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ECサイトのコンバージョン施策は離脱地点別に選ぶ|優先順位の付け方

アクセス数が変わらないのに注文が減っているなら、施策を増やす前に離脱している地点を1つ特定するところから始めてみてください。入口・商品ページ・カートのどこで落ちているかで、打つべき手は別のものになります。3つに同時に手を入れると、どれが効いたのか判断できなくなります。

ECサイトの購入までの流れを入口、商品ページ、カートという3つの関門として左から右へ並べ、段階ごとに人の数が減っていく様子を表した図。

「コンバージョン率を上げるには、できる施策を片っ端から試していくしかない」。ECサイトの改善ノウハウは施策名を並べたリストの形で紹介されることが多く、上から順に手を付けるのが正しい進め方だと受け取られやすいためです。実際に画像を差し替え、送料の表示を変え、入力フォームを短くしても注文数が変わらないと、次はどれを試せばよいのか迷います。

しかし、EC事業者の集客と記事コンテンツを支援してきた弊社の立場から言えるのは、打つべき施策を決めるのは施策の名前ではなく、離脱している地点だということです。入口と商品ページ、カートの3か所で通過率を出し、最も落ちている1か所に絞ってから施策を当てれば、効かない場所に手をかけずに済みます。

本記事では、離脱している地点を入口と商品ページ、カートの3つに切り分ける手順から、地点ごとに当てる施策と実行順の決め方まで、EC事業者の支援に携わってきた立場で順を追ってお伝えします。

この記事でわかること
  • ECサイトのコンバージョン率の計算方法と、目安を持つときの分け方
  • 離脱が入口・商品ページ・カートのどこで起きているかを切り分ける手順
  • 3つの地点それぞれに効く具体的な施策
  • 施策の実行順を決める判断基準
  • 施策を尽くしてもコンバージョン率が動かないときに疑う場所

ECサイトのコンバージョン率は訪問のうち何件が購入に至ったかで測る

ECサイトにおけるコンバージョンとは、原則として商品の購入完了を指します。会員登録やメールマガジン登録、アプリのインストールなども成果として計測されますが、売上に直結する指標として扱われるのは購入完了です。この購入完了が、サイトを訪れた人のうち何割で発生したのかを示すのがコンバージョン率、いわゆるCVRです。

実務では、この指標が単独で語られることはほとんどありません。売上はセッション数とコンバージョン率と平均注文単価の掛け算で決まるため、コンバージョン率だけを追うと、単価の低い商品ばかり売れて売上が伸びない状態を見落とします。改善に着手する前に、3つの数値を並べて見る習慣をつけておくと判断を誤りにくくなります。

計算式は分母をどこに置くかで変わる

コンバージョン率の計算式は、購入件数を訪問数で割ったものです。ただし分母の「訪問数」に何を入れるかで、出てくる数字は変わります。

同じ人が3回訪れて、そのうち1回で購入したとします。セッション数を分母に置けば3分の1で約33パーセント、ユーザー数を分母に置けば1分の1で100パーセントになります。同じ出来事でも、分母の取り方だけで数値は3倍変わる。どちらが正しいという話ではなく、社内で見る数字と外部に報告する数字の定義が揃っているかどうかが問われます。

広告管理画面のコンバージョン率と解析ツールのコンバージョン率が食い違う、という相談は非常に多く寄せられます。原因の大半は分母と計測期間の違いです。広告側はクリックを分母に、クリック日を基準に計上します。一方の解析ツールはセッションを分母に、コンバージョンが発生した日で計上します。数値を比べる前に、どちらの定義で出た数字なのかを確認してください。

社内で改善の議論をするなら、分母はセッション数に固定しておくのが扱いやすいと考えています。施策の多くはサイト内の体験を変えるものであり、1回の訪問で買うところまで行けたかどうかを見るほうが、原因と結果が結びつきやすいためです。

なお、解析ツール側での呼び方も変わってきました。Googleアナリティクス4では従来の「コンバージョン」が「キーイベント」という名称に整理されており、設定画面の項目名も入れ替わっています。計測の設定を見直すときは、公式の説明を確認しておくと社内の認識を揃えやすくなります。

キーイベントについて - アナリティクス ヘルプ
ビジネスにとって最も重要なアクションについての分析情報を得て、それによりマーケティングの効果を高めるキーイベントとは キーイベントとは、ビジネスの成果にとって特に重要なアクションを測定するイベントのことです。ユーザーがアクションを実施してイベントをトリガーすると、そのアクションはキーイベントとして Google アナリティクスに記録され、Google アナリティクスのレポートに表示されます。
🌐 support.google.com
外部リンク

