「インハウス支援を頼めば、数か月後には広告もSEOも自社だけで回せるようになりそう」。支援会社のサービス案内には、支援期間は3か月以上で、終わるころには社内だけで運用できるようになる、という計画が並んでいます。
しかし、弊社はこれまで数多くの記事を制作し、企業が社内で記事を作る体制づくりも支援してきました。その経験から言えるのは、支援の後も内製化が続くかは、判断の基準が社内に残るかで大きく分かれるということです。手順書どおりに書けるようになっても、公開してよいかを支援会社が決め続けていれば、支援の終了とともに社内で決められる人がいなくなります。
本記事では、インハウス支援と運用代行の違い、支援の中身と費用から、支援会社の選び方と外部に任せる業務の分け方まで、記事制作の体制づくりを支援してきた立場で順を追ってお伝えします。
- インハウス支援は、作業を代わりに行う運用代行と違い、社内の担当者が自分で運用できるように育成と引き継ぎを行うサービス
- 料金の形は月額固定型・時間単価型・講座型・運用代行との併用型の4つで、見積もりは含まれる作業の範囲をそろえて比べる
- 支援が終わると内製化が止まる大きな理由の1つは、公開や予算の判断を支援会社が下したままになること
- 支援会社は、終了時に社内へ渡す資料を「予算を動かす条件の一覧」のような具体的な名前で示せるかで選ぶ
- 施策の判断は社内に置き、作業量の多い業務だけを外部に任せる分け方も選べる
インハウス支援とは何をするサービスか
インハウス支援とは、マーケティング業務を自社の社員で回せるように、外部の専門家が担当者を育て、実務を引き継ぐサービスです。対象になる業務は、広告運用やSEO、記事制作などです。支援会社が作業を代わりに行う運用代行と違い、支援が終わった後は社内で運用を続けることを前提にしています。
運用代行、インハウス支援、自社だけでの運用の3つは、作業する人と施策を決める人で分かれます。
| 運用代行 | インハウス支援 | 自社だけで運用 | |
|---|---|---|---|
| 作業する人 | 支援会社 | 社内の担当者 | 社内の担当者 |
| 施策を決める人 | 支援会社が提案し、自社が承認する | 社内の担当者が、支援会社の助言を受けて決める | 社内の担当者 |
| 社内に残るもの | △ 結果の報告書 | ◎ 手順書と判断の基準 | ○ 担当者個人の経験 |
| 社内でかかる時間 | 少ない | 支援期間中は多い | 多い |
| 向いている会社 | 担当者を置けない | 担当者はいるが経験が浅い | 経験者がいる |
株式会社オプトが2025年8月に経営者416名へ行ったインターネット調査では、86%が広告運用の体制の中で何らかのインハウス化を進めていると答えました。着手した企業からは「社内担当者のスキル不足」「インハウス化に必要な人材の確保が困難だった」という声も挙がっています。スキル不足はインハウス支援の育成で補えますが、担当者を置く人手は自社で用意する必要があります。
※ 出典:株式会社オプト「インハウス化ニーズに関する調査」(2025年11月12日発表)

インハウス支援が成果につながるのは、担当者が支援の打ち合わせと実務に使う時間を、業務として確保できる会社です。時間を確保できないと、支援会社から出た課題が次の打ち合わせまでに進まないまま、支援期間が終わります。記事制作に絞った代行と伴走の違いは、コンテンツ制作支援とは?代行・伴走・内製化の違いと依頼先の選び方で比べています。
インハウス支援の支援内容と進み方
インハウス支援の支援内容は、現状の診断、方針づくり、担当者の育成、実務の引き継ぎの4つで、支援会社は診断から順に進めるのが基本です。
支援会社が今の運用を点検し、どこから直すかを決めます。広告運用ならアカウントの構成と計測の設定を、記事制作なら公開済みの記事と狙っているキーワードを見ます。
目標とする数値と予算、社内に移す業務の範囲と順番を決めます。外部に任せる業務も、方針づくりの段階で決めておきます。
