「LPは公開してしまえば、あとは広告を回すだけ」。制作会社への発注が終わった時点で、大きな仕事は片付いたと感じる担当者は多いはずです。見積書の項目が制作費と初期設定費で完結していて、公開したあとに誰が何をどれくらいやるのかがどの書類にも書かれていないことも、その感覚を後押しします。
弊社はこれまで、広告の受け皿になるページと、検索から人を集める記事の両方を数多く作り、公開後の書き換えまで引き受けてきました。その経験から言えるのは、LP運用という一語には性質の違う3つの仕事が混ざっている、ということです。広告の配信、ページの改善、ページの維持。どれを誰が持つのかを決めないまま公開したLPは、たいてい数か月で更新が止まります。
本記事では、LP運用に含まれる仕事の切り分け方から、公開前に決めておく項目、毎月の進め方、費用の内訳、自社で回すか外注に切り替えるかの分かれ目まで、ページを作って渡す側の視点で整理しました。
- LP運用という言葉に混ざっている3つの仕事と、その切り分け方
- 公開前に決めておく4つの項目と、決めないまま公開したときに起きること
- 毎月のLP運用で回す5つの手順と、判断に使う数値
- LP運用の費用の内訳と、他社の見積もりと比べるときにそろえる条件
- 自社で回すか外注するかを分ける判断材料
LP運用に含まれる3つの仕事
「LPの運用をお願いしたい」という相談を受けたとき、最初に確かめるのは、その運用が何を指しているかです。広告の配信管理を思い浮かべている人もいれば、ページの文言を書き換える作業を指している人もいます。サーバーの契約更新やSSL証明書の更新まで含めて話している場合もありました。
同じ言葉で違う仕事を指したまま契約に進むと、公開後に「そこはやってもらえると思っていた」という食い違いが起きます。だからこそ、最初に分けてください。
LP運用は広告の配信、ページの改善、ページの維持の3つに分かれます。3つは必要な技能も、成果が出るまでの時間も、止まったときに何が起きるかも違います。

仕事1は広告の配信
検索連動型広告、ディスプレイ広告、SNS広告、動画広告のいずれを使うにせよ、予算の配分、キーワードや配信対象の調整、広告文と画像の入れ替え、成果につながらない配信先の除外を続ける仕事です。動かす頻度は日次から週次で、3つのなかで最も短い周期になります。
止めたときの影響も、いちばん分かりやすく出ます。配信を止めた日から流入がほぼゼロになるからです。逆に言えば、ここに手を入れると数値がすぐ動くため、社内で成果を説明しやすい仕事でもあります。
仕事2はページの改善
ファーストビューのコピー、掲載する事例や料金の見せ方、入力欄の項目数といった、ページの中身を書き換える仕事です。動かす周期は月次から四半期で、広告の配信より長くなります。
止めても、その月の問い合わせ件数はすぐには落ちません。ここが厄介なところで、後回しにしても痛みを感じにくいのです。影響が表に出るのは、広告のクリック単価が上がって同じ予算で人を集めきれなくなったときでした。そのとき手を入れる場所が残っていないと、予算を増やす以外の選択肢がなくなります。
仕事3はページの維持
ドメインとサーバーの契約更新、SSL証明書の更新、CMSやプラグインの更新、価格改定やキャンペーン終了にともなう表記の直し、リンク切れの点検、そして問い合わせフォームの着信確認です。地味な作業が並びますが、事故が起きたときの損失はここがいちばん大きくなります。
とりわけ見落とされがちなのが、フォームの着信確認です。メールの送信元設定やドメインの管理会社を変えたあと、フォームからの通知が届かなくなっていたのに数週間気づかなかった、という事例は実際にあります。広告費を払い続けながら、届いた申し込みだけが消えていく状態でした。月に1回、実際に自分でテスト送信して受信箱まで届くかを見る。この数分の作業を運用の定例に入れておいてください。
制作で終わったLPが止まる理由
3つの仕事に分けたところで、次に起きるのは「では、いつから何を直すのか」という問いです。ここで多くの現場が、公開直後の数値を見て慌てて動き始めます。
公開して2週間で、コンバージョン率が1.2%でした。低いように思うのですが、すぐに直したほうがよいでしょうか。
編集部
その2週間で申し込みが何件あったかを先に見てください。件数が数件しかないなら、1.2%という数字はこのあとまだ大きく動きます。広告側の配信が落ち着くまではページを触らずに数値を溜めたほうが、あとで何が効いたのかを説明できる状態になります。