目安は全体平均ではなく流入経路と商材で分けて持つ

「ECサイトの平均コンバージョン率は何パーセントですか」という質問は必ず出ます。一般に目安として語られるのは1パーセントから3パーセント程度の幅ですが、この数字を自社の合否判定に使うのはおすすめしません。

※ ここで挙げた1パーセントから3パーセントという幅は、特定の調査による確定値ではなく、EC支援の現場で目安として共有されている範囲です。取扱商材の単価と検討期間、指名検索の比率、リピーターの構成比によって大きく変動します。

理由は、平均値の内側にある差が大きすぎるからです。指名検索やメールマガジン経由で訪れた人と、ディスプレイ広告で偶然たどり着いた人とでは、購入までの距離がまったく違います。前者だけを見れば10パーセントを超えることも珍しくなく、後者は1パーセントを切ることもある。両者を混ぜた平均は、どちらの改善にも使えません。

経営者経営者

うちは2パーセント前後なので、平均並みと言われました。それなら大きな問題はないという理解でいいのでしょうか。

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編集部

全体で2パーセントという数字自体は、確かに極端に低いわけではありません。ただ、その2パーセントを流入経路ごとに分解してみてください。指名検索が7パーセント、リスティングが1.5パーセント、ディスプレイ広告が0.2パーセントといった内訳が見えると、手をつけるべき場所が具体的になります。全体平均は、改善の入口としてはあまり役に立たないのです。

持つべき目安は、業界平均ではなく自社の過去データです。前年同月、前四半期、キャンペーン実施前後。同じサイトの中で比較すれば、商材の特性や客層といった変えられない条件が揃った状態で差分を見られます。

関連記事:コンテンツマーケティングの基礎知識を総まとめ|やり方から成果につなげる方法まで徹底解説

施策を選ぶ前に、離脱がどの地点で起きているかを3つに切り分ける

ここからが本題です。コンバージョン率の改善で最初にやるべきことは、施策を選ぶことではありません。施策を決めるのは施策の名前ではなく、離脱している地点です。

ECサイトの購入までの流れは、大きく3つの関門に分けられます。入口となるトップページやカテゴリページ、次に商品ページ、最後にカートと入力フォームと決済です。訪問者はこの順に減っていきますが、どこで急激に減るかはサイトごとに違います。

ECサイトの離脱地点を入口・商品ページ・カートの3つに分けた図

3つのうちどこが弱っているかを知らないまま施策リストを消化すると、二重に損をします。効かない場所に工数をかけることに加え、複数の施策を同時に入れたせいで、あとから何が効いたのか判別できなくなるからです。

地点1 入口となるトップ・カテゴリ・検索結果

訪問者がサイトに着いて最初に触れる領域です。ここでの離脱は、直帰率とサイト内検索の利用状況、それにカテゴリページから商品ページへの遷移率で見当がつきます。

直帰率が高く、しかも滞在時間が極端に短い場合は、そもそも探しているものが無かった可能性を疑います。一方で滞在時間はそこそこあるのに商品ページへ進まないなら、商品はあるのに見つけられていない状態だと考えられます。

地点2 商品ページ

商品ページまでは来たものの、カートに入れずに離れていく層です。カート追加率、つまり商品ページの閲覧数に対するカート投入数の割合を見ます。

この地点の離脱には、価格や仕様への納得が得られていない場合と、判断に必要な情報が単に足りていない場合の両方があります。前者は商品や価格設計の問題であり、ページ改修では動きません。後者はページの作りで解決できます。切り分けが必要な理由はここにあります。

地点3 カートと入力フォーム、決済

カートに入れたのに購入完了まで進まない、いわゆるカゴ落ちです。カート投入数に対する購入完了数の割合で測ります。

3つの地点のうち、改善の投資対効果が最も高くなりやすいのがここだと見ています。カートに商品を入れた時点で、その人は買う意思をある程度固めています。それでも離れるということは、意思とは別の理由が働いているわけです。

1
STEP
ステップ1 3地点の通過率を数値で出す

解析ツールで、セッション数、商品ページ閲覧数、カート投入数、購入完了数の4つを期間を揃えて取得します。ここで扱う期間は、季節要因を避けるため最低でも4週間分を推奨します。

