた時間に対して戻ってくるものが小さくなりがちでしょう。
もうひとつ、実務でよく使う見方があります。クリック率が低い記事を判断するとき、同じサイト内の他の記事のクリック率と比べることです。世間の平均値と比べても、扱っているテーマや検索意図が違えば意味を持ちません。自分のブログの中で、同じくらいの順位にある記事の平均を出し、それを下回っているものから直していく。この方法なら、比較対象の前提が揃います。
リライトの具体的な進め方はSEO記事のリライト手順、タイトルの直し方は記事タイトルのA/Bテスト方法でそれぞれ工程を分けて整理しました。順位が急に落ちた場合の切り分けはSEO記事の検索順位が突然下がったときをご覧ください。
直す記事は決まったものの、書く時間が取れない段階でしたら
判断表で選び出した記事を実際に書き直す工程を、構成づくりから公開後の順位追跡まで含めてお引き受けしています。既存記事の棚卸しからご一緒することも可能です。
数字を読み違える原因は、だいたい決まっている
解析を続けていると、必ずどこかで数字の食い違いに遭遇します。原因を知らないまま調べ始めると、半日が消えることもある。先回りしてお伝えしておきます。
Search Consoleのクリック数とGA4のセッション数は一致しません。前者は検索結果でクリックされた回数、後者はページが実際に読み込まれた回数で、数えている対象そのものが違うためです。読み込み前に離脱した、計測タグが動かない環境だった、リダイレクトが挟まった。どれも差が出る理由になります。
Search Consoleの中でも、グラフの合計と表の合計がずれることがあります。公式ヘルプでは、クエリ・国・デバイス・日付でまとめたデータはプロパティ単位で集計され、ページや検索での見え方でまとめたデータはページ単位で集計されると説明されています。集計の単位が違えば合計も違う。数字が合わないのは、正常な状態です。
さらに、検索クエリの一覧はプライバシー保護のために一部が省略されます。個人が特定されかねないほど検索回数の少ないクエリは表に出てこないため、クエリごとのクリック数を足し上げても全体の合計には届きません。合わないことを前提に、傾向を読む道具として使うのが正しい向き合い方でしょう。
GA4側にも似た落とし穴があります。エンゲージメント率と直帰率は、初期のレポートには出ていません。公式ヘルプにも、ほとんどのレポートにこれらの指標は既定で含まれておらず、表示するにはレポートのカスタマイズが必要だと書かれています。編集者か管理者の権限も要ります。
そもそもGA4の直帰率は、旧バージョンとは定義が変わりました。現在は、10秒以上続いた、キーイベントが発生した、ページビューが2回以上あった、のいずれかを満たすセッションをエンゲージメントセッションと呼び、直帰率はそれに当てはまらなかったセッションの割合を指します。以前の「1ページだけ見て離れた割合」とは別の数字なので、過去の記事に載っている目安をそのまま当てはめると判断を誤ります。
※ 出典:アナリティクス ヘルプ「[GA4] エンゲージメント率と直帰率」

ついでに、ブログ運営では見なくてよい数字も挙げておきます。眺める対象を減らすほど、判断は速くなります。
- ブラウザの種類やOSの内訳(打ち手に変換できない)
- 画面の解像度の分布(レスポンシブ対応済みなら見る意味が薄い)
- 世間のクリック率の平均値との比較(テーマが違えば前提が違う)
- 日単位の細かい上下(曜日の影響が大きく、傾向が読めない)
- 公開直後の記事の数値(評価が定まっていない)
最後の項目は特に重要です。Search Consoleの最新データは暫定値としてグラフに点線で表示され、その後数時間で変動する場合があると公式に説明されています。加えて、公開した記事がインデックスされ、順位が落ち着くまでには時間がかかる。公開から4週間に満たない記事は、判断の対象から外すという運用にしておくと、無駄な手直しが減るはずです。
毎日数字を見て、下がっていたら手を打つように指示していました。あれは逆効果でしょうか。
編集部
日単位の変動には曜日や検索結果の一時的な入れ替わりが混ざるため、そこに反応すると作業が増えるばかりで成果につながりにくくなります。見るのは週単位か月単位にして、前の28日と直前の28日を比べる形にすると、動いたかどうかの判断がぶれません。
月に一度、30分でまわす手順に落とす