公開直後に手を入れたくなるのは自然な反応です。ただ、広告の配信は開始からしばらく配信先や単価が動くため、その期間の数値はページの出来だけを映していません。同じ週に広告文とページの見出しを両方変えてしまうと、翌月の数値が上がっても下がっても、原因を一つに絞れなくなります。
公開から最初の2週間から3週間は、広告の設定とページの両方を同時に触らないでください。片方を固定しておかないと、数値が動いた理由を後から切り分けられません。
もう一つ、運用が止まる理由として実務で頻繁に見るのが、更新を頼む先が消えている状態です。制作の契約が納品で終わっていて、公開後に文言を1行変えるだけでも見積もりからやり直しになる。社内に触れる人もいない。こうして「直したいけれど動けない」まま数か月が過ぎ、いつのまにか広告だけが回り続けます。
運用を始める前に決める4つの項目
止まらないLP運用にするために、公開前に決めておきたい項目があります。どれも公開後では決めにくくなるものばかりです。
- 目標にするコンバージョンの種類と、1か月あたりの目標件数
- 申し込み1件あたりにかけてよい上限額(広告費と運用手数料を含めた金額)
- ページの文言を誰が、どの手順で直すか
- 広告の管理画面とアクセス解析のどちらの数値を判断の根拠にするか
4つのうち、後から効いてくるのは1つ目です。判断のもとになるのは割合ではなく1か月あたりの件数です。コンバージョン率だけを追っていると、母数の小さい月の上下に振り回されるでしょう。月に何件取れているかを先に置いておけば、次の章で触れる「直す間隔」も自動的に決まってきます。
3つ目の「誰が、どの手順で」も、言葉にしておく価値があります。制作会社に依頼するのか、社内の担当者がCMSで直すのか。依頼するなら1回あたりいくらで、何営業日かかるのか。ここが空欄のまま公開したLPは、忙しい月から順に更新が飛んでいきました。
毎月のLP運用で回す5つの手順
決めるものが決まったら、あとは同じ手順を毎月繰り返します。凝った分析よりも、同じ物差しで並べ続けることのほうが効くはずです。
広告費、クリック数、ページの訪問数、コンバージョン件数、1件あたりの獲得単価の5つを、毎月同じ場所から取ります。取得元を月ごとに変えないでください。
クリック数が減ったのか、訪問はあるのに申し込みが減ったのか、そもそも広告費を絞ったのか。前月との差が最も大きい行を1つだけ選びます。
選んだ場所に対して、変更するのは1か所だけにしてください。広告文とファーストビューを同時に変えると、翌月の数値をどちらの成果とも言えなくなります。
変更した内容と日付を、誰でも見られる場所に1行で書きます。半年後に「なぜこの文言なのか」を思い出せる状態にしておくためです。
反映後すぐに次の変更を重ねません。判断できるだけの件数が集まるまでは、数値を眺めるだけの月があってかまいません。
5つ目を守れるかどうかで、1年後の状態がかなり変わります。改善案を出し続けることより、出した案の結果を見届けることのほうが難しいのです。

計測の設定に不安があるうちは、広告媒体の公式ヘルプでコンバージョン計測の仕様を先に確認しておいてください。管理画面とアクセス解析で数値がずれる理由を社内に説明できるようになります。

LP運用にかかる費用の内訳
「LP運用は月いくらですか」という質問には、そのままでは答えられません。先ほどの3つの仕事のうち、どこまでを含めるかで金額が変わるためです。内訳を分けて見ると、他社の見積もりとも比べやすくなります。
費目 | 含まれる仕事 | 費用の目安 |
|---|---|---|
ドメイン | 維持 | 年1,000円から5,000円程度 |
サーバー | 維持 | 月1,000円から5,000円程度(共用サーバーの場合) |
SSL証明書 | 維持 | 無料から年数万円 |
保守(更新作業を含む) | 維持・改善 | 月1万円から5万円程度 |
広告費 | 配信 | 媒体に支払う実費。月10万円から始める例が多い |
広告運用の手数料 | 配信 | 広告費の20%前後、または月額固定 |
ページの書き換え | 改善 | 都度見積もり。原稿と構成から見直す場合は数十万円 |
※ 上記は弊社が関わった案件や見積もりの相談で見てきた範囲であり、公的な統計ではありません。商材の単価、競合の多さ、ページの規模、対応の速さによって上下します。
見積もりを比べるときは、金額よりも「広告費が含まれているか」を先に確認してください。月12万円という提示が、広告費10万円と手数料や管理費で構成されている場合と、広告費とは別に12万円かかる場合とでは、実際の支出が倍近く違ってきます。