2
STEP
ステップ2 段階ごとの通過率を計算する

入口から商品ページ、商品ページからカート、カートから購入完了。この3つの通過率を出します。絶対値ではなく、どの段階の落ち方が最も急かを見ます。

3
STEP
ステップ3 デバイス別に同じ計算をする

スマートフォンとパソコンでは通過率が大きく違うのが通常です。全体では見えない落ち込みが、デバイスを分けた瞬間に浮かび上がることがよくあります。

4
STEP
ステップ4 最も落ちている1地点を今回の対象に決める

複数を同時に手がけない。ここが最も守られにくく、そして最も効果検証の精度を左右する判断です。

4つのステップで出てくるのは、たった1つの地点です。物足りなく感じるかもしれませんが、次の施策の当たりが格段に上がります。

関連記事:ECサイトのCVRの平均と改善策|流入から決済まで3つの層で点検

入口で離脱しているときは、探す手間を減らす施策から当てる

入口での離脱が最も大きい場合、原因は「欲しいものが無い」か「あるのに見つからない」のどちらかに絞られます。取扱商品が明確にある以上、多くは後者です。

サイト内検索は真っ先に確認したい機能です。検索窓が使われているのに購入へつながっていないなら、検索結果の質を疑います。表記ゆれや略称、型番の部分入力に対応できているか。ゼロ件になった検索語を一覧で出せるツールであれば、それが改善リストそのものになります。

カテゴリの分け方が、運営側の都合で組まれていないかも見直したい点です。商品マスタの分類をそのままカテゴリ構造に流用すると、購入者の探し方とずれることがあります。用途やシーンで探す人が多い商材なのに、メーカー別やシリーズ別でしか絞り込めない構造になっている、といった状態です。

表示速度も入口の離脱に直結します。特にスマートフォンで、画像の読み込みが遅いページは、内容を見てもらう前に閉じられます。商品点数の多いカテゴリページで大きな画像を並べている場合は、遅延読み込みと画像圧縮の効果が出やすい部分だといえるでしょう。

💡

入口の改善で効果が読みやすいのは、サイト内検索の結果精度と、カテゴリからの絞り込み条件です。どちらも「探す手間」を直接減らすため、施策と数値の因果が追いやすい。逆に、トップページのデザイン刷新は変更点が多すぎて、何が効いたのかを特定できません。着手するなら、変更範囲の狭いものから順に進めるのが現実的です。

ファーストビューの作りも、入口の通過率に影響します。ただしここで必要なのは装飾ではなく、送料の条件と配送の目安、返品の可否といった判断材料です。買う前に確かめたい条件が最初の画面に無いと、人は他店の情報を探しに離れていきます。

関連記事:BtoBサイトのCVRの見方と上げ方|平均値との比べ方と改善の着手順

商品ページで止まっているときは、買わない理由を1つずつ消す

商品ページまで来ている人は、その商品に関心を持っています。それでもカートに入れないのは、買わない理由がまだ残っているからです。改善の作業は、その理由を数え上げて1つずつ消していく地道な工程になります。

まず画像です。商品単体の白背景写真だけでは、使ったときの大きさや質感が伝わりません。手に持った状態、部屋に置いた状態、他の物と並べた状態。実物を確認できない不安を減らす目的で撮り足すと、カート追加率が動くことがあります。アパレルであれば身長と着用サイズの明記が、家具であれば実寸と搬入経路の情報が同じ役割を果たします。

レビューの扱いも重要です。件数がゼロの商品ページは、判断材料が無い状態と同じになります。購入後のメールでレビューを依頼する、初期はスタッフによる使用感を掲載するなど、空欄を埋める手段を用意しておきたいところです。

  • 商品画像に使用シーンと大きさの比較対象が含まれている
  • 送料と配送日の目安が、カートに進む前に確認できる
  • 在庫状況とサイズ展開が一目でわかる
  • 返品や交換の条件へのリンクが同じページ内にある
  • レビューが1件以上あり、内容が具体的に書かれている
  • スマートフォンでカートボタンが画面内に常に見えている

チェック項目のうち、実装の効果が出やすいのは送料と配送日の先出しです。カートまで進んで初めて送料を知り、そこで離脱する流れは、商品ページで先に伝えておけば防げます。

もうひとつ、意外に見落とされるのが商品説明文の役割です。仕様の羅列だけになっているページは多いのですが、読み手が知りたいのは仕様そのものではなく、その仕様が自分の使い方に合うかどうかです。何ができて何ができないのかを書き分けると、買う人と買わない人の選別が早くなり、結果として返品率も下がっていきます。

