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事例の書き方|構成の6要素と、取材から公開までの手順

事例で読者が確かめているのは、うまくいった結果よりも、導入前にどんな作業で困っていたのか、何と比べて決めたのかという経緯のほうです。取材の前に設問を固定しておくと、書く段階で情報が足りずに聞き直す手間が減り、他の事例と並べたときにも比較できる形になります。社名や数字を公開できない場合でも、条件のそろえ方しだいで使える事例にはできます。

取材メモと設問シートが机に並び、そこから課題・比較・決め手・成果という4つの箱へ矢印が伸びている俯瞰の構図。付箋とボールペンが脇に添えられている。

「事例が読まれないのは、自分の書き方が下手だからだろう」。事例づくりは取材をしてから原稿にする作業だと受け取られているため、うまくいかない原因も書く段階にあると考えられがちです。他社の完成した事例と自分の原稿を見比べても、違いは文章表現にしか見えません。

しかし、取材を伴う事例記事を数多く手がけてきた弊社の立場から言えるのは、読まれない事例の多くは文章の巧みさではなく、取材前の準備でつまずいているということです。聞く項目を先に決めずに取材へ臨むと、書き始めてから素材の不足に気づき、追加で確認する往復が発生します。相手に会えるのが一度きりのことも多いため、この往復がそのまま公開の遅れになります。

本記事では、社外向けと社内向けで何が変わるのかという整理から、構成の6要素と取材から公開までの工程、社名や数字を出せないときの書き方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること
  • 社外向けの事例と社内向けの事例で、変わる点と変わらない点
  • 形式を問わず共通する、事例の構成6要素
  • 取材依頼から公開までの工程と、各工程で決めておくこと
  • 社名や数字を公開できないときの書き方
  • 原稿確認を経ても内容が薄くならない進め方

「事例」は社外向けと社内向けで目的が違う

同じ「事例の書き方」を調べていても、書こうとしているものは人によって別物です。BtoB企業のマーケティング担当者が探しているのは、自社サイトに載せる導入事例の作り方。介護や看護の現場で働く方が探しているのは、研修や発表会で使う事例報告のまとめ方。目的が違えば、書く順序も、どこを厚くするかも変わります

分かれ目は「読み手が何をしたくて読むのか」にあります。社外向けの事例を読む人は、自分の会社に置き換えて考えたい。社内向けの事例を読む人は、その判断や対応を自分の現場で再現したい。前者は共感の材料が要り、後者は手順と根拠が要ります。


社外向けの事例

社内向けの事例

呼び方

導入事例、活用事例、実績紹介、お客様の声

事例発表、事例報告、事例検討、ケーススタディ

読み手

検討中の見込み顧客

同じ職種の同僚、他部署、研修参加者

読む目的

自社に導入したときの姿を想像する

同じ状況に出会ったときに再現する

厚く書く箇所

導入前の課題と、選んだ理由

経過の観察と、そこから何を学んだか

主な出し先

Webサイト、営業資料、ホワイトペーパー

発表資料、報告書、記録様式

固有名の扱い

掲載許諾を得て社名を出すのが基本

対象者を特定できないよう匿名化する

社外向けの事例は、読者に自分の状況を重ねてもらうために書く

導入事例とは、すでに商品やサービスを使っている顧客に取材し、導入前の状況から選定の経緯、使い方、その後の変化までを紹介するコンテンツを指します。実績紹介や活用事例も、呼び名が違うだけで役割はほぼ同じ。営業資料の後半に置かれる「導入企業一覧」も、広い意味では事例の一種と言えるでしょう。

役割は、売り手の説明を第三者の言葉で裏づけることにあります。「操作が簡単です」と自社が書くより、「入社2か月の派遣スタッフが翌日から入力できました」と顧客が語るほうが、読み手は信じやすい。事例の価値は、書き手が言えないことを取材相手に語ってもらえる点に集約されます。

社内向けの事例は、他の人が同じ判断をたどれるように書く

事例発表とは、実際に担当した支援や対応の経過を整理し、そこから得た知見を同じ職種の人と共有する取り組みを指します。介護、看護、福祉、教育の現場で日常的に行われており、様式が組織や職能団体ごとに決まっている場合も多い。

社外向けとの最大の違いは、成功だけを書くわけではないという点にあります。うまくいかなかった対応や、判断に迷った場面こそ、聞き手にとっては学びの材料になる。社内向けの事例では、失敗や迷いを削ると発表そのものの価値がなくなります

