「LPOは、直すべき箇所さえ特定できれば前に進む」。改善に取り組み始めた段階では、そう考えるのが自然だと思います。ヒートマップやアクセス解析ツールの案内が「課題を可視化する」ことを前面に出しているため、難所は箇所の特定にあるように見えるからです。
しかし、Web上で読まれる文章を作る仕事として、記事だけでなく申し込みページの見出しや本文の書き換え案もこれまで数多く引き受けてきた弊社の立場から言えるのは、改善が止まるのは箇所が分からないときではなく、その箇所に何を書けばいいかが出てこないときだということです。ヒートマップは「ここで読むのをやめている」までは教えてくれますが、代わりに何を置くかまでは示してくれません。
本記事では、改善する箇所の決め方に加えて、書き換える中身をどこから引いてくるか、そして1回の検証で結論を出すための条件までを、原稿を作る側の視点で順にお伝えします。
- LPO改善で実際に手を動かす3つの作業と、詰まりやすい工程
- 書き換える文章の材料になる、社内にすでにある5つの記録
- LPの区間ごとに、どこを直して何を入れ直すか
- 1回の検証で結論を出すための期間とコンバージョン数の条件
- 流入が少ないLPで、テスト以外に取れる判断方法
LPO改善で手を入れる3つの作業
LPO(Landing Page Optimization)は、広告や検索から着地したページを直して、問い合わせや申し込みに進む割合を上げる取り組みです。ただ、ひとことで改善と言っても、実際の手作業は性質の違う3つに分かれます。
1つ目が、数字を読んで人が減っている場所を絞る作業。2つ目が、その場所に置く言葉や順番の案を作る作業。3つ目が、案を実装して前後の数字を比べる作業です。ツールが担うのは1つ目と3つ目で、2つ目だけは誰かが手で作らなければ埋まりません。

社内の分担を思い出してみてください。1つ目は広告運用の担当者、3つ目は制作会社やツール、と割り当てが決まっている会社は多いはずです。ところが2つ目には、担当者名が書かれていないことがよくあります。会議で「ファーストビューを見直しましょう」と決まったあと、次の会議まで誰も原稿を書いていない。改善が月単位で止まる理由の多くは、この空白にあります。
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改善が止まるのは案が尽きたとき
LPOに取り組んだ会社が3か月後にどうなっているかを聞くと、返ってくる答えは二極化します。毎月なにかしら試している会社と、最初の2回で止まっている会社です。止まっている側に共通するのは、施策の知識が足りないことではありません。
改善のチェックリストは一通り試しました。ボタンの色も文言も変えて、フォームの項目も減らしました。次に何を変えればいいのか、正直もう思いつかないのですが。
編集部
最初の2回で出てくる案は、たいていチェックリストから引いたものが中心で、ページの部品を替える方向に寄ります。3回目からは「うちの商品を選ぶ理由」を言い直す作業に変わるので、思いつきではなく材料が要ります。社内に貯まっている言葉を掘りに行けば、案は途切れないはずです。
チェックリスト由来の案には限りがあります。ボタン、見出し、フォーム項目、画像の差し替え。世の中の改善記事に載っている項目を全部やり切っても、せいぜい10案前後で打ち止めです。しかも、それらは「どう見せるか」の変更であって、「何を言うか」には踏み込んでいません。
ここで見落とされがちなのが、コンバージョン率を大きく動かすのは見せ方より言っている中身のほうだ、という点です。同じレイアウトのまま、ファーストビューの一文を「業務を効率化するクラウドサービス」から「請求書の発行を月20時間分減らすサービス」に書き換えるだけで、来訪者が自分に関係あるかどうかを判断できるようになります。
LPO改善が止まるのは、直す箇所ではなく書き換える中身が尽きたときです。案が続く会社は、思いつきではなく社内の記録から言葉を引いています。
つまり、改善を続けられるかどうかは、担当者の発想力ではなく、材料をどこから調達する仕組みを持っているかで決まると見ています。
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改善案の材料になる社内の言葉
では、その材料はどこにあるのか。新しく考え出すものではなく、すでに社内に貯まっている記録から取り出せます。弊社が改善案を作るときにも、まず出していただくのは次の5つです。
