「ワードサラダは意味の通らない自動生成の文章のことだから、日本語が整っている自分の記事は当てはまらないだろう」。調べているうちに、どこかでそう線を引いてしまうことがあります。この語を扱う解説の多くが、2000年代に被リンク用のサイトを安く量産する手法として紹介し、例文にも一読して支離滅裂だと分かるものを置くため、自然に読めるかどうかが境目だと受け取られやすいからです。
しかし、SEO記事の制作を執筆と編集に分けた工程で引き受けてきた弊社の立場から言えるのは、日本語として自然に読めるかどうかは安全かどうかの判断材料にならないということです。怖さは自分のサイトが加害側になる場合と、スパムサイトから勝手にリンクされる被害側の場合とで打つ手が違い、先に手を入れたいのは、読み終えても新しいことが残らない自社の記事のほうです。
本記事では、ワードサラダという語が指すものと「怖い」が3つに分かれることから、Googleの現在の扱いや勝手にリンクされたときに動くべき条件、情報が増えない記事を生まない制作体制の組み方まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- ワードサラダが指す2つの意味(SEOのスパム手法と、精神医学の症状)
- 「怖い」が加害・被害・語源の3経路に分かれること
- Googleが現在どのポリシーでこの手法を扱っているか
- スパムより実害が大きい「半ワードサラダ」の見分け方
- スパムサイトから勝手にリンクされたときに動くべき条件
ワードサラダとは、文法だけが整っていて意味が通らない文章
ワードサラダ(word salad)は、単語の並びとしては文法に沿っているのに、読んでも内容が頭に入ってこない文章を指します。誤字脱字だらけの文章とは別物で、一文ずつ読むと正しいのに、段落として何も言っていないのが特徴です。
SEOの文脈では、辞書と確率モデルを組み合わせて単語をつなぎ、狙ったキーワードを含む文章を自動生成する手法を指してきました。2000年代後半から2010年代前半にかけて、被リンクを送るサテライトサイトを安く量産する目的で使われていた技術です。
実際のワードサラダに近い文章
キーワード「テレワーク」「Wi-Fi」を含めることだけを目的にすると、次のような文章ができあがります。
テレワークの導入は、Wi-Fiの電波が届く範囲で快適に行えます。快適な椅子は腰痛の予防に役立つとされ、腰痛の予防には毎日のストレッチも欠かせません。テレワークとWi-Fiと椅子は、これからの働き方を支える三本柱といえるでしょう。
一文ずつは日本語として成立しています。ところが「Wi-Fi」から「椅子」へ、「椅子」から「ストレッチ」へと話題が滑り、最後の一文で無理やり束ねている。読み終えてもテレワークについて何ひとつ分からない状態になります。
もとは精神医学の用語だった
ワードサラダは、精神医学で「言葉のサラダ」と訳されてきた用語がもとになっています。統合失調症などにみられる思考の障害で、単語は出てくるのに文としてのまとまりを失う状態を指すものです。検索結果に医学系のページが混ざるのはこのためです。
用語の成り立ちやSEO手法としての変遷は、ワードサラダとは?SEOで嫌われる理由とAI時代の見分け方で詳しく扱っています。
関連記事:AIの倫理的問題とは?主な論点と企業がとるべき対策を事例で解説
「怖い」の中身は3つに分かれる
検索窓に「怖い」と付けて調べる方の不安は、実は同じものではありません。ご相談を受けていて多いのは次の3つです。

自分のサイトが、気づかないうちに近づいている
いちばん多いのがこれです。記事を外注している、あるいは生成AIで下書きを作っている。納品物の日本語はきれいで、キーワードもきちんと入っている。それでも読み返すと内容が残らない。昔ながらのワードサラダのように支離滅裂ではないため、自分では「スパムではない」と判断できてしまうのが厄介な点です。
スパムサイトから勝手にリンクされる
自分は何もしていないのに、意味不明な文章が並ぶサイトから自社へリンクが張られているケースです。結論から書くと、多くの場合、こちら側で急いでやるべきことはありません。理由と例外的に動くべき条件は後ろのセクションで示します。
読んでいて不気味に感じる
三つ目は情緒的な怖さです。文法が正しいぶん、意味の通らなさが際立ちます。小説やアート作品のタイトルにこの語が選ばれるのも、おそらくその感触を意図してのことでしょう。
外注した記事を読んで「悪くはないけれど何も残らない」と感じることがあります。これはワードサラダに入るのでしょうか。
編集部
Googleのスパム判定という意味では入りません。ただ、検索結果で勝てるかどうかという別の評価軸では、支離滅裂なスパムと同じ側に置かれます。判定の物差しが2本あるとお考えください。
関連記事:ステマ問題はなぜ起きるのか|炎上・措置命令の事例に共通する3パターンと防ぎ方
Googleは今どう扱っているのか
現在のGoogleは「品質に関するガイドライン」という名称を使っておらず、スパムポリシーという形で禁止事項を公開しています。ワードサラダに相当するものは、無断で自動生成されたコンテンツと、検索順位の操作を目的とした大量生成の項目に該当します。

