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ABテストツールの選び方|タイプ別比較と導入前に確かめる必要アクセス数

ツール選びで迷う前に、テストしたいページの月間セッション数とCVRを一度書き出してみてください。数字が足りないとわかれば、選ぶべきは高機能なツールではなく、流入を増やす施策か、もっと大きく変える改善案のほうです。ツールは配信と集計を引き受けてくれますが、何を試すかは決めてくれません。

1つのページに来た訪問者がA案とB案に振り分けられ、それぞれの成果が集計されて勝ち負けが判定されるまでの流れを、左から右へ並べた図。

「機能と価格を並べて自社に合うツールを選べば、CVRは動き出すはずだ」。ABテストツールを調べ始めた方の多くは、まずこの前提で比較表を作ります。各社の製品ページも比較記事も、画面上でB案を作れるエディタや絞り込み機能の差で優劣を語る作りになっているため、選定は製品を1つに決める作業に見えてきます。

しかし、コンテンツ制作の現場でLPや記事の改善に関わってきた弊社の立場から言えるのは、テストが結論まで届くかどうかは、契約するツールより先に、そのページの訪問者数と狙う改善幅で決まっているということです。CVR2%のページで2割の改善を確かめるなら合計4万セッション規模が必要ですが、5%のページを大きく作り替えて5割の改善を狙うなら3千セッション弱で判定できます。この見積もりを済ませてから製品を見比べても遅くありません。

本記事では、ABテストツールが引き受ける作業とGoogleオプティマイズ終了後に残った選択肢から、必要なセッション数の見積もり方、タイプ別の選び方と契約前の確認点まで、Webコンテンツの制作を請け負う立場の視点で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること
  • ABテストツールが肩代わりする作業と、しない作業
  • Googleオプティマイズ終了後に残った選択肢の地図
  • 改善幅ごとに必要なセッション数の目安と、その計算の考え方
  • タイプ別の比較と、選定時に見落とされやすい5つの確認点
  • ツールを入れても結果が出ないときに起きていること

ABテストツールとは、変更案の配信と集計を自動化する仕組み

ABテストは、同じページに来た訪問者をA案とB案へ振り分け、成果の出た方を採用する検証方法です。考え方そのものは単純で、極端に言えばツールがなくても成立します。広告クリエイティブを2本用意して差し替える、期間を区切ってページを入れ替える。そうした手作業で代用している現場は今も珍しくありません。

ただし代用には弱点があります。同じ時期に同じ条件で比べられないことです。先週のA案と今週のB案を比べても、差が案の違いによるものか、曜日や季節、広告出稿量の違いによるものかを切り分けられない。ABテストツールが引き受けているのは、その切り分けを担保する部分です。

ツールが肩代わりする4つの作業

具体的には、訪問者をランダムに振り分けること、振り分けた側に応じて表示内容を差し替えること、各案の成果を別々に数えること、そして差が偶然の範囲かどうかを判定することの4つになります。どれも自前で組めなくはありませんが、振り分けの偏りを防ぐ実装と、判定の統計処理は、片手間で正しく作れるものではないでしょう。

ABテストツールが担う4つの処理の流れ

ABテスト、多変量テスト、リダイレクトテストの違い

製品ページには複数のテスト方式が並びます。名前は違っても、比べる対象と必要な訪問者数が変わるだけなので、区別は難しくありません。

同一URLテストは、1つのURLの中で見出しやボタンなどの要素を差し替える方式で、一般にABテストと呼ばれるのはこの形です。リダイレクトテストは、別々のURLに用意した2枚のページへ振り分ける方式で、レイアウトごと作り替えるときに使います。多変量テストは、見出しとボタンと画像といった複数の要素を組み合わせて同時に検証する方式ですが、組み合わせの数だけ訪問者を分け合うため、必要な人数は一気に増える。

順番としては、まずリダイレクトテストで大きく違う2案を比べ、方向が定まってから同一URLテストで細部を詰める流れが扱いやすいところです。多変量テストは、月に数十万セッションが動くサイトでなければ、結論が出るまでに時期が変わってしまいます。

