「パンダアップデートは、もう終わった話なのでしょうか」。既存記事の見直しについてご相談をいただくと、話の途中でこう確認されることがあります。Googleが公開しているランキングシステムの解説を見ても、パンダは廃止された仕組みの欄に置かれています。そこに廃止と書かれているものを、今の打ち手の検討材料に入れるほうが不自然でしょう。
しかし、弊社はこれまで多くのオウンドメディアで、新規記事の制作と並行して既存記事の書き直しや統合を受け持ってきました。その経験から言えるのは、仕組みの名前が消えても、パンダが持ち込んだ考え方だけは残っている、ということです。パンダ以前、Googleの評価はページ単位で完結していました。パンダ以降は同じサイトに読まれないページがたまると他の記事の評価にも影響するという前提で、検索結果が組み立てられています。
本記事では、パンダアップデートが何を対象にした仕組みだったのかから、名前の由来、ペンギンアップデートとの違い、そして今のサイトで何を数えて何から直すのかまで、記事を作って公開してきた制作側の視点で順にお伝えします。
- パンダアップデートが導入された時期と、名前がパンダになった理由
- 順位を下げられた4種類のページと、その共通点
- パンダが変えた「評価の単位」と、それが今も残っている理由
- ペンギンアップデートとの違いと、直し方が別々になる理由
- 読まれていないページを棚卸しし、書き直し・統合・削除に仕分ける手順
Googleのパンダアップデートとは
パンダアップデートは、内容の薄いページや他所から引き写しただけのページの順位を下げ、独自の情報を持つサイトを上に出すためにGoogleが導入した仕組みです。まずは、いつ何が起きたのかを整理しておきましょう。
英語圏での導入は2011年2月、日本語の検索結果への適用は2012年7月でした。当時は「順位が半分以下になった」という声がWeb運営者の間で一斉に上がるほど、影響範囲の広い変更として受け止められています。
パンダアップデートの3行整理
- 2011年2月に英語圏、2012年7月に日本語の検索結果へ導入された
- 狙いは、内容の薄いページや複製されたページの順位を下げること
- 現在は単独では動いておらず、コアランキングシステムの一部になっている
名前の由来はエンジニアの姓
パンダという名前から、白と黒をはっきり分ける動物のイメージで名付けられたと説明されることがあります。しかし実際の由来はもっと単純で、このアルゴリズムの開発に大きく関わったGoogleのエンジニア、Navneet Panda氏の姓から取られたものです。名前そのものに評価基準の意味は込められていません。
導入の背景にあった大量生産の記事
2010年前後、検索結果には広告収入を目的に量産された記事が大量に並んでいました。上位に出ることだけを狙って安く発注した記事を大量に公開する事業者は、コンテンツファームと呼ばれます。検索そのものが使われなくなりかねない状況への対応が、パンダアップデートでした。
パンダが対象にした4種類のページ
順位を下げられたページには、いくつかの型がありました。当時の説明や、実際に順位を落としたサイトの傾向から整理すると、次の4つに分けられます。
- 内容の薄いページ(検索結果に出す価値のある情報がほとんど書かれていない)
- コンテンツファーム(検索流入だけを目的に大量生産された記事群)
- 他サイトの引き写し(自動収集や手作業での複製で作られたページ)
- 広告が本文を圧迫しているページ(本文を読むまでに広告をいくつも越える必要がある)
この4つに共通しているのは、そのページを読まなければ得られない情報が入っていないという点です。文字数の多さや更新の頻度ではなく、他所にない中身があるかどうかが分かれ目でした。
とりわけ見落とされがちなのが、3つ目の引き写しです。露骨な複製だけでなく、検索結果に並ぶ記事を数本読んで内容を組み替えただけの記事も同じ位置に立ちます。文章を書き換えても、事実の並びと結論が既存の記事と一致していれば新しい情報は増えていません。
パンダが変えたのは評価の単位
ここが本記事のいちばんの要点です。パンダアップデートで本当に変わったのは、どのページを下げるかという基準ではなく、何を単位として品質を測るかでした。
パンダ以前、Googleの評価はおおむねページごとに閉じていました。良い記事は上に出て、質の低い記事は下に沈む。同じサイトの中で両者が混ざっていても、それぞれ独立して扱われていたわけです。パンダ以降、この前提が変わりました。評価されるのは1ページの出来ではなくサイト全体の平均という考え方が持ち込まれたのです。

この考え方は今も生きています。Googleは役立つコンテンツの作り方についての解説で、サイト内に役に立たないコンテンツが比較的多くある場合、そのサイトの他のコンテンツの評価にも影響しうると説明しています。名前は資料から消えましたが、判断の枠組みは残っているということです。