※ Google検索セントラルのスパムポリシーでは、検索順位を操作する目的で自動生成されたコンテンツと、規模の大きなコンテンツの不正使用が禁止対象として挙げられています。
押さえておきたいのは、Googleが問題視しているのは「AIで作ったこと」ではないという点です。生成手段ではなく、検索順位の操作を主目的として大量に作られたかどうかで判断される、と公式に説明されています。人力で書いた薄い記事も、AIが下書きした丁寧な記事も、同じ物差しで見られます。
判定の分かれ目は「どう作ったか」ではなく「誰のために作ったか」にあります。検索エンジンに向けて作った文章はワードサラダの体裁でなくても評価されず、読者に向けて作った文章はAIが関わっていても問題になりません。
読者に向けて作られているかを自己点検する材料は、Google自身が公開しています。判断に迷ったときはこちらが基準になります。

関連記事:AIの問題点を事例で解説|企業で起きたトラブル6件と対策
実務で怖いのは、スパムより「半ワードサラダ」
制作現場で実際に困るのは、機械が吐き出した支離滅裂な文章ではありません。日本語としては自然なのに、情報がまったく増えていない文章のほうです。社内では半ワードサラダと呼んでいます。
コンテンツSEOでは、ユーザーにとって有益な情報を発信することが重要です。ユーザーファーストの視点を持つことで、検索エンジンからの評価も高まります。したがって、質の高いコンテンツ作りを心がけましょう。
文法は正しく、話題も滑っていません。それでも読者が明日から何をすればいいのかは一文字も書かれていない。固有名詞も数値も手順もなく、3つの文がほぼ同じことを言い換えているだけです。昔のワードサラダは機械が作ったので機械が見抜けました。半ワードサラダは人が書けてしまうぶん検品をすり抜け、しかも書いた本人には「ちゃんと書いた」という感触が残ります。

手元の記事で試せる3つの質問
- 各段落から固有名詞・数値・手順をすべて消したとき、残る文が全体の半分を超えていないか
- 見出しだけを順に読んで、その記事の主張が答えとして取り出せるか
- 「つまり」「そのため」の後ろが、前の文の言い換えで終わっていないか
3つ目に引っかかる記事がいちばん多い、というのが実感です。接続詞は論理の橋渡しに使うものですから、橋の向こうに新しい情報がないなら、その接続詞は不要ということになります。
誰が検品するかで結果が変わる
書いた本人が自分の原稿にこの3つの質問をぶつけても、ほとんど機能しません。書いた過程を覚えているぶん、紙の上にない情報まで頭が補ってしまうためです。制作フローを組むときは、執筆者と検品者を必ず別の人にすることを優先度の高い条件として扱っています。
納品された記事が半ワードサラダになっていないか、判断がつかないとき
先ほどの3つの質問は、判定する人が書き手と別であることが前提になります。社内に検品役を置けないなら、執筆と編集を分けた体制ごと外に出す選択肢があります。Writers-hubのSEO記事制作は、この検品工程を含んだ形でお受けしています。
勝手にリンクされたときの対処
被害側の話に戻ります。まず知っておきたいのは、Googleが低品質なリンクを自動的に無効化する仕組みを備えていることです。リンクの否認ツールのヘルプにも、ほとんどのサイトではこのツールを使う必要がない、と明記されています。