ツールを入れても自動化されないこと

一方で、ツールが用意してくれないものもはっきりしています。何を仮説に立てるか、B案として何を作るか、出た結果をどう次のテストにつなげるか。ここは人の仕事として残ります。比較記事が機能表で終わりがちなのは、この部分がツールの評価軸に乗らないからでしょう。後半で改めて触れます。

関連記事:コンテンツマーケティングの基礎知識を総まとめ|やり方から成果につなげる方法まで徹底解説

Googleオプティマイズ終了後、選択肢はどう変わったか

国内でABテストが広まった背景には、無料で使えるGoogleオプティマイズの存在がありました。そのオプティマイズとオプティマイズ360は、2023年9月30日をもって利用できなくなっています。実施中のテストとパーソナライズも、この日で終了しました。

※ 出典はGoogleアナリティクスヘルプの案内ページです。

[Sunset September 2023] Google Optimize - Analytics Help
Google Optimize and Optimize 360 are no longer available as of September 30, 2023. Any experiments and personalizations still active on that date have ended. Frequently asked questions Why was Optim
🌐 support.google.com
外部リンク

同じページでGoogleは、終了の理由を「お客様がテストのために必要としている機能とサービスを十分に備えていなかったため」と説明したうえで、Googleアナリティクス4のサードパーティ製A/Bテスト連携に投資すると述べています。そして、統合に取り組む相手としてAB Tasty、Optimizely、VWOの3社の名前を挙げました。あわせて統合用のAPIを一般公開しており、他社ツールもGA4と連携できる形になっています。

この経緯は、ツール選定に2つの示唆を残しました。ひとつは、GA4のセグメントとテスト結果を突き合わせたいなら、名前が挙がった3社は有力な候補になるということ。もうひとつは、無料で高機能という選択肢がいったん市場から消えたことで、国産のヒートマップ系ツールやWeb接客ツールが、その空席を埋める形で機能を拡張してきたということです。

現在の選択肢は、おおよそ次の4つに整理できます。無料または低価格で始めるタイプ、ヒートマップや解析と一体になった国産タイプ、GA4連携と大規模運用に向くグローバルタイプ、そして運用支援がセットになったタイプ。詳細は後段の比較で扱います。

関連記事:【2025年最新】コンテンツマーケティングツール15選|目的別比較と選び方を解説

ABテストツールの主な機能

製品ページに並ぶ機能名は各社で呼び方が違いますが、中身は5つに収まります。比較表を見る前に、それぞれが何をするものかを押さえておくと、自社に不要な機能で価格差が生まれていることに気づけます。

機能

何をするものか

選定時に見る点

テスト配信

訪問者を各案へ振り分けて表示を出し分ける

同一URLでの出し分けか、別URLへの転送か

エディタ

画面上の操作でB案を作る

ノーコードで完結するか、コード編集が要るか

セグメント

対象を新規や特定流入元などで絞る

絞り込める条件の種類と、絞ったあとの人数

レポート・有意差判定

各案の成果を集計し差の確からしさを示す

判定方法が明示されているか

外部連携

GA4やMAツールとデータをつなぐ

連携の可否と、連携に必要な作業量

このうち判断が分かれるのがエディタです。ノーコードで見出しやボタンを書き換えられる機能は魅力的に見えますが、実際に使うのが誰かで評価は変わる。マーケティング担当者が自分で回すなら価値が高く、結局は制作会社に依頼して実装するなら、エディタの使いやすさより実装方法の柔軟さのほうが効いてきます。

有意差判定の方法は、製品によって考え方が違います。従来型の検定を使うものと、ベイズ統計にもとづいて「B案が勝っている確率」を示すものがあり、後者は早い段階から数字が出るぶん、途中経過を見て打ち切りたくなる誘惑が強い。どちらが優れているという話ではなく、判定方法とテストの止め方をセットで決めておくことが大切です。

セグメント機能にも同じ注意が要ります。スマートフォンの新規訪問者だけに絞れば仮説は鋭くなりますが、絞ったぶん対象になる人数は減る。次の章で扱う見積もりと直結する部分です。

