「順位が上がれば、問い合わせも後から増えてくる」。検索からの流入を追いかけている担当者の方から、この言葉をよく聞きます。社内で施策の承認を取るときに成果指標として流入数を置くことが多く、流入が伸びている間は方向が合っていると説明できてしまうためでしょう。ところが流入が伸び続けても、問い合わせは月に1件か2件のまま動きません。そんな相談が毎月のように届きます。
しかし、弊社はこれまで、検索から来た読者を問い合わせまで運ぶ記事を多くの案件で手がけてきました。その経験から言えるのは、CVが増えない原因は記事の出来よりも、CVの数え方が検討段階ごとに分かれていないことにある場合が多いという点です。自然検索には、広告のようにどの検索語からCVしたのかを1本の線で追える仕組みがありません。着地したページを段階ごとに束ねて数え直すと、直すべき場所が絞られていきます。
本記事では、SEOにおけるCVの定義から、増えない原因の切り分け、検討段階ごとの数え方、GA4での集計の軸、そしてキーワードを選び直す手順まで、記事制作を請け負う側の視点で順を追ってお伝えします。
- SEOにおけるCVの定義と、広告のCVとの構造的な違い
- 流入が伸びてもCVが増えない4つの原因と、見分ける順番
- 検討段階ごとに置くCVポイントと、段階別の目標の立て方
- GA4で記事の貢献が見える集計の軸と、見えなくなる集計の軸
- CVから逆算してキーワードを選び直す5つの手順
SEOにおけるCVとは何を指すのか
CV(コンバージョン)は、Webサイト上で達成したい成果のことを指します。SEOの文脈では、そのうち検索エンジン経由で流入した読者が成果に至った件数だけを切り出して数えることになります。何をCVとするかはサイトの目的で変わり、1つに絞る必要はありません。
サイトの種類 | 主に数えるCV | 補助的に数えるCV |
|---|---|---|
事業サイト | 問い合わせ、見積もり依頼 | 資料ダウンロード、料金ページの閲覧 |
ECサイト | 商品購入 | カート追加、会員登録 |
採用サイト | 応募 | 説明会の予約、募集要項の閲覧 |
メディア | 会員登録、メール購読 | 記事の回遊、動画の視聴 |
CVとCVR、数える分母の違い
CVRはCV数を分母で割った比率です。ここで注意したいのは、分母の置き方ひとつで数字が変わることです。セッションで割るのかユーザーで割るのか、サイト全体で割るのか流入経路別に割るのかで、同じCV数から複数のCVRが出てきます。
SEOの話をしているのにサイト全体のCVRを見ていると、指名検索や広告、メールからの流入が混ざります。全経路を合算した数字が実態より高く出るのは、自然検索が他の経路より検討段階の浅い読者を多く含むからです。SEOのCVRを見るなら、分母は自然検索のセッションに限定します。
検索語ごとにCVを追えない構造
広告では、クリックとCVが管理画面上で1本につながります。どのキーワードが何件のCVを生んだかが分かるため、キーワード単位で入札を止めたり伸ばしたりできるわけです。自然検索は事情が違います。
Search Consoleが持っているのは検索クエリと表示回数、クリック数、掲載順位まで。GA4が持っているのはサイト内の行動とCVで、検索語の情報は入っていません。両方を連携しても、クエリの行にキーイベント数が並ぶことはありません。
自然検索では、どの検索語からCVしたのかを1本の線で追えません
この制約があるため、SEOのCVは検索語ではなく着地ページの単位で束ねて数えることになります。着地ページはクエリ群の受け皿にあたるため、ページごとの数字がクエリ群ごとの数字の代わりになる、という考え方です。改善策を並べた記事ではあまり触れられませんが、ここがSEOのCVと広告のCVを分ける前提になります。
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流入が伸びてもCVが増えない4つの原因
原因を探すとき、多くの方が記事の中身から見始めます。順番を変えたほうが早く終わります。先に見るのは流入しているクエリの検討段階と、計測の設定です。
見分ける順番
- 流入クエリに発注を含む語があるか(原因1)
- CVとして数えるイベントが正しく発火しているか(原因3)
- 記事に置いたCVポイントの重さが読者の段階に合っているか(原因2)
- 記事の中で提供物が示されているか(原因4)
原因1 クエリが情報収集段階に偏っている
「〜とは」「〜の意味」といった定義クエリは検索数が大きく、上位を取れば流入は増えます。ただし、その読者が読み終えて次に取る行動は、別の記事を読むことです。発注の検討にはまだ入っていません。
この場合、CVが増えないのは記事の失敗ではありません。そのクエリに置ける成果が問い合わせではない、というだけです。確かめ方は簡単で、Search Consoleでクリック数の上位20クエリを書き出し、「費用」「選び方」「比較」「会社」「依頼」のように発注の検討を示す語がいくつ含まれるかを数えます。ゼロなら原因1に当たります。