見落としやすいのが保守の内容です。同じ「月1万円」でも、サーバーの死活監視だけを指す場合と、月1回の文言差し替えまで含む場合があります。契約前に、1か月あたり何回まで、どの範囲の修正が含まれるのかを書面で確認しておくと、あとの揉め事が減ります。
自社で回すか外注するかの分かれ目
費用の話が出ると、次に浮かぶのは「自社でやれないか」という問いでしょう。結論から言えば、条件がそろっていれば自社で回すほうが速く、費用も抑えられます。問題は、その条件が意外と厳しいことです。
- 広告の管理画面を触れる担当者が社内にいる
- ページの文言をCMSなどで直せる状態になっている
- 1か月あたりのコンバージョン件数が、判断できるだけ溜まっている
- 月に数時間、数値を見る時間が業務として確保されている
- 担当者が他業務と兼任で、割ける時間が月に1時間あるかどうか
- 更新を頼める先がなく、公開時の制作会社との契約も切れている
- 広告費を増やす決裁は取れるが、増やした後の改善を誰も持っていない
- 数値を見る人と、ページを直す人と、決裁する人が全員別で、月次で集まれない
右側に2つ以上当てはまるなら、外注を前提に組み直したほうが早いと見ています。ここで大事なのは、3つの仕事をすべて同じ相手に渡す必要はないことです。分担のしかたには、いくつかの型があります。
| 全部を自社で回す | 全部を1社にまとめる | 広告は代理店、ページは制作会社 | |
|---|---|---|---|
| 広告の配信 | △ | ○ | ◎ |
| ページの改善 | △ | ○ | ◎ |
| ページの維持 | ○ | ◎ | ○ |
| 反映までの速さ | ◎ | ○ | △ |
| 月あたりの費用 | ◎ | ○ | △ |
| 向いている状況 | 広告と原稿の担当が社内にいる | 窓口を1つにしたい | 広告費が月30万円を超えている |
3つ目の分け方は、費用も手間も増える組み合わせです。それでも広告費が一定額を超えると、配信の調整と原稿の書き換えのどちらも片手間では回らなくなるため、専任を分けたほうが結果的に安く付く場面が出てきます。窓口が増える負担と、広告費の規模を天秤にかけて決めてください。
ページの文言を直す人が、社内で決まっていないままではありませんか
広告の配信は代理店に任せられても、ページの言葉を書き換える仕事は社内に残りがちです。弊社は原稿を書く体制ごとお引き受けし、毎月の書き換えを止めずに回す形で支援しています。まずは今の分担を整理するところからでも構いません。
公開前に決まる更新のしやすさ
外注か自社かを考える前に、そもそも直せないLPというものが存在します。運用の話をするとき、ここが最初の壁になる案件は少なくありません。
- 見出しも本文も、すべて画像に文字を焼き込んで作られている
- 1枚のHTMLに全要素が直書きされ、一部だけの差し替えができない
- 制作会社しか扱えない独自のテンプレートで組まれている
- 価格やキャンペーンの期日が、ページ内の複数箇所に散らばって書かれている
公開後に自分で直せない作りのLPは、運用の前に作り直しが必要になります。1つ目の画像化は特に厄介で、見出しを1行変えるだけでデザイナーの作業が発生します。文字を画像に入れるとデザインの自由度は上がりますが、月次で言葉を変えていく運用とは相性が良くありません。
制作を発注する段階で「公開後に自分たちで変えたい箇所」を3つだけ挙げて伝えてください。見出しのコピー、料金表の数字、キャンペーンの期日といった具合です。伝えておけば、その部分だけを編集できる作りで納品してもらえます。
すでに公開済みで直せない場合でも、全面の作り直しに進む前にできることがあります。よく使うのは、既存のLPはそのまま残して、書き換えたい部分だけを差し替えた別ページを1枚用意し、広告の送り先を分ける方法です。元のページを壊さずに比較できます。
直す間隔を決めるコンバージョン件数
改善の話でいちばん多い誤解が、頻度は高いほど良いというものです。実際は逆で、件数の少ないLPほど、直す間隔を空ける必要があります。
理由は単純で、比べられるだけの数が溜まらないうちに変更を重ねると、どの変更が効いたのか分からなくなるからです。月に申し込みが10件あるLPで毎週1か所ずつ直すと、1つの変更に対して確認できるのは2件から3件。この数で「上がった」「下がった」を判断するのは、運任せに近くなります。
件数が少ないLPほど、直す間隔を長く取ってください。月10件前後なら、変更は月1回まで。判断は2か月から3か月分をまとめて見る。この程度の慎重さでちょうどよいと考えています。
