「読点は、声に出して読んだときに息継ぎをするところに打てばいい」。作文の授業などでそう教わった記憶があり、今も感覚で「、」を打っている方も多いでしょう。
しかし、これまで多くの企業のWeb記事を書き、ほかのライターの原稿を校正してきた弊社の立場から言えるのは、読点は息継ぎではなく意味が切れる位置に打つということです。息継ぎの位置は読む人の速さで変わりますが、意味の切れ目は誰が読んでも同じ位置にあります。
本記事では、読点を打つ位置のルールから、読点では直らない文の書き換え方まで、原稿の読点を直してきた制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 読点は、文の中で意味が切れる位置を読み手に示すために打つ
- 読点の位置が変わると、誰が何をしたかという文の意味まで変わることがある
- 迷ったら読点を全部消して読み、2通りに読める箇所だけに戻す
- 読点が1文に3つ以上要るときは、読点を足すより2文に分ける
- 横書きでは「,」も使えるが、1つの文書の中では「、」か「,」のどちらかにそろえる
読点「、」の役割と句点との違い
読点「、」は、1つの文の途中で、意味のまとまりの切れ目を読み手に示す符号です。文の終わりに打つ句点「。」と合わせて「句読点」と呼びます。
句点は文を終わらせ、読点は文を終わらせずに区切ります。読点を打っても文は続くため、読点の位置は、どの語がどの語にかかるかを読み手に伝えます。

読点を打つ位置の6つのルール
読点を打つ位置は、次の6つの箇所を目安に決めます。
長い主語や主題の後
主語や主題が長いときは、その直後に読点を打ちます。「新しく営業部に配属された担当者が、来週から顧客を訪問します」のように打つと、どこまでが主語かが一目で分かります。「私は来週から訪問します」のように主語が短く、述語が近い文には打ちません。
条件・理由・逆接を表す語の後
「〜なら」「〜ので」「〜が」「しかし」のように、条件・理由・逆接を表す語の後には読点を打ちます。「在庫が少ないので、発注を早めます」と打つと、理由と結論の境目が分かります。文頭の「ただし」「なお」などの接続詞の後も同じです。
修飾する先を1つに決めたい位置
読点は、どの語がどの語にかかるかを1つに決めるために打ちます。読点の位置を1つずらすだけで、誰が何をしたかが入れ替わります。

「山田さんは、急いで会議室を出た部長を追いかけた」では、急いでいたのは部長です。「山田さんは急いで、会議室を出た部長を追いかけた」と打つと、急いでいたのは山田さんになります。読点がないと、読み手はどちらの意味かを文の前後から推し量るしかありません。
読点が多いほうが、区切りがはっきりして読みやすくなるのではないでしょうか。
編集部
区切りがはっきりするのは、読点を意味の切れ目だけに絞ったときです。読点が増えると、どの切れ目も同じ重さに見えて、意味の大きな切れ目がどこか分からなくなります。
同じ種類の語句を並べるとき
同じ種類の語句を並べるときは、語句と語句の間に読点を打ちます。「商品の選び方、使い方、手入れの仕方を説明します」のように打つと、並んでいる項目の数が分かります。短い名詞だけを並べるときは中黒「・」も使えます。
ひらがなや漢字が続く箇所
ひらがなや漢字が続いて語の切れ目が見えにくいときは、切れ目に読点を打ちます。「ここではきものをぬぐ」は、「ここで、はきものをぬぐ」とも「ここでは、きものをぬぐ」とも読めます。漢字が続く「今年度中東京本社へ移る」も、「今年度中、東京本社へ移る」と打つと語の区切りが見えます。
長い修飾語が2つ重なる境目
1つの語に長い修飾語が2つかかるときは、2つの修飾語の境目に読点を打ちます。「会議で決まった来月から始まる制度」は「会議で決まった、来月から始まる制度」と打つと、2つの説明が同じ「制度」にかかっていると分かります。
読点を打たない方がよい位置
読点を打たない方がよい位置は、語と語の結び付きを切ってしまう位置です。次の4つの位置に打つと、つながっているはずの語が離れて見えます。
- 短い主語のすぐ後(「私は、行きます」)
- 文末の述語のすぐ前(「資料を、確認しました」)
- 修飾語と、修飾される語の間(「大きな、会議室」)
- かぎかっこの直後の「と」の前(「「来週決める」、と言った」)
強調したい語の後に読点を打つ書き方もあります。「今回は、見送ります」と打つと「今回は」が目立ちますが、強調の読点が1段落に何度も出ると、どれが本当に強調したい語か分からなくなります。
読点を足しても読みにくい文の直し方
読点を足しても読みにくい文は、読点ではなく文の組み立てに原因があるため、2文に分けるか語順を変えて直します。主語と述語が離れた文や、長い修飾語が3つ以上重なる文は、読点をいくつ打っても読み手が語の結び付きを追えません。
文化庁の「公用文作成の考え方」は、「当課は時間を掛けて課題解決に取り組む団体を支援する」という文を例に挙げています。「時間を掛けて」が「取り組む」と「支援する」のどちらにかかるかは、読点の位置で変わります。同じ資料は、読点の位置を探すより「当課は、課題解決に取り組む団体に、時間を掛けて支援を行う」と書き直す方法も示しています。