原因2 置いたCVポイントが段階と合わない
情報収集段階の記事に「無料相談はこちら」だけを置くと、読者が今している行動(調べている)と、求められる行動(人と会う約束をする)の距離が離れすぎます。読者は押しません。
段階に合った軽いCVポイント、たとえばチェックリストや料金表、事例集のダウンロードを用意していないと、その記事は読まれて終わります。CVRが低いのではなく、そのページで数えられるCVが置かれていない状態です。
原因3 記事経由のCVが集計の軸で見えない
GA4の「ページとスクリーン」レポートでCVを見ると、数はフォーム送信後のページに集まり、記事の行には0が並びます。しかし実際の経路は、記事を読む、サービスページへ移る、フォームを送るという3ページにまたがっており、CVが記録されるのは最後の1ページだけなのです。
とりわけ見落とされがちなのが、この集計の軸の問題です。軸をランディングページに変えれば、同じデータのまま記事にCVが紐づきます。記事の貢献が見えないのは、記事が効いていないからではなく、CVが起きた瞬間のページで集計しているから、という場合があります。
CVが起きていないのか、数えられていないのかを先に分けます
原因4 記事の中で提供物が示されていない
読者にとって役立つ情報だけで完結している記事は、読み終えた時点で終わります。誰が書いていて、何を提供できるのかが本文のどこにも書かれていないためです。
SEO記事は宣伝が濃いと離脱を招くため抑えるのが基本ですが、提供物をまったく示さなければ、読者は問い合わせ先を探す理由を持てません。記事内で解いた課題の続きが自社の提供範囲に入っているなら、その事実は書いてよいはずです。
Search Consoleのクエリを見たら、たしかに「とは」ばかりでした。ただ、費用や選び方のキーワードは検索数が小さくて、社内で記事の優先度を上げにくいのですが、それでも先に書くべきでしょうか。
編集部
検索数だけで並べると、どうしても後ろへ回りますね。並べる軸を1本あたりのCV数の期待値に変えてみてください。月100回検索される「費用」のクエリと、月10000回の「とは」のクエリでは、問い合わせに至る率が二桁違うこともあります。比較検討のクエリは本数が限られるという弱点があるので、先に埋め切ってから情報収集側へ戻る順番が現実的です。
4つの原因は、流入から成果までの経路の別の場所で起きています。どこで止まっているかを1つに絞ってから手を動かすと、やり直しが減ります。

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検討段階別に分けて数えるSEOのCV
原因の切り分けが終わったら、数え方そのものを組み替えます。ここが自然検索特有の作業になります。着地ページを検討段階で3つに束ね、段階ごとに置くCVと見る数字を分けてしまう方法です。
検討段階が違うページのCVを1つの平均にすると、直す場所は見えません
検討段階 | クエリの形 | 置くCVポイント | 目標に置く数字 |
|---|---|---|---|
情報収集 | 「〜とは」「〜の意味」「〜 やり方」 | 関連記事への回遊、メール購読 | 次のページへ進んだ割合 |
比較検討 | 「〜 費用」「〜 選び方」「〜 比較」「〜 事例」 | 料金表や事例集のダウンロード | 資料請求の件数 |
依頼直前 | 「〜 会社」「〜 依頼」「サービス名」 | 問い合わせ、見積もり依頼 | 問い合わせの件数 |
3つに分けると、判断が変わります。情報収集段階の記事の問い合わせが0件でも、回遊が起きているなら役目を果たしています。逆に、依頼直前のクエリで着地するページのCVRが1%を下回っているなら、そこは優先して直す価値があります。合算した平均では、この2つの区別がつきません。

段階をまたいだ読者をどう扱うか
情報収集の記事で最初に接触し、数週間後にサービス名で検索して戻ってきて問い合わせる読者がいます。このとき最後のセッションの着地ページはサービスページになるため、最初に読んだ記事にはCVが付きません。
GA4のアトリビューション設定はチャネルやキャンペーンの間で成果を配分する機能で、同じサイト内のページ同士に配分するものではありません。つまり、記事から記事へ渡った貢献を数字で受け取る方法は、標準の機能の中には用意されていないと考えるほうが実務に合います。だからこそ情報収集の記事は、問い合わせ件数ではなく回遊と購読で測り、比較検討の記事へ送る役として置くことになります。
どの検討段階のキーワードから埋めるか、決まっていますか
検討段階ごとにCVポイントを分けるには、まず自社のキーワードをどの段階に置くかを決める必要があります。弊社では、CVが起きている着地ページから逆算してキーワードを段階別に配分し、記事1本ごとに数える数字まで決めた設計図をお渡ししています。