※ Google検索セントラル「役立つ、信頼性の高い、ユーザーを第一に考えたコンテンツの作成」より。文書の内容は随時更新されます。
サイト全体で見られるということは、順位の低い記事を1本ずつ書き直していけば、いずれ全体も上がるということでしょうか。
編集部
方向としては合っていますが、順番が逆になりやすいところです。書き直しの対象になるのは、検索からの流入が少しでもあり、需要の残っているページです。1年以上まったく読まれていないページは、直す手間の割に全体の平均が動きません。まずは全ページを数えて、直す対象と外す対象を分けてください。
コアランキングシステム統合後の今の扱い
現在のGoogleは、パンダを単独のランキングシステムとしては扱っていません。ランキングシステムの解説文書の中で、パンダは廃止されたシステムの欄に移され、コアランキングシステムの一部になったと説明されています。

つまり、いま必要なのはパンダ対策ではなく、サイト全体の品質を保つ運用ということになります。「パンダアップデートへの対策」という独立した施策メニューは、もう存在しません。特定の更新日を待って対応する種類のものでもなくなりました。
ここで一つ、混同されやすい点を切り分けておきます。
アルゴリズムによる評価と手動による対策は別物です
Googleが人の目で確認して措置を取る手動による対策は、Search Consoleの「手動による対策」に通知が届きます。通知が空であれば、人手による措置は受けていません。アルゴリズムによる評価の変化に通知は届かないため、両者は確認方法から異なります。
パンダ対策の代わりに何をすればいいか、社内で決めきれていませんか
サイト内の記事を一覧にしたうえで、読まれているページ、需要はあるのに評価が伸びていないページ、役目を終えたページに分けます。書き直しと新規の追加のどちらを先にするかまで具体化してお渡しします。
ペンギンアップデートとの違い
パンダとよく並べて語られるのがペンギンアップデートです。名前が似た動物であるため混同されやすいのですが、対象にしているものがまったく異なります。
ペンギンアップデートは2012年4月に導入され、リンクの購入や自作自演の相互リンク、キーワードを不自然に詰め込んだページなど、順位操作を狙った手法を対象としました。2016年のPenguin 4.0でコアアルゴリズムに組み込まれ、リアルタイムに反映されるようになっています。
| パンダアップデート | ペンギンアップデート | |
|---|---|---|
| 対象 | ページの中身の質 | リンクと過剰な最適化 |
| 導入時期 | 2011年2月(日本語は2012年7月) | 2012年4月 |
| 現在の扱い | コアランキングシステムの一部 | コアアルゴリズムに統合済み |
| 主な直し方 | 記事の書き直し、統合、削除 | 不自然なリンクの否認と撤去 |
| 気づき方 | 特定のテーマ群が同時に下がる | リンクを集めたページが下がる |
覚え方としては、パンダは中身、ペンギンはリンクと押さえておけば十分です。記事を全部書き直しても、原因がリンク側にあれば順位は戻りません。

現在はどちらも単独の更新として告知されないため、「今回の変動はパンダかペンギンか」という切り分け自体は実務で使えません。それでも区別を知る意味はあります。順位が下がったときに記事を疑うのかリンクの履歴を疑うのかという最初の分岐が、この区別と一致するからです。
読まれていないページの棚卸し4ステップ
では、サイト全体の質を上げるために何から手を付けるか。新しい記事を追加する前に、今あるページを数えるところから始めます。
URL、公開日、直近12か月の検索からの流入数、表示回数を1行ずつ並べます。Search Consoleの検索パフォーマンスから書き出し、サイトマップのURL一覧と並べれば、一度も表示されていないページも拾えます。感覚で挙げず、必ず数値を横に置いてください。
直近12か月でクリック数がゼロ、あるいは表示回数が二桁に届かないページを別の枠にまとめます。ここが棚卸しの主対象です。公開から3か月未満の記事は評価が定まっていないため、この段階では除外してください。
検索されている言葉が同じで、答えている内容も近い記事が複数あると、どちらも中途半端な位置に留まります。重なっている組み合わせを見つけ、残す1本を決めてください。
1ページずつ処理方針を決め、期限まで入れましょう。期限のない一覧は、作った段階で止まってしまうものです。1か月に処理できる本数を決め、上から順に消し込む形にすると進みます。