- 商談や問い合わせ電話で、毎回のように聞かれる質問
- 失注したときに相手が挙げた理由(価格、納期、実績不足など)
- 受注した顧客が契約の決め手として口にした言葉
- 問い合わせフォームの自由記述欄に書かれた文面
- 広告や検索で実際に使われている、来訪者側の言い回し
このうち効きやすいのは、最初の2つです。毎回聞かれる質問は、ページで答えられていない項目そのもの。失注理由は、ページが先に打ち消しておけば防げたかもしれない不安です。営業担当が口頭で15分かけて説明している内容が、ページには一行も書かれていないという状態は、めずらしくありません。
3つ目の「決め手として口にした言葉」は、書き換えの語彙になります。自社が使いたい言葉と、顧客が実際に使う言葉はずれていることが多く、そのずれがファーストビューの読み飛ばしを生んでいるのです。顧客が使った言葉をそのまま見出しに移すだけで、改善案が数本作れます。
5つ目は、検索広告の検索語句レポートや、サーチコンソールに出ている流入語から拾えます。「導入 費用」で来ている人が多いのに、ページに料金の記載がまったくないのであれば、直す箇所は考えるまでもありません。
材料を1時間ほど書き出すと、たいていは20から30の断片が集まります。そこから重複を除いて並べ替えると、書き換え案は10本前後になるはずです。改善案が出てこないという相談の多くは、この工程を飛ばして会議室で考えようとしたことが原因でした。
直す場所は決まったのに、書き換える原稿を作る手が空いていませんか
商談メモや失注理由をお預かりして、ファーストビューから申し込み直前までの書き換え案を、原稿の形にしてお出しします。案出しだけで止まっているLPの立て直しから対応しています。
関連記事:EFOの改善は何から始めるか|フォーム離脱を3つの層で切り分ける
LPOで改善する5つの箇所と入れる中身
材料がそろったら、LPのどの区間に何を入れ直すかを決めます。ここでは、手を入れる頻度が高い5か所を、変更内容とセットで並べます。

ファーストビューで置き換える言葉
最初の画面で読み取れるようにしたいのは、誰に向けたページか、何が得られるか、次に何をすればよいかの3つです。抽象的な業界用語が並んでいると、来訪者は自分向けかどうかを判断できず、そのまま戻ります。
書き換えの材料は、受注顧客が決め手として挙げた言葉と、業種や規模の限定です。「中小企業向け」より「従業員30名までの製造業向け」のほうが読み手は判断が早くなります。対象を狭めると母数が減るように感じますが、当てはまらない人が早く離脱するぶん、残った人の申し込み率は上がります。
本文の並び順の決め方
LPの本文は、機能の説明から始まっていることが多い一方、来訪者が先に知りたいのは自分の困りごとが解けるかどうかです。並び順を、困りごとの言語化、解決の方法、それができる理由、費用、申し込み方法の順に組み替えるだけで、途中離脱が減る場合があります。
順番を変えるときは、既存の要素を消さずに入れ替えるところから始めてください。削除と並べ替えを同時に行うと、数字が動いた原因を切り分けられなくなります。
証拠として使える材料の選び方
導入実績や利用者の声は、数が多ければよいわけではありません。来訪者と近い属性の事例が1件あるほうが、無関係な大企業のロゴが20個並ぶより判断材料になります。
社名を出せない場合でも、業種、規模、導入前の状態、導入後に変わった業務は書けます。固有名詞を伏せたまま具体性だけ残す書き方は、実務でよく使う手です。
CTAボタンに入れる文言
「お問い合わせ」は、押した先で何が起きるかが分かりません。資料が届くのか、営業から電話が来るのか、その場で見積もりが出るのか。行動の中身が読めないと、押す手前で止まります。
「料金表をダウンロードする」「30分のオンライン相談を予約する」のように、押した直後に起きることを書くと、迷いが減ります。あわせて、その場で電話がかかってこないなら、その旨をボタンの下に小さく添えておくと不安が減ります。
入力フォームで減らす項目
入力項目は、営業が最初の連絡に必要とする情報だけに絞ります。従業員数や検討時期は、あとで聞ける項目です。必須マークを外すだけでも、入力途中の離脱は減ります。
項目数を削れないときは、入力欄をページ内に埋め込んで、別ページへの遷移をなくす方法もあります。遷移が1回減るだけで、フォームまでたどり着いた人の完了率は変わります。
LPO改善の進め方
