「今月かかった記事の費用を、今月の問い合わせ数で割れば、費用対効果が分かりそう」。月次の決算ではその月に発生した費用をその月に計上するため、記事の費用も、同じ月の問い合わせと並べて割り算されがちです。
ところが、記事の費用は公開する前に出ていき、問い合わせは公開から数か月たってから来ます。月ごとに割ると、始めて数か月の費用対効果は低く、後の月は実際より高く見えます。費用対効果は、成果と費用を同じ期間で並べ、効果が出るまでの期間を区切って見ます。
本記事では、費用対効果の計算式から、成果と費用の期間のそろえ方、自社の数字で計算する手順まで、累計8,000記事以上を制作してきた制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 費用対効果は、ある期間にかけた費用と、同じ期間に記事から生まれた成果の粗利を比べて計算する
- 月ごとに割ると、始めの数か月は低く、後の月は高く出るため、開始からの累計で割る
- 効果が出るまでの立ち上げの期間は費用対効果を計算せず、判定日を記事を書き始める前に決める
- 問い合わせ1件あたりの粗利は、受注1件の粗利に、問い合わせから受注に至る割合を掛けて出す
コンテンツマーケティングの費用対効果の計算式
コンテンツマーケティングの費用対効果は、ある期間にかけた費用と、同じ期間に記事から生まれた成果の粗利を比べて計算します。比べ方には、ROIと、問い合わせ1件あたりの費用の2つがあります。
ROI(%)=(記事から生まれた粗利-かけた費用)÷かけた費用×100
問い合わせ1件あたりの費用=かけた費用÷記事から来た問い合わせの数
ROIが0%なら、かけた費用をちょうど粗利で回収した状態で、0%を超えた分が利益です。売上ではなく粗利で計算するのは、売上には商品やサービスの原価が含まれ、記事が生んだ利益より大きく見えるためです。
問い合わせ1件あたりの費用は、受注がまだ少なく、粗利を数えにくい時期に使います。問い合わせ1件あたりの費用が、問い合わせ1件から得られる粗利を下回っていれば、費用を回収できる見込みがあります。
ROIとROASの違いや、費用の内訳と相場は、コンテンツマーケティングの費用対効果|相場とROIの測り方・判断の時期で扱っています。
どちらの式を使うときも、粗利と費用を数える期間をそろえることが見落とされがちです。
月ごとに割ると費用対効果が低く出る理由
月ごとに割ると費用対効果が低く出るのは、記事の費用は公開する前に出ていき、問い合わせは公開から数か月たってから来るからです。記事が問い合わせを生むのは、検索結果に表示され、検索した人に読まれ、読んだ人がほかの会社と比べ終えた後です。

始めて数か月は費用だけが並ぶため、月ごとのROIは−100%に近くなります。反対に、記事を書き続けて数か月たった月は、それより前に公開した記事から来た問い合わせが、その月の費用と並びます。後の月だけで割ったROIは、実際より高く出ます。月ごとのROIの上下は、費用と成果の時期のずれを表しています。
半年で記事に180万円をかけて、記事からの問い合わせは4件でした。上司からは「1件に45万円もかかっている」と言われています。
編集部
半年の時点で割ると、そう見えます。後半の3か月に公開した記事は、まだ検索結果に出始めた段階かもしれません。判定日を決めて、その日に開始からの累計で割ると、上司とも同じ数字で話せます。
時間差が大きいのは、検索から読者を集める記事です。メルマガのように配信した日に読まれるコンテンツは、費用と成果の時間差が小さく、月ごとに割ってもずれは小さくなります。
成果と費用を同じ期間で並べる2つの方法
成果と費用を同じ期間で並べる方法は、開始からの累計で並べる方法と、記事を公開した月ごとに並べる方法の2つです。累計では全体の費用を回収できたかが分かり、公開した月ごとに並べると、どの時期の記事が早く回収できたかが分かります。
開始からの累計で並べる方法
開始からの累計で並べる方法では、始めた月から判定日までの費用の合計と、同じ期間に記事から生まれた粗利の合計を、ROIの式に入れます。立ち上げの数か月の費用と、後の月の問い合わせが同じ式に入るため、月ごとのずれが打ち消されます。
