本文は書き上がったのに、タイトル欄の前で三十分止まっている。Webライティングを続けていれば、月に何度も遭遇する場面ではないでしょうか。逆に、勢いで付けたまま公開して、検索結果には出ているのにほとんど押されない、という結果になることもあります。
どちらも原因は同じところにあります。タイトルを「本文を書き終えたあとの仕上げ作業」として扱っていること。数多くのSEO記事を制作してきた弊社では、タイトルを本文より先に一度、書き終えたあとにもう一度決めています。先に決めるのは読者への約束を固定するため、あとで決め直すのは本文がその約束を果たせているか確かめるため。順序を変えただけで、構成の脱線と書き直しの回数がはっきり減りました。
本記事では、Webライティングにおけるタイトルの役割から、二度決める手順、クリックされるタイトルに共通する要素、記事の入り口による設計の違いまでを順に整理します。
- タイトルが表示される場所と、記事内の見出しとの役割の違い
- 本文の前と後で二度タイトルを決める、具体的な手順
- クリックされるタイトルに共通する6つの要素と、書き換え前後の例
- 検索から来る記事とSNSから来る記事で、設計が変わる理由
- 公開したあとにタイトルを直すかどうかの判断基準
Webライティングのタイトルが担っている仕事
タイトルは記事の名前である以前に、読者が読むか読まないかを決める判断材料です。本文がどれだけ丁寧でも、タイトルの段階で見送られれば一文字も届きません。その前提を確認しないまま言い回しの工夫から入ると、努力の方向がずれます。
まず押さえておきたいのは、タイトルが読まれる場所が一つではないという事実。場所ごとに読者の状態が違い、求められる情報も変わってきます。

タイトルが読まれる場所は一つではない
検索結果の一覧では、タイトルは十数本の候補と横並びで比較されます。読者は上から順に目を走らせ、自分の疑問に近そうな一本を選ぶ。つまり、単体で良いかどうかではなく、同じ画面に並んだ他の記事と比べて選ばれるかが問われる場所です。
SNSでシェアされたときは事情が変わります。読者は検索していません。流れてくる投稿の中でたまたま目に入るため、疑問を持っていない相手の関心を止める必要があります。ブラウザのタブに表示されるときは、先頭の数文字しか見えません。複数のタブを開いたまま作業する読者に、後から見つけてもらうための識別子として働きます。
そして記事ページを開いた直後。ここでのタイトルは、読者が「自分が求めていたページに来たか」を確認する材料になります。検索結果で期待した内容と食い違えば、読者はすぐ戻ってしまうでしょう。
タイトルと見出しは、似ているようで役割が違う
Webライティングの初期によく混乱するのが、タイトルと見出しの区別です。タイトルは記事の外に向けて「読む価値があるか」を伝える一行、見出しは記事の中で「どこに何が書いてあるか」を案内する標識、と分けると整理しやすくなります。
向いている方向が違うため、良し悪しの基準も別物です。タイトルは読者の興味を引く必要がありますが、見出しは引く必要がありません。むしろ見出しで気を引こうとすると、流し読みしている読者が目的の箇所を探せなくなります。逆に、見出しのように事実だけを並べたタイトルは、検索結果で他の候補に埋もれがちです。
HTMLの構造としては、検索結果に出るタイトルがtitleタグ、記事の先頭に出る大見出しがh1タグとして扱われます。多くのCMSでは両方に同じ文言が入る設定になっており、意識せず使っていることも少なくありません。片方だけを書き換えたい場合は、CMSの設定画面でtitleタグを個別に指定できるかを先に確認しておくと迷いません。
関連記事:SEO記事の書き方完全ガイド|上位表示を実現する18のテクニックと対策
タイトルは書く前と書いた後に、二度決める
ここからが本題です。タイトルを最後にひねり出す方式をやめると、Webライティング全体の効率が変わります。

理由は単純で、タイトルは読者への約束だからです。タイトルは読者への約束であり、本文はその約束を果たす場所という関係になっています。約束を決めずに本文を書けば、書きながら話が広がり、結局どの約束にも寄り切らない原稿ができあがる。逆に先に約束を固定しておけば、構成を作る段階から「これは約束の範囲か」で取捨選択できます。
キーワードから、読者が何を知りたくてその言葉を打ち込んだのかを一文に書き出します。その一文をそのままタイトルの形に整えたものが仮タイトルです。この時点では語呂も文字数も気にしません。約束の中身が定まっていれば十分です。
見出しを並べるとき、一本ずつ「この見出しは仮タイトルの約束に含まれるか」を確認します。含まれない見出しは、削るか、仮タイトルの側を書き直すかの二択。ここで迷った箇所は、本文を書いてからも必ず迷う場所です。