原稿の読点を直すときは、次の順で進めます。
文の中の読点をいったん全部消し、頭から読みます。2通りの意味に取れる箇所と、主語がどこまでか分からない箇所に印を付けます。
打つ位置の6つのルールに当てはめ、印を付けた箇所にだけ読点を戻します。印のない箇所には戻しません。
戻した読点が1文に3つ以上ある文は、主語と述語の組みごとに2文に分けます。分けられないときは、主語と述語が近づくように語順を入れ替えます。
とりわけ見落とされがちなのが、読点で文をつなぎ続けて1文が長くなっている原稿です。「〜して、〜したので、〜しましたが、」と続く文は、読点の位置を直しても長さは変わりません。
書き手ごとに違う読点の打ち方を、社内でそろえたいとお考えですか
SEO記事内製化支援では、社員の方が自分でSEO記事を書けるよう伴走し、社内で原稿を確かめる編集部の作り方と運営の仕方までお伝えします。読点のような表記の決まりを誰がどう確かめるかも、社内の体制に合わせて決められます。
読点と中黒・コンマの使い分け
読点「、」は語句や文の意味の切れ目に、中黒「・」は並列する語の区切りに、コンマ「,」は横書きの文書で読点の代わりに使います。3つは次のように使い分けます。
| 主な使いどころ | 使う場面の例 | |
|---|---|---|
| 読点「、」 | 文の中の意味の切れ目、句を並べるとき | 選び方、使い方、手入れの仕方 |
| 中黒「・」 | 短い名詞を並べるとき、外来語や人名の区切り | 赤・緑・青/ケース・バイ・ケース |
| コンマ「,」 | 横書きの文書で読点の代わりに使うとき | 書式でコンマを使うと決まっている論文や規程 |
中黒「・」との違い
中黒は、「赤・緑・青」のように短い名詞を並べるときに使います。「商品の選び方、使い方」のように語句に「の」や動詞が入るときは、読点で区切ります。中黒でつなぐと、並べた語句がひとまとまりの名前のように見えるためです。
横書きで使うコンマ「,」
以前の公用文の基準では、横書きの読点にコンマを使ってきました。2022年1月の「公用文作成の考え方」は「、」を原則とし、横書きでは「,」も使えるとしたうえで、1つの文書の中でどちらかにそろえるよう求めています。論文や社内規程のように書式が決まっている文書は、その決まりに従います。
読点の使い方についてよくある質問
「は」の後に読点を打つ決まりはありません。「私は行きます」のように主語が短く、述語がすぐ後に来る文には打ちません。
1文の読点の数に決まった上限はありません。読点を全部消して読み、2通りに読める箇所だけに戻した結果、3つ以上残る文は2文に分ける候補です。
社内の表記ルールに、読点を打つ位置と打たない位置を例文付きで書きます。横書きで「、」と「,」のどちらを使うかも決めておくと、書き手が替わっても原稿の見た目がそろいます。
まとめ|読点は息継ぎでなく意味の切れ目に打つ
読点「、」は、声に出したときの息継ぎではなく、文の中で意味が切れる位置に打ちます。打つ位置に迷ったら、読点を全部消して読み、2通りに読める箇所だけに戻してください。読点が3つ以上要る文は、読点を足すより2文に分けるほうが、読み手は語の結び付きを追えます。
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