この4つを一度通すと、サイトの状態が数字で見えます。100本の記事のうち70本が1年間ほとんど読まれていなかった、という結果が出ることは珍しくありません。その状態で新記事を足しても、平均は下がり続けます。
書き直し・統合・削除の判断軸
棚卸しで抜き出したページを、どれに振り分けるか。解説記事ではほとんど語られない部分ですが、実務では最も時間を取られる判断です。軸は3つあります。
1つ目は、そのテーマに検索の需要が今も残っているかどうかです。直す価値があるのは、検索需要が残っているページだけと考えてください。終了した制度の解説や、提供をやめた商品の記事は、丁寧に書き直しても読まれる先がありません。
2つ目は、他のページと役割が重なっていないかどうかです。同じ言葉で検索する人に向けた記事が2本あるなら、片方に情報を寄せるほうが早く結果が出ます。
3つ目は、書き直す材料が社内にあるかどうかです。自社の実務経験や取り扱い実績を書ける記事は、書き直しで他所と差が付きます。公開情報を並べ直すだけのテーマは、時間をかけても他の記事と同じ内容にしかなりません。
- 検索の需要が残っている、かつ材料がある → 書き直す
- 需要はあるが、他のページと内容が重なっている → 統合して1本に寄せる
- 需要がない、または自社で書く材料がない → 検索結果から外す
なお、3つ目の「外す」は、いきなりページを消す意味ではありません。まずnoindexを設定して検索結果から外し、数か月様子を見てから削除に進む順序が安全です。外部からリンクが張られている記事を先に消すと、修復の手間が増えます。
統合するときの実務上の注意
2本を1本にまとめたら、残さないほうのURLから残すURLへ301リダイレクトを設定します。単に削除すると、そのページに張られていた評価が失われます。本文は両方をつなげるのではなく、読者が知りたい順に組み直してください。
直す記事は決まったのに、書き直す手が社内で足りていませんか
棚卸しで仕分けた一覧をお預かりし、書き直す記事の構成づくりから執筆、公開前の事実確認までを引き受けます。統合する記事のまとめ方や残すURLの決め方もあわせてお渡しします。
パンダをめぐる3つの誤解
最後に、今も残っている読み違いを3つ挙げます。どれも、実際にご相談の場で出てくるものです。
1つ目は、文字数を増やせば品質が上がるという理解です。パンダが対象にしたのは内容の薄さであって、文章の短さではありません。1,500字で答えが完結している記事を5,000字に膨らませても、読者が知りたい情報の量は変わらず、答えにたどり着くまでが遠くなります。
2つ目は、サイト内に同じ言葉を使った記事があると、それだけで順位を下げられるという理解です。Googleは重複を理由に一律で措置を取るのではなく、複数のページから1本を代表として選び、残りを検索結果に出しません。問題になるのは、どちらが代表に選ばれるかを運営側が決められない状態です。
社内で似たテーマの記事が何本かあります。急いで統合したほうがいいでしょうか。
編集部
急ぐ必要はありません。まずSearch Consoleで、それぞれの記事がどの言葉で表示されているかを見てください。表示される言葉が分かれていれば、読者にとっては別の記事として機能しています。同じ言葉で両方が表示されていて、しかもどちらも順位が伸びていない場合に、初めて統合を検討してください。
3つ目は、パンダが今も定期的に更新されているという理解です。導入から数年間は「パンダ4.0」のように版を付けて告知されていましたが、コアランキングシステムに組み込まれて以降、その形での更新はありません。更新日を待って対応する進め方は、現在では成り立たなくなっています。
よくある質問
単独の更新としては実施されていません。Googleはランキングシステムの解説文書でパンダを廃止されたシステムの欄に置いています。ただし、内容の薄いページを評価しないという判断そのものは、コアアップデートの中で継続して働いています。
開発に関わったGoogleのエンジニア、Navneet Panda氏の姓が由来です。動物の見た目や色から品質を分ける意味が込められているわけではありません。
現在は特定できません。単独の更新として告知されなくなったためです。確認できるのは、Search Consoleに手動による対策の通知が来ていないか、下がったのがサイト全体か特定のテーマ群かという2点です。
追加だけでは戻りにくいと見ています。読まれないページを残したまま新記事を足すと、平均を押し下げる要素も同時に残るためです。既存の整理と新規の追加は並行させるほうが早く進みます。
どこから手を付けるか、サイトの中身を見ながら決めたい段階でしょうか
現在の記事数と流入の状況を拝見したうえで、既存記事の整理と新規の追加のどちらを先に進めると効果が出やすいかをお伝えします。まずは現状のご共有だけでも構いません。
まとめ|対策すべきは名前ではなくサイト全体
パンダアップデートは2011年に導入され、日本語には2012年7月に適用されました。名前はGoogleのエンジニアの姓に由来し、内容の薄いページや複製されたページを対象としています。現在は単独では動かず、コアランキングシステムの一部として扱われています。
それでも、パンダが持ち込んだ評価の単位は残りました。1ページの出来だけでなく、サイト全体に読まれないページがどれだけあるかが、他の記事の評価にも関わってきます。だからこそ、順位が伸び悩んだときは新しい記事を足す前に、既存ページを数えて仕分ける工程が要るのです。
私たち合同会社Writers-hubは、オウンドメディアの新規記事の制作と既存記事の見直しの両方を手がけています。棚卸しの一覧づくりから書き直す記事の構成、統合の進め方まで一緒に組み立てますので、社内で優先順位が決めきれない場合はご相談ください。