関連記事:コンテンツ制作とは?目的や種類、効果的な作り方とポイントを徹底解説

ツールを選ぶ前に、自社サイトでテストが終わるかを見積もる

ここが本記事でいちばんお伝えしたい点です。ABテストは、2つの案の成果に差があるかどうかを、限られたサンプルから判断する作業になります。ということは、改善幅が小さいほど必要な人数は跳ね上がる。この関係を知らないままツールを契約すると、3か月経っても「差があるとも言えないし、ないとも言えない」という結果しか出ません。

目安を出しておきます。両側5%の有意水準、検出力80%という一般的な条件で、2つの比率の差を検定する標準的な計算式に当てはめると、次の規模が必要になります。

元のCVR

目指す改善幅

片方の案に必要なセッション数

A案とB案の合計

1.0%

20%向上(1.2%へ)

約42,700

約85,000

2.0%

20%向上(2.4%へ)

約21,100

約42,000

2.0%

50%向上(3.0%へ)

約3,800

約7,600

5.0%

20%向上(6.0%へ)

約8,200

約16,000

5.0%

50%向上(7.5%へ)

約1,500

約2,900

※ 両側5%の有意水準・検出力80%を前提に、2群の比率の差の検定に用いられる標準的な式で算出した目安値です。実際の必要数は、期間中のCVRの変動や除外条件によって前後します。

表を横に読むと見えてくることがあります。CVR2%のページでボタンの色を変えて数%改善するようなテストは、月間4万セッション級の集客がないと結論が出ない。逆に、CVR5%のページでファーストビューごと作り替えて5割の改善を狙うなら、3千セッションほどで判定できます。同じツールを使っても、テストの成否は改善幅の大きさで先に決まっているわけです。

ABテストが成立するかを判断する手順

ここでよく起きるのが、届かないぶんを期間で埋めようとする判断です。気持ちはわかるのですが、時間をかけるほど条件が揃わなくなる方向に働きます。

足りないアクセス数は、期間を延ばしても完全には埋まりません。2か月、3か月と回すあいだに季節要因や広告出稿の変化が入り込み、A案とB案の条件が揃わなくなっていきます。一般に4週間を超えるテストは、Cookieの消失によって同じ訪問者が別の案を見る割合も増えていく。期間で解決しようとするより、テストの中身を見直すほうが現実的でしょう。

数字が足りないとわかったときの選択肢は、大きく3つです。ひとつは、細かい要素ではなく構成やオファーそのものを変えて改善幅を取りにいくこと。もうひとつは、テンプレート単位でテストして複数ページの訪問者をまとめて検証対象にすること。そして3つ目が、テスト以前にページへの流入自体を増やすことです。

テストしたくても、まだアクセス数が足りないと分かったとき

必要セッション数に届いていないページは、ABテストより先に集客の設計を見直したほうが早く成果が出ます。Writers-hubでは、検索とAI検索からの流入を増やすためのキーワード設計と記事制作を、テストの土台づくりとしてお引き受けしています。

改善幅を大きく取れる要素はどこにあるか

前章の計算からわかるのは、限られたアクセス数で結論を出したいなら、小さな変更を積み重ねるより、成果が大きく動く要素を先に触るべきだということです。では、どこを触ると動くのか。判断の軸は2つあります。その要素が何人に見られているかと、どこまで大胆に変えられるかです。

ページ上部にある要素ほど、見ている人数が多くなります。フォームの送信ボタンの色を変えても、そこまで到達している人が全体の数%なら、サイト全体のCVRはほとんど動かない。逆にファーストビューは訪問者のほぼ全員が目にするため、同じ作業量でも結果に出る幅が違います。

検証する要素と、成果が動きやすい順番
  • オファーの中身(何を提供するか、無料か有料か、所要時間の提示)
  • ファーストビューのコピーとビジュアル(誰向けか、何が得られるか)
  • ページ全体の構成順(実績を先に出すか、機能説明を先に出すか)
  • CTAの文言と設置位置(行動を具体的に書くか、数を増やすか)
  • フォームの項目数と入力補助
  • ボタンの色、余白、文字サイズなどの細部

