「ペルソナは、年齢・性別・職業を埋めて、架空の人物を1人作るもの」。「ペルソナ」という言葉から年齢・性別・職業の欄を連想しやすく、属性を埋めれば完成だと思われがちです。しかし、「30代・男性・管理職」と書いたシートを渡されても、ライターは記事の冒頭で何に答えればよいかを決められません。ブログのペルソナで先に書くのは、読者がいまどんな状況にあり、どんな場面でキーワードを検索するかです。
本記事では、ペルソナが曖昧なブログで起きる問題から、ペルソナ設計シートに書く5つの項目、作った後に使い続ける手順まで、累計8,000記事以上を制作してきた記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- ペルソナは年齢や職業より先に、読者のいまの状況と検索する瞬間を書くと、記事の冒頭で何に答えるかが決まる
- 材料は理想の読者像ではなく、Search Consoleの検索クエリや問い合わせで受けた質問など、実際の読者の記録から集める
- 読者の状況と属性はメディアで1枚にまとめ、検索する瞬間と読んだ後の行動はキーワードごとに書き足す
- シートは書き手全員の読者像をそろえるためのもので、四半期ごとに実際の検索クエリと照らして直す
ペルソナが曖昧なブログで起きる3つの問題
ペルソナが曖昧なまま記事を量産すると、崩れるのは記事1本の品質ではなく、メディア全体の一貫性です。書き手ごとに思い浮かべる読者が違うため、問題は次の3つの形で表れます。
ライターごとに違う想定読者
ライターごとに想定読者が違うと、同じサイトの中で記事ごとに難易度が変わります。同じメディアで5人のライターが書いていれば、あるライターは初心者向けに用語の説明を入れ、別のライターは実務経験者を前提に専門用語を使うでしょう。
読者から見ると、同じサイトなのに記事によって急に話が難しくなり、次の記事も自分に合う内容かを判断できません。原因はライターの腕ではなく、「誰に向けて書くか」がチームの中でそろっていないことにあります。
検索意図の読み違え
ペルソナが曖昧だと、キーワードを誰が検索しているかの前提がぶれ、検索意図を読み違えます。「ペルソナ設計 シート 作り方」で検索した人が、教科書的な知識を求めているのか、すぐに使えるひな形がほしいのかで、記事の構成はまったくの別物です。
前提が決まらないと「とりあえず両方入れておこう」となり、どちらを求める読者にも答えが浅い記事になります。
好みで割れる編集の判断
ペルソナが無いと、原稿を確認するときの判断の基準が無くなり、編集の指摘が好みの言い合いになります。「この表現はくだけすぎていないか」「読者には親しみやすいほうがよい」というやり取りには、どちらが正しいかを決める材料がありません。
ペルソナシートがあれば、「この読者はくだけた語り口を求めているか」を読者の事実に照らして決められます。シートが無いままだと直しの往復が増え、制作が遅れるうえに、ライターの意欲も下がります。
使えないペルソナシートの3つの共通点
ペルソナシートを作ったのに記事制作で使われないとき、シートの中身に共通するのは次の3つです。
- 属性だけが書かれ、困りごとと検索する場面が書かれていない
- 読んでほしい理想の読者が書かれ、実際の読者が書かれていない
- 一度作ったきりで、読者層が変わっても更新されていない
「30代・男性・管理職」だけでは、その人が何に困り、どんな場面で検索するのかが分からず、記事の書き方が決まりません。「情報感度が高く、新しいツールを積極的に試す」のような記述は、読者の実像ではなく、こういう人に読んでほしいという願望です。実際の読者は、忙しくて新しいことを試す余裕のない人かもしれません。
半年前に作ったシートを使い続けると、メディアの段階や読者層が変わった後も古い読者に向けて書くことになり、実際の読者とのずれが広がります。ペルソナシートは、作るより使い続けるほうが難しいものです。
ライターごとに記事の難しさや語り口がそろわずにいませんか
担当者が変わっても読者像を引き継げるのは、誰に向けて書くかをレギュレーションとして書き出してある体制です。制作体制構築では、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーション策定、品質管理フローまでを一貫して構築します。
関連記事:成功するコンテンツマーケティングの企画立案の作り方|企画書を作る際のポイントも
ペルソナの材料を集める4つの情報源