経営者経営者

自社サイトの導入事例を作るよう言われたのですが、社内に取材の経験者がいません。何から手をつければよいのでしょうか。

Writers-hub編集部Writers-hub
編集部

最初にやるべきは取材ではなく、掲載の目的をひとつに絞ることです。「価格が高いという印象を和らげたい」「業界特有の要件に対応できると伝えたい」など、その事例で外したい懸念を先に決めてください。決めておくと、取材先の選定も設問も自然に決まります。目的が曖昧なまま取材すると、当たり障りのない感想が並ぶ原稿になります。

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事例の構成は6つの要素でおおむね足りる

事例のテンプレートを探している方が多いのですが、形式そのものは複雑ではありません。社外向けでも社内向けでも、次の6要素をこの順で並べれば骨格として成立します。フォーマットとして固定してしまえば、書き手が変わっても品質のばらつきが小さくなります。

事例の構成6要素
  1. 対象の基本情報(会社概要、部署と人数、担当者の役割/社内向けなら対象者の属性と背景)
  2. 導入前の状況と課題(何をどう困っていたか。作業レベルで具体的に)
  3. 検討と比較の経緯(他に何を候補にし、どこで迷ったか)
  4. 決め手(最終的に何が判断の分かれ目になったか)
  5. 導入後の使い方と変化(誰が、どの場面で、どう使っているか)
  6. これからの展望(次に何をしたいか。社内向けなら考察と課題)

6要素を並べると、事例は「困っていた状態から、選んで、使って、変わった」という時間の流れになります。取材の設問もこの順に作っておくと、話が前後しても後から並べ替えるだけで原稿の骨格ができあがります。

事例の構成6要素が順に並ぶ流れの図解

課題と成果だけを書いた事例は読み飛ばされる

事例の原稿でもっとも多い失敗は、2番の課題と5番の変化だけで構成してしまうことです。「作業に時間がかかっていた。導入して効率化した」という骨格は、どの会社のどの事例に当てはめても成り立ってしまう。読者にとっては、自社サイトの商品説明を読んでいるのと変わりません。

差がつくのは3番と4番です。何と比較し、どこで迷い、最後は何で決めたのか。比較検討の記述は、読者がまさにいま行っている作業そのものなので、いちばん熱心に読まれます。他社製品名を出せない場合でも、「機能はほぼ同等の2社と、価格が半分の1社で迷った」という書き方であれば掲載できることが多いはずです。

導入の経緯は、決裁の流れまで書けると強い

BtoBの購買では、担当者が気に入っても稟議で止まることがあります。だからこそ、社内をどう説得したかまで書かれた事例は、読者にとって実務的な参考になる。上司にどんな資料を出したのか、費用対効果をどの数字で説明したのか。ここまで踏み込めた事例は、営業担当が商談の場で渡す資料としても機能します。

関連記事:イベントレポートの書き方|構成・例文・当日から公開までの手順

事例ができるまでを6つの工程に分ける

書き方の話に入る前に、事例が完成するまでの流れを押さえておきます。事例制作でつまずくのは執筆そのものより、依頼と確認の工程であることが大半です。

1
STEP
掲載の目的と、外したい懸念を決める

何を伝えるための事例なのかを1文で書きます。「導入までの期間が長そうという懸念を外す」「小規模でも使えると示す」など、外したい懸念の形で書くと、後の工程がぶれません。

2
STEP
取材先を選ぶ

目的に合う顧客を選びます。知名度よりも、読者が自分と重ねられるかどうかを優先してください。従業員数、業種、体制が読者層に近い企業のほうが、有名企業の事例より効きます。

3
STEP
依頼し、設問シートを先に渡す

掲載範囲、公開先、所要時間、確認の手順を明記して依頼します。取材の設問は事前に送る。当日にその場で考えてもらうより、あらかじめ思い出しておいてもらったほうが、具体的な話が出てきます。

4
STEP
取材する

設問の順に聞きつつ、話が具体的になった箇所は掘り下げます。数字が出たら、必ずその場で「どの期間の、何と比べた数字か」を確認しておきます。後から確認しようとしても、担当者の記憶があいまいになっていることが多いためです。

5
STEP
原稿を書き、社内で先に確認する

取材相手へ送る前に、自社の営業担当や責任者に読んでもらいます。事実誤認や表現の問題を社内で潰しておくと、取材相手とのやり取りが1往復で済みます。

6
STEP
確認を依頼し、公開する

修正依頼の期限を添えて送ります。期限を書かないと放置され、公開が数か月ずれることも珍しくありません。公開後は、取材相手にURLと簡単な報告を送ります。

工程のうち、時間が読みにくいのは3番目の依頼と6番目の確認です。相手の都合に左右されるため、社内向けのスケジュールには余裕を持たせておくのが安全でしょう。取材そのものにかかる時間より、依頼と確認のやり取りに日数がかかります