研修や資料で、担当者が運用の基礎を学びます。支援会社の運用を横で見ながら、同じ作業を担当者が試す形で進めることもあります。
担当者が実際の運用や執筆を行い、支援会社が定例の打ち合わせやチャットで確かめます。支援期間の終わりに、手順書と判断の基準を社内に残します。
引き継ぐ判断の基準は、領域によって中身が違います。広告運用では、予算を増やす・配信を止めるといった判断を、どの数値がいくつになったら行うかという条件です。記事制作では、記事を公開してよいかを決める確認項目と、公開後にどの記事から書き直すかの決め方です。

インハウス支援の費用と料金の決まり方
インハウス支援の料金の形は、月額固定型、時間単価型、講座型、運用代行との併用型の4つです。同じ形でも、支援の範囲と打ち合わせの頻度で額が変わります。
料金の形 | 料金の決まり方 | 合う使い方 |
|---|---|---|
月額固定型 | 打ち合わせの回数と相談の手段を決めて、毎月同じ額を払う | 3か月以上かけて育成と引き継ぎを進める |
時間単価型 | 支援会社が動いた時間に応じて、毎月の額が変わる | 診断だけ、困ったときの相談だけを頼む |
講座型 | 研修1回ごとに額が決まっている | 担当者に基礎を短い期間で学ばせる |
運用代行との併用型 | 支援の料金に、代行する業務の手数料が加わる | 一部の媒体や業務を外部に任せたまま移す |
広告運用のインハウス支援では、月額固定型の料金を「月30万円から」のように下限だけ公開している支援会社があります。下限の額に含まれるのが、月1回の打ち合わせとチャットでの相談、初期設定の手伝い程度という場合もあります。見積もりは、含まれる打ち合わせの回数と作業の範囲をそろえて比べます。
支援の費用は、支援会社に払う額だけでなく、担当者の人件費も含めて見積もります。担当者は支援期間中、打ち合わせと実務に時間を使うためです。
※ 料金は、支援の範囲(方針づくりだけか、実務の引き継ぎまでか)、打ち合わせの頻度、対象にする広告媒体や業務の数、運用代行を併用するかで変わります。
支援が終わると内製化が止まる理由
インハウス支援を受けても支援の終了後に内製化が止まる大きな理由の1つは、作業の手順は社内に残っても、仕上がりの良し悪しを決める判断の基準が支援会社の側に残ることです。
判断を支援会社に頼ったまま、「この記事を公開してよいか」「どの記事から直すか」を支援会社に確認し続けている状態です。支援期間中は支援会社の確認を経て記事が公開されますが、支援が終わると確認する相手がいなくなります。

支援の終了後は、公開の判断が遅れて記事の本数が減るか、判断を外に戻すために外注を再開するかのどちらかになりやすいと見ています。
支援会社から手順書をもらっておけば、支援が終わっても担当者だけで回せるのではないでしょうか。
編集部
手順書があれば、作業は回せます。ただ、手順書には「どこまでできたら公開してよいか」という判断の基準までは書かれていないことがあります。支援期間の後半は、担当者が先に判断し、支援会社が担当者の判断を確かめる順番に変えてもらうと、終了後も同じ判断を社内で続けられます。
判断の順番を入れ替えるのに加えて、判断の基準を文書にし、基準を知る担当者を2人以上にします。記事制作なら、公開前に確かめる項目を一覧にし、担当者が一覧で判断した結果を支援会社が確かめます。基準を知る担当者が1人だけだと、担当者の異動や退職で基準が社内から消えます。
記事を公開してよいかの判断を、今も外に頼っていませんか
弊社の記事コンテンツの制作支援では、記事の書き方の決まりと公開前の確認の流れを御社向けに作ります。担当者が変わっても、同じ基準で記事を確認できる体制づくりまでお手伝いします。
インハウス支援会社の選び方
インハウス支援会社は、支援が終わった時点で自社に何が残るかを、契約前に具体的に示せるかで選びます。支援中の成果だけで選ぶと、同じ成果を終了後に社内で出せるかが分かりません。
