「無料と書かれたCMSから選べば、サイトの費用はほとんどかからないはず」。各サービスの案内には無料ではじめられると大きく書かれている一方、その無料が何を指すかまでは書かれていないことが多く、そう受け取られやすくなっています。WordPressやbaserCMS、Wix、microCMSと候補は挙がるものの、仕組みの違うものが同じ無料として並んでいるため、どれを選ぶか迷います。
しかし、企業サイトやオウンドメディアの記事制作を支援してきた弊社の立場から言えるのは、無料が指しているのはソフトの利用料だけで、費用の出方も運用の負担も、オープンソース型と無料プラン型ではまったく別物になるということです。どちらが自社に合うかは、機能一覧を並べて比べるより、毎月何時間を更新に使えるかを先に決めてから見たほうが早く決まります。
本記事では、無料CMSを分ける2つの型とソフト以外に残る費用から、用途別の主な選択肢と導入前に確認したい5点まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 無料CMSを分ける2つの型と、その性質の違い
- ソフトが0円でも発生し続ける費用の内訳
- 汎用・国産・EC・ヘッドレスという用途別の主な選択肢
- 導入前に確認したい5点と、確認する順番
- 公開後に起きやすい問題と、先回りできる対策
サイト制作の見積もりが思ったより高くて、せめてCMSだけでも無料のものにできないかと調べています。無料のもので企業サイトを作っても大丈夫なのでしょうか。
編集部
大丈夫です。ただし無料なのはソフトの部分だけで、サーバー代と更新の作業は残ります。月に何回更新するか、それを誰がやるかが決まっていれば、無料で足りる案件かどうかは短時間で判断できますよ。
無料CMSには性質の違う2つの型がある
CMS(コンテンツマネジメントシステム)は、HTMLを直接書かずにWebサイトの文章や画像を追加・修正できるようにするソフトウェアのことです。無料をうたうものは数多くありますが、提供のされ方は大きく2つに分かれます。無料の中身が違う2つの型を混ぜて比べないことが、選定の出発点になります。
ひとつがオープンソース型です。ソースコードが公開され、誰でも無償で入手して自分のサーバーに設置できます。WordPress、Drupal、Joomla!、国産のbaserCMSやSOY CMS、EC特化のEC-CUBEなどが該当します。ソフトの利用料は永続的に0円で、機能の改変も自由。そのかわり、設置も更新も障害対応も自分の側の仕事になります。
もうひとつが、クラウドサービスの無料プラン型です。WixやJimdoのようなサイト作成サービス、microCMSのようなヘッドレスCMSが、機能や容量に上限を設けた無料枠を用意しています。サーバーの管理は提供元が引き受けるため運用の負担は軽く、そのかわり使える範囲は提供元の設計に従うことになります。
| オープンソース型 | 無料プラン型 | |
|---|---|---|
| 無料で得られるもの | ソフトの利用権と改変の自由 | サービスの一部機能 |
| サーバーの用意 | 自分で契約する | 不要 |
| 更新・障害対応 | 自分または委託先 | 提供元 |
| 独自ドメイン | 使える | 有料プランのみのことが多い |
| デザインの自由度 | 高い | テンプレートの範囲内 |
| 費用が増える場面 | サーバー増強・保守の委託 | 上位プランへの移行 |
| 向いている規模 | 中規模以上・長期の運用 | 小規模・立ち上げ期 |
表にすると、2つの型がほぼ正反対の性質を持つことが見えてきます。オープンソース型は自由と引き換えに手間を負い、無料プラン型は手軽さと引き換えに制約を受ける。どちらが優れているかを考えるより、手間と制約のどちらなら受け入れられるかという問いに置き換えたほうが、判断は早く進みます。

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無料になるのはどこまでか|CMS以外に発生する費用