事例を作りたいが、取材と原稿確認まで社内で回しきれないなら

事例制作は、執筆よりも依頼交渉と確認のやり取りに手間がかかる仕事です。合同会社Writers-hubでは、設問シートの設計から取材、執筆、確認対応までを編集部の機能ごとお引き受けしています。作りたい事例の本数と、取材先の候補があるかどうかをお聞かせいただければ、どこから着手すべきかをお伝えできます。

関連記事:ブログ記事の書き方|読まれない原因と設計から改善までの手順を解説

読まれる事例に共通する書き方の要点

構成が同じでも、書き方しだいで読まれ方は変わります。制作の現場で、修正指示として繰り返し出てくる項目をまとめました。

課題は「困っていた」ではなく、当時の作業で書く

「業務が非効率だった」と書いても、読者の頭には何も浮かびません。当時の作業を、動作の粒度まで下ろして書きます。「毎週金曜に3拠点から届くExcelを担当者が手作業で結合し、集計に半日かかっていた」と書けば、同じ作業をしている読者は自分の金曜日を思い出す。課題の解像度が、そのまま読者の自分ごと化の度合いになります

数字は、前後の差がわかる形で示す

「作業時間を削減」では情報になりません。前後を並べて、はじめて差が伝わります。導入前と導入後、どの期間を比べたのかまで書くと、数字の信頼度が上がる。時間や件数が出せない場合でも、担当人数、頻度、手順の工程数といった置き換えられる数字はたいてい見つかります。

迷った点や、うまくいかなかった点を削らない

原稿の確認過程で真っ先に削られるのが、迷いや不満の記述です。しかし、良いことしか書いていない事例は広告として読まれ、警戒されます。良い点だけの事例は、読者に広告として処理されます。「最初の1か月は入力が定着せず、朝礼で声かけを続けた」といった記述が1つ入るだけで、他の記述の信頼度も上がるのです。

タイトルには、変化を1行で入れる

事例のタイトルは、社名と製品名を並べただけになりがちです。読者が知りたいのは、何がどう変わったのか。「集計に半日かかっていた月次レポートを、翌朝の朝礼で共有できるようになるまで」のように、変化の前後をタイトルに入れると、一覧ページでのクリックが変わります。数字が公開できない場合は、時間の単位が変わったこと、担当者が減ったことなど、質の変化を書けば代替できます。

  • 「業務効率化を実現しました」など、どの事例にも当てはまる要約で締める
  • 取材で出た言葉を、社内の言い回しに直して固くする
  • 課題を経営課題の抽象度で書き、現場の作業に下ろさない
  • 導入の決め手を「担当者の対応が良かった」だけで終える
  • 数字を出す一方で、いつからいつまでを比べたのかを書かない

社名も数字も公開できない事例をどう書くか

実務でもっとも多い相談が、これです。取材はできたが社名を出せない、あるいは成果の数字を開示できない。ここで制作が止まってしまう企業は少なくありません。

結論から言えば、社名と数字がなくても、事例として成立させる方法はあります。読者が知りたいのは相手の社名ではなく、自分と条件が近いかどうか。そのため、社名の代わりに条件を出せば、事例としての機能は残ります。

💡

社名を出せない場合は、次の3点を代わりに開示します。業種または事業内容、規模を示す数値(従業員数、拠点数、月間処理件数など)、そして担当部署と役職。「製造業、従業員120名、生産管理部の課長」まで書ければ、読者は自社と比較できます。

匿名化にも段階があり、どこまで伏せるかは取材先との合意で決まります。交渉の際は、いきなり実名掲載を求めるより、段階を示して選んでもらうほうが通りやすい印象があります。

事例の匿名化レベルを段階で示した図解

数字が出せないときは、置き換えられる指標を探します。金額が無理でも工数、工数が無理でも担当者数、それも無理なら「以前は月末に必ず残業が発生していたが、いまは発生しない月がある」といった状態の変化。変化の方向と、その根拠になった場面が書ければ、事例としては成立します

なお、成果が芳しくない事例をどう扱うかという相談もありますが、無理に成果を演出するのは避けたほうがよいでしょう。運用の工夫や、定着までの過程そのものを主題にする書き方に切り替えれば、活用事例として十分に成立します。