ペルソナの材料は、想像した理想の読者ではなく、実際の読者が残した記録から集めます。使える情報源は次の4つで、すべてをそろえなくても、手元にあるものから使えば十分です。
- Search Consoleの検索クエリ:記事が表示された検索語から、読者が使う言葉と知りたいことが分かる
- 問い合わせと商談で受けた質問:買う前の読者が何に迷っているかが、本人の言葉で残っている
- お客様への聞き取り:依頼する前に何に困り、どう調べたかを聞ける
- 検索上位のページと質問サイト:同じキーワードで読者がすでに読んでいる答えと、残っている疑問が分かる
Google Search Consoleの検索パフォーマンスのレポートでは、ページで絞り込むと、その記事が表示された検索クエリを一覧で確かめられます。

サイトを始めたばかりで検索クエリや問い合わせの記録が無いときは、検索上位のページと質問サイトから仮の読者像を書きます。記事を公開して検索クエリがたまったら、実際の言葉に合わせて書き直しましょう。
ペルソナ設計シートに書く5つの項目
ペルソナ設計シートに書くのは、次の5つの項目です。4つ目までを先に書き、年齢や職業などの属性は最後に補足として添えます。

読者のいまの状況
読者のいまの状況は、ペルソナの出発点として、いま何に困っているかを書く欄です。属性から書くと、次のような1行で終わります。
田中太郎(35歳・男性・IT企業マーケティング部・課長)
状況から書くと、次のようになります。
社内でオウンドメディアを任されて半年。記事は外注しているが、ライターによって品質にばらつきがあり、上司から「もっと統一感を出せ」と言われている。自分でディレクションしたいが、何をどう指示すればいいか分からない。
検索する瞬間
検索する瞬間には、読者がどんな場面で、どんな気持ちでキーワードを検索窓に打ち込むかを1〜2文で書きます。
週次の編集会議で「記事のトーンがバラバラ」と指摘された翌日、「ペルソナ設計 シート 作り方」で検索。すぐに使えるひな形と、社内で合意を取るための説明材料がほしい。
検索する瞬間が書いてあれば、記事を教科書的な定義から始めるか、すぐに使えるシートから始めるかで迷いません。
知っていることと知らないこと
知っていることと知らないことには、読者の知識を初心者・中級者・上級者で分けず、何を知っていて何を知らないかを具体的に書きます。
- 知っていること:ペルソナという考え方、SEOの基本的な流れ
- 知らないこと:ペルソナシートの具体的な項目、社内でペルソナを共有して使い続ける方法
- 誤解していそうなこと:ペルソナは年齢や職業などの属性を並べたものだという認識
誤解していそうなことの欄は、記事の中で「よくある誤解」として触れる箇所になり、ライター全員が同じ前提で書けます。
読んだ後にしてほしい行動
読んだ後にしてほしい行動は、記事を読み終えた読者が具体的に何をできるようになるかを1文で書く欄です。
この記事を読んだ後、ペルソナ設計シートのひな形をチームの資料に加え、次の編集会議で「今後はこれに沿って書く」と提案できる状態。
読んだ後の行動が1文で決まっていると、ライターも原稿を確認する編集者も、記事がゴールに届いているかを同じ基準で判断できます。
年齢や職業などの属性
年齢や職業などの属性は、4つの項目を書いた後に、記事の書き方を変えるものだけを添える補足の欄です。たとえば読者が自分で決裁する立場か、上司に提案する立場かで、記事に社内向けの説明材料を入れるかどうかが変わります。
関連記事:コンテンツマーケティング戦略の立て方を徹底解説|成果を伸ばす具体的なステップ
ブログのペルソナは何人作るか
ブログのペルソナは、メディア全体の読者像と記事ごとの読者の2段に分けて作ります。5つの項目のうち、メディアで1枚にまとめる項目と、キーワードごとに書き足す項目は次のとおりです。
書く単位 | 書く項目 | 作る数 |
|---|---|---|
メディア全体の読者像 | 読者のいまの状況、属性 | サービスを買う人の種類ごとに1枚 |
記事ごとの読者 | 検索する瞬間、知っていることと知らないこと、読んだ後にしてほしい行動 | キーワードごとに1つ |
メディアの読者像は、記事を読んで問い合わせや購入をしてほしい人の種類ごとに作ります。決裁する経営者と、実務を任された担当者のように、困りごとと知識が違う読者がいるなら、2枚に分けましょう。

記事ごとの読者は、メディアの読者像から1人を選んだうえで、構成案の冒頭に書き足します。
記事を書くたびにペルソナを作るのは、手間がかかりすぎませんか?
