「見出しは、本文を書き終えてから気の利いた言い回しを探して付けるものだろう」。原稿を前から順に書き、仕上げに文言を整える進め方に慣れていると、見出しもその延長で最後に付けるものだと受け取りがちです。そのため本文が仕上がっても見出しの欄だけが空いたままになり、いったん埋めても編集の工程で直しが入ります。
しかし、数多くのSEO記事の構成を組んできた弊社の立場から言えるのは、見出しが決まらない原因は語彙の不足ではなく、そこで何を伝えるかが決まらないまま言葉だけを探している点にあるということです。読者のどの疑問にどの順番で答えるかを先に決めておけば、文言そのものは短い時間で固まります。本文を書き始める前に見出しを並べてしまう順番から試してみても、遅くはありません。
本記事では、新聞記事とWeb記事で変わる制約から、媒体を問わず通用する4つの原則、実際に見出しを決める手順と書き換え前後の例まで、記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 記事の見出しとタイトル、リード文の役割の違い
- 新聞記事とWeb記事で変わる、見出しの制約と種類の呼び方
- 媒体を問わず通用する、見出しの4つの原則
- 見出しを決める5つの手順と、書き換え前後の具体例
- 編集担当から差し戻されやすい見出しの型と直し方
記事の見出しとは、本文を読む前に内容を伝える短い文
記事の見出しとは、本文のまとまりごとに置き、そこで何を書いているのかを先に伝える短い文を指します。新聞では記事の上に大きく組まれ、Web記事では本文の途中に何度も現れますが、果たしている役割は同じです。
その役割とは、読者に判断材料を先渡しすることにあります。人は記事を最初から最後まで読んでから読む価値を決めるわけではありません。見出しを拾い、自分に関係がありそうだと判断してから本文へ入ります。つまり見出しは本文の要約ではなく、読むかどうかを決める材料として書く必要があります。
要約のつもりで書くと、本文を短くしただけの見出しになり、読み進める理由が生まれません。判断材料として書けば、読者が知りたいことへの答えが見出しの側に出てきます。
見出しとタイトル、リード文の違い
記事の冒頭に並ぶ要素は役割が分かれています。混同したまま書くと、タイトルと最初の見出しがほとんど同じ文になるといった重複が起こります。
要素 | 置かれる場所 | 担う役割 | 数 |
|---|---|---|---|
タイトル | 記事の先頭 | 記事1本の内容を示し、読者に開いてもらう | 1本につき1つ |
リード文 | タイトルの直後 | 誰に向けた記事か、何が分かるかを短く示す | 1本につき1つ |
見出し | 本文の各まとまりの先頭 | その先の段落で何を扱うかを示す | 複数 |
タイトルは記事の外側、たとえば検索結果や一覧ページで読まれます。見出しは記事の内側、すでに読み始めた人に読まれます。読まれる場面が違えば、適した言い回しも変わってくるはずです。

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新聞記事とWeb記事では、見出しの制約が違う
「記事の見出し」と一口に言っても、紙とWebでは前提条件が異なります。作法の違いを知らないまま片方のやり方を持ち込むと、読みにくい見出しができあがってしまいます。
新聞記事の見出しは、入る字数が先に決まっている
新聞の見出しがあれほど短いのは、書き手が簡潔さを好んでいるからではありません。紙面の割り付けが先にあり、そこへ入る行数と字数が物理的に決まっているためです。制限のなかで意味を通すために、助詞を落とし、体言止めを使い、言葉を短い同義語へ置き換えていきます。
漢字ばかりの見出しが避けられるのも読みやすさの都合で、漢字とかなの配分を調整しながら組まれています。大きな主見出しに、補足の短い見出しを添える組み方もありますが、呼び方は新聞社によって差があります。大見出し、中見出し、小見出しという言い方も、社内での呼称として使われる場面が多いでしょう。
新聞の作法で覚えておきたいのは、見出しだけを読んだ人にも意味が通るように書くという考え方です。本文を読まない読者がいる前提に立っているからこそ、あの短さで成立しています。
Web記事の見出しは、階層で構造を示す
Web記事の見出しは、h1からh6までのタグで階層を表します。h1が記事のタイトル、h2が章、h3がその章のなかの区分という順で、数字が小さいほど大きなまとまりを示す決まりです。
字数の物理的な制限がない代わりに、階層の整合性が求められます。h2の次にh4を置くなど番号を飛ばすと、文書の構造が正しく伝わりません。見出しタグを文字の大きさを変える目的で使わないのは、そのためです。
見出しは、読み上げソフトの利用者が記事内を移動する手がかりにもなっています。見出しから見出しへ飛んでページの内容を判断する使い方が一般的なため、階層を飛ばさないことが重要だと、HTMLの仕様解説でも明記されています。