事例は1本ずつではなく、そろえたときに効く

ここが、事例制作でもっとも見落とされている点かもしれません。事例は1本の完成度を上げるより、複数を同じ形でそろえたほうが効きます。

理由は、読者の読み方にあります。事例の一覧ページに来た読者は、上から順に読むのではなく、自分に近い条件の事例を探して1本だけ開く。つまり事例集は、記事の集まりというより検索対象に近い。業種や規模の幅が埋まっているかどうかが、1本あたりの文章の巧拙より効いてきます

そろえるための実務的な手段が、設問の固定です。取材ごとに聞くことを変えると、原稿の構成も変わり、読者は事例どうしを比べられません。全事例で同じ設問を使うと、比較できる事例集になります。設問シートを1枚作り、それを使い回すだけで揃います。

設問を固定することで事例が比較可能になる仕組みの図解

検索面でも、事例は他社が真似できない情報になる

事例は、取材しなければ書けない一次情報です。Googleは、独自の情報や実体験にもとづく内容を評価する方針を公開しており、一般的な解説記事より事例のほうが差別化しやすい領域だと考えられます。

有用で信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成 | Google 検索セントラル | Documentation | Google for Developers
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🌐 developers.google.com
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一方で、事例ページは検索から直接流入しにくい性質もあります。「導入事例」で検索する人は少なく、多くは製品名やサービス名の検索、あるいは比較検討の記事から回遊してたどり着く。そのため、関連する解説記事から事例へ内部リンクを張る設計を、記事側とセットで考えておくのが現実的です。

Web記事とスライド資料では、同じ事例でも並べ方を変える

事例をPDFやスライドの資料にする場合、Web記事をそのまま流し込むとうまくいきません。資料は1枚ずつ独立して読まれるため、1枚目に結論と成果を置き、経緯は後ろに回す構成が向いています。Web記事が時系列で読ませるのに対し、資料は結論から入る。同じ取材素材から2種類を作る前提であれば、取材の段階で成果を数値で押さえておくと、あとの作業が楽になります。

事例が数本たまったところで、続きが止まっているなら

事例は1本目より、2本目以降を継続する仕組みのほうが難しい仕事です。合同会社Writers-hubでは、設問シートの整備、取材先の選定基準づくり、月ごとの制作本数の設計まで含めて、事例を増やし続ける体制づくりを支援しています。現在の本数と、次に埋めたい業種や規模をお聞かせください。

社内向けの事例発表・事例報告のまとめ方

ここからは、介護や看護、福祉、教育の現場で求められる事例発表について整理します。社外向けとは書く順序が異なるため、分けて扱います。

社内向けの事例で問われるのは、成果ではなく判断の過程です。なぜその対応を選んだのか、何を観察してそう判断したのか。聞き手は同じ職種であり、同じ状況に出会う可能性がある人たちなので、再現できる形で書く必要があります。

事例発表でまとめる項目
  1. 事例の概要(対象者の年齢層、状況、関わった期間)
  2. 取り上げた理由(なぜこの事例を選んだのか)
  3. 経過(時系列で、観察した事実と実施した対応を分けて書く)
  4. 結果(どう変化したか。変化しなかった点も含める)
  5. 考察(なぜそうなったと考えるか。判断の根拠を言語化する)
  6. 今後の課題(次に同じ状況になったとき、何を変えるか)

もっとも差がつくのは3番と5番です。経過を書くとき、観察した事実と、書き手の解釈を混ぜないことが要点になります。「不安そうにしていた」は解釈で、「同じ質問を3回繰り返した」が事実。両者を分けて書くと、聞き手は自分なりの解釈を試すことができ、議論が成立します。

タイトルの付け方に迷う声も多く聞きます。対象、取り組み、結果の3点が入っていれば、内容が想像できるタイトルになります。「独居高齢者への服薬支援において、配薬カレンダーの色分けが定着に与えた影響」のような形。凝った表現より、何をした発表なのかが一読でわかることを優先してください。

社内向けの事例で最優先されるのは、対象者の匿名化です。氏名や生年月日を伏せるだけでは足りず、居住地域、家族構成、疾患名、勤務先といった情報の組み合わせから個人が特定される場合があります。所属組織に個人情報の取り扱い規程や倫理審査の手続きがあるときは、必ず事前に確認してください。発表資料の配布範囲と、発表後の資料の扱いも決めておく必要があります。

原稿確認を経ても内容が薄くならないようにする

社外向けの事例制作で、最後にして最大の関門が取材先による原稿確認です。ここで具体的な記述が削られ、当たり障りのない文章だけが残る。制作の現場では、頻繁に起きます。

削られる理由の多くは、取材先の担当者が「どこまで確認してよいのか」を判断できないことにあります。個人的には言えても、会社として公開してよいかがわからない。判断がつかない箇所は、安全側に倒して削られていきます。