無料CMSの検討で最も誤解が生まれるのが、費用の範囲です。無料なのはソフトの利用料だけであり、Webサイトを公開して運用し続けるための費用がなくなるわけではありません。
オープンソース型を選んだ場合、少なくとも次の費用が残ります。独自ドメインの年間更新料、サーバーの利用料、SSL証明書(無料で取得できるものも使えます)、そして有料テーマや有料プラグインを使うならその代金。ここまでであれば、小規模なコーポレートサイトなら年間1万円台から数万円程度に収まることが多いでしょう。
問題はその先にあります。CMS本体とプラグインには定期的に更新が出ます。更新を当てる作業、当てた結果崩れた表示を直す作業、不具合が出たときに原因を切り分ける作業。いずれも請求書には載らないため無料に見えますが、社内の誰かの時間を確実に消費していきます。年に数回で済むサイトもあれば、プラグインを多く入れた構成では月単位で手が要ることも珍しくありません。
社内で対応する場合、費用は0円でも工数は0時間になりません。CMSの保守を外部に委託すると、対応範囲にもよりますが月額で1万円前後からの相場になります。無料CMSの費用を見積もるときは、ライセンス料ではなく「誰の時間を、月に何時間使うか」で置き換えて考えると、後から予算が崩れにくくなります。
無料プラン型の場合は、費用の出方が変わります。運用の手間を提供元が引き受けるかわりに、独自ドメインが使えない、提供元の表示が入る、ページ数や容量に上限があるといった制約が付く設計が一般的です。名刺代わりの小さなサイトなら支障はありませんが、企業の顔として使うサイトや、記事を積み上げていくオウンドメディアでは、早い段階で有料プランへの移行が視野に入ります。
つまり無料プラン型は、恒久的に無料で使い続けるものというより、試用に近い位置づけになります。契約前に有料プランの金額まで確認しておくべき理由がここにあります。

ここまでを整理すると、無料CMSの検討で本当に比べるべきなのは月額の金額ではなく、運用に割ける時間だとわかります。そして時間の確保でつまずくのは、たいていシステム側ではありません。
CMS代は抑えられても、記事を作る時間が出てこないなら
無料CMSで浮くのは月々のシステム費用であり、記事を書く時間ではありません。公開したサイトの更新が止まる原因は、システム側ではなく制作側の人手不足にあることがほとんどです。テーマ設計から執筆、編集までを引き受け、社内の工数を抑えたまま公開を続けられる体制を整えます。今の人員でどこまで回せるかの見立てから、ご一緒します。
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用途別に見る無料CMSの主な選択肢
型の違いを押さえたところで、実際の候補を用途別に整理します。すべてを横並びで比べる必要はありません。作りたいサイトの種類が決まっていれば、候補は3つ程度まで絞れます。
| 型 | 得意な用途 | 日本語の情報量 | 導入の手軽さ | |
|---|---|---|---|---|
| WordPress | オープンソース | 汎用・ブログ・コーポレート | ◎ | ○ |
| Drupal | オープンソース | 大規模・多言語サイト | △ | × |
| Joomla! | オープンソース | 中規模・会員機能つきサイト | △ | △ |
| baserCMS | オープンソース(国産) | 中小規模のコーポレート | ○ | ○ |
| SOY CMS | オープンソース(国産) | 既存HTMLのCMS化 | ○ | ○ |
| EC-CUBE | オープンソース(国産) | ECサイト | ◎ | △ |
| microCMS | 無料プラン(国産) | ヘッドレス構成 | ◎ | △ |
| Wix・Jimdo | 無料プラン | 小規模サイト・名刺代わり | ◎ | ◎ |
シェアで見たとき、WordPressの存在感は今も突出したままです。W3Techsの集計では、2026年8月時点でWordPressは全Webサイトの40.7%で使われており、CMSを導入しているサイトに限れば58.9%を占めます。同じ集計での2位はShopifyの7.7%、3位はWixの6.1%ですから、7倍以上の開きがあることになります。
