「せっかく動画を作ったのだから、記事にも埋め込んでおけば検索にも効くはず」。撮影を終えた動画の使い道を社内で決める場面では、この一言がほぼ必ず出てきます。動画があると滞在時間が伸びて検索に有利になるという説明が、同じ言い回しのまま業界に定着しているためです。
しかし、実際に検索順位が動いた場面は別のところにありました。弊社はこれまで、動画を持つ企業のSEO記事づくりやサイト構成の設計に数多く関わってきました。その経験から言えるのは、動画を埋め込んだこと自体で順位が変わった例はほとんどない、ということです。順位が明確に反応したのは決まって、動画の中身をテキストで読める形にしたときでした。
本記事では、動画SEOという言葉に混ざっている三つの施策の切り分けから、Google検索とYouTube検索それぞれで打てる対策、そして動画を入れたせいで順位を落とす場面まで、記事とサイトの両方を手がける立場でお伝えします。
- 動画SEOという言葉に混ざっている三つの施策の違い
- 動画を埋め込んでも検索順位が動かない理由
- Google検索の動画枠に自社の動画を出すまでの手順
- YouTube内検索で見つけてもらうために触る設定項目
- 動画を足したせいで検索流入を落とす失敗例
動画SEOとは何を指すのか
動画SEOは、動画を使った検索対策の総称として使われている言葉です。ただ、この言葉が指す中身は話し手によってまるで違っており、打ち合わせが噛み合わない原因の大半はここにあります。
整理すると、実務で動画SEOと呼ばれているものは三つに分かれます。目的も、手を動かす場所も、成果が見えるまでの期間も別物です。
| 表示される場所 | 主な作業 | 成果の読みやすさ | |
|---|---|---|---|
| *動画専用ページの対策 | Google検索の動画枠 | ページ制作・構造化データ | ◎ |
| YouTube内の対策 | YouTubeの検索結果 | タイトル・説明文・サムネイル | ○ |
| 既存記事への埋め込み | その記事自体の検索順位 | 動画の選定・周辺テキスト | △ |
三つを並べてみると、同じ言葉で語られていても取り組む場所がまるで違うとわかります。とりわけ混乱を生むのが三番目で、多くの企業が期待しているのはここなのに、成果がいちばん読みにくいのもここです。

動画SEOとYouTube SEOの違い
VSEOという呼び方も見かけますが、これもGoogle検索向けとYouTube向けのどちらを指すかで内容が入れ替わります。
Google検索で動画を上位に出したいのであれば、自社サイト側に動画が主役のページを用意し、検索エンジンがその動画を見つけられる状態を作る作業が中心になります。一方、YouTube内で再生回数を伸ばしたいのであれば、作業はYouTubeの管理画面の中でほぼ完結します。後者を頑張っても、自社サイトの検索順位が直接動くわけではありません。
どちらを優先するかは、動画を見た人にどこへ来てほしいかで決まります。問い合わせや資料請求につなげたいなら前者、まず名前を知ってもらいたいなら後者から手を付ける順序もあります。
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動画SEOで期待できる効果の範囲
効果の話に入る前に、期待の高さと実際の手応えがいちばんずれる部分を先に片付けておきます。
動画を記事に埋め込むと滞在時間が伸び、その結果として検索評価が上がる。この説明は広く流通していますが、順位が上がる仕組みとしては成立していません。理由は単純で、Googleは全サイトの滞在時間を等しく取得できる立場にないからです。アクセス解析ツールを入れていないサイトが無数にある以上、共通の評価軸としては使えません。
動画を入れると滞在時間が伸びてSEOに効くと聞いていたのですが、あれは間違いということでしょうか。
編集部
説明の順番が逆になっています。動画を見た人が長く留まるのは結果であって、その秒数をGoogleが採点しているわけではありません。ただし、動画のおかげで疑問が解けて検索結果に戻らずに済んだのなら、それは検索エンジンの側から観測できる変化です。狙うなら秒数ではなく、その一点に絞ってください。