上から順に、変えたときの振れ幅が大きく、必要なアクセス数が少なくて済みます。一般的な比較記事はボタンの色や文言の話から入りがちですが、実務では最後に回してよい部類です。細部の検証が効いてくるのは、上位の要素をひととおり試し終えて、それでも数%を取りにいく段階に入ってからでしょう。

オファーの検証だけは性質が違います。提供する内容そのものを変えるため、営業やカスタマーサポートとの合意が要る。ただ、ページの表現をいくら磨いても届かなかった数字が、資料の中身を「事例集」から「料金比較表」に変えただけで動くことはあります。表現の外側にも検証対象があると考えておくと、仮説が枯れにくくなります。

タイプ別に見るABテストツールの選び方

必要アクセス数の見積もりが済んだら、ようやく製品の比較です。国内で名前の挙がる製品は、次の4タイプに分けると整理しやすくなります。

無料・低価格タイプ分析一体型タイプ*グローバル高機能タイプ支援つきタイプ
主な製品Optimize Next、Ptengineの無料枠SiTest、Ptengine、DLPO、ミエルカオプティマイズ、KARTE BlocksVWO、Optimizely、AB Tasty、Adobe TargetKaizen Platform、Sprocket
向くサイト規模小規模から検証を始めたい中規模から大規模大規模・多拠点社内リソースが薄い組織
ヒートマップ等の分析
GA4との連携
日本語サポート
導入のハードル低い中くらい高い中くらい

多くのサイトにとって現実的な入口は、分析一体型です。理由は単純で、ABテストの前段にある「どこを直すか」の判断材料が同じ画面で手に入るから。ヒートマップで離脱箇所を見つけ、そのままB案を作ってテストに回せる設計は、担当者が1人か2人という体制と相性が良い。

無料・低価格から始めるタイプ

Googleオプティマイズの後継として名前が挙がることが多いのがOptimize Nextで、公式サイトでも無料で使えるABテストツールとして案内されています。ヒートマップとABテストを同じ画面で扱いたいなら、無料登録の枠があるPtengineも候補になる。Web接客に軸足のあるTETORIは、公式サイト上で月額1万円からの価格帯を示しています。

無料枠を選ぶときに確認したいのは、テストの同時実行数、計測できるPVやセッションの上限、そしてサポート範囲の3点です。上限に達した時点で計測が止まる仕様のものもあるため、見積もった必要セッション数が枠内に収まるかは事前に照らし合わせておきましょう。

分析やLPOと一体になったタイプ

SiTestは株式会社グラッドキューブが提供するツールで、ヒートマップ解析、ABテスト、EFOを1つにまとめています。ほかに、LPOに重心を置くDLPO、サイトの部品単位で書き換えと検証を行うKARTE Blocks、SEO系ツールと同じ画面で扱えるミエルカオプティマイズなどが同じ層にあります。

このタイプを比較するときは、機能の多さより「自社がすでに使っている解析ツールと役割が重複しないか」を見たほうが判断が速い。ヒートマップを別途契約しているなら、重複ぶんの費用を統合できるかどうかが実質的な比較軸になります。

GA4連携と本格運用に向くタイプ

VWOOptimizely、AB Tastyは、先ほど触れたGoogleの案内でGA4連携先として名前が挙がった3社です。Adobe Targetを含め、この層は多変量テストやパーソナライズまで踏み込めるかわりに、設定にエンジニアの関与が前提となる場面が増えます。

導入判断の分かれ目は、テストの本数です。年に数回なら過剰投資になりやすく、複数の事業部が並行して常時テストを回すなら、権限管理やテンプレート機能が効いてきます。

運用支援がセットになったタイプ

Kaizen PlatformやSprocketのように、ツールの提供と施策の実行支援を組み合わせた形態もあります。社内に仮説を出せる人がいない、あるいはB案を作る制作リソースがないという状況では、ツール単体を安く買うより結果的に早い。ただし、支援に依存したままだと社内にノウハウが残らないため、どこまでを内製に戻すのかを最初に決めておくと後が楽になります。