- 支援の終了時に渡す手順書と判断の基準が、契約前の提案に書かれている
- 支援期間の後半に、社内の担当者が判断して支援会社が確かめる形へ移す計画がある
- 自社と同じ領域(使う広告媒体、SEO、記事制作)の運用を、今も実務で担当している人が支援につく
- 料金に含まれる打ち合わせの回数、相談の手段、支援会社が代わりに行う作業の範囲が書面で分かる
- 支援の終了後に、時間単価の相談や一部業務の委託に切り替えられる
契約前の打ち合わせでは、「支援が終わったとき、社内に何が残りますか」と聞いてみてください。「ノウハウが残ります」とだけ答える会社より、「予算を動かす条件の一覧」「記事の確認項目の一覧」のように資料の名前で答える会社のほうが、終了後に使える形で残す準備ができていると判断できます。
インハウス化する業務と外部に任せる業務
インハウス支援を受けても、すべての業務を社内に移す必要はありません。施策を決める判断は社内に置き、作業量の多い業務や頻度の低い専門作業は外部に任せる分け方もあります。
オプトの同じ調査では、54%以上の企業が今後、広告代理店との取引を増やしたいと答えています。業務の26〜50%をインハウス化している企業に限ると、取引を増やしたいと答えた割合は80.3%でした。
領域 | 社内に置く業務 | 外部に任せてよい業務 |
|---|---|---|
広告運用 | 目標と予算配分の決定、結果の評価 | 入稿や設定の作業、新しい媒体の立ち上げ |
SEO・記事制作 | 狙うキーワードと記事の優先順位の決定、公開の判断 | 量の多い執筆、専門分野の取材や監修 |
判断を社内に置くのは、商品や顧客の事情を最もよく知っているのが社内の担当者だからです。作業の一部を外に任せると、担当者の時間を判断と結果の評価に充てられます。SEOを社内に移す工程の順番は、SEOの内製化は工程ごとに進める|移す順番と費用の見落としで詳しく扱っています。

作業を外に任せるときも、依頼の指示と仕上がりの確認は社内の担当者が行います。確認に使う基準は、インハウス支援で社内に残した判断の基準をそのまま使えます。
インハウス支援のよくある質問
期間は、社内に移す業務の量と担当者の経験で変わります。方針づくりまでなら数週間で終わりますが、担当者の育成と実務の引き継ぎまで含めると数か月単位になります。最低契約期間を3か月に置く支援会社もあります。
経験者がいなくても受けられます。経験者がいない会社では基礎を学ぶ研修から始まるため、経験者がいる会社より支援期間が長くなります。担当者が支援に使える時間を週に何時間確保できるかを先に決めておくと、支援会社と計画を立てやすくなります。
運用代行とは別に、インハウス支援のメニューを持つ代理店もあります。今の代理店は、アカウントの設計や過去の運用の経緯を知っている点が利点です。一方で代行の手数料が減る方向の支援になるため、引き継ぐ範囲と終了時に渡す資料を契約前に書面で決めておきます。
まとめ|インハウス支援は終わった後に残るもので選ぶ
インハウス支援を選ぶときに確かめるのは、支援が終わったときに手順書と判断の基準が社内に残るかどうかです。支援期間の後半に担当者が判断して支援会社が確かめる形へ移し、基準を知る担当者を2人以上にしておくと、終了後も社内で同じ判断を続けられます。すべてを内製にせず、判断は社内に置いて作業の一部を外に任せる分け方も選べます。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作と、企業が社内で記事を作る体制づくりの支援の両方を手がけています。記事制作のどの工程を社内に移し、どの工程を外部に任せるかを決めかねている段階でもご相談いただけます。
記事制作のどこまでを社内で持つか、決めかねていませんか
今の記事の本数と担当者の人数、外注している工程を伺い、社内に移す工程と外部に任せる工程の分け方をご提案します。公開前の確認を社内で行うための基準づくりの相談からでもお受けします。