累計のROIが0%以上になった月が、かけた費用を回収した月です。判定日の直前に公開した記事は、費用だけが入って問い合わせはまだ入らないため、累計のROIは少し低めに出ます。
公開した月ごとに並べる方法
公開した月ごとに並べる方法では、同じ月に公開した記事をまとめ、その記事にかけた費用と、その記事から来た問い合わせを、公開からの月数で並べます。書き方を変える前の1月に公開した記事と、変えた後の4月に公開した記事を、どちらも公開から6か月たった時点で比べられます。

記事ごとの問い合わせの数は、GA4のランディング ページ レポートで数えます。GA4のキーイベントは、ビジネスの成果にとって特に重要な行動を測るイベントです。問い合わせの完了をキーイベントにしておくと、ランディング ページの行ごとに件数が表示されます。
効果が出るまでの期間の区切り方
効果が出るまでの期間は、費用だけが出る立ち上げの期間と、費用対効果を判定する期間に分け、記事を書き始める前に区切っておきます。区切っておかないと、問い合わせが来る前の月の数字で、続けるかどうかを決めることになるためです。
検索から読者を集める記事の効果が出るまでには、一般に3〜6か月ほどかかると言われます。期間は、サイトの状態と、狙うキーワードの競合で変わります。公開して間もないサイトや、検索結果に大きなサイトが並ぶキーワードを狙うときは、立ち上げの期間を長めに取ります。
立ち上げの期間は、費用対効果を計算しません。予定した本数を公開できているかと、Search Consoleで記事の表示回数が増え始めているかを、1か月ごとに見ます。
立ち上げの期間の途中で、月ごとのROIを理由に記事の公開を止めると、払った費用に見合う問い合わせが来る前に終わることがあります。
判定の期間に入ったら、3か月ごとなどの判定日に、開始からの累計で計算します。初めての判定日は、立ち上げの期間に、問い合わせが出始めてからの数か月を足した時点に置きます。判定日は記事を書き始める前に決め、社内で共有しておきます。
自社の費用対効果を計算する4つの手順
自社の費用対効果は、費用に数える範囲と問い合わせ1件あたりの粗利を決め、毎月の数字を記録して、判定日に累計で割る4つの手順で計算します。
外注費や、担当者が記事の企画や確認に使った時間を金額にしたもの、ツール代などを足します。担当者の時間を入れないと、社内で書いた記事ほど費用が小さく見えます。範囲は途中で変えず、毎月同じ項目を数えます。
受注1件で得る粗利に、問い合わせから受注に至る割合を掛けます。記事から来た問い合わせの実績がまだ無いうちは、広告や紹介から来た問い合わせの割合を当てはめ、記事の実績がたまったら置き換えます。
費用と、記事から来た問い合わせの数を、1か月ごとに表へ書き込みます。GA4で問い合わせの完了をキーイベントにする設定は、記事を公開する前に済ませます。
判定日に、開始からの費用の合計と、問い合わせの合計に1件あたりの粗利を掛けた額を、ROIの式に入れます。
キーイベントの設定を公開前に済ませるのは、イベントにキーイベントの印を付けると、その時点以降のレポートに反映され、過去のデータは変わらないためです。公開してから設定すると、設定する前の問い合わせは、キーイベントの列に入りません。
※ 出典:アナリティクス ヘルプ「イベントにキーイベントとしてマークを付ける」

毎月30万円をかける場合の計算例
費用対効果の計算例として、毎月30万円をかけ、12か月目に初めて判定する場合を、仮の数字で示します。実績の数字ではなく、計算の手順を確かめるための例です。
前提は、受注1件で得る粗利が60万円で、問い合わせの5件に1件が受注に至ることです。問い合わせ1件あたりの粗利は12万円になります。費用は3か月ごとに90万円で、12か月の合計は360万円です。
期間 | 問い合わせ | 粗利 | その期間だけのROI | 開始からの累計のROI |
|---|---|---|---|---|
1〜3か月目 | 0件 | 0円 | −100% | −100% |