カートと決済で落ちているときは、追加の手間と不意打ちを取り除く

ここが最も改善の余地が残っている地点です。冒頭で触れたとおり、カートに入れた人は、買う理由をすでに持っている。それでも離れるのは、手続きの側に原因があるからです。

代表的なのは、会員登録の強制です。購入するために先に会員登録を求められると、初回購入者はそこで手を止めます。ゲスト購入の導線を用意し、購入完了後に「今回の情報で会員登録しますか」と尋ねる順序に変えるだけで、完了率が変わることがあります。

入力フォームの項目数も直接効きます。配送に不要な項目、たとえば生年月日や性別を必須にしているなら、任意へ変更するか削除を検討してください。郵便番号からの住所自動入力、全角と半角の自動変換、エラー箇所のその場表示。これらはEFOと呼ばれる領域ですが、専用ツールを入れる前に、まず項目を減らすほうが効果は大きいと感じています。

  • 購入前に会員登録を必須にしている
  • 送料や手数料が最終確認画面で初めて表示される
  • 入力エラーが送信後にまとめて表示され、入力内容が消える
  • 決済手段がクレジットカードのみで、後払いや電子マネーの選択肢がない
  • スマートフォンでフォームを開くと、入力欄の下に広告やバナーが挟まっている
  • 購入完了までの残りステップ数がどこにも表示されていない

決済手段については、増やせば増やすほど良いというものでもありません。手数料と管理の手間が増えるためです。判断の材料になるのは、自社の客層が普段どの手段を使っているか。若年層が中心なら後払いやコード決済の有無が効き、法人向けなら請求書払いの対応が問われます。

カゴ落ちメールも定番の施策ですが、送るタイミングと文面で成果が分かれます。離脱直後の数時間以内に1通、その後24時間程度で1通というのが一般的な設計です。文面で値引きを提示すると短期の回収率は上がるものの、値引きを待つ購買行動を学習させてしまう副作用があります。まずは在庫状況の通知など、値引き以外の理由で戻ってもらう設計を試すほうが健全でしょう。

施策を尽くしてもコンバージョン率が動かないのは、分母を触っていないから

3つの地点をひと通り改善しても、数値が横ばいのまま止まることがあります。ここからが、比較記事ではほとんど語られない領域です。

コンバージョン率は、購入件数を訪問数で割った値でした。つまり分子と分母の両方で決まります。ところが施策の話は、ほぼ例外なく分子側、すなわちサイト内の体験改善に集中します。サイト内をどれだけ直しても、分母の中身までは変えられないのです。

分母に混ざっているのは、そもそも買う予定のない訪問です。情報収集の段階で「使い方」や「選び方」を調べている人、他社製品と比較検討している人、単に画像を探している人。この層が分母の大半を占めていれば、カートの導線をいくら磨いても全体の数値は動きません。

検索意図別にランディング先を分けた導線図

ここで視点を反転させましょう。買う予定のない訪問を排除するのが正解かというと、そうではありません。情報収集の段階で接点を持てているのは、本来は有利な状態です。問題は、その人を購入意図の高い商品ページに直接着地させ、すぐ買わなかったという理由で失っていることにあります。

対応は2つに分かれます。ひとつは、情報収集の段階にある人を記事コンテンツで受け止め、比較や選び方を整理したうえで商品ページへ送る導線を作ること。もうひとつは、購入意図の高いキーワードでの流入を増やし、分母の質そのものを上げることです。

前者は、記事ページのコンバージョン率と商品ページのコンバージョン率を別々に評価する運用に切り替えると管理しやすくなります。記事ページに購入完了だけを求めると、必ず数字が悪く見え、施策として切られてしまう。記事ページの成果は、商品ページへの遷移率とその先の購入完了率で追ってください。

購入意図のある検索から流入を作れていますか

サイト内の改善をひと通り終えても数値が動かないとき、原因は流入の中身にあります。どのキーワードで誰を呼び、記事と商品ページのどちらへ着地させ、どう買い場へつなぐか。設計の段階から一緒に組み立てます。

広告運用の側でも、同じ論点が出ます。クリック単価の安いキーワードは、たいてい購入意図が薄い。安く集めた流入がコンバージョン率の分母を膨らませ、全体の数値を押し下げているケースは珍しくありません。獲得単価で評価軸を揃えると、この歪みは見えやすくなります。