コンバージョン件数が月に数件しかない段階では、A/Bテストで有意な差を出すのは現実的ではありません。この段階で優先すべきは、テストの設計ではなく、広告の対象を広げて件数そのものを増やすことです。
では、件数が少ないうちは何も直せないのか。そんなことはありません。この段階で効くのは、テストで比べる改善ではなく、明らかな不具合を潰す改善です。スマートフォンで表示が崩れている、入力欄が15項目ある、送信ボタンが画面の外にある。こうした箇所は、比較するまでもなく直したほうが良い場所です。数値の議論は、それらを片付けてからで間に合います。
広告を止めた月に何が残るか
LP運用を1年ほど続けた会社から、同じ相談を受けることがあります。数値は安定したものの、広告費を下げると問い合わせもそのまま減る。予算を増やす以外に手が見当たらない、というものです。
広告を止めた翌月に残るのは、検索やSNSから来る人だけです。LPは1ページで完結する作りのため、検索から人を集める力はもともと弱く設計されています。商品名や社名で指名検索してくる人以外は、広告を止めた時点で来なくなります。

ここで視点を反転させましょう。LP運用の目的が申し込みを増やすことなら、手段はページの中だけにあるとは限りません。検索から来る人を受け止める記事を並行して増やしておくと、広告の単価が上がった月でも問い合わせの本数を保ちやすくなります。記事で比較の考え方や費用の目安を先に伝えておけば、LPに来た時点で判断材料がそろっている状態にもなります。
この組み合わせは、広告費を削るための我慢ではありません。広告の予算配分を決めるとき、選べる手が1つ増えるという話です。
広告費を増やす以外に、問い合わせを増やす手が見当たらないとき
LP1枚では、広告を止めた月に流入がほとんど残りません。検索から来る人を受け止めるページを並行して積んでおくと、広告費の増減に左右されにくい問い合わせの本数を作れます。今の流入の内訳を見ながら、どこから着手するかをご提案します。
LP運用についてよくある質問
最後に、相談の場で繰り返し聞かれる質問をまとめました。
回せます。ただし、広告の管理画面を触れる人とページの文言を直せる人が社内にいて、月に数時間を業務として確保できることが条件です。3つのうち1つでも欠けるなら、その部分だけを外に出す形を検討してください。
広告の配信が落ち着く2週間から3週間は、数値を溜める期間として使ってください。その後、コンバージョン件数が判断できる量になった時点で1か所目に着手します。件数が月に数件なら、着手はさらに先で問題ありません。
広告費を含むかどうかで大きく変わります。維持と最小限の更新だけなら月1万円から5万円程度、広告の配信まで任せる場合は広告費に手数料が20%前後上乗せされる形が一般的です。見積もりを比べるときは、広告費の扱いを先にそろえてください。
難しい部類に入ります。1ページで完結する構成のため扱えるテーマが限られ、更新頻度も上がりにくいためです。検索からの流入を増やしたい場合は、LPを作り替えるより、別に記事ページを用意するほうが早いと見ています。
無駄にはなりません。メールマガジンやSNS投稿の遷移先、営業資料からの誘導先、展示会で配る印刷物の二次元コードの飛び先として使えます。ただし、流入がなければ数値は溜まらないため、その間の改善は止まります。
まとめ|LP運用は3つに分けてから決める
LP運用がうまく進まないとき、原因は担当者の力量ではなく、仕事が分けられていないことにあるケースが目立ちました。広告の配信、ページの改善、ページの維持。この3つは動かす周期も必要な技能も違うのに、1つの言葉でまとめて語られるため、誰の担当でもない領域が生まれます。
まず3つを書き出して担当者の名前を入れる。1か月あたりのコンバージョン件数を確認して、直す間隔を決める。費用を比べるときも同じ分け方でそろえる。この順番で進めれば、公開して数か月で更新が止まる展開はかなり避けられるはずです。そして、広告を止めた月に何が残るかという問いには、LPの外側で答えを用意しておいてください。
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3つの仕事のうち、どれが自社に残っているか整理したい方へ
広告、ページの改善、ページの維持のどこが抜けているかは、現在の体制と1か月あたりのコンバージョン件数を見れば、おおよその見当が付くはずです。今の状況をお聞きしたうえで、どこから手を付けるかをご提案します。