編集部
記事ごとに書くのは、検索する瞬間、知っていることと知らないこと、読んだ後にしてほしい行動の3つだけです。状況と属性はメディアの1枚から写すので、1記事あたり数行で済みます。
ペルソナシートを使い続ける4つの手順
ペルソナ設計シートは、ライター・編集者・ディレクター、場合によってはクライアントまで、記事制作に関わる全員が同じ読者を思い浮かべるための資料です。項目の細かさより、全員が読んで同じ読者を思い浮かべられることが大事なので、作った後は次の4つの手順で使い続けます。
シートを作ったら、ライター・編集者・ディレクターで読み合わせ、思い浮かべた読者がずれていないかを確かめてください。クライアントのメディアなら、先方の担当者にも読んでもらいます。
記事ごとの読者を構成案の冒頭に書きます。下書きをAIに任せるときも、同じ内容を指示文に入れましょう。読者を書かない指示文では、AIは特定の読者を想定できず、誰にでも当てはまる説明で書くことになるためです。
原稿を確認するときは、表現の好みではなく、「この読者はこの説明を必要としているか」をシートに照らして判断します。
四半期に一度、Search Consoleで記事ごとの検索クエリを確かめ、シートの読者と実際の読者がずれていれば書き直します。GA4では、拡張計測機能のscrollイベントの数が、記事が最後まで読まれているかの目安です。scrollイベントは、各ページで縦方向に90%の深さまで初めて表示されたときに記録されます。
見直しは担当者の記憶に頼らず、次の四半期の編集会議の議題として、カレンダーに先に入れておきます。忙しい時期ほど、予定に入っていない見直しは後回しにされるためです。
AIへの指示文を、記事ごとに一から書いていませんか
記事コンテンツの制作支援の「毎日出している型を渡す」では、自社と取引先のサイトで毎日の公開に使っている、記事の指示文を作るツールをお渡しします。御社で回せる形にして渡します。公開前の確認は、御社で行っていただきます。
まとめ|ペルソナは属性より「状況」から書く
ブログのペルソナは、年齢や職業を埋める資料ではなく、記事制作に関わる全員が同じ読者を思い浮かべるための資料です。読者のいまの状況と検索する瞬間を先に書き、属性は補足に回すと、記事の冒頭で何に答えるかがそろいます。材料は実際の読者の記録から集め、四半期ごとに見直して使い続けます。
シートは、ライターが記事を書く前に読み切れるA4一枚に収めます。全部を完璧に埋める必要はないので、まず次に書く記事について、読者の状況と検索する瞬間の2項目を書いてみてください。
私たち合同会社Writers-hubは、記事コンテンツの制作支援で、キーワード戦略設計から制作体制の構築までをお手伝いしています。
関連記事:コンテンツマーケティングの基礎知識を総まとめ|やり方から成果につなげる方法まで徹底解説
次に書く記事の読者を、チームの言葉で説明できますか
記事コンテンツの制作支援では、オンラインで30分ほどの相談を受け付けており、費用はかかりません。検討を始めたばかりの段階でも申し込めます。







