「キャッチコピーなら、作成サイトか生成AIに入れれば数分で決まるはず」。SNSの投稿や店頭のPOPに添える一言を、自分で思いついてそのまま使ってきた方ほど、Webサイトやサービスのキャッチコピーも同じ速さで作れると考えます。ところが、上司や社長の確認が要るキャッチコピーでは、案が何十本もそろったのに、どれにするかが決まらず何週間もかかることがあります。
しかし、これまで多くの記事のタイトルをクライアントの決裁者と決めてきた弊社の立場から言えるのは、キャッチコピーの作成では案を出す工程より、1本に決める工程に時間がかかるということです。言葉の案を見せる前に「何を約束する言葉にするか」を決める人と合意しておけば、案を見せた後に好みで覆される回数は減ると見ています。
本記事では、作成の方法の選び方から、生成AIで案を出す手順、社内で1本に決める進め方まで、クライアントと記事のタイトルを決めてきた制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 作成サイトや生成AIの案から選ぶだけで足りるのは、短い期間で差し替え、自分一人で決められるキャッチコピー
- 生成AIには言葉より先に約束の候補を出させ、選んだ約束ごとに案を出させると、案を約束で比べられる
- 社内で決めるときは、案を見せる前に決める人と約束を合意し、見せる案は約束1つにつき2〜3案に絞る
- 「No.1」「最安」など根拠を示せない言葉と、材料に無い事実は、公開前に人が外す
キャッチコピーを作成する方法の選び方
キャッチコピーを作成する方法は4つあります。どの方法を選ぶかは、キャッチコピーを使う期間と、決めるのに関わる人の数で変わります。
| 無料の作成サイト | 生成AI | 自分で書く | 制作会社やコピーライターに頼む | |
|---|---|---|---|---|
| 入力するもの・渡すもの | 商品名や店名など、決まった欄に入る語 | 指示の文章(材料をいくつでも書ける) | なし(書く人が材料を集める) | 打ち合わせで話す内容と資料 |
| 自社の事実が案に入るか | 入力欄に入る分だけ | 指示に書いた分だけ | 書く人が知っている分だけ | 聞き取りで集めた分が入る |
| 費用 | 無料のものが多い | 無料プランは回数や機能に上限がある | 社内の人の作業時間 | 依頼料がかかる |
| 向いている使い方 | 言い回しの型を眺める | 案を数多く出して直す | 自社の事実を一番知る人が書く | 社名と並べて長く使う言葉を作る |
店頭のPOPやSNSの投稿のように、数日から数週間で差し替え、自分一人で決められる言葉なら、作成サイトか生成AIで出した案から選べば足ります。言い回しが読み手に合わなくても、次の差し替えで直せるからです。
選び方が変わるのは、Webサイトの最初の画面や社名と並べる言葉のように、何年も使い、上司や社長の承認が要るキャッチコピーです。何年も使う言葉ほど、案の出し方より決め方に時間を割きます。生成AIは案を出す工程に使い、社内に自社の事実を言葉にできる人がいなければ、制作会社やコピーライターに材料の聞き取りから頼む方法もあります。
自分で書くときの手順と言い回しの型は、キャッチコピーとは?作り方の手順と名作事例に学ぶ、伝わる言葉の型で扱っています。

キャッチコピーを生成AIで作成する手順
生成AIでキャッチコピーを作成するときは、1回の指示で完成した一行を求めず、次の5つの手順に分けて進めます。4つ目まではAIに頼む手順で、最後の1つは人が受け持ちます。
商品について言える事実と読んでほしい人を渡し、キャッチコピーで約束できることの候補を5つ挙げさせます。約束の候補を出させる段階では、キャッチコピーを書かせません。
候補から1〜2つの約束を選び、約束ごとに言い回しの違う案を10案ずつ出させます。「数字を入れる」「問いかけにする」など言い回しの型を指定すると、案の幅が広がります。
看板、Web広告の見出し、Webサイトの最初の画面など、載せる場所と字数の上限を伝えて縮めさせます。
残った案ごとに「この案は、読んだ人に何を約束していますか。1文で答えてください」と頼みます。説明が選んだ約束とずれる案と、「安心」「品質」のようにどの会社にも言える説明になる案を外します。
調べた結果がなければ書けない言葉と、自社に当てはまらない事実が案に入っていないかを、人が確かめます。
たとえば、中学生向けの個別指導の塾がWebサイトの最初の画面に載せるキャッチコピーを作るなら、1回目の指示は次のように書きます。
次の材料をもとに、キャッチコピーで約束できることの候補を5つ挙げてください。キャッチコピーはまだ書かないでください。候補ごとに、その約束を裏づける事実を下の材料から選んで添えてください。
・商品:中学生向けの個別指導の塾
・読んでほしい人:子どもが部活を続けながら塾に通えるかを心配している保護者
・自社について言える事実:授業は21時30分まで/授業の振り替えを前日まで受け付ける/講師1人に生徒は2人まで
・使う場所:Webサイトの最初の画面生成AIには、言葉より先に約束の候補を出させます。言葉から頼むと、約束が同じで言い回しだけが違う案が並び、案を比べる基準が響きの好みしか残りません。塾の例の材料からは「部活を続けたまま通える」と「講師に質問しやすい」のように、同じ事実から別々の約束が出ます。

