自社サイトのページビュー数を眺めながら、この数字が多いのか少ないのか判断がつかない。上司や経営層から「目標は何PVなのか」と聞かれても、根拠のある数字を出せない。Webサイトの担当になって早い段階でぶつかるのが、こうした基準の不在ではないでしょうか。
検索すれば目安らしき数字はいくつも見つかります。ただ、その数字が何社を集計したものなのか、どんな業種で何本の記事を持つサイトを対象にしたのかまで書かれているケースは、ほとんどありません。前提の分からない数字を持ち帰って自社に当てはめても、噛み合わないのは当然でしょう。
本記事では、SEO記事の制作とオウンドメディア運用を支援してきた立場から、他社の平均値に頼らずに自社のPV目安を出す3つの計算と、その計算より先に整えておきたい計測の前提を解説します。
- PV・セッション・ユーザー数の違いと、GA4で指標名が変わった点
- 他社の平均PVをそのまま目安にすると噛み合わない理由
- 記事数・検索ボリューム・CVの3通りで自社の目安を出す計算
- 目安に届かないときに手をつける順番
PV(ページビュー)とは、ページが表示された回数のこと
PV(ページビュー)は、Webサイトのページが表示された回数を指します。1人の訪問者がトップページを開き、サービスページを見て、ブログ記事を1本読んだ場合、PVは3。同じページを再読み込みすれば、その分も加算されます。
つまりPVが数えているのは「何人来たか」ではなく「何ページ分めくられたか」。訪問した人数を知りたいのであれば、別の指標を併せて見る必要があります。
セッション数・ユーザー数との違い
先ほどの「1人が3ページ見た」ケースを、3つの指標で並べると差がはっきりします。
指標 | 数えているもの | 上の例での値 |
|---|---|---|
PV(ページビュー) | ページが表示された回数 | 3 |
セッション(訪問) | サイトを訪れた回数 | 1 |
ユーザー(UU) | 訪れた人の数 | 1 |
ここで実務上いちばん使えるのが、PVをセッションで割った「1回の訪問で読まれたページ数」という値です。値が1に近いサイトは、1ページだけ読んで離脱されている状態。記事を増やしてもPVが伸びないとき、原因が記事の本数ではなく回遊のしにくさにあると切り分けられます。
GA4では「表示回数」という名前になっている
旧Googleアナリティクス(ユニバーサルアナリティクス)で「ページビュー数」と呼ばれていた指標は、GA4では「表示回数」という名称に変わりました。アプリのスクリーン表示も合算する仕様のため、Webサイトだけを運用しているなら実質的に同じ数字として扱って差し支えないでしょう。レポート内で「ページビュー」という言葉を探しても見つからず戸惑う担当者は多いので、名称の違いだけ先に押さえておきます。

PVが多いことが、そのまま成果とは限らない
目安の話に入る前に、ひとつ確認しておきたい点があります。PVはあくまで読まれた量を表す数字であり、事業への貢献度をそのまま表すものではありません。
支援の現場でよく見るのが、PVは順調に伸びているのに問い合わせがまったく増えないという状態です。原因をたどると、多くは2つのどちらかに行き着きます。ひとつは、集めているキーワードが用語の意味を調べるような情報収集段階のものに偏っていること。もうひとつは、読者が集まる記事とサービスページのあいだに導線がなく、読み終えたところで離脱していることです。
前者は記事の質の問題ではありません。狙ったキーワードの検索意図が、そもそも購入や問い合わせから遠いという設計上の話。だからこそ、PVを主目標に据えると厄介なことが起きます。目標を達成する手段として、検索ボリュームは大きいがCVから遠いキーワードを選ぶ動機が生まれてしまうからです。
PVは記事単位の評価には使いやすい一方、事業目標としては扱いづらい指標です。社内で追う数字としてはCV数やセッション数を主に置き、PVは「どの記事が読まれているか」を判断する材料に回すと、施策の方向がぶれにくくなります。指標の置き方については記事のKPI設計でも詳しく扱っています。
他社の平均PVを目安にすると噛み合わない3つの理由
「同業のサイトはどれくらいなのか」を知りたくなる気持ちは自然なものです。ただ、公開されている平均値をそのまま自社の目標に据えると、判断を誤ります。理由は3つ。
1つ目は、サイト種別によって数字の桁が変わること。名刺代わりのコーポレートサイトと、毎月記事を追加するオウンドメディア、商品ページが数千枚あるECサイトでは、そもそもページ数が二桁違うこともあります。ページ数が違えば、めくられる回数の合計が違うのは当たり前でしょう。
2つ目は、記事数を揃えずに比べていること。記事が100本あるメディアと10本のメディアを、総PVという1本の物差しで並べても意味を持ちません。
3つ目は、集計の母集団が示されていないこと。Web上の平均PVは、何社をどう集計したか書かれていない数字が大半です。出どころの分からない数字を社内の目標として持ち込むと、達成しても未達でも、原因の説明ができなくなります。
社内で目標PVを説明するとき、「一般的には月◯◯PVが目安らしい」という根拠は最も突っ込まれやすい部分です。数字そのものより、どう算出したかを示せる状態にしておくほうが、承認は通りやすくなります。
とはいえ、サイト種別ごとの相場観をまったく持たずに議論するのも進めにくいもの。オウンドメディアに絞った目安の考え方は、別の記事で扱っています。
実際、社内で交わされるやり取りはこんな形になりがちです。
うちのサイトは月5,000PVなんだけど、これって少ないほうなの?
編集部
その数字だけでは判断できません。記事が10本での5,000PVと、100本での5,000PVでは意味が正反対になります。まず記事数で割ってから考えましょう。
総PVを記事数で割る。この一手間を挟むだけで、他社と比べられる形に近づきます。