比較表では見落とされやすい5つの確認点

機能と価格の比較は各社の資料でできます。ここでは、導入後につまずきやすく、事前に確認しておくと事故を防げる点を挙げます。

  • 元のページが表示されてから書き換わる「ちらつき」が、自社サイトでどの程度出るか
  • 計測上限がPV、セッション、ユーザー数のどれで数えられるか
  • SPAや動的に生成されるページで、要素の指定が壊れないか
  • タグを設置する権限と、設置後の表示速度への影響を誰が確認するか
  • 契約終了後、テストで採用した変更がページ本体に反映されているか

1つ目は特に軽視できません。JavaScriptでページを書き換える方式のツールでは、元のページが一瞬見えてから差し替わる現象が起こります。フリッカーと呼ばれるもので、書き換え箇所がファーストビューにあるほど目立ち、テストの結果自体を歪めかねない。導入前の検証では、必ず実機の回線速度で確認してください。

5つ目も、担当者が代わったときに揉めやすい部分です。ツール側で書き換えたままの状態を「改善済み」と扱っていると、解約と同時にページが元に戻ります。

💡

勝ったB案は、テストが終わった時点でページ本体のHTMLに反映する。この一手間を運用ルールに入れておくと、ツールの乗り換えや解約が自由になります。反映の作業者と期限を、テスト計画の時点で決めておくのが確実でしょう。

ツールを入れても成果が出ないときに起きていること

導入から半年経ってもCVRが動かない、という相談は少なくありません。原因を切り分けていくと、ツールの選定ミスにたどり着くケースは実のところ多くない。多くは次のどれかです。

経営者経営者

ツールは入れたのですが、テストが月に1本も回っていません。何から手をつければよいでしょうか。

止まる理由は、たいてい仮説ではなく制作物のほうにあります。テスト案を1本作るのに社内の承認が必要で、そこで数週間止まるという構図です。

Writers-hub編集部Writers-hub
編集部

テストの本数が落ちているときは、B案を作る工程を見てみてください。仮説は会議で20個も30個も出るのに、実際に形になるのは月1本というケースが多いんです。承認フローを軽くするか、B案の制作を外に出して本数を確保するか。どちらかを決めないと、ツールの費用だけが積み上がります。

もうひとつ、はじめの数回で「差が出なかった」という結果が続き、社内の熱が冷めていく流れもよく見ます。差が出なかったこと自体は失敗ではなく、その要素がCVRを左右していないという情報が得られた状態です。ただ、差が出なかったという事実を成果として報告できる形に整理しておかないと、継続の判断は感情に流されやすくなる。

  • 変更が小さすぎて、いまのアクセス数では見分けられない差しか生まれていない
  • 仮説が「なんとなく良さそう」で、外れたときに次の一手が導けない
  • 勝った案の学びが記録されず、担当者が代わると同じテストを繰り返す
  • テストの対象がページ下部にあり、そもそも見られていない

こうして並べてみると、ツールは何を試すかまでは決めてくれないという当たり前の事実に行き着く。ABテストで動く数字を作っているのは、配信の仕組みではなく、比較対象として置いたコピーとデザインの中身です。記事タイトルのテストで実際にCTRを動かしたときの進め方は、記事タイトルのA/Bテスト方法にまとめています。

仮説は出るのに、テストするB案が形にならないとき

テストの本数は、そのままコピーや原稿を作れる本数で頭打ちになります。Writers-hubでは、検証したい仮説をもとにしたコピー案の作成から、勝ちパターンを本文へ反映するところまでを、編集部の外部機能としてお引き受けしています。