動画枠に出たときの直接的な効果
はっきりした手応えが出るのは、Google検索の結果画面に自社の動画が表示されたときです。
検索結果にはサムネイル付きの動画枠があり、テキストのリンクが並ぶ中で視覚的に目立ちます。競合のページが上位を固めている語であっても、動画枠は別の面として空いていることがあります。埋め込みより、動画枠を取りに行くほうが結果は早く出ます。
埋め込みによる間接的な効果
では既存記事への埋め込みは無駄なのか。そうとも言い切れません。
手順や操作画面のように、動画で見せたほうが早い内容であれば、読んだ人の理解は確実に進みます。理解が進んだページは他サイトから参照されやすくなり、社内でも共有されるでしょう。検索エンジンが直接扱えるのはこうした外部からの参照のほうで、埋め込みの効果はこの遠回りな経路をたどって現れます。時間はかかりますし、必ず現れるとも限りません。

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Google検索に動画を出す対策
ここからは手順の話に移ります。自社サイトの動画をGoogle検索の動画枠に出すために必要な条件は、公式の資料ではっきり示されています。

※ 動画の検出とインデックス登録の条件は、Google検索セントラルの「動画のSEOベストプラクティス」に記載されています。
弊社が既存サイトへ動画を載せる場面では、おおむね次の順番で進めています。
1枚のページに複数の動画を詰め込まず、動画1本につきページを1枚割り当てます。検索結果からの遷移先はこのページになるため、URLは公開後に変えない前提で決めてください。
再生画面の上下に、動画で扱っている内容を文章で書きます。見出し、説明文、要点の整理。動画プレーヤーだけが置かれたページは、検索エンジンから見れば中身の判断材料がない状態です。
VideoObjectの構造化データで、タイトル、説明、サムネイルのURL、公開日、再生時間、動画ファイルの場所を明示します。ここが欠けていると、動画枠の候補から外れやすくなります。
サイト内の動画が増えてきた段階で、動画用のサイトマップをSearch Consoleから送信します。新しく公開した動画の検出が早まります。
映像から自動で切り出された1コマではなく、内容が伝わる画像を用意して指定します。動画枠は画像で目を引く面であるため、ここの出来が流入量を左右します。
実装後の確認は、Search Consoleの動画ページに関するレポートで行えます。インデックスされなかった動画については理由が示されるため、推測で直す前にこちらを開いたほうが早く片付きます。
五つのうち、制作の現場でいちばん抜けやすいのは二番目です。動画を作る側と記事を書く側が別のチームになっていると、動画の納品をもって仕事が終わった扱いになり、周辺テキストが空欄のまま公開されます。
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YouTube内検索で見つけてもらう対策
YouTubeの中で見つけてもらう作業は、自社サイトの改修とは切り離して進められます。管理画面で設定できる項目が中心のため、着手のハードルは低いほうでしょう。
- タイトルの前半に、視聴者が実際に打ち込む言葉を入れる
- 説明文の冒頭2行に動画の結論を書く(残りは折りたたまれて読まれにくい)
- 字幕を自動生成のままにせず、固有名詞と数字だけでも手で直す
- チャプターを設定し、見たい場面から再生を始められるようにする
- サムネイルの文字を、スマートフォンの一覧表示で読める大きさにする
この中で効果が読みやすいのは字幕とチャプターです。YouTubeは音声を文字に起こして内容を判断しているため、社名や商品名が誤変換されたままだと、その語で探している人には届きません。自動生成の結果を一度開き、固有名詞だけ直すところから始めても状況は変わります。
一方、タグの設定に時間をかける必要はほとんどないと見ています。かつて重視された時期はありましたが、現在は打ち間違いを補う程度の役割にとどまるはずです。
動画SEOの成果を分けるのはテキスト
ここが本記事でいちばんお伝えしたい部分です。