※ 見出し要素の階層と、文字の大きさを変える目的で使わないという注意点は、MDN Web Docs「h1〜h6 HTMLの見出し要素」の記述に基づきます。
検索エンジンに対しても、見出しは内容の理解を助ける要素として扱われています。Googleの案内では、ページの主題を伝えるうえで説明的な見出しを使うことが勧められています。

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媒体をまたいで共通する、見出しの4つの原則
紙とWebで制約は違っても、良い見出しの条件は驚くほど重なります。制作の現場で確認している基準は次の4つです。
- 見出しだけを続けて読んで、記事の筋が追える
- 分類のラベルではなく、読者の疑問に対する答えになっている
- 同じ階層の見出しどうしで、扱う話の大きさがそろっている
- 上限の字数を自分で決めて、その範囲に収めている
1つ目は、見出しを縦に抜き出して通し読みする確認です。見出しだけを続けて読んで、記事の筋が追えるかを試すと、抜けている論点と重複している論点が同時に見つかります。ここで話が飛ぶ箇所は、読者もつまずいている箇所とおおむね重なります。
2つ目は、「〜について」「〜とは」で終わる見出しを疑うという話です。分類のラベルは書き手にとって整理しやすい形ですが、読者から見れば中身が分かりません。「費用について」を「費用は月額と従量課金のどちらが安いか」に変えるだけで、その先を読む理由が生まれます。
3つ目の粒度は、同じ階層に大きな話と細かい話が混ざっていないかという点です。h2に「基礎知識」と「入力欄の文字数制限」が並んでいれば、後者はh3へ下げるのが自然でしょう。
4つ目は、自分で上限を決める運用です。Webには新聞のような物理的制限がないため、放っておくと見出しは伸び続けます。目次に並んだときに折り返さない長さとして、全角30文字前後を上限に置くと判断が早くなります。長い見出しは2つの内容を1本に詰め込んでいる場合が多いので、分けられないかを先に確かめてください。

読者から寄せられる質問のなかで、いちばん多いのが見出しを付ける順番についてです。
見出しは本文を書き終えてから付けたほうが、内容と合った文言になりませんか。
編集部
逆になりやすいのです。書き終えてから付けると、段落に書いた内容へ引きずられて粒度がばらつきます。見出しは本文を書く前に決め、書き上げたあとに通し読みで調整する順番をおすすめします。
関連記事:Webライティングの見出しの書き方|読者に読まれて内容も伝わる作り方
記事の見出しを決める手順
原則が分かっても、白紙の状態から言葉が出てくるわけではありません。制作現場では次の順番で作業を進めています。見出しは本文を書く前に決めるのが前提です。
「記事の見出しはどう付ければよいか」のように、読者が抱えている問いを1文で書きます。ここが定まらないうちに見出しを考えると、途中で話がずれていきます。
中心の問いに答えるために必要な疑問を、思いつく限り書き出します。この段階では順番も文言も整えません。数を出すことを優先します。
定義や前提を先に、判断や実行の話を後ろに置くのが基本です。すでに知っている人向けの記事なら、前提を短くして実行の話から始める組み方もあります。
疑問文をそのまま見出しにせず、答えの側を書きます。「見出しは何文字か」ではなく「見出しは全角30文字前後を上限にする」という形です。
本文を書く前に一度、書き上げたあとにもう一度行います。2回目で直しが多く出る場合は、構成の段階で疑問の分解が足りていません。
時間をかけるべきは2つ目と3つ目です。疑問の洗い出しと並べ替えさえ終われば、文言は短時間で決まります。
見出しを決める手順を、社内の書き手全員が同じ基準で回せていますか
手順そのものは短くても、書き手が複数いると基準の解釈がばらつき、編集側の直しが増えていきます。Writers-hubの内製化支援では、構成テンプレートと確認基準の整備から、実際の記事へのフィードバックまでを伴走して行っています。
記事の見出しの書き換え例
原則と手順を、実際の文言に当てはめてみます。書き換え前は、いずれも制作現場で頻繁に目にする形です。
書き換え前 | 書き換え後 | 直した理由 |
|---|---|---|
弊社の取り組みについて | 廃棄していた食材を社員食堂の日替わりに回した | 分類のラベルを、実際に起きたことの記述へ変えた |
見出しの重要性 | 見出しを直すと、記事のどこが変わるのか | 重要だと言うだけでは、読者が得るものが分からない |
見出しの書き方 | 見出しは本文を書く前に決める | 「書き方」では中身が伝わらないため、主張を出した |
注意点 | 見出しを2つに分けたほうがよい場合 | どの注意点なのかを、具体的な条件に置き換えた |
まとめ | 見出しを直す前に確かめる2点 | 記事内での位置ではなく、内容を示す文言にした |
書き換え後に共通しているのは、見出しだけを読んでも何の話か分かる点です。新聞の見出しが持っている「本文を読まなくても意味が通る」という性質を、Web記事へ持ち込んだ形と考えてください。
なお、見出しに数字を入れると具体性が増しますが、使えるのは取材や計測で確認した数字だけです。座りをよくするために概数を置くと、本文との食い違いが読者に見つかります。