箇所と中身が決まったら、実装と検証に移ります。ここからは順番を守ることが結果の読みやすさに直結します。
着手前に、流入数、ページの読了位置、フォーム到達数、申し込み完了数を控えます。あとから比べる基準になるため、日付とあわせて残してください。
複数の区間が気になっても、最初に手を入れるのは1つだけにします。同時に直すと、どちらが効いたのか分からなくなります。
1本だと比較になりません。同じ箇所に対して、言い方の違う案を3本用意し、社内で選びます。
何を見て勝ち負けとするか、いつまで回すかを、実装前に文書で決めます。あとから決めると、都合のよい数字を拾ってしまいます。
途中経過で判断しないことがいちばん難しい工程です。期間の途中で数字が動いても、条件を満たすまで止めません。
3本の案を作る工程を入れておくと、テストで負けたときにもすぐ次を出せます。1本しか用意していないと、負けた時点でまた材料集めからやり直しになります。
1回の検証で結論を出す条件
ABテストで多いつまずきは、期間が短すぎて差が出たかどうか判断できないまま終わることです。判定を成立させるには、期間とコンバージョン数の両方に条件があります。
期間は最低でも2週間、曜日の偏りを避けるため7日の倍数で区切ります。件数は、パターンごとに少なくとも数十件、判断を任せられる水準にするなら100件前後のコンバージョンが目安です。どちらか一方でも満たさないうちは、勝敗を決めないでください。
※ 必要な件数は、もとのコンバージョン率と、どの程度の差を検出したいかで変わります。もとの率が低いほど、また見たい差が小さいほど、必要件数は増えます。
もうひとつ守りたいのが、1回のテストで変える箇所は1つに絞るという原則です。ファーストビューとボタン文言を同時に変えると、勝っても負けても次の一手が決まりません。工数の都合でまとめたくなる場面ですが、結局は遠回りになります。

なお、勝敗が付かなかった結果にも意味があります。差が出なかったということは、その箇所は数字を左右していないという情報です。次は別の区間に移る、という判断材料として記録に残してください。
流入が少ないLPで取れる判断方法
月の流入が数百件、コンバージョンが月に数件という規模のLPでは、前項の条件を満たすまでに半年以上かかります。この場合、ABテストは現実的な手段になりません。
流入が少ないLPでは、次の3つが実務的な選択肢になります。1つ目は、部分改修ではなくページを作り替えて前後の数字を比べる方法。2つ目は、申し込みまでの途中経過(フォーム到達率など)を代わりの指標にする方法。3つ目は、数字ではなく人に見てもらって詰まる箇所を特定する方法です。
3つ目については、対象顧客に近い人を5人ほど集めて、ページを黙って読んでもらい、あとで「何をする会社に見えたか」「気になった点はどこか」を聞くだけでも、書き換えの材料が集まります。統計的な判定はできませんが、そもそも判定できない流入量なのですから、判断の材料を別の形で確保するほうが前に進みます。
社内で試すなら、その商材を担当していない部署の人に頼むのが向いています。前提知識がない状態でどこまで読めるかが、初回来訪者の状況に近いためです。
直しても数字が動かないときの確認先
ページの中を一通り直したのに件数が変わらない場合、原因がLPの外にあることがあります。中身をさらに磨いても戻ってこないため、確認する先を切り替えてください。
- 広告のキーワードや訴求と、LPの主題がずれている
- 商材の検討期間が長く、初回訪問での申し込みがそもそも起きにくい
- 計測が壊れていて、実際の申し込みが数字に反映されていない
- スマートフォンで表示が崩れている、または読み込みに時間がかかっている
- 価格や条件そのものが、検討層の想定から外れている
とりわけ多いのが、1つ目と3つ目です。広告文で「無料」を打ち出しているのにページには有料プランしか載っていない、といった食い違いは、ページ側をいくら整えても解消しません。計測については、フォーム送信後のサンクスページが計測対象から漏れていないかを、実際に自分で送信して確かめるのが早い方法です。
表示速度とスマートフォン表示は、公開されている計測ツールで確認できます。

LPの中を直しても動かない数字があるという前提を持っておくと、無駄な作り直しを避けられます。改善を3回続けても変化がないときは、いったん外側の確認に回ってください。
ページの外側に原因がありそうなとき、どこから調べ直しますか