むしろ危ないのは、慌てて否認ファイルをアップロードして正常な被リンクまで無効化してしまう事故のほうです。否認は取り消しても評価が戻るまで時間がかかるため、やり直しの効きにくい操作として扱ってください。確認は次の順で進めます。
「リンク」レポートから外部リンク元のドメイン一覧を出し、件数の推移とリンク先ページを見ます。急増したのか以前からあったのかで見立てが変わります。
「手動による対策」レポートに通知がなければ、Googleがそのリンクを問題視していないということです。ここが最初の分岐点になります。
リンクが増えた時期と順位が下がった時期がずれているなら、原因は別のところにあります。コアアップデートの実施時期や自社側の更新履歴と並べて確認してください。
通知が届いていて、かつ自作自演のリンクに心当たりがある場合だけ否認に進みます。心当たりがないのに否認するのは、多くの場合やり過ぎです。
ワードサラダを生まない制作体制の作り方
ここまでを踏まえると、対策は「怪しい文章を見つけて消す」ではなく「情報が増えない記事がそもそも生まれない工程を組む」に向かいます。運用の選択肢は3つあり、得意と不得意がはっきり分かれます。
| 生成AIに丸ごと任せる | 社内の担当者だけで書く | 執筆と編集を分けて外部と組む | |
|---|---|---|---|
| 立ち上げの速さ | ◎ | △ | ○ |
| 1本あたりの費用 | ◎ | ○ | △ |
| 固有の情報の入りやすさ | × | ◎ | ○ |
| 半ワードサラダの起きやすさ | 高い | 中程度 | 低い |
| 検品の客観性 | × | △ | ◎ |
社内の担当者が書く方法は、固有の情報が入りやすい点で強みがあります。現場を知っている人が書けば、外から取材しないと出てこない話が自然に混ざる。弱点は検品で、書いた本人が確認する形になりやすく、先ほどの3つの質問が働きません。
生成AIに任せる方法は、立ち上がりの速さと単価では有利です。ただしAIは学習した平均的な言い回しを出力するため、材料を与えずに放置すると半ワードサラダの発生率が上がります。使うなら、固有の材料を人が用意し、出力を人が削る工程が要ります。

外注する場合の見極め方をひとつ挙げます。見積もりの中に編集・検品の工数が独立して計上されているかを確認してください。執筆単価だけが提示されている場合、検品は執筆者本人が兼ねている可能性が高く、半ワードサラダを止める仕組みが工程の中にないことになります。
執筆と検品を分けた工程を、社内だけで回せるか迷っているなら
検品役を1人置くだけで記事の密度は変わりますが、その1人を採用して育てるのは別の話になります。編集部の機能ごと外部と組めば、工程だけを先に立ち上げて内製化は後から進められます。
ワードサラダについてよくある質問
実際にいただくことの多い質問をまとめておきます。
必ずとは限りません。対応の中心は検索結果に反映されないという形での自動的な評価の低下で、手動による対策の通知が届くのは悪質と判断された場合に限られます。通知が来ないことは効果があったという意味ではなく、単に評価されていないだけと考えるのが妥当です。
生成手段そのものは判断基準になりません。Googleが問題としているのは検索順位の操作を主目的とした大量生成であり、AIの利用自体は禁じられていません。読者にとって意味のある情報が入っているかどうかで結果が分かれます。
誤字は読みにくさの問題で、内容が正確なら致命傷にはなりません。一方ワードサラダは内容そのものが存在しないため、直しようがなく評価も戻りません。先に手を入れるべきは誤字ではなく、情報が入っていない段落のほうです。
まとめ
ワードサラダの怖さは加害・被害・語源の3つに分かれ、打つ手はそれぞれ違いました。被害側は多くの場合そのままで構わず、慌てて否認するほうがかえって危険です。
実務で優先度が高いのは加害側、それも支離滅裂なスパムではなく、日本語としては自然なのに情報が増えていない記事のほうでした。見分け方は単純で、固有名詞と数値と手順を消したときに何が残るかを見る。そして、その判定は書いた本人以外が行う。この2つを工程に組み込めるかどうかで、公開から半年後の順位は変わってきます。
合同会社Writers-hubでは、SEO記事の制作を執筆と編集を分けた工程でお受けしています。公開済みの記事を点検したい、これから作る分の体制を組み直したい、といったご相談にも対応しています。
今ある記事のどこから手を入れるか、優先順位をつけたいとき
公開済みの記事を、すべて書き直す必要はありません。検索順位と情報の密度を並べて見て、直す価値の高い記事から順に手を入れるほうが早く反映されます。まずは現状の記事を拝見するところから始められます。