差し戻されやすい見出しの型と直し方
編集の工程で修正が入る見出しには、いくつか決まった型があります。書く前に頭へ入れておくと、往復の回数が減ります。
- 「〜について」「〜とは」だけで終わり、中身が分からない
- 本文を読まないと意味が取れず、見出し単体では成立していない
- 同じ階層に、大きな話と細かい話が混在している
- 見た目を整える目的でタグを使い、h2からh4へ飛んでいる
- 同じキーワードが同じ形のまま、複数の見出しに繰り返し入っている
最後の項目は補足が必要でしょう。読者が使う言葉と記事の言葉をそろえる目的でキーワードを入れるのは有効ですが、形を変えずに並べると文章として不自然になります。1本の記事のなかでは、言い換えや部分的な省略を混ぜたほうが読みやすく仕上がります。
見出しを直すときは、文言をひねる前に構成を疑ってください。言葉が出てこない見出しは、その下で何を説明するのかがまだ決まっていない場合がほとんどです。
自分の記事を客観視するのが難しいと感じたら、本文を読んでいない人に見出しの一覧だけを見せ、何の記事か言い当ててもらう方法があります。新聞社では記事を書いた記者ではなく紙面を編集する担当者が見出しを付ける形が一般的ですが、書いた本人と別の目を通すという点では同じ考え方です。
見出しと構成の直しに時間を取られて、記事の本数が伸びないままになっていませんか
構成と見出しの設計は、慣れるまで1本あたりの所要時間が読みにくい工程です。Writers-hubのSEO記事制作では、キーワードの選定から構成、執筆、公開前の確認までを引き受けています。まずどの工程を外に出すか決めていない段階でもご相談いただけます。
記事の見出しについてよくある質問
媒体によって条件が変わります。新聞や広報紙は割り付けで字数が決まるため、指定された枠に従います。Web記事に明確な上限はありませんが、目次に並んだときに折り返さない長さとして全角30文字前後を目安に置くと扱いやすくなります。
本数の正解はありません。読者が1画面をスクロールし終わる前に次の見出しが現れる程度を目安にすると、拾い読みが成立します。逆に、1つの見出しの下が1段落しかない状態が続く場合は、見出しを立てすぎている可能性があります。
すべての見出しに入れる必要はありません。読者が使う言葉と記事の言葉をそろえる目的で、内容に合う位置にだけ入れてください。同じ語を同じ形のまま繰り返すと、文章として不自然になり読者の理解も進みません。
役立ちます。特に、本文を読まなくても意味が通るように書く考え方と、限られた字数で言い切る訓練は、そのままWeb記事に移せます。一方で階層の決まりは紙とWebで異なるため、タグの使い方は別に確認してください。
まとめ
記事の見出しは、本文を読む前に読者へ判断材料を渡すための短い文です。新聞記事では割り付けによる字数の制限が、Web記事ではh1からh6の階層の決まりが前提として存在しますが、良い見出しの条件は媒体をまたいで重なります。
作業として押さえるのは、見出しを本文より先に決めること、疑問の分解と並べ替えに時間をかけること、そして見出しだけを通し読みして抜けと重なりを直すことの3点です。文言を磨く作業は、その後で構いません。
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