生成AIの案から人が外す言葉
生成AIの案から人が外すのは、根拠を示せない言葉と、材料に書いていない事実です。生成AIは広告でよく使われる言い回しを組み合わせるため、渡していない最上級の言葉や数字を案に入れることがあります。
- 調査の結果を示せない「No.1」「地域最安」「業界初」
- 材料に書いていない「創業30年」「全国対応」などの事実
- 化粧品や健康食品の効き目をうたう言葉
「創業30年」のような数字は言い回しの一部として読み流されやすいため、見つけたら案ごと外すか、自社の事実に合わせて書き直します。
一般の消費者に向けた広告では、「顧客満足度No.1」などの表示が合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合、景品表示法の不当表示として問題になります。消費者庁が2024年9月に公表した資料にも、No.1表示についての景品表示法上の考え方が示されています。

※ 出典:消費者庁「「No.1表示に関する実態調査報告書」の公表について」(2024年9月26日)
化粧品や健康食品で効き目をうたう言葉は、医薬品医療機器等法(薬機法)の広告の規制に触れることもあります。
広告文や紹介文も、毎回AIへの頼み方から考え直していませんか
約束の候補を先に出させる頼み方は、広告文や商品の紹介文、メールの件名にも使えます。弊社では、実務で使っている生成AIへの指示と手順を共有し、社内のどの業務にAIを使うかを整理したうえで、担当者が自分で指示を書けるようになるまでワークショップで伴走します。
キャッチコピーを社内で1本に決める進め方
キャッチコピーを社内で1本に決めるには、案を見せる前に、決める人と約束を合意しておきます。案を先に見せると、決める人は言葉の響きで選ぶため、後から別の人が別の案を推したときに、どちらを残すかを決める材料がありません。
案を見せる前に合意する3つのこと
案を見せる前に決める人と合意することは3つです。
- 最後に決める人:社長や事業の責任者など、1本を選んで終わりにする人を1人決める
- 約束:生成AIで出した約束の候補から、キャッチコピーで約束することを1つ選ぶ
- 案を比べる基準:約束が伝わるか、同業の他社の名前に入れ替えても通じないか、根拠を示せるか
合意は、約束の候補を1枚の紙に並べて見せ、決める人に1つ選んでもらう形で取ります。

見せる案は約束1つにつき2〜3案
決める人に見せる案は、合意した約束1つにつき2〜3案に絞ります。案が多いほど、決める人は基準で比べる前に、目に留まった案から選びやすくなるためです。
社長には案をたくさん見せて、好きなものを選んでもらうほうが早くないですか。
編集部
1回目の確認だけなら、早く終わります。ただ、好みで選ばれた案は、役員や営業の担当者に別の案を推されるたびに選び直しになります。約束で選んだ案なら「約束が伝わるのはこちら」と答えられるので、決まった後に覆りにくくなります。
案を見せるときは、看板なら数メートル離れた位置、Webサイトならスマートフォンの最初の画面と、載せる場所で読んだときの見え方を一緒に示します。
「何か違う」と言われたときの戻り方
決める人に「何か違う」と言われたら、案を出し直す前に、合意した基準のどれと違うのかを聞きます。約束が違うと言われたら約束の候補を選ぶところへ戻り、言い回しが違うと言われたら、同じ約束のまま生成AIに案を出し直させます。どちらの違いかを聞かずに案だけを出し直すと、同じ指摘が次の確認でも返ってきます。
キャッチコピーの作成でよくある質問
キャッチコピーの作成で迷いやすい点は4つです。
無料の作成サイトや、生成AIの無料プランで作成できます。穴埋め型のコピーメカは、テーマの語を入れると1回に7案を出します。Canvaのキャッチコピー作成では、キーワードを並べて入れるとAIのマジック作文が案を書き、2026年10月時点の案内では無料で25回まで使えます。
商用で使えるかどうかは、使ったツールの利用規約で決まります。社名やロゴと並べて長く使う言葉は、同じ言葉を他社が商標登録していないかも、J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の商標検索で確かめます。
生成AIには約束の候補を5つ出させ、選んだ約束1つにつき10案ほど出させます。決める人に見せるのは、約束1つにつき2〜3案です。
読んでほしい人、約束の候補、約束を裏づける自社の事実、載せる場所と使う期間、最後に決める人の5つを渡します。約束の候補を社内で決めきれていなくても、自社の事実と読んでほしい人が分かれば、依頼先が聞き取りから約束の候補を出せます。
まとめ|キャッチコピーは案より先に約束を決める
キャッチコピーは、案を出す前に約束を決めると、社内で早く1本に決まります。作成サイトや生成AIで案を出す作業は数分で済みますが、どの案を選ぶかの基準は道具からは出てきません。まずは読んでほしい人と自社の事実を書き出し、生成AIに約束の候補を5つ出させてみてください。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作と、企業の生成AI活用の立ち上げを支援しています。記事のタイトルや見出しの案を生成AIで出し、クライアントと1本に決めてきた手順を、社内の文章づくりに合わせてお伝えできます。
決めたキャッチコピーに合わせて、Webサイトのどこを直すか決まっていますか
キャッチコピーを変えると、Webサイトの最初の画面だけでなく、サービスの紹介や記事の書き出しも、新しい約束に合わせて直すことになります。サイトのURLと決めたキャッチコピーをお知らせいただければ、合わせて直すページの候補をご提案します。