4〜6か月目 | 4件 | 48万円 | −47% | −73% |
7〜9か月目 | 10件 | 120万円 | +33% | −38% |
10〜12か月目 | 16件 | 192万円 | +113% | 0% |
3か月ごとに区切って割ると、10〜12か月目のROIは+113%になります。ただ、10〜12か月目の16件には、それより前に公開した記事から来た問い合わせも含まれます。開始からの累計で割ると、12か月目に粗利の合計が360万円に届き、ROIは0%になります。

問い合わせ1件あたりの費用も、累計で見ると変わります。6か月目は180万円を4件で割って45万円ですが、12か月目は360万円を30件で割って12万円になり、問い合わせ1件あたりの粗利と同じ額になります。判定は、区切った期間だけの数字ではなく、開始からの累計で行います。
判定日までに、累計の粗利が費用に届く見込みは立っていますか
累計で割っても回収の月が見えないときは、書いている記事のキーワードが、問い合わせから遠い可能性があります。記事を書き足すより先に、狙うキーワードと書く順番を見直します。記事コンテンツの制作支援のKW戦略設計では、検索意図を読み、勝てるキーワードから優先して攻めるロードマップを作ります。
コンテンツマーケティングの費用対効果のよくある質問
コンテンツマーケティングの費用対効果について、よくある3つの質問に答えます。
受注まで時間がかかる商材はどう計算する?
受注まで時間がかかる商材は、判定日の計算に問い合わせ1件あたりの粗利を使い、受注が決まった時点で実際の粗利に置き換えます。問い合わせから受注まで数か月かかると、判定日までに受注が決まらない問い合わせが残るためです。
問い合わせの後に商談を挟む商材では、記事から来た問い合わせの商談数と受注数も記録しておきます。記録がたまると、受注に至る割合を、広告や紹介の実績ではなく、記事から来た問い合わせの実績で出せます。
記事への支払いを止めた後の問い合わせも数える?
記事への支払いを止めた後の問い合わせも、累計の粗利に足します。支払いを止めても、公開した記事が検索結果に表示されている間は、読まれて問い合わせが来ることがあるためです。
支払いを止めた後の問い合わせは、検索順位が下がると減ります。Search Consoleで、止めた後も記事の表示回数が保たれているかを確かめながら数えます。
広告と費用対効果を比べてもいい?
広告と比べるときは、同じ長さの期間の、問い合わせ1件あたりの費用で並べます。検索広告は出稿したその月から問い合わせにつながることがあるのに対し、記事は立ち上げの期間を過ぎてから問い合わせが来るため、比べる期間が短いほど記事が不利に出ます。比べる期間は、記事の立ち上げの期間を含む12か月など、記事と広告で同じ長さにそろえます。
まとめ|費用対効果は成果と費用の期間をそろえて見る
コンテンツマーケティングの費用対効果は、記事から生まれた成果の粗利と費用を同じ期間で並べ、開始からの累計で割って見ます。月ごとに割ると、始めの数か月は低く、後の月は高く出るためです。効果が出るまでの立ち上げの期間は費用対効果を計算せず、判定日を先に決めておきます。
まずは、費用に数える範囲と、問い合わせ1件あたりの粗利を決めてください。
私たち合同会社Writers-hubは、累計8,000記事以上を制作し、自社と取引先のサイトで記事を毎日公開しています。
立ち上げの期間も、予定した本数の記事を出し続けられますか
累計で判定するには、問い合わせが来る前の数か月も、予定した本数の記事を公開し続ける必要があります。記事コンテンツの制作支援では、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーションの策定、品質管理フローまでの制作体制を作ります。弊社が自社と取引先のサイトで毎日の公開に使っている、記事の指示文を作るツールを、御社で回せる形でお渡しすることもできます。公開前の確認は御社で行っていただきます。料金は公開しておらず、無料相談(オンライン30分)でお見積もりします。