※ 出典 W3Techs「Usage statistics and market shares of content management systems」2026年8月25日時点

この偏りは、機能の優劣というより情報量の差として効いてきます。詰まったときに検索して答えが見つかるか、対応できる制作会社や個人が見つかるか。数年単位で運用するサイトでは、その差が保守のしやすさをそのまま左右します。迷ったらWordPressという判断には今も合理性があります。
一方、日本語のドキュメントとコミュニティを重視するなら、国産のオープンソースCMSも現実的な候補になります。baserCMSはCakePHPをベースにした国産CMSで、コーポレートサイトに必要なメールフォームやブログを標準で備えています。管理画面が日本語前提で設計されているため、担当者がWebに詳しくない組織では扱いやすいと感じられるかもしれません。

記事コンテンツをAPIで配信し、表示側を自由に作るヘッドレス構成を取るなら、microCMSのようなサービスの無料枠から試す進め方もあります。ただし表示側の実装が別途必要になるため、社内や委託先に開発リソースがない場合は候補から外して差し支えありません。
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導入前に確認したい5点
候補が絞れたら、機能一覧を眺める前に確認しておきたい項目があります。順番にも意味があるため、上から見ていくことをおすすめします。
移行するときにデータを書き出せるかどうかを、最初に確認してください。記事や画像をエクスポートできない仕組みを選ぶと、あとから乗り換えるという判断そのものが取れなくなります。オープンソース型は基本的に自由に取り出せますが、無料プラン型はプランによって書き出し機能が制限される場合があります。
週に何回、誰が更新するかを具体的に書き出します。担当者がHTMLに触れない前提であれば、管理画面の分かりやすさが機能の数より重要になります。
オープンソース型を選ぶなら、本体とプラグインの更新を誰がいつ当てるかを決めておきます。決めないまま公開すると、更新が半年以上止まった状態になりがちです。
候補のCMS名で検索し、直近1年以内の日本語記事がどれだけあるかを見ます。件数が極端に少ないCMSは、詰まったときに解決の手段が限られます。
無料プラン型は、独自ドメインや容量の上限で早晩有料プランが必要になります。今の無料枠ではなく、1年後に必要になっているであろうプランの金額で比較してください。
5点のうち最も見落とされやすいのが、1番目です。先に確認すべきは出口、つまり移行できるかどうか。CMSは一度決めると数年は使い続けるため、選定時の機能比較より、あとから乗り換えられる余地を残しておくほうが結果的に効いてきます。

無料CMSでつまずきやすい点と、その回避策
実際の現場で繰り返し見てきた失敗を挙げます。いずれもCMSの機能不足ではなく、運用の設計を決めないまま公開したことが原因になっています。
- 本体とプラグインの更新を止めたまま運用し、脆弱性を突かれて改ざんされる
- プラグインを必要以上に入れ、表示速度の低下や不具合の原因を切り分けられなくなる
- 無料プランのまま公開し、独自ドメインが使えず名刺やパンフレットに載せられない
- テンプレートを選んだだけで公開し、掲載する情報が競合サイトとほぼ同じ内容にとどまる
- 更新担当を決めずに公開し、半年後もお知らせの最終更新が公開日のままになっている
最初の項目は、無料CMSに限らずオープンソースを使う以上、避けて通れない論点です。ソースコードが公開されているということは、見つかった脆弱性の情報も公開されるということ。公表された不具合を悪用する動きは早く、更新を当てるまでの期間がそのまま危険な時間になります。
IPA(情報処理推進機構)は、Webサイト運営者向けの対策を「安全なウェブサイトの作り方」としてまとめ、公開しています。CMSを自社で運用する方針を取るなら、公開前に一度目を通しておくと、最低限押さえるべき範囲を把握できます。

