「コンテンツマーケティングのKPIは、PVと問い合わせ数を追っておけば足りるだろう」。どちらも前の月と比べやすく、アクセス解析のツールからすぐに取り出せる数字なので、そのまま目標に置かれがちです。ところが、記事や資料、メルマガのように役割の違うコンテンツの数字を合計すると、問い合わせが増えない月に、どのコンテンツを直せばよいかが分かりません。コンテンツマーケティングのKPIは、コンテンツごとに役割を1つ決め、役割に応じて読者に取ってほしい行動の数で置きます。
本記事では、役割ごとのKPIの例と決める手順から、数字が届かないときの見直し方まで、記事の制作と公開後の月次レポートを請け負う制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- KPIは、コンテンツごとに役割を1つ決め、読者に取ってほしい行動の数で置く
- 検索から読者を集める記事のKPIは、PVでなく検索結果からのクリック数にする
- 目標値は、受注などのKGIから、次の役割へ進む人の割合を使って逆算する
- 1本のコンテンツにKPIを2つ持たせると、書き方と公開後に直す場所が決まらない
- KPIを達成しても成果が出ないときは、次の役割へ進む人が減っている所を直す
コンテンツマーケティングのKPIは何を置くか
コンテンツマーケティングのKPIには、コンテンツごとに役割を1つ決め、読者に取ってほしい行動をした人の数を、役割ごとに置きます。KGIが受注数や売上のような最後の目標なら、KPIはKGIの達成までの途中で読者が取る行動の数です。
PVと問い合わせ数の2つでは足りないのは、記事や資料、メルマガなどで、読者に取ってほしい行動がそれぞれ違うからです。検索から読者を集める記事なら検索結果からのクリック、資料なら請求、導入事例なら問い合わせが、増やしたい行動にあたります。
たとえば、合計のPVが伸びても、伸びたのが資料の請求へ進む人の少ない記事なら、問い合わせは増えません。合計の数字からは、直すコンテンツが決まりません。
PVはKPIにしないほうがよいのでしょうか?
編集部
検索から読者を集める記事なら、PVに近い数をKPIにして構いません。避けたいのは、役割の違うコンテンツのPVを合計して、1つのKPIにすることです。
役割別に見るコンテンツマーケティングのKPI
売上につなげるコンテンツの役割は、読者の段階に合わせて4つに分けられ、役割ごとにKPIにする数と、数を見る場所が変わります。
役割 | 主なコンテンツ | KPIにする数 | 数を見る場所 |
|---|---|---|---|
検索から読者を集める | 悩みや疑問に答える記事 | 検索結果からのクリック数 | Search Console |
連絡先をもらう | ダウンロード資料、メルマガ、セミナー | 資料の請求や登録、申し込みの件数 | フォームの管理画面、MAツール |
問い合わせを後押しする | 導入事例、比較の記事、料金の説明 | 問い合わせ数 | GA4、フォームの管理画面 |
契約後に使い続けてもらう | 使い方の記事、顧客向けのメルマガ | 契約の継続率 | 顧客管理の台帳 |
検索から読者を集める記事では、PVでなく検索結果からのクリック数を数えます。PVには、メルマガやSNSから来た人の閲覧も含まれるからです。検索からの訪問はGA4のセッション数でも見られますが、Search Consoleのクリック数とは算出方法が違い、一致しないとGoogleの解説にも書かれています。

問い合わせから先の受注は、Webのツールだけでは数えられません。MAツールを使っていない会社では、問い合わせフォームに「何を読んで知ったか」の選択欄を置きます。選ばれた答えを営業の顧客管理の台帳に書き写すと、どのコンテンツから来た受注かを数えられます。
契約の継続率は、サポートや製品の出来でも変わります。使い方の記事を読んだ顧客と読んでいない顧客を台帳で見分けられるときだけ、継続率をKPIに置きます。

コンテンツマーケティングのKPIを決める5つの手順
コンテンツマーケティングのKPIは、KGIを決めてから今あるコンテンツを役割で分け、役割ごとに数と目標値を置く5つの手順で決めます。
コンテンツマーケティングで最後に増やしたい数を1つと、達成する期限を決めます。BtoBなら受注数や商談数、採用が目的なら応募数がKGIです。営業や部署がすでに追っている数から選ぶと、上長に報告するときに、KPIとKGIのつながりを説明し直さずに済みます。
今あるコンテンツを表に1行ずつ書き出し、読者を集める、連絡先をもらうといった役割を1つずつ書き込みます。役割を1つに決められないコンテンツは、読者に取ってほしい行動がまだ決まっていません。どのコンテンツも置かれていない役割があれば、次に作るコンテンツの候補です。
役割ごとに、KPIにする数を1つ選びます。選ぶのは、役割に振り分けたコンテンツで読者に取ってほしい行動の数です。1本のコンテンツが持つKPIは、振り分けた役割のKPIの1つだけにします。
KGIから、役割と役割の間で人が残る割合を使ってさかのぼり、役割ごとの目標値を置きます。受注を月3件にしたいとき、問い合わせの3割が受注になるなら、問い合わせは月10件が要ります。資料を請求した人の2割が問い合わせに進むなら資料の請求は月50件、記事を読んだ100人に1人が資料を請求するなら記事へのクリックは月5,000件です。割合は過去3〜6か月の実績から取り、実績が無ければ仮に置いて、3か月後に実績で置き直します。
数字を見る日を月に1回決め、役割ごとに数字を直す担当者を1人置きます。検索から読者を集める記事は記事の担当者が、問い合わせから先は営業の責任者が受け持つと、数字が届かなかった月に誰が直すかで止まりません。Search Consoleのデータは数日遅れることがあるため、前の月の数字を見る日は月初めの数日を避けます。
※ 割合は計算の例です。実際の割合は、商材の価格や営業の進め方で大きく変わります。