執筆中に約束からはみ出した内容が出てきたら、削除せずいったん残しておきます。別の記事のテーマになることも珍しくありません。ただし本記事に残すかどうかは、次の工程で判断します。
書き上がった本文を読み返し、仮タイトルが約束したことに本文が答えられているかを確認します。答えられていなければ、本文を足すか、タイトルの約束を本文の実態に合わせて狭めます。
約束の中身が本文と一致したら、そこで初めて文字数、語順、言葉選びを調整します。ここまで来ると、何を伝えるかは決まっているため、作業は表現の推敲だけになります。
工程が増えたように見えますが、実際にかかる時間は減ります。最後にゼロから考えるとき私たちが探しているのは、「本文の要約」と「読者を引く言葉」の二つ。二つを同時に解こうとするから止まるのです。先に約束を決めておけば、最後に残るのは表現の調整だけになります。
仮タイトルの段階で、クリックされる言い回しまで考えておいたほうがよいのでしょうか。
編集部
考えなくて大丈夫です。仮タイトルは自分と本文のための目印ですから、素っ気ない文でかまいません。むしろ最初から言い回しに凝ると、その表現を守ろうとして本文が引っ張られます。読者に見せる顔を作るのは、本文が完成してからで間に合います。
関連記事:SEOタイトルの付け方|文字数の目安とクリックされる書き方の手順
クリックされるタイトルに共通する6つの要素
約束の中身が決まったあと、それをどう表現するか。上位に並ぶ記事のタイトルを分解していくと、繰り返し現れる要素はおおよそ次の6つに整理できます。
- 誰に向けた記事かがわかる
- 読み終えたあと何ができるようになるかがわかる
- 数字で範囲や量を示している
- 読者が実際に使う言葉を使っている
- キーワードが前半に置かれている
- 約束した内容を本文が回収している
順に補足します。1と2は対になっていて、片方だけでは弱くなります。読者像だけを示すと「自分向けだが何が得られるか不明」、得られる結果だけを示すと「役に立ちそうだが自分向けか不明」という状態に陥りやすいためでしょう。
3の数字は、記事の量を測れるようにする働きがあります。「いくつか紹介します」より「5つ紹介します」のほうが、読む前に所要時間を見積もれる。ただし調査結果のような数値を根拠なく入れるのは避けてください。数字は記事の構造を示すために使い、事実の主張には使わないという分け方が安全です。
4は見落とされやすい要素でしょう。書き手は業界の言葉に慣れているため、読者が検索していない専門用語を無意識に入れてしまいます。たとえば社内では「リード獲得」と呼んでいる内容を、読者は「問い合わせを増やす」と検索している。どちらが正しいかではなく、読者が打ち込む言葉を選ぶ話です。
実際の書き換え例を並べます。
書き換え前 | 書き換え後 | 変えたところ |
|---|---|---|
経費精算の効率化について | 経費精算の手作業を減らす5つの手順|紙の申請をやめる順番 | 誰の何が終わるのかを具体化した |
採用サイトを見直そう | 応募が来ない採用サイトで最初に直す3か所 | 読者が置かれている状況を名指しした |
SNS運用のコツ | 投稿しても反応がないSNS運用で、見直す順番 | 悩みの言葉をそのまま入れた |
社内DXの取り組み事例 | 経理の定型作業をAIに任せた進め方と、任せなかった作業 | 対象業務まで絞り、扱わない範囲も示した |
書き換え後に共通しているのは、読む前から内容の輪郭が見えることです。興味を引く言葉を足したのではなく、曖昧だった部分を具体的な言葉に置き換えただけという点に注目してください。クリックされるタイトルは、うまいことを言っているのではなく、単に情報量が多いのです。
型はわかっても、毎回この検討をする時間が取れない
タイトル一本にここまで手をかけられるのは、記事が月に数本のうちだけかもしれません。本数が増えるほど、この検討は後回しになります。Writers-hubのSEO記事制作では、キーワードから読者の疑問を言語化し、タイトルと構成を組んだうえで本文まで一貫して制作します。今の本数を保ったまま、一本あたりの検討を厚くしたい場合の進め方をご覧ください。
関連記事:SEOのタイトル文字数は何字が目安か|表示が切れる仕組みと決め方
文字数と語順は「字数」ではなく「幅」で考える
タイトルの文字数について、30文字前後という目安を見たことがある方は多いはずです。この数字がどこから来ているかを知っておくと、応用が利きます。
