「患者さんの感想や治療前後の写真を投稿すれば、クリニックのSNSにも新しい患者さんが集まりそう」。SNSを開くと、飲食店や美容室の公式アカウントがお客さんの感想や仕上がりの写真を紹介する投稿をよく見かけるため、クリニックも同じ形で始めたくなります。ところが、クリニックのSNSの投稿は1件ずつが医療広告として扱われ、治療についての患者の感想は載せられません。治療前後の写真も、治療の内容と費用、リスクを写真の近くにまとめて書かなければ載せられないため、クリニックのSNSは、載せられる投稿から使い道を決めます。
本記事では、SNSが役立つ場面と投稿できない内容から、SNSの選び方と院内で続ける手順まで、医療広告のルールに沿って記事を書く制作会社の視点でお伝えします。
- SNSは、通院中の患者への連絡、院内とスタッフの紹介、職員の採用、自由診療の紹介に役立つ
- 地域名と診療科名で病院を探す人は、SNSよりホームページにたどり着く
- 治療についての患者の感想は、自院の投稿でも、患者の投稿の引用でも載せられない
- 症例写真と自由診療の紹介は、治療の内容と費用、リスクを同じ投稿に書き、ホームページへのリンクでは済ませられない
- 保険診療が中心ならLINE公式アカウント、自由診療を紹介するならInstagramから始める
クリニックにSNSは必要か
クリニックにSNSが要るのは、次の4つの場面のどれかで、患者や求職者に知らせたいことがあるときです。
- 通院中の患者への連絡:臨時休診や予防接種の受付開始を知らせる
- 初めて来る人への紹介:待合室や診察室の写真、医師とスタッフの顔を見せる
- 職員の採用:職場の様子と募集の内容を求職者に見せる
- 自由診療の紹介:美容医療や歯科の矯正など、保険の効かない治療の内容と費用を伝える
職員の募集を目的とした求人の投稿は、受診を促すものではないため、医療広告のルールの対象になりません。
地域名と診療科名で探す人がたどり着く場所
地域名と診療科名で新しく病院を探す人がたどり着くのは、SNSよりホームページです。2026年10月に、地域名と診療科名を組み合わせた5つのキーワードで検索しました。地図の欄を除く上位10件に入ったページの種類は、次の表のとおりです。
検索したキーワード | クリニックの自院のサイト | 病院を探すサイト | SNSのアカウント |
|---|---|---|---|
内科 世田谷区 | 7件 | 3件 | 0件 |
皮膚科 吉祥寺 | 9件 | 1件 | 0件 |
小児科 港北区 | 6件 | 4件 | 0件 |
美容皮膚科 新宿 | 9件 | 1件 | 0件 |
歯医者 船橋 | 10件 | 0件 | 0件 |
検索から来る新しい患者を増やしたいなら、SNSより先に、ホームページの診療案内と、地図の欄に出るGoogleビジネスプロフィールの情報を整えます。Googleは、近くの店や施設を探す検索では、Google マップとGoogle 検索に地図の結果を出すと説明しています。地図の結果の順位は、主に関連性、距離、知名度で決まります。

美容医療のクリニックでのSNSの役割
美容医療では、SNSも新しい患者がたどり着く場所になっていると見ています。「クリニック SNS運用」の検索結果には、美容医療のTHE CLINICとSBCメディカルグループが、SNSの運用を担う職員を募集するページが入っていました。
新しい患者さんを増やしたいなら、まずInstagramから始めたほうがよいのでしょうか。
編集部
Instagramは、待合室やスタッフの写真で、初めて来る人の不安を減らすのに役立ちます。ただ、投稿は新しいものが上に積まれ、古いものは下へ流れていきます。診療時間やアクセスのように何度も確かめられる情報はホームページに置き、Instagramのプロフィールからホームページへ案内します。
SNSの投稿が医療広告になる範囲
クリニックの公式アカウントの投稿は、1件ずつが医療広告として扱われ、プロフィール欄やハッシュタグも広告の一部として見られます。厚生労働省の医療広告等ガイドラインは、次の3つをすべて満たすものを医療広告としています。
- 患者の受診を促す意図がある
- 医療機関や医師の名前が分かる
- 医療や医療機関に関する内容である
診療や治療を案内する公式アカウントの投稿は、3つとも満たします。医療広告等ガイドラインは、2026年3月の改正で「医療広告ガイドライン」から名前が変わった指針です。
同じ2026年3月に、厚生労働省は「医療広告規制におけるウェブサイト等の事例解説書(第6版)」でSNSと動画の事例を増やしました。事例解説書が、SNSで医療広告に当たるとしている部分は次の5つです。
- プロフィール欄
- 投稿の文章、画像、動画
- 自分の投稿への返信
- ハッシュタグ