解析が続かない理由の多くは、見る項目を決めていないことにあります。毎回どこを開くか考えるところから始めると、それだけで気力を使う。手順を固定してしまえば、作業時間は大きく縮みます。

- Search Consoleの検索パフォーマンスを開き、期間を28日にする
- ページのタブに切り替え、表示回数の多い順に並べる
- 掲載順位11〜20位の行に印を付ける(今月の作業候補)
- クリック率が同順位帯の平均を下回る行にも印を付ける
- 印の付いた記事から3本を選び、その月の作業対象として決める
- GA4で対象記事の閲覧数とコンバージョンを確認し、優先順位を入れ替える
- 前月に手を入れた記事の順位が動いたかを確かめる
毎月同じ3列を見るだけで判断は速くなります。3列とは、表示回数と掲載順位とクリック率のこと。慣れてくると、一覧をざっと眺めるだけで手を入れるべき行が浮かび上がってきます。
本数を3本に絞っている理由もお伝えしておきます。10本に印を付けても、実際に書き直せるのはせいぜい2、3本。やり残しが積み上がると、翌月に一覧を開く気力そのものが落ちていきます。確実に終わる本数で回し続けたほうが、1年後の到達点は高くなるでしょう。
成果指標をPVだけに置いていると、この作業は途中で目的を見失います。閲覧数が伸びても問い合わせが増えなければ、事業としては前に進んでいないからです。記事ごとの成果をどう定義するかは記事のKPI設計、GA4での計測設定はGA4でコンテンツの成果を計測する方法で詳しく扱っています。
なお、公開して半年に満たないブログの場合、そもそも判断に足るデータが貯まっていないことがあります。表示回数が二桁の記事ばかりという段階では、解析より記事数を増やす作業のほうが先。詳しくはブログを始めたけどPVが増えないで、時期ごとにやることを分けて整理しました。
毎月の解析はできても、直す作業まで手が回っていませんか
既存記事の棚卸しと優先順位づけ、月ごとのリライト、新規記事の追加までを一つの流れとしてご支援しています。まずは現在の記事数と数字の状況をお聞かせください。
ブログのアクセス解析についてよくある質問
運用のご相談でよくいただく質問をまとめました。根拠は本文の各章で扱っています。
ブログの改善に必要な判断は、Search ConsoleとGA4の2つで揃います。有料ツールが要るのは、競合サイトの推定流入や被リンクの調査まで踏み込む段階です。
月に一度で十分です。日単位の数値には曜日の影響や検索結果の一時的な入れ替わりが混ざるため、反応しても作業が増えるだけになります。前の28日と直前の28日を比べる形が扱いやすいはずです。
数えている対象が違うため、一致しないのが通常です。Search Consoleは検索結果でのクリック、GA4はページの読み込みを記録しています。片方が明らかに0のままといった場合を除き、設定の問題ではありません。
掲載順位が11位から20位で、表示回数が多い記事が最優先です。1ページ目に届いた時点でクリック数の伸び方が変わるため、少ない作業量で結果が動きます。
判断が早すぎる可能性があります。インデックスされて順位が落ち着くまでには時間がかかり、Search Consoleの直近データも暫定値です。公開から4週間はデータを貯める期間とお考えください。
目的によって変わります。問い合わせを増やしたいのであれば、PVの絶対数より、成約につながる検索から来ているかどうかが重要です。目安の考え方は関連記事で扱っています。
まとめ
ブログのアクセス解析は、数字を集める作業ではなく、直す記事を1本ずつ選ぶための作業です。検索結果の中で起きていることをSearch Consoleで、サイトに入ってからの動きをGA4で押さえ、記事単位に並べ替える。そのうえで表示回数と掲載順位とクリック率を突き合わせれば、タイトルを直すのか、本文を加筆するのか、構成から作り直すのかが決まります。
サイト全体の折れ線グラフを見ている限り、この判断は永久に出てきません。見る単位を記事に変えることが、解析を改善につなげる最初の一歩になります。
合同会社Writers-hubでは、SEO記事の制作と運用支援を通じて、既存記事の棚卸しからリライト、新規記事の追加までを担っています。数字の読み取りはできているものの手が足りない、あるいは判断そのものを一緒に組み立ててほしいという段階でしたら、現在の記事数と数値の状況をお聞かせください。
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