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SEO経由のCVを取りこぼさない計測
数え方を決めたら、GA4側の設定を合わせます。ここを飛ばして記事を直しにいくと、直した効果が数字に出てこないため、判断ができなくなります。
問い合わせの送信完了だけを1件と数えるのか、フォームへの到達も数えるのかを先に決めます。両方を数えるなら、別のイベント名にして分けておきます。
GA4では2024年に、レポート上の「コンバージョン」という呼び方がキーイベントへ変わりました。Google広告と連携する側は従来どおりコンバージョンと呼ばれます。管理画面のイベント一覧で、対象のイベントをキーイベントに指定します。
探索の自由形式で、行にランディングページ、値にセッション数とキーイベント数を置きます。この形が「記事の貢献」を見る最小構成です。
セグメントでセッションのデフォルトチャネルグループをOrganic Searchに指定します。指名検索も自然検索に含まれるため、ブランド名のクエリで着地するページは別に扱うと精度が上がります。
この4つを通すと、記事ごとのセッション数とCV数が横に並びます。順位や流入数の一覧とは別に、この表を毎月残しておくと、施策の前後を比べられる状態になります。

※ キーイベントの定義と、コンバージョンという呼び方との関係はGoogle アナリティクス ヘルプに記載されています。
CVが計測から漏れる典型的な3パターン
- 送信後のURLが送信前と同じで、完了を示すイベントが発火していない
- 外部のフォームサービスへ遷移していて、送信完了がGA4の計測範囲の外にある
- 除外する参照のリストが未設定で、決済やフォームのドメインが参照元として記録され、自然検索の成果が別のチャネルに移っている
3番目は気づきにくい漏れです。サイトの実態は何も変わっていないのに、自然検索のCVだけが減ったように見えます。記事を直す前に、まずこの3点を確認してください。
SEOのCVRの目安をどこに置くか
他社が公開しているSEO記事のCVRの数値を、そのまま自社の目標に置くと判断を誤ります。分母の置き方、CVの定義、扱う商材の単価で数字が動くためです。
弊社が請け負っている案件の実感でお伝えすると、問い合わせや見積もり依頼を1件のCVと数える場合、記事ページ単体のCVRは1%を下回るのが普通です。情報収集段階の記事なら0.1%前後にとどまります。一方で料金ページやサービスページは、数%に届くこともあります。
※ 商材の単価と検討期間、CVの重さ、記事が対象とする検討段階、分母をセッションとユーザーのどちらに置くかで変動します。自社の過去実績と比べる前提の目安としてご覧ください。
比べる相手は他社の平均ではなく、同じ段階の自社の前月です
目標を立てるときは、CVRから逆算します。計算の向きを変えるだけで、流入を増やす方向で届くのか届かないのかが先に分かります。
必要なセッション数の出し方必要なCV数 ÷ 想定CVR = 必要なセッション数
月に問い合わせを5件増やしたいとして、依頼直前のクエリで着地するページのCVRが1%なら、追加で必要なセッションは月500です。そのクエリ群の検索数の合計が月300しかなければ、流入を増やす方向では届きません。CVポイントをもう一段軽くするか、対象のクエリ群を広げるかの判断に移ります。
CVRが0.1%と聞くと、記事を作る意味があるのか社内で説明しづらいのですが。
編集部
その数字ひとつで判断すると止まってしまいますね。段階で分けてみてください。依頼直前のクエリで着地するページは1%前後になることがあるので、そこに2本足すほうが、情報収集の記事を20本足すより先にCV数が動きます。情報収集の記事は回遊と購読で価値を測り、比較検討の記事へ送る役として数えると、社内でも説明が通りやすくなるはずです。
CVから逆算するキーワード選定の手順
ここまでの整理を、キーワードの選び方に落とし込みます。検索数の大きい順に並べる方法から、CVが起きている場所から逆算する方法へ切り替える作業です。
直近3か月で、キーイベントが1件以上発生したランディングページをすべて書き出します。問い合わせだけでは行が埋まらないため、資料ダウンロードやフォーム到達も含めます。
Search Consoleで各ページの流入クエリを開き、繰り返し現れる語を集めます。「費用」「選び方」「比較」「事例」「会社」のような語が並ぶはずです。ここで拾った語が、自社にとってCVに近い語になります。
拾った語と、自社の商材名、サービスの種類、地域、業種を掛け合わせて、まだ記事がない組み合わせを一覧にします。検索数が小さくても落とさず残します。