- 院長や職員の個人アカウントの投稿
投稿の動画には、ストーリーズのように一定期間だけ公開するものも含まれます。個人アカウントの投稿が医療広告に当たるのは、クリニックや医師が分かり、来院を促す内容のときです。投稿と関係のないハッシュタグで人を呼び込むことも、事例解説書は不適切としています。

※ 出典:厚生労働省「医療法における病院等の広告規制について」
クリニックのSNSで投稿できない内容
医療広告等ガイドラインが禁じる広告のうち、クリニックのSNSで出やすいのは次の4つです。
- 治療についての患者の感想
- 説明を添えていない症例写真
- 費用とリスクを書いていない自由診療の紹介
- 他院より優れているとする言葉や、誇張した言葉
治療の内容や効果についての患者の感想は、クリニックが紹介する限り、広告として禁じられています。患者が自分の投稿に書いた感想を、公式アカウントで引用して紹介するのも、事例解説書は違反の例に挙げています。クリニックが頼んで書いてもらった感想や、謝礼と引き換えの投稿は、患者のアカウントに載っていても、クリニックの広告として扱われます。
言葉の面では、「日本一」のように他院より優れているとする言葉は、事実であっても使えません。「最先端」は誇大広告、「絶対安全」は虚偽広告に当たります。「期間限定で50%オフ」のように費用を前面に出した投稿も、ガイドラインは品位を損ねる広告として慎むよう求めています。
症例写真を載せるときの書き方
症例写真は、治療の内容と費用、主なリスクと副作用を写真と同じ投稿の中に書けば載せられます。返信の欄に「詳しくは当院ホームページで」とURLを置くだけでは足りず、事例解説書は、説明を別のページに置いた投稿を違反の例に挙げています。

治療の前だけ、後だけの写真も、前後を並べた写真と同じ扱いです。効果があるように見せるために加工した写真は、虚偽広告に当たります。
自由診療の投稿に書く4つの項目
自由診療の治療を紹介する投稿には、次の4つを、その投稿の中にまとめて書きます。
- 治療の内容
- 標準的な費用
- 治療期間と回数
- 主なリスクと副作用
事例解説書はSNSの1つの投稿を単独で1つの広告として扱うため、ホームページへのリンクで4つの項目を済ませることはできません。費用とリスクを別々のSNSに分けて書くのも、事例解説書は分かりにくい例に挙げています。
費用は「1万円から」のように最低額だけを書かず、最低額から最高額までの範囲と、別にかかる費用を書きます。リスクと副作用は、「副作用はほとんどありません」とだけ書いても、説明したことになりません。「妊娠中の方は受けられません」のような対象外の条件や、「当日の飲酒はお控えください」のような注意事項だけでも足りません。
プロフィール欄には、問い合わせに答える電話番号かメールアドレスを書きます。予約専用と書いた電話番号や、自動音声が応じるだけで折り返しのない番号は、厚生労働省のQ&Aで問い合わせ先として認められていません。
クリニックで使うSNSの選び方
クリニックで使うSNSは、誰に何を知らせたいかで選び、初めは1つに絞ります。よく使われる4つのSNSを目的ごとに比べると、次の表のとおりです。
| 向いている使い方 | 合うクリニック | |
|---|---|---|
| LINE公式アカウント | 友だち追加した患者に、休診や予約の空きを知らせる | 保険診療が中心で、定期的に通う患者が多い |
| 院内やスタッフの写真、自由診療の紹介を載せる | 美容医療や歯科の矯正など、自由診療を扱う | |
| YouTube | 検査や手術の流れ、病気の説明を動画で見せる | 検査や手術の前に、説明を求められることが多い |
| X | 臨時休診や当日の受付状況を、すぐに知らせる | 急な休診や受付の締め切りを知らせることが多い |
LINE公式アカウントのメッセージは、友だち追加した人にだけ届きます。受付に登録用のQRコードを置き、通院中の患者に追加してもらう使い方が、保険診療のクリニックには合うと見ています。
Instagramで症例写真や自由診療を紹介するなら、投稿1件ごとに治療の内容と費用、リスクを書く手間を見込みます。YouTubeでは、動画の中のテロップや音声のほか、タイトルと概要欄も広告として見られます。費用やリスクは動画の中に入れるか、動画の中で概要欄を案内したうえで概要欄に書きます。
LINEとInstagramを両方始めたほうが、多くの患者さんに届くのではないでしょうか。
編集部
届く人は増えます。ただ、2つを同時に始めると、投稿の作成と投稿前の確認が2倍になり、どちらかが止まりがちです。LINE公式アカウントで休診の連絡から始め、確認の流れが院内で回るようになってから、Instagramを足す順番をおすすめします。