前提として、文字数の上限はGoogleが定めていないという点があります。公式文書に書かれているのは、極端に長いタイトルや、キーワードを羅列しただけのタイトルを避けるという方針です。30文字前後という目安は、検索結果でタイトルが表示される横幅から逆算した実務上の慣習にすぎません。

※ 出典=Google 検索セントラル「Google 検索結果のタイトル リンクを管理する」
幅で決まるという性質から、いくつか実務的な結論が出てきます。全角と半角では一文字あたりの幅が違うため、英数字が多いタイトルは同じ文字数でも長く表示できます。逆に漢字が詰まったタイトルは、字数が少なくても早く切れる。表示環境によっても切れる位置は変わるため、字数を厳密に合わせることにあまり意味はありません。
現実的な運用としては、伝えたい核心を前半20文字ほどに収め、後半は補足という組み立てにしておくこと。末尾が切れても意味が通る構造であれば、幅の違いを気にせずに済みます。キーワードを前半に置くという定石も、同じ理由から来ています。
検索結果に表示されるタイトルは、設定した文言のまま出るとは限りません。Googleはページの見出しや本文をもとに、より適切と判断した文言へ書き換えることがあります。設定と表示が食い違っていても不具合ではないため、まずは記事の内容とタイトルが一致しているかを確認してください。書き換えが起きるのは、内容とタイトルがずれていると判断された場合が多いと考えられます。
記事の入り口によって、タイトルの設計は変わる
同じWebライティングでも、読者がどこから来るかでタイトルの正解は変わります。ここを一律に扱うと、SEO記事の感覚でSNS向けの文を書いてしまい、どちらでも成果が出ないという事態になりかねません。

決定的な違いは、読者が疑問を持っているかどうか。検索から来る読者は、まだ記事を読むと決めていない状態ではありますが、探しているものは自覚しています。一方でSNSから来る読者は、そもそも何かを探してすらいません。前者には「探しているものがここにある」と伝え、後者には「探していなかったが気になる」と思わせる必要があります。
| 検索エンジン | SNS・note | メールマガジン | |
|---|---|---|---|
| 読者の状態 | 疑問を自覚している | 何も探していない | すでに送り手を知っている |
| 優先する要素 | キーワードと具体性 | 意外性と共感 | 続きへの期待 |
| キーワードの扱い | 前半に必ず入れる | 不要なら入れない | 不要 |
| 長さの制約 | 表示幅で切れる | 比較的自由 | 件名の表示幅 |
| 数字の使い方 | 記事の量を示す | 意外性を作る | 具体性を出す |
検索向けのタイトルは、極端に言えば地味で構いません。読者は自分の疑問に近い言葉を探しているため、装飾は判断の邪魔になることすらあります。反対にSNSでは、疑問を持っていない読者の手を止める必要があるため、問いかけや意外な切り口が働きます。SEO記事の書き方を身につけた方がnoteで伸び悩む、あるいはその逆が起きるのは、この設計の違いを移し替えていないからでしょう。
避けたいタイトルの付け方
要素を足す話をしてきましたが、実務では引くべきものを知っているほうが失敗を減らせます。次に挙げるのは、記事制作の現場で修正を入れることが多い型です。
- 本文で扱っていない内容を約束している
- キーワードを二回以上重ねて詰め込んでいる
- 社内でしか通じない略語や商品名から始まっている
- 「必ず」「絶対に」など、例外のある内容を断定している
- 記号や括弧が三つ以上入り、文言が読み取りにくい
- 記事が違うのにタイトルの型が同じで、一覧で見分けがつかない
とくに一つ目は、順位にもクリック率にも長く影響します。タイトルに引かれて開いた読者が、目当ての内容がないと判断して戻る。その動きが続けば、検索エンジンから見て「期待に応えていないページ」になっていきます。短期的にクリックは増えても、記事の評価としては下がる方向へ動くわけです。
最後の項目は、記事が数十本を超えたメディアで表面化します。「〜とは?意味と使い方を解説」のような型を全記事で使うと、検索結果でも自社サイト内の一覧でも見分けがつきません。型を統一すること自体は運用を楽にしますが、読者が選べなくなる副作用があります。記事が増えてきたら、既存タイトルを一覧に書き出して重なりを確認してみてください。
型の重なりは、書き手が一人のときはほとんど起きません。複数人で書き始めたときに、レビューの基準が言語化されていないと一気に増えます。
社内で書く人が増えたあと、タイトルの基準を誰が決めるか
書き手が一人なら感覚で揃いますが、三人を超えると基準を言葉にしないと揃わなくなります。Writers-hubの内製化支援では、タイトルと構成のレビュー基準を貴社の記事に合わせて作り、書き手が自分で判断できる状態まで伴走します。外注を減らしながら品質を保ちたい場合の進め方をご確認ください。