自社のPV目安を出す3つの計算
他社の数字を借りられないなら、自社の材料から作るしかありません。使えるのは、記事数・検索ボリューム・CVという3つの材料。どれか1つで十分な場面もあれば、3つを突き合わせて整合を取る場面もあります。
記事数 × 1記事あたりPVで積み上げる
いま出ているPVを分解する方法です。手順は単純で、記事ごとの月間PVを一覧にし、その中央値を出して記事数を掛けます。
検索順位が安定していない記事を混ぜると、数字が実態より低く出ます。判断材料にするのは、公開から3ヶ月以上経った記事だけにします。
1本だけ跳ねた記事があると、平均は実態から離れます。真ん中の記事がどれくらい読まれているかを見るほうが、次に書く記事の期待値に近くなります。
中央値が月30PVで、半年後に記事が60本になる計画なら、記事からの流入は月1,800PV前後。ここにトップページや指名検索の分が乗ります。
この計算の利点は、目安と同時に「あと何本書けばいいか」まで出てくる点にあります。1記事あたりPVは平均ではなく中央値で見るという一手間で、精度が変わります。
狙うキーワードの検索ボリューム合計から上限を出す
積み上げ型には弱点があります。いまの中央値が低いままなら、いくら本数を掛けても低い数字しか出てこない。そこで、市場側から天井を見る計算を併用します。
自社が取りにいくキーワードを一覧にし、月間検索ボリュームを合計します。その合計に、想定する掲載順位でのクリック率を掛ければ、そのテーマで戦う限りの上限が見えてきます。
ここで重要なのが、クリック率は業界平均ではなくSearch Consoleの自社実測を使うこと。検索結果の見た目はAIによる概要の表示などで変化しており、公開されている平均クリック率は自社の実感と合わないことがあります。検索パフォーマンスレポートでは、クエリごとの表示回数・クリック数・平均掲載順位を確認できるため、自社の順位帯での実測クリック率が取り出せます。

計算した上限が目標より低ければ、記事を増やしても届きません。その場合に見直すべきは記事の本数ではなく、狙うキーワードの範囲そのものです。
CV数・売上から逆算する
事業側から必要量を出す方法で、3つのなかでは社内の合意を得やすいのが特徴です。必要なCV数をCVR(成約率)で割ってセッション数を出し、1回の訪問で読まれるページ数を掛けてPVに換算します。
月に10件の問い合わせが必要で、サイト全体のCVRが0.5%なら、必要セッションは2,000。1回の訪問で1.5ページ読まれているサイトなら、およそ3,000PVが必要量という形です。CVRもページ数も自社の実測値を使うため、数字の根拠を聞かれても答えられます。
| 記事数から積み上げ | 検索ボリュームから上限 | CVから逆算 | |
|---|---|---|---|
| 出てくる数字 | 到達見込み | 天井 | 必要量 |
| 必要なデータ | 記事別PV・記事数 | KW一覧・実測クリック率 | CV目標・CVR |
| 向いている場面 | 記事が20本以上ある | これから戦略を組む | 経営に説明する |
| 準備の手間 | 小 | 中 | 小 |
3つのうち先に着手すべきは、真ん中の「検索ボリュームから上限」です。上限が分かって初めて、積み上げの本数計画も、逆算した必要量が現実的かどうかも判断できるからでしょう。

逆算した必要量が上限を超えていれば、その目標は現状のキーワード設計では達成できないという結論になります。数字を出す価値は、ここで無理な目標を早く見抜けることにあるでしょう。
検索ボリュームの計算に使うキーワード一覧、手元にありますか
上限の計算には、自社が取りにいくキーワードの一覧と検索ボリュームが要ります。その一覧づくりから、どの順番で記事にするかまでを設計するのがSEOキーワード戦略設計です。いまのサイトでどこまで伸ばせるのか、現状の記事とキーワードを見たうえでご相談いただけます。
目安と比べる前に、計測が正しいかを確認する
計算で出した目安と実測を突き合わせる前に、そもそも数えている数字が正しいかを確認しておきます。ここが崩れていると、施策の良し悪しを判断する土俵に乗りません。
- 社内からのアクセスを除外する設定が入っている
- 指名検索(社名・サービス名)と一般キーワードの流入を分けて見ている
- 前月比較で、月の日数の差を考慮している
- 広告やメールからの流入を、自然検索と混ぜずに見られる
とくに影響が大きいのが1つ目。制作会社や社内の担当者が毎日確認しているサイトでは、除外設定がないまま数百PVが乗っていることがあります。数字が小さいサイトほど、除外の有無で結論が変わります。