ホームページとSNSの役割の分け方
ホームページとSNSは、治療の説明をホームページの治療ページに置き、SNSの投稿にはそこから写す形で分けます。自由診療の投稿には毎回4つの項目を書く必要があり、投稿ごとに書き起こすと、費用やリスクの書き方が投稿によって食い違うためです。
治療ごとにホームページのページを作り、治療の内容、標準的な費用、治療期間と回数、主なリスクと副作用を書きます。ページには、問い合わせに答える電話番号も書きます。
治療ページの4つの項目を、投稿に収まる長さに縮めた文面を、治療ごとに1つずつ用意します。
治療を紹介する投稿や症例写真の投稿には、用意した文面を投稿の中に写します。
料金や治療の内容を改めた日に、治療ページと投稿用の文面を直し、料金を書いた過去の投稿も直すか削除します。古い料金のまま残った投稿は、今の料金と食い違う広告になるためです。
治療ページは、検索から来た人が治療の中身と費用を比べる場所にもなります。

治療ページの書き方と、医療の記事で避ける表現は、医療の記事制作を外注で成功させる方法で解説しています。
治療ページに、費用とリスクまで書けていますか
自由診療の投稿に写す文面は、ホームページの治療ページから作ると、投稿ごとに書き起こさずに済みます。弊社のSEO記事の制作では、治療ごとの内容と費用、リスクを医療広告等ガイドラインに沿って書いたページを作り、院長の確認を経て公開する流れで進めます。
投稿前に院内で確かめる項目
クリニックのSNSを院内で続けるには、投稿を作る人とは別に、投稿前に確かめる人を1人決めます。確かめるのは次の6つで、1つでも満たさない投稿は出しません。
- 治療についての患者の感想を載せていない
- 症例写真に、治療の内容と費用、リスクを添えた
- 自由診療の費用を、最低額から最高額までの範囲で書いた
- 他院と比べる言葉や、誇張した言葉を使っていない
- ハッシュタグが投稿の内容と関係している
- 写っている患者から、掲載の同意を得た
確かめる人は、院長か、医療広告等ガイドラインと事例解説書を読んだ職員にします。投稿の数は、確かめる人が毎回見られる数で決めます。確かめる時間が取れないまま投稿を増やすと、確認を飛ばした投稿が出るためです。
クリニックのSNSでよくある質問
クリニックのSNSでよく聞かれる質問は4つあります。
院長の個人アカウントでも、クリニックや医師が分かり、来院を促す内容なら、医療広告のルールの対象です。治療や診療の案内を書く投稿は、公式アカウントの投稿と同じように、投稿前に確かめる人が見てから出します。
インフルエンサーに頼んだ紹介の投稿は、クリニックの広告として扱われます。医療広告等ガイドラインは、費用を負担して掲載を頼んだ投稿を広告として扱う場合があるとしており、「PR」と表示しても治療の感想は載せられません。広告であることを隠した投稿は、2023年10月1日から景品表示法の違反になり、景品表示法で規制の対象になるのは依頼したクリニックの側です。
投稿の企画や写真の撮影、文面の作成などは外注できます。投稿前に院内で確かめる工程と、写っている患者から同意を得る工程は、外注してもクリニックに残ります。医療広告等ガイドラインは、広告を作る広告代理店も、違反があれば依頼した医療機関とともに指導の対象になり得るとしています。外注先の選び方と費用の目安は、SNS運用代行の費用相場と依頼先の選び方で解説しています。
初診の問診票に「当院を何で知りましたか」の欄を設け、SNSの名前を選べるようにすると、SNSから来た患者を数えられます。Web予約がある場合は、SNSに貼る予約ページのURLにUTMパラメータ(どこから来たかを示すためにURLの末尾に付ける文字列)を付けると、Googleアナリティクスで予約ページへの訪問をSNSごとに分けて見られます。
まとめ|SNSの使い道は載せられる投稿から決める
クリニックのSNSは、載せられる投稿から逆算して、使うSNSと役割を決めます。保険診療が中心ならLINE公式アカウントで通院中の患者への連絡から始め、自由診療を紹介するなら、ホームページの治療ページに費用とリスクを書いてからInstagramを始めます。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事とWebページの制作を手がけてきました。クリニックの治療ページの文面づくりから、ご相談いただけます。
SNSに写せる文面が、ホームページの治療ページにありますか
自由診療の治療ごとに、内容と費用、期間と回数、リスクを書いたページがあるかを見ると、SNSを始める前に作るページが分かります。ホームページのURLと、SNSで紹介したい治療をお知らせいただければ、足りないページと作る順番を一緒に確かめます。