対策は、確認の観点をこちらから指定することです。原稿を送るときに、確認してほしい点と、変更しなくてよい点を明記しておく。

  • 事実関係の誤り(数字、日付、部署名、担当者の役職)
  • 社外に出せない情報が含まれていないか
  • 発言の趣旨が変わっていないか
  • 文章表現や言い回しは、意味が変わらない範囲であれば変更不要
  • 修正の期限と、修正が入らない場合の扱い

この5点を添えるだけで、表現の全面書き換えは減ります。それでも重要な記述が削られたときは、削除理由を確認したうえで、匿名化や表現の抽象度を上げる形で残せないか交渉してください。削るか残すかの二択で聞かず、書き方を変える案を添えて聞きます

もうひとつ、公開時に確認しておきたいのが表示上のルールです。事例は自社サイトに自社の責任で掲載するものなので通常は問題になりませんが、取材協力への謝礼を渡したうえで取材先のSNSなどで発信してもらう場合は、広告であることの表示が求められる可能性があります。

令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁
🌐 www.caa.go.jp
外部リンク

※ 出典は消費者庁「令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります」。個別の判断が必要な場合は、所轄の窓口または専門家へご確認ください。

事例の書き方に関するよくある質問

制作の相談を受けるなかで、繰り返し聞かれる質問をまとめました。多くは本数と許諾に関するもので、書き方そのものより運用の悩みに寄っています。

事例は何本くらい必要でしょうか。

本数そのものより、読者層の幅が埋まっているかで判断してください。主要な業種や企業規模ごとに1本ずつあれば、多くの読者は自分に近い事例を見つけられます。同じ業種の事例が5本並ぶより、5業種に1本ずつあるほうが機能します。

取材を断られた場合はどうすればよいですか。

実名掲載を前提に断られたのであれば、匿名での掲載や、コメントのみの短い形式を提案してみてください。掲載範囲を狭めると許諾を得られる場合があります。断られた理由が社内規程であれば、規程の担当部署に確認してもらえないか依頼する方法もあります。

インタビューをせずに事例を作ることはできますか。

営業担当が把握している情報だけで、提供側の視点から書く形式もあります。取材の負担がない代わりに顧客の言葉が入らないため、説得力は下がる。まず提供側視点で数本作り、反応の良かった顧客に後から取材を依頼する進め方が現実的でしょう。

事例に載せる写真は必要ですか。

あるほうが読まれますが、必須ではありません。人物写真の許諾が得られない場合は、オフィスの外観、実際の画面、作業風景といった代替でも効果があります。写真が一切用意できないときは、図解を入れて視覚的な情報を補ってください。

過去に作った事例は更新すべきですか。

掲載中の顧客が解約している、担当者が異動している、記載した数字が古くなっているといった状態は放置しないほうがよいでしょう。年1回、掲載中の事例が現状と合っているかを確認する時期を決めておくと、まとめて対応できます。

事例の書き方は分かったが、社内で書ける人を育てたいなら

外注で本数を確保しつつ、並行して社内に書き手を育てたいという相談は多くいただきます。合同会社Writers-hubでは、設問シートと構成テンプレートの整備、原稿レビュー、書き手の育成までを含めた内製化の支援を行っています。現在の担当者の人数と、月に確保できる時間をお聞かせいただければ、無理のない移行の道筋をご提案します。

まとめ

事例の書き方を、社外向けと社内向けに分けて整理しました。最後に要点を振り返ります。

社外向けの事例は、読者に自分の状況を重ねてもらうために書きます。構成は6要素で足り、なかでも比較検討の経緯と決め手がもっとも読まれる。課題は当時の作業レベルまで下ろし、数字は前後の差で示し、迷いや不満の記述を削らないこと。社名や数字を公開できない場合でも、業種と規模と役職を出せば事例として機能します。

社内向けの事例発表では、観察した事実と書き手の解釈を分けて書き、判断の根拠を言語化することが求められます。匿名化は氏名を伏せるだけでは足りず、情報の組み合わせによる特定まで想定しておく必要があるでしょう。

そして事例は、1本の完成度より複数をそろえたときに効きます。設問シートを1枚固定し、業種や規模の幅を埋めていく。事例の一覧で読者が自分に近い1本を見つけられるかは、幅の埋まり方で決まります

合同会社Writers-hubは、取材を伴う事例記事の制作と、社内で事例を作り続けられる体制づくりの両方を支援しています。1本目で止まっている、あるいは何本目かで手が止まっている段階であれば、現状をうかがったうえで着手する順番をご提案しますので、お気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

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