2つ目の指名検索の分離も見落とされがちな点です。展示会やプレスリリースの直後は指名検索が伸び、サイト全体のPVが増えます。その増加分をSEOの成果として報告してしまうと、翌月に数字が戻ったときに説明できなくなるでしょう。
目安に届かないときに手をつける順番
PVが目安に届かないと分かったとき、いきなり記事を増やそうとする判断をよく見かけます。ただ、費用対効果の順に並べると、記事の量産は上位には来ません。
除外設定や流入経路の分離を先に整えます。ここが誤っていると、以降の施策の効果が測れません。
掲載順位が11位から30位あたりに滞留している記事を抜き出し、上位表示されているページが何に答えているかと自社の記事を突き合わせます。順位が付きかけている記事の改善は、新規記事より早く数字に出ます。
上限の計算で残っているキーワードから、検索意図が近いものをまとめて追加します。狙いなしに本数だけ増やしても、中央値が下がるだけです。
1回の訪問で読まれるページ数が1に近いなら、関連記事への導線を足します。同じセッション数でもPVは増えます。
順番を守る理由は、前の工程を飛ばすと後の工程の効果が測れなくなるからです。計測が誤ったまま記事を50本足しても、増えた分が施策の成果か計測の歪みか区別できません。
- トップページのデザインだけを刷新する
- 記事の文字数を目標値に合わせて増やす
- SNSへの毎日投稿でPVを補う
- 効果検証をしないままドメインを変更する
いずれも取り組むこと自体は悪くないものの、PVが目安に届かない原因の切り分けが済む前に着手すると、何が効いたのか分からなくなります。原因の切り分けが終わるまで、施策は1つずつ動かすのが結局は近道です。
リライトと新規記事、どちらに手が回っていませんか
順番が分かっても、既存記事のリライトと新規記事の追加を並行して回す工数がなければ数字は動きません。Writers-hubでは構成案の作成から執筆、入稿までを、社内の体制に合わせて必要な工程だけ引き受けています。まずは順位が滞留している記事の扱いからご相談ください。
よくある質問
PV数の目安について、支援先の担当者から実際によく受ける質問をまとめました。
記事数と公開からの期間によって評価が変わります。公開3ヶ月以上の記事が10本で1,000PVなら1記事あたり100PV前後で、立ち上げ期としては悪くない水準。同じ1,000PVでも記事が100本あるなら、順位の付いていない記事が大半だと推測できます。総PVだけで判断せず、必ず記事数で割ってから考えてください。
検索からの流入は、記事を公開してから掲載順位が安定するまでに数ヶ月かかるのが一般的です。公開1ヶ月時点の数字で記事の良し悪しを判断すると、これから伸びる記事を早すぎるタイミングで取り下げてしまいます。評価は公開3ヶ月以降のデータで行うのが無難でしょう。
本数だけでは決まりません。狙ったキーワードに検索需要がなければ、100本書いてもPVは積み上がらないためです。先に検索ボリュームの合計から上限を出しておくと、目標PVに必要な本数が逆算できます。
集客の量を見るならセッション、コンテンツがどれだけ読まれたかを見るならPVが適しています。社内の主目標としては、CVまでの経路を追いやすいセッション数やCV数を置き、PVは記事単位の評価に使う形が扱いやすいはずです。
まとめ
ページビュー数の目安は、他社の平均値の中にはありません。サイト種別も記事数も集計の母集団も違う数字を借りてきても、自社の判断材料にはならないからです。
代わりに使えるのが、記事数から積み上げる計算、狙うキーワードの検索ボリュームから上限を出す計算、CVから必要量を逆算する計算の3つ。3つを突き合わせれば、目標PVと、そこに届くまでに必要な記事の本数が同時に決まります。計算に入る前に内部トラフィックの除外と指名検索の分離を済ませること、目安に届かないときは計測から順に手をつけること。この2点も忘れずに進めてください。
合同会社Writers-hubでは、キーワード戦略の設計から記事の制作、公開後のリライトまでを支援しています。目安の計算をしてみたものの、狙うキーワードの一覧づくりで手が止まっているという段階でも構いません。
出した目安を、記事の本数計画まで落とし込みませんか
いまのPV数と記事数、狙っているキーワードをお聞きすれば、どの計算がいちばん実態に合うかと、次に着手すべき工程をお伝えできます。無料相談では、提案の前に現状の切り分けからお話ししています。