広告からの流入、ページの本文、申し込み直前のどこで人が減っているかを整理したうえで、書き換える箇所と原稿の案までまとめてお渡しします。現状の数字をお持ちいただければ、切り分けからご一緒します。
LPOツールを入れる前に決めること
ヒートマップやABテストのツールは、作業を軽くしてくれます。ただ、導入しただけで改善が進むわけではありません。
契約前に社内で決めておきたいのは、次の3点です。ツールが出した結果を読んで施策を決める人、書き換え案と原稿を作る人、実装してページに反映する人。3つのうち2つが空欄のまま契約すると、月額だけが積み上がります。
ツールが得意なのは、人が減っている場所を見つけることと、2つのパターンを出し分けることです。何を書くかを決める工程は、どのツールを選んでも自社か外部の人間の仕事として残ります。導入の判断は、この残る工程を誰が担うかを決めてからでも遅くありません。
無料で始められる範囲もあります。アクセス解析でフォーム到達率と完了率を見る、広告の管理画面で検索語句を確認する。この2つは追加費用なしで今日から確認できるため、有料ツールの検討前に一度通しておくことをおすすめします。
改善を社内で回すか外部と組むか
改善を続ける体制は、大きく3通りに分かれます。どれが向くかは、社内に空いている時間がどこにあるかで決まります。
| 向いている状況 | 月あたりの手間 | 立ち上がり | |
|---|---|---|---|
| 社内で完結 | 数字を読む人と原稿を書く人が両方いる | 大 | 遅い |
| ツール導入のみ | 案は出せるが検証の仕組みがない | 中 | 中 |
| *外部と組む | 数字は見られるが原稿を作る時間がない | 小 | 早い |
社内完結が理想ではありますが、担当者が広告運用と兼務しているケースでは、原稿を書く時間が最後に回されて改善が止まります。逆に、書ける人がいるのに検証の仕組みだけがない場合は、ツールを入れれば足ります。
外部と組む場合は、どの工程を渡すかを先に決めてください。数字の分析だけを頼むと、書き換え案は結局自社で作ることになります。弊社への相談でも、分析より原稿の制作を求められる場面のほうが多いのが実際のところです。
LPO改善のよくある質問
月1回が目安です。ABテストの判定に2週間以上かかるため、それ以上の頻度にしても結果が読めません。流入が少ない場合は、四半期に1回まとまった作り替えを行うほうが現実的です。
判定期間を満たしたうえで下がっているなら戻します。ただし、下がった結果も情報として残してください。何を変えると悪化するかが分かると、次の案の精度が上がります。
フォーム到達率と完了率を比べて、低いほうから着手します。フォームまで来る人が少ないならLPO、来ているのに完了しないならEFOが先です。
着手時点で10本前後あると、半年は途切れません。1回のテストで1本使い、負けた案は書き換えて戻すという回し方が続けやすい形です。
できます。見出しと本文の言い換え、並び順の変更、ボタン文言の修正は、レイアウトを触らずに実施できます。制作費をかけずに試せるぶん、最初の数回はこの範囲から始めるのが取り組みやすい方法です。
まとめ|LPO改善は箇所より中身
LPO改善の記事や資料には、直す箇所の一覧が並んでいます。ファーストビュー、CTA、フォーム、表示速度。どれも確かに効く場所ですが、一覧を上から順に消化していくと、2回か3回で案が尽きます。
続けられるかどうかを分けるのは、書き換える中身を調達する経路を持っているかどうかです。商談で毎回聞かれる質問、失注の理由、受注顧客が挙げた決め手。これらを書き出す作業を月に1度入れておけば、改善案が枯れることはありません。LPO改善で足りないのは箇所の一覧ではなく中身のほうだと、実務を通して感じています。
そして、判定の条件を先に決めること。流入が足りないときはテスト以外の手段に切り替えること。この2つを守れば、変更の一つひとつが次の判断材料として積み上がっていきます。
私たち合同会社Writers-hubは、Web上で読まれる文章を作る立場から、ランディングページの書き換え案と原稿の制作をお手伝いしています。数字は見えているのに書き直す手が空いていない、という状況であれば、材料の整理からご相談ください。
改善案が2回で尽きてしまった、という状態から抜け出しませんか
現状のLPと、商談で聞かれている質問をお聞かせいただければ、どの区間から手を入れるかと、書き換えの方向をその場で整理します。契約前の切り分けだけのご相談も承っています。