比較検討と依頼直前の段階を先に埋めます。本数が限られるので数か月で埋まり、そのあと情報収集側へ戻る形になるでしょう。逆の順番で始めると、CV数が動くまでの期間が長くなります。
記事1本ごとに、置くCVポイントと数える数字を先に決めます。決めずに書き進めると、公開後に全記事へ同じバナーを貼ることになり、段階別の数え方が崩れます。
検索数の大きい順に埋める限り、CV数は後ろへ回り続けます
この順番は、流入数を成果指標にしている組織では通しにくいはずです。だからこそ、着手する前に段階別のCV目標を合意しておく価値があります。流入は下がらないまま、CV数が先に動く月が出てきます。

段階ごとにCVポイントを変えた記事を、毎月出し続けられますか
段階別の設計図ができても、比較検討のクエリと情報収集のクエリを並行して書き続けるには手が足りなくなります。弊社では設計に沿った記事の制作と、公開後のCV数の記録までを含めて引き受けています。まず何本から始めるかの相談だけでも構いません。
SEOのCVを減らす打ち手
改善のつもりで入れた変更が、CV数を下げることがあります。相談を受けた案件で実際によく見かけるものを挙げます。
- 全記事の同じ位置に、同じ問い合わせバナーを貼る
- CTAの数を増やして本文を細かく分断する
- CVRの低下だけを見て、流入の内訳が変わったかを確認しない
- 情報収集段階の記事に、見積もりフォームだけを置く
- 1か月のCV数で施策の良否を判定する
- 記事の書き換えとCTAの変更とフォームの改修を同時に入れる
上から3つは、これまで説明した段階別の数え方を崩す動きです。残りの3つは判定の問題になります。月のCV数が数件しかない状態では、増えたのが施策の効果か偶然の揺れかを区別できません。判定に必要な件数が集まるまでは、フォーム到達などの補助的なCVを判断材料に使ってください。
同時に複数を変えるのも避けたい進め方です。CV数が増えても減っても、どの変更が効いたのかが分からなくなり、次の判断に使えません。変えるのは一度に1か所、記録を残してから次へ進みます。
SEOのCVについてよくある質問
現場でよく受ける質問を、順番に挙げていきます。
2つの期間に分けて考えます。CVポイントを変える施策は、公開した週から数字に出ます。新しい記事が検索から流入を集めるまでは、公開から3か月前後を見ておくほうが安全です。
設定してください。問い合わせだけを数えると月の件数が数件にとどまり、施策の良否を判定できません。フォーム到達、料金ページの閲覧、資料ダウンロードを別のイベントとして数えると、どの段階で止まっているかが分かります。
削除の前に、その記事が対象としている検討段階を確認します。情報収集段階の記事なら、問い合わせが0件でも役目は果たせています。次のページへ進んだ割合と、比較検討の記事へ送れているかで判断してください。
定義は揃えます。違うと経路別のCVRを並べても比較になりません。ただし目標値は分けてください。広告は検索語を選んで出稿できるため、同じCVでも到達する読者の検討段階が違います。
記事単体のCVRは下がることがあります。それでもサイト全体のCV数が増えるなら、送る設計を選んでよいのです。記事の中で料金や事例を出し切れない商材では、判断材料を置いたページへ移してから決めてもらうほうが、送信後の取り消しも減ります。
質問の多くは、数え方が決まっていないことから生まれています。自社のどのページでどのCVを数えるかが決まると、答えは自社の数字の中に出てきます。
自社のCVがどの段階で止まっているのか、見てほしい方へ
Search Consoleの上位クエリとGA4の着地ページ別のCV数があれば、4つの原因のどこで止まっているかは短時間で絞れます。どのクエリから埋めるべきかまで含めて、現状の数字を一緒に見ながらお話しします。
まとめ|SEOのCVは段階ごとに数える
SEOのCVが増えないとき、記事の書き直しから始めると時間がかかります。自然検索は検索語とCVを1本の線でつなげないため、着地ページを検討段階で束ねて数えるところから入ると、直す場所が絞れます。
情報収集の記事には回遊と購読を、比較検討の記事には資料請求を、依頼直前のページには問い合わせを置く。段階ごとに数える数字を分ければ、どのページのCVRを上げるべきかが見えてきます。
- 流入クリック数の上位クエリに、発注を示す語がいくつ含まれているか
- CVとして数えるイベントがキーイベントに設定され、発火しているか
- 着地ページ別にキーイベント数を出せる状態になっているか
- 記事ごとに、置くCVポイントと数える数字が決まっているか
- 比べる相手が他社の平均ではなく、自社の前月になっているか
私たち合同会社Writers-hubは、検索からの流入をCVにつなげる前提で、キーワードの段階別の配分から記事の制作までを請け負っています。流入は伸びているのに問い合わせが動かない状態が続いているなら、まず着地ページ別のCV数を出すところからご相談ください。