実行順は影響範囲と工数、検証しやすさ、戻しやすさで決める

やるべき施策が10個並んだとき、どれから着手するか。優先順位づけで使う判断材料は4つあります。

1つ目は影響範囲です。全商品ページに関わる変更と、特定カテゴリだけの変更では、同じ工数でも効き方が違います。2つ目は実装工数。カート周りの改修はカートシステムの仕様に縛られることが多く、思ったより重くなりがちです。

3つ目が検証しやすさで、ここを軽視すると改善が続きません。変更点が1つだけの施策は、数値が動いたときに原因を特定できます。同時に5箇所直すと、上がっても下がっても理由がわからないまま次に進むことになる。4つ目は戻しやすさです。設定変更で済むものは、効果が出なければ元に戻せます。

施策の優先順位を影響範囲と実装の重さで分けた4象限の図

4つの材料を踏まえると、着手順の原則は自然に決まります。効果が読めない施策ほど、先に小さく試す。影響範囲が広く工数の軽いものを最初に、影響範囲が狭く工数の重いものを最後に回す並びです。

着手順を決めるときは、施策そのものの効果予測より「検証にどれだけ時間がかかるか」で並べたほうがうまくいきます。月間のコンバージョン件数が50件程度のサイトで、数パーセントの改善を統計的に判断しようとすると、必要な期間は数か月に及びます。件数が少ないサイトほど、小刻みなABテストではなく、明確な原因が特定できている箇所の一括改修を優先してください。

なお、施策の効果を事前に正確に予測する方法はありません。他社の成功事例で伸びた施策が自社で効かないことも、その逆もあります。予測の精度を上げようとするより、検証のサイクルを短く回せる体制を作るほうが現実的だと考えています。

効果検証でつまずくのは、たいてい同時実行と期間の取り方

改善が続かないサイトには共通点があります。施策を打った事実は残っているのに、効いたかどうかの記録が残っていないことです。

最も多いのが同時実行です。商品ページの画像を差し替え、同じ週に送料無料の条件を変え、さらに広告のキーワードも入れ替える。この状態で数値が上がっても、次に再現する方法がわかりません。

期間の取り方も落とし穴になります。ECサイトの数値は曜日と季節で大きく揺れるため、施策の前後を3日ずつ比べても意味のある差は取れません。最低でも1週間単位、できれば同一曜日を揃えた比較にしてください。給料日前後やセール期間をまたぐ比較も避けたほうが無難です。

改善の担い手は自社運用とツール導入、外部委託で分かれる

ここまで挙げた施策は、担い手によって進み方が変わります。どれか1つを選ぶというより、地点ごとに担い手が変わると考えるほうが実態に近いでしょう。

自社運用のみツール導入で補う外部の支援会社と組む
着手までの速さ○ すぐ始められる◎ 導入後すぐ機能する△ 現状把握に数週間
費用◎ 人件費のみ△ 月額が継続で発生△ 初期の設計費がかかる
対応できる範囲△ 社内スキルの範囲内△ ツールの機能の範囲内◎ 設計から実行まで
数値の解釈△ 判断基準を自作する○ 標準指標が付いてくる◎ 他社との比較軸がある
社内への蓄積◎ そのまま経験になる× 運用ノウハウが残りにくい○ 内製化支援なら残せる

比較表のとおり、外部の支援会社と組む選択肢は着手までに時間がかかり、費用も発生します。正直に申し上げると、社内に数値を読める担当者がいて、検証を回す時間を確保できるなら、自社運用が最も速く安く進みます。

外部を検討する価値が出るのは、担当者が兼任で時間を割けない場合、あるいは記事コンテンツの企画と執筆まで含めて手が足りない場合です。カートやフォームの改修はシステム側の話ですが、購入検討層を集める記事づくりは、商品知識と検索意図の両方を踏まえた設計が必要になります。ここは人手と時間が素直に効く領域だといえます。

商品ページへつなぐ記事を作る手が足りていないなら

比較や選び方を扱う記事は、購入検討層をつかまえる入口になります。ただし商品知識のない書き手が作ると、商品ページへ送る導線が機能しません。企画から執筆まで、EC事業者のコンテンツ制作をお引き受けしています。

ツールの導入は、原因が特定できてから検討するものだと考えています。ヒートマップもWeb接客も、離脱している地点がわかっていれば強力ですが、わからないまま導入しても画面を眺めて終わります。導入判断の前に、この記事の前半で挙げた3地点の通過率を出しておいてください。