動画SEOと聞くと、良い動画を作れるかどうかで結果が決まるように感じられます。しかし実際に成果を分けているのは、映像の出来ではありません。検索エンジンが読んでいるのは映像ではなく周辺のテキストです。
検索エンジンは映像を読んでいない
Googleはサムネイルや音声から一定の情報を取り出していますが、映像の中身を人間と同じように理解して順位を決めているわけではありません。判断材料の大半は、ページのタイトル、本文、構造化データに書かれた文字情報です。
裏を返せば、映像の質がどれほど高くても、その内容が一文字も書かれていなければ検索エンジンには伝わりません。制作費を大きくかけた動画と、スマートフォンで撮った動画が、周辺テキストの厚みで逆転する。この現象は珍しくありません。
文字起こしを置くだけでは足りない
対策として文字起こしの貼り付けがよく紹介されますが、そのまま載せると読みにくい塊になります。話し言葉には言い直しや相づちが混ざっており、検索した人が答えを探せる形になっていないためです。
弊社が動画を持つ企業の記事を作る場合、文字起こしは素材として扱い、記事として組み直します。
動画の主張を見出しに切り出す。話し言葉を書き言葉に直す。動画では省いた前提知識を補う。動画内で示した数字を表に起こす。この四つを通すと、動画1本から検索で拾われる記事が1本できあがります。動画の再生ページと記事を別々に持ち、相互にリンクさせる構成が扱いやすいと感じています。

ここで視点を反転させます。動画を作れる会社は増えましたが、動画の中身を検索されている言葉へ翻訳できる会社はそれほど多くありません。動画SEOの解説ではほとんど触れられない点ですが、この工程を誰が担うかを決めないまま撮影に進むと、公開後に手が止まります。
動画は溜まっているのに、記事の形にする時間が取れていないとき
セミナーや導入事例の動画が社内に蓄積していても、記事へ組み直す工程で止まってしまう例をよく見かけます。文字起こしを素材としてお預かりし、検索されている言葉に合わせて構成から作り直すのが弊社の進め方です。手元に動画が何本あるかだけ分かれば、具体的な段取りをご提案できます。
動画を入れて順位を落とす場面
改善の話が続きましたが、正直にお伝えすべきこともあります。動画を足したことで検索流入が減る事故は、実際に起きています。
原因は動画そのものではなく、動画を置くときの扱い方に集中しています。制作の現場で繰り返し見てきたものを挙げます。
- 本文を削って動画に置き換え、答えを書いていた段落ごと消してしまう
- 記事の冒頭に大きな動画を置き、本文が最初の画面から押し出される
- 複数の動画を1ページへ詰め込み、表示が目に見えて遅くなる
- 内容と関係の薄い自社紹介動画を、体裁を整える目的で全記事へ貼る
- 埋め込みの表示をJavaScript任せにして、本文まで読み取れなくなる
いちばん多いのは一つ目です。動画を入れると画面が整うぶん、文字を減らしたくなります。しかし検索エンジンがそのページの答えを判断する材料は、今も本文の文字情報です。動画を足すより先に、本文が削られていないかを確認してください。
表示速度への影響も見落とされがちです。動画の埋め込みは、再生していない状態でもプレーヤーの読み込みが発生します。読み込みを後回しにする設定を入れるか、サムネイル画像を置いてクリックされてから読み込む形にすると、速度への影響を抑えられます。
もう一つ、動画を消すときの後始末も忘れないでください。動画を削除したのに再生ページを残すと、検索結果から来た人が再生できないページへ着きます。ページごと削除するか、記事として作り直すかを決めてから消す手順にしておけば、この種の事故は防げます。
動画SEOに向くテーマと向かないテーマ
すべての記事に動画が必要かというと、そうではありません。ここを線引きしておくと、制作費の配分が決めやすくなります。
- 手元の動きや操作画面を見せる必要がある手順の説明
- 大きさ・質感・動作が判断材料になる製品の紹介
- 話し手の人柄が採用や信頼につながる会社紹介や社員紹介
- 施工前と施工後のように、変化を見せると伝わる事例
- 料金体系や仕様の比較のように、表で並べたほうが早い情報
- 検索した人が急いで答えだけ知りたい用語や定義の解説