公開したあと、タイトルを直すかどうか
公開して終わりではありません。ただし、順位が思わしくないからといってタイトルだけを頻繁に書き換えるのは、判断を誤りやすいやり方です。
順位とクリック率のどちらに課題があるかで、打つ手が変わります。検索結果に表示されているのに押されていないなら、タイトルの表現に改善余地があります。そもそも表示されていないなら、タイトルではなく記事の内容や構成の問題であることがほとんど。前者と後者を切り分けずに書き換えると、効いたのかどうかが分からなくなります。
- 表示回数とクリック率を、Google Search Consoleで先に確認した
- 表示されている検索キーワードと、タイトルの文言が噛み合っているかを見た
- 書き換えるのはタイトルだけか、本文の内容も足すのかを決めた
- 書き換えた日付を記録し、比較できる期間を確保した
- 一度に複数の記事を書き換えず、変化の原因を切り分けられるようにした
もう一つ重要な点があります。タイトルを直すなら、本文の中身も同時に見直すという点。タイトルが約束で本文が回答という関係である以上、片方だけを動かせば両者はずれます。クリック率が上がっても、開いた読者が求める内容が本文にないままなら、評価はむしろ下がる方向に働くでしょう。
書き換えてから、どのくらい様子を見れば判断できますか。
編集部
記事の表示回数によりますが、日々の変動に埋もれない量のデータが溜まるまで待つ、という考え方をおすすめしています。表示回数が少ない記事ほど長く見る必要があり、数日では判断できません。焦って再度書き換えると、どの変更が効いたのか追えなくなります。
Webライティングのタイトルに関するよくある質問
両方です。書く前に仮タイトルで読者への約束を決め、書き終えたあとに本文と突き合わせて確定させます。先に決めておくと構成の取捨選択が速くなり、後で決め直すことでタイトルと本文のずれを防げます。
決まった正解はありません。30文字前後という目安は、検索結果で表示される横幅から逆算した慣習です。全角と半角、漢字とひらがなの比率で切れる位置は変わるため、前半20文字ほどに核心を収め、末尾が切れても意味が通る形にしておくほうが確実です。
検索から読者が来る記事であれば、前半に入れることをおすすめします。表示が途中で切れても読者が判断できるためです。ただしSNSやメールマガジンが入り口の記事では、キーワードを入れる必要がないこともあります。
Googleが、ページの見出しや本文をもとにより適切と判断した文言へ書き換えることがあるためです。不具合ではありません。書き換えが起きている場合は、記事の内容とタイトルの内容が一致しているかを先に確認してください。
多くのCMSでは初期設定で同じ文言が入ります。そのままでも問題はありませんが、記事を開いた読者向けに言い回しを整えたい場合は、検索結果に出る文言と記事先頭の大見出しを分けて設定できるかを確認してみてください。
複数の記事でこうした判断を繰り返していくと、自社の読者に何が効いて何が効かないかの手応えが溜まってきます。その蓄積が、他社のタイトルを真似るより確実な資産になります。
タイトルと本文を、一組で見直したい記事はありますか
タイトルだけを整えても、本文が約束に答えていなければ評価は動きません。Writers-hubでは、既存記事の内容とタイトルを合わせて確認し、書き換えるべきか本文を足すべきかを切り分けたうえで制作します。手を入れる記事の優先順位から相談したい場合の進め方をご覧ください。
まとめ
Webライティングにおけるタイトルは、本文の要約でも装飾でもなく、読者への約束です。約束を先に決め、本文でそれを果たし、最後に約束と本文が噛み合っているかを確認する。この順序で作れば、最後にひねり出す作業から解放されます。
クリックされるタイトルに共通していたのは、うまい言い回しではなく情報量でした。誰に向けて、何が得られ、どのくらいの量があるのかを、読者が使う言葉で書く。文字数は字数ではなく表示幅で決まるため、前半に核心を置いておけば環境の違いに左右されません。そして記事の入り口が検索なのかSNSなのかで、優先する要素は入れ替わります。
一本ずつなら手をかけられても、本数が増えると検討は薄くなりがちです。合同会社Writers-hubがご用意しているのは、キーワードの選定から構成、本文の制作までを一貫して行うSEO記事制作と、社内の書き手が自分で判断できる状態を目指す内製化支援の二つ。どちらが合うか決めきれない段階でも、今の記事本数と体制をお聞かせいただければ進め方をご提案します。