KGIからKPIへ数字を割り下げる考え方は、KPI設計とは?機能する指標の3条件とKGIの割り下げ方を解説で解説しています。
1本のコンテンツに置くKPIを1つにする理由
1本のコンテンツに置くKPIを1つにするのは、KPIが本文の書き方と、公開した後に直す場所を決めるからです。
検索から読者を集める記事に問い合わせ数も課すと、書き手は本文の前半にサービスの案内を入れたくなります。検索した人の疑問への答えが後ろに下がり、答えを探しに来た読者が途中で離れやすくなります。
反対に、導入事例や比較の記事にPVを課すと、検索数の多い広いキーワードを狙いたくなります。まだ比べる段階にない読者が増えるので、問い合わせへ進む割合は下がるはずです。
公開した後の直し方も、KPIが2つあると決まりません。クリック数が足りなければタイトルと冒頭を、資料の請求が少なければ本文の終わりの案内を直します。KPIが1つなら、届かなかったときに直す場所が1つに決まります。
記事ごとの役割とKPIを決めてから書けていますか
記事コンテンツの制作支援では、事業と読者の聞き取り、競合と現状の調査から始め、KWマップの作成とコンテンツの計画、KPIの設計までを一緒に進めます。公開した後は、効果測定とリライトの提案を月次のレポートでお渡しします。
KPIを達成しても成果が出ないときの見直し方
役割ごとのKPIを達成しているのにKGIが動かないときは、役割と役割の間で人が減っている所を探し、減っている所の前後のコンテンツと、間の案内を直します。人が減りやすいのは次の3か所で、場所ごとに疑う原因と直すものが違います。
人が減っている場所 | 疑う原因 | 直すもの |
|---|---|---|
集める記事から資料の請求や登録まで | 記事の終わりに資料や登録への案内が無い、記事のテーマと資料の中身が離れている | 記事の終わりの案内、案内する資料 |
資料の請求や登録から問い合わせまで | 資料を請求した人に営業が連絡する基準が無い、メルマガが比べる段階の疑問に答えていない | 営業へ渡す基準、メルマガで送る事例や比較の記事 |
問い合わせから受注まで | 他社との違いや料金、導入までの流れが問い合わせの前に伝わっていない | 導入事例、比較の記事、料金の説明 |
減っている所は、役割ごとの数を並べ、1つ手前の役割の数に対する割合を月ごとに比べると見つかります。記事を読んだ人が資料のページへ進んだかは、GA4の経路データ探索で、記事を見た人が次に開いたページとして確かめられます。

公開して間もない記事は、検索結果での順位が落ち着くまでクリック数が動きにくく、KPIに届かなくても役割やKPIを変える理由にはなりません。KPIを変えるのは、KGIが変わったときと、コンテンツの役割を変えたときにします。時期ごとに見る指標を移していく方法は、オウンドメディアのKPIとは?指標の決め方と運用でつまずかない設定手順を解説にまとめています。
コンテンツマーケティングのKPIのよくある質問
コンテンツマーケティングのKPIを決めて運用を始めた担当者から出やすい質問は、次の3つです。
KPIはいくつまで追えばいい?
KPIの数は、コンテンツの役割の数までにします。目標を置く数と、原因を探すために見る数を分けます。エンゲージメント率や滞在時間のような数は、KPIに届かなかった月に原因を探すための数として、目標を置かずに残します。
記事を外注したらKPIはどう決める?
記事を外注しても、KGIとコンテンツの役割は発注する会社が決めます。制作会社には、記事ごとの役割とKPIを書いた一覧を渡し、記事の構成を役割に合わせてもらいます。問い合わせから先の数はフォームや営業の対応でも変わるので、月に1回は制作会社と数字を並べ、どこで人が減っているかを一緒に確かめます。
AI検索でクリックが減ったらどうする?
検索結果にAIの回答が出るキーワードでは、表示回数が増えてもクリック数が増えないことがあります。集めるための記事では、クリック数に加えて、Search Consoleの表示回数と、社名やサービス名を含む検索語句のクリック数を併せて見ます。社名を含む検索が増えていれば、記事を読んだ人が後から社名で探している可能性があります。
まとめ|KPIは指標の一覧でなく役割から決める
コンテンツマーケティングのKPIは、PVや問い合わせ数の合計でなく、コンテンツごとに役割を1つ決め、役割に応じて読者に取ってほしい行動の数で置きます。役割ごとにKPIを1つにすると、数字が届かなかったときに直すコンテンツと場所が決まります。
まずは今あるコンテンツを表に書き出し、1本ずつ役割を書き込んでください。
私たち合同会社Writers-hubは、自社と取引先のサイトで記事を毎日公開しながら、キーワードの設計からKPIの設計、公開後の月次レポートまでを企業の担当者と一緒に進めています。
自社のコンテンツを役割で分けたら、どこで人が減っているでしょうか
無料相談(オンラインで30分程度)のフォームに、サイトのURLを添えてお送りください。公開中の記事や資料を役割ごとに分けたときに、KPIを置く数と、人が減っている所を一緒に確かめます。