- 更新が頻繁で、内容が変わるたびに撮り直しの費用が発生する情報
- 複数部署の確認が必要で、公開までに数か月かかる内容
迷ったときは、その内容を文章と図で説明できるかを先に考えてみてください。文章で足りるのであれば、動画を作る費用は記事の本数に回したほうが検索流入は増えやすくなります。
既存記事に動画を置くときの選び方
テーマが決まったとして、次に出てくるのがどの記事に置くかという問いです。判断の軸は二つで足ります。
一つ目は、その記事を読んだ人が文章だけでは手を止めそうな箇所があるかどうか。操作の順番、機器の設置方法、書類の記入例のように、静止画では伝えきれない場面が本文にあるなら、その位置に動画を置くと理解が進みます。記事全体の内容に対応した総論的な動画より、特定の一段落を補う動画のほうが再生されます。
二つ目は、動画の長さと記事の役割が噛み合っているかどうかです。用語の意味を調べに来た人に10分の動画を出しても、再生ボタンは押されません。3分を超える動画は、読み進めた先の詳細を説明する節へ置くほうが向いています。記事の冒頭に長い動画を据える構成はよく見かけますが、答えを急いでいる人の移動を止めてしまうため、弊社では勧めていません。
動画と記事のどちらへ予算を寄せるべきか、決めきれないとき
撮影に入る前に、その内容が検索されている言葉と重なっているかを確認しておくと、作り直しを避けられます。弊社では検索されている語の調査から記事の設計、動画の再生ページに載せる文章の制作までを一続きでお請けしています。手持ちの素材を整理するところからでも構いません。
動画SEOのよくある質問
打ち合わせで実際にいただくことの多い質問を、回答とあわせて載せておきます。
埋め込みだけでは上がりません。順位が動くのは、動画の内容を本文に書き、動画が主役のページを用意した場合です。既存記事へ貼り付ける作業は、読んだ人の理解を助ける施策として考えてください。
問題ありません。ただしGoogle検索の動画枠に自社サイトのページを出したいのであれば、その動画が主役になっているページを用意し、構造化データを実装する必要があります。
動画専用ページの検出には数日から数週間かかります。既存記事へ埋め込んだ場合の間接的な効果はさらに時間がかかり、ページ単体では判別しにくくなります。
そのまま貼るだけでは限られます。話し言葉を書き言葉に直し、見出しで区切って読める形にすると、検索した人が答えにたどり着けるページになります。
YouTubeへ上げたものを埋め込む形が扱いやすいでしょう。自社サーバーに置くと配信の負荷を自前で抱えることになります。再生ページ側で構造化データを実装すれば、埋め込みでもGoogle検索の対象になります。
質問をいただく場面を振り返ると、撮影に入る前の段階でご相談いただいたほうが、結果として費用は抑えられていると感じています。
まとめ|動画SEOは見せるより読ませる
動画SEOという言葉には、Google検索の動画枠を取る施策、YouTube内で見つけてもらう施策、既存記事へ埋め込む施策の三つが混ざっていました。このうち成果がいちばん読みにくいのが三つ目で、多くの企業が期待しているのもそこです。
三つに共通していたのは、成果を決めているのが映像の質ではなく文字情報だという点でした。動画SEOは動画制作ではなくテキスト制作の仕事です。動画の内容を書き言葉に直し、検索されている言葉に合わせて並べ替える。地味な工程ですが、順位が動いたのは決まってこの作業を入れたときでした。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作と、動画を持つ企業のコンテンツ設計を手がけています。撮影した動画が社内に溜まったまま活用しきれていない、記事へ貼ってはみたものの流入が変わらないという段階であれば、手持ちの素材の棚卸しからご相談ください。
撮影した動画が社内に溜まったまま、検索からの流入につながっていないなら
動画の本数と内容をうかがえば、記事へ組み直せるもの、再生ページを作るべきもの、手を付けなくてよいものの仕分けからお伝えできます。新しく撮影する前に、今ある素材でどこまで対応できるかを整理する進め方をおすすめしています。