ECサイトのコンバージョン施策に関するよくある質問

コンバージョン率を改善する施策の効果は、どれくらいで出ますか。

施策の種類で分かれます。カートのゲスト購入や入力項目の削減といった手続き面の改善なら、実装した週のうちに数値へ表れることもあるでしょう。一方、記事コンテンツによる流入の質の改善は、検索経由で読まれるまでの期間を含めて3か月から6か月程度を見ておく必要があります。

コンバージョン率が高いのに売上が伸びません。何を疑うべきですか。

分母である訪問数が減っている可能性を先に確認してください。コンバージョン率は割り算の結果なので、購入意図の低い流入を止めれば自動的に上がります。売上はセッション数と平均注文単価も含めた掛け算で決まるため、3つの数値を同時に並べて判断してください。

スマートフォンのコンバージョン率がパソコンより低いのは問題ですか。

多くのECサイトで見られる状態であり、それ自体は異常ではありません。閲覧は移動中のスマートフォン、購入は落ち着いたときのパソコンという行動が実際に起きています。問題として扱うべきなのは、カートに入れたあとの購入完了率がデバイス間で大きく開いている場合です。フォームの入力しやすさを疑ってください。

ABテストは必ず実施したほうがいいですか。

月間のコンバージョン件数が数十件程度の規模では、有意な差を検出するまでに数か月かかるため、投資に見合わないことが多いといえます。件数が少ないうちは、離脱の原因が明確な箇所を一括で直し、前後の期間で比較する進め方のほうが現実的です。

施策を外注する場合、費用はどれくらいかかりますか。

対象範囲で大きく変わります。サイト改修を含む場合はシステム開発費が中心となり、コンテンツ制作と流入設計であれば記事の本数と難易度で決まるのが一般的でしょう。まず自社で通過率を出し、どの地点の支援が必要かを絞ってから見積もりを取ると、金額の比較がしやすくなります。

質問の内容から見えるのは、多くの担当者が施策そのものより「どこから手をつけるか」で迷っているという実情です。判断に必要なのは新しい施策の知識ではなく、自社の数値を3地点に分解した一枚の表だと言い換えてもよいでしょう。

どの地点から手をつけるか決めきれないときは

離脱地点の見立てと、着手順の優先度。ここまで読んで自社の状況に当てはめきれない箇所があれば、現在の数値をもとに一緒に切り分けます。相談の段階で費用は発生しません。

まとめ|施策の数ではなく、離脱地点への割り当てで決まる

ECサイトのコンバージョン施策について、離脱地点ごとの選び方を整理してきました。要点を振り返ります。

コンバージョン率は分母の定義を揃えて測り、目安は業界平均ではなく自社の過去データで持つ。改善に入る前に、入口と商品ページ、カートの3地点で通過率を出し、最も落ちている1地点に絞る。入口なら探す手間を減らす施策、商品ページなら買わない理由を消す施策、カートなら追加の手間と不意打ちを取り除く施策を当てる。

そして施策を尽くしても動かないときは、分子ではなく分母を疑う。買う予定のない訪問が大半を占めていれば、サイト内をいくら磨いても全体の数値は変わりません。とりわけ見落とされがちなのが、この分母側の設計です。

私たち合同会社Writers-hubは、購入検討層を集めるキーワード戦略の設計と、そこから商品ページへつなぐ記事コンテンツの制作をお手伝いしています。自社の数値を3地点に分解したところで手が止まっているようでしたら、その表を持ってご相談ください。次に何を直すかを一緒に決めるところから始められます。

この記事を書いた人

米山拓真

米山拓真

合同会社Writers-hub 代表社員

滋賀県立大学工学研究科の修士課程を修了後、大手制作会社の編集部を経て2019年にWebライターとして独立。2020年に記事制作を手順化した「ハブ式SEOライティングメソッド」を開発し、これまでに200人以上のライターを育成しました。2022年3月に合同会社Writers-hubを設立し、会社として累計8,000記事以上のSEO記事制作に携わっています。2024年にAIライティングシステム「一気通貫Pro」、2025年から書き手の文体を再現するAI編集者「Edico」を開発。このブログでは、クライアント案件と自社サイトで実際に試したことを書いています。

読んで終わりにしないために

記事の内容を自社に当てはめるとどうなるか、オンライン30分で一緒に整理します。費用はかかりません。

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