※ 出典 IPA 独立行政法人情報処理推進機構「安全なウェブサイトの作り方」
回避策そのものは、難しいものではありません。次の項目を公開前に決めておくだけで、挙げた失敗の多くは防げます。
- 本体とプラグインの更新を、月に1度など頻度を決めたうえで実施する
- プラグインは必要なものに絞り、使わなくなったものは停止ではなく削除する
- バックアップを自動で取得し、復元の手順を一度試しておく
- 管理画面のログインに二要素認証を設定する
- 更新が滞ったときに相談できる制作会社を、公開前に決めておく
そのうえで、無料CMSで進めてよい案件かどうかは、次の条件で切り分けられます。片方に大きく寄るなら判断は明快ですし、両方に当てはまる項目があるなら、まず無料で公開して様子を見る進め方も取れます。
- ページ数が少なく、更新の頻度も月に数回程度にとどまる
- 社内にCMSを触れる担当者がいて、更新作業の時間を確保できる
- まず公開して反応を見たい段階で、作り直す前提が関係者に共有されている
- 費用よりも、デザインや機能の自由度を優先したい
- 問い合わせや採用など、サイトが事業の成果に直接つながっている
- 個人情報や決済を扱い、障害が起きたときの責任範囲を明確にする必要がある
- 更新を担当できる人が社内におらず、外部に依頼する前提になっている
- 記事を継続的に増やし、検索からの流入を主要な集客手段にしたい
最後の項目に当てはまる場合、CMSの選定より先に決まっていなければならないことがあります。
CMSは決まったのに、載せる記事が用意できていないなら
無料CMSで公開したサイトが動き出さない理由の多くは、システムではなく中身の不足にあります。検索されている言葉から記事の設計を起こし、公開できる状態まで仕上げてお渡しします。まずは今のサイトで狙える領域の洗い出しから、ご相談ください。
まとめ|無料CMSは金額ではなく運用体制から決める
無料CMSは、2つの型に分けて見ると判断しやすくなります。ソフトの利用権が無償のオープンソース型と、サービスの一部機能を開放している無料プラン型。前者は自由度と引き換えに運用の手間を負い、後者は手軽さと引き換えに制約を受けます。
そしてどちらを選んでも、ドメイン代とサーバー代、更新にかかる人の時間は残ります。無料という言葉が消してくれるのはライセンス料の1行だけで、それ以外の行はそのまま残る。選定の場面では、月額の差額を比べるより「毎月何時間を運用に使えるか」を先に決めるほうが、実態に合った答えが出ます。
そのうえで、公開後の結果を分けるのは中身のほうです。浮いた費用を記事の中身に回せるかどうかで、半年後のアクセス数は大きく変わります。CMSの比較に何週間もかけるより、何を書くかを決めて公開を始めてしまうほうが早いケースのほうが、実際には多いでしょう。
合同会社Writers-hubでは、キーワード戦略の設計から記事制作、社内で書ける体制づくりまでを支援しています。CMSを決めたあとに必ず出てくる「何を、どの順番で書くか」の部分から、ご相談いただけます。
CMSは決まった。次は何から書くかで止まっていませんか
サイトが用意できても、書く順番が決まっていなければ記事は資産になりません。検索されている言葉と自社の強みが重なる領域を洗い出し、公開する順番まで設計します。無料CMSで始めた小さなサイトでも、設計しだいで伸ばせる範囲は変わります。
CMSの価格と検索順位のあいだに直接の関係はありません。titleタグやURLを自分で設定でき、表示速度が極端に遅くならなければ、無料のCMSでも不利にはならないと考えてよいでしょう。順位を分けるのは、掲載している内容と更新の継続のほうです。
ソフト自体は0円ですが、独自ドメインとサーバーの費用は別に必要です。小規模なサイトであれば、年間で1万円台から数万円程度が目安になります。有料テーマの購入や保守の委託を加えると、そこに月額の費用が乗ります。
多くのサービスで切り替えは可能です。ただし独自ドメインへの変更にともなう作業や、デザインの作り直しが発生する場合があるため、契約前に有料プランの金額と、データを書き出せるかどうかの2点を確認しておくと安全です。