ABテストツールを導入してから運用に乗せるまでの手順

最後に、契約直後に何をどの順で進めるかを整理します。順番を入れ替えると、最初の1本が回り出すまでの時間が伸びやすい部分です。

1
STEP
対象ページと成果指標を1つに絞る

テストしたいページを1つ選び、何をもって勝ちとするかを決めます。フォーム送信なのか、その先の商談化なのか。指標を2つ以上置くと、判定のたびに解釈が割れます。

2
STEP
必要セッション数を計算して期間を決める

現在のCVRと狙う改善幅から必要なセッション数を出し、実際のアクセス数で割って期間を算出します。8週間を超えるなら、テストの中身を作り直す判断をここで下します。

3
STEP
仮説とB案を先にまとめて作る

1本ずつ作ると承認待ちで止まります。3本から5本分の仮説とB案を先に用意し、テストの合間を空けないようにしておきます。

4
STEP
計測が正しく動いているか小さく確認する

本番配信の前に、振り分けが偏っていないか、成果イベントが両方の案で拾えているかを確かめます。ここを飛ばすと、期間を使い切ってから計測漏れに気づきます。

5
STEP
期間の途中で打ち切らず、終了後に判定する

序盤の数字は大きく振れます。あらかじめ決めた期間か必要セッション数に達するまでは、途中経過を見ても判断を変えないと決めておきます。

6
STEP
勝った案を本体に反映し、学びを1行で残す

採用した変更をページのHTMLに反映し、何を試して何がわかったかを記録します。次の仮説はこの記録から生まれます。

6つのうち抜けやすいのは、3番目と6番目です。B案をまとめて用意する工程を飛ばすとテストの間隔が空き、学びを残す工程を飛ばすと、担当者が代わった翌年に同じ検証をもう一度やることになる。

最初の1本は、勝ちを狙うより「一連の流れを最後まで通す」ことを目的にすると定着しやすくなります。計測の確認、期間の設定、判定、反映、記録。ひととおり経験しておけば、2本目からの立ち上がりが目に見えて速くなるはずです。

一巡したあとは、同じ流れを繰り返すだけになります。仮説の在庫が切れないよう、記録から次の仮説を拾い直すところまでを1つのサイクルとして設計しておきましょう。

ABテストを継続的に回すための運用サイクル

ABテストツールについてよくある質問

選定と運用の場面で受けることの多い質問をまとめます。

Googleオプティマイズと同等の機能を無料で使えるツールはありますか。

同等の機能を無料で提供する製品は現時点で見当たりません。Optimize Nextのように無料で使えるABテストツールはありますが、機能範囲やサポートは製品ごとに異なります。無料枠のあるヒートマップ系ツールと組み合わせて始めるのが現実的な選び方です。

月間1万セッションのサイトでもABテストはできますか。

改善幅の大きいテストなら可能です。CVR5%のページで5割の改善を狙う設計なら、片方あたり1,500セッション程度で判定できる計算になります。一方、CVR2%のページで2割の改善を検証するには片方あたり2万セッション規模が必要になるため、テストの中身を大きくするか、対象ページを広げてアクセス数を確保します。

テスト期間はどのくらいが適切ですか。

必要セッション数に到達するまでの期間が基準になりますが、曜日による変動をならすため最低でも1週間、実務上は2週間から4週間に収まる設計が扱いやすいところです。4週間を超える場合は、改善幅の設定を見直すことをおすすめします。

GA4があればABテストツールは不要ですか。

GA4は結果の集計と分析に使えますが、訪問者の振り分けと表示の出し分けは行いません。GoogleはGA4とA/Bテストツールを連携させるためのAPIを公開しており、両者を組み合わせて使う前提になっています。

まとめ

ABテストツールの比較は、機能表の突き合わせから入ると判断がつかなくなります。先に確かめるべきは、テストしたいページの月間セッション数とCVR、そして狙う改善幅の3つです。この3つから必要なセッション数を出せば、候補は自然と絞られる。

そのうえで製品を見るなら、分析一体型を入口に、GA4との連携が要るならグローバル系、社内リソースが薄いなら支援つきという順で検討すると迷いが減ります。導入後は、ちらつきの有無と計測上限、そして勝った案をページ本体へ反映する運用ルールを決めておいてください。

そして、テストの成果を最後に左右するのはB案の中身です。合同会社Writers-hubでは、検証したい仮説をコピーや原稿の形にする制作支援と、テストに必要なアクセス数を確保するための集客設計を、どちらもコンテンツ制作の一部としてお引き受けしています。

ツールは決まった。次は試す案を作り続ける番というとき

ABテストが止まる原因の多くは、ツールではなくB案の供給が続かないことにあります。仮説の整理からコピー案の作成、勝ちパターンをページ本文へ落とし込むところまで、編集部の外部機能としてご一緒します。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

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