「記事を外注に出し続けるより、自社で書けるようになったほうが安く済む」。毎月ほぼ同じ金額の請求書が並び、生成AIで下書きまで短時間で出せるようになると、書き手を社内に置けば外注費がそのまま浮く計算に見えてきます。ところが、内製化が止まる原因は書けないことではなく、良し悪しを決める人がいないことです。書き手は採用でも生成AIでも用意できますが、この語を狙って妥当か、この構成で読者の疑問が尽きるかを決める役は、社内に前例がないと引き受け手がいません。
本記事では、SEOの内製化を6つの工程に分けたうえで、社内へ先に移す工程の順番、生成AIに書かせるときに社内に残す仕事、費用の計算から抜け落ちやすい項目まで、記事制作と社内の制作体制づくりを両方支援する立場で順を追ってお伝えします。
- 内製化は外注をやめるかどうかの二択ではなく、6つの工程を1つずつ社内へ移す作業になる
- 先に移すのは公開作業と公開前の点検で、狙う語の設計には外部の目を残す
- 生成AIに書かせるなら、判断の基準を記事の型に書き込み、公開前に確かめる時間を先に取る
- 費用の計算では、原稿を読んで直す時間と、立ち上げ期の本数の落ち込みが抜けやすい
- 完全内製でも全部外注でもなく併用から始めると、止まった工程だけを外に戻せる
SEOの内製化とは社内に移す工程の範囲
SEOの内製化(インハウスSEO)は、検索からの集客に関わる作業を社外に出さず、自社の人員で回す状態を指します。ただし現場で決めるべきなのは、やるかやらないかではありません。SEOはひと続きの作業ではなく、性質の違う工程の集まりだからです。どの工程を社内が持ち、どの工程を外に残すか。内製化の中身は、その線引きそのものだと考えてください。
内製化で社内に移る6つの工程
記事を軸にしたSEOを分解すると、次の6工程になります。社内に移すかどうかは、この単位で決めると判断しやすくなります。
工程 | 具体的な作業 | 必要になるもの |
|---|---|---|
狙う語を決める | 検索される語を集め、記事にする語を選び、記事どうしの重なりを避ける | 他社のサイトを何十件も見てきた経験 |
構成を決める | 見出しの順番、各見出しで答える内容、読者像の設定 | 読者の疑問を先回りする力 |
本文を書く | 調べ物、執筆、図表の指示 | 自社の商品知識と書く時間 |
公開前に点検する | 事実確認、見出しの重複、内部リンク、タイトルの字数 | 確認の順番を書いた表 |
公開作業 | CMSへの入稿、画像の用意、公開日の設定 | 手順書と管理画面の権限 |
公開後に計測して直す | 順位と流入の記録、書き直す記事の選定、修正 | 数字を読む習慣と分析ツール |
6つを並べてみると、必要になるものが工程ごとにまるで違うとわかります。公開作業は手順書さえあれば新人でも数日で回せます。対して狙う語を決める工程は、他社のサイトを何十件と見てきた蓄積がないと、選んだ語が妥当かどうかの見当すら付きません。同じSEOという言葉でくくられていても、社内に移す難しさには何倍もの開きがあります。

6工程に入らないサイトの内部対策
サイトの内部対策(テクニカルSEO)は、記事の6工程に入らないSEOの作業で、記事の担当者とは手を動かす人が違います。検索エンジンがページを正しく読み込み、検索結果に載せられる状態を保つための作業です。
作業の例には、検索結果に載っていないページの原因調べや、ページの表示速度の改善、同じ内容のURLが複数できたときの整理などがあります。どれもCMSの設定かサイトのコードを変える作業のため、直すのは社内の開発の担当か、サイトを作った制作会社です。
内製化で社内が持つのは、直す作業そのものより、直す箇所を見つけて、開発の担当か制作会社に直す順番を伝える役です。直す箇所を見つける役が決まっていないと、記事の本数が増えても、検索結果に載らないページが残ったままになります。
検索結果に載っていないページとその理由は、Google Search Consoleの「ページ インデックス登録」レポートで確かめられます。ページ数が500未満のサイトなら、レポートを使わなくても、Google検索で「site:自社のドメイン」と調べて主要なページが出てくるかを見れば足りることが多いです。出てこないページがあれば、レポートで登録されていない理由を確かめます。

※ 出典:Search Console ヘルプ「ページ インデックス登録レポート」
外注と内製化支援の線引き
外注は成果物を買う契約です。記事という形のあるものが納品され、社内には記事だけが残ります。対して内製化の支援は、判断の基準を社内に置いていく契約だと考えてください。狙う語の選び方、構成を確認するときの見方、原稿を差し戻す基準といった、記事そのものではない部分を渡す形になります。
区別が曖昧なまま「内製化を手伝ってほしい」と依頼すると、実態は記事の外注のまま費用だけが上がる、という結果になりかねません。依頼するときは、どの工程の判断を社内に残したいのかを先に決めておいてください。
社内に移す工程を決める前に、今の外注費が6工程のどこに使われているかを分けてみてください。多くの場合、請求書は「記事1本いくら」でしか分かれていません。制作会社に工程ごとの内訳を聞けば、社内で引き取れる部分がどこにあるか見当が付きます。
内製化の定義を一文に縮めるなら、内製化とは外注をやめることではなく、工程の担当を社内に移すことです。ここを取り違えたまま「今月から全部自社でやる」と決めてしまうと、いちばん重い執筆だけを抱え込み、効果を左右する狙う語の設計は誰も見ていない状態になります。
関連記事:SEO記事の品質基準を統一する方法|制作体制の最適化とチェックリスト活用術
SEOを内製化する企業が増えた背景
内製化を選ぶ企業が増えたのは、外注費の話だけが理由ではありません。検索結果の見え方が変わったことと、社内で書く手段が増えたことが重なっています。
検索結果の上部に生成AIによる要約が出るようになり、一般的な解説だけを並べた記事は読まれにくくなりました。では何が読まれるのか。自社が実際に扱った案件、顧客から受けた質問、現場でしか分からない制約といった、社外の書き手が取材しないと書けない情報です。取材のたびに日程を合わせる手間を考えると、社内で書いたほうが早い場面が増えてきました。

もうひとつが、生成AIの普及で下書きを作る時間が短くなったことです。ただし、下書きが速く出るようになったのは事実ですが、それが狙った語に対して妥当かを判断する工程は減っていないことに注意が要ります。書く時間が減った分だけ内製化が簡単になった、と受け取ると見込みを外します。
関連記事:ライター教育コストを削減する方法|外注・内製・AI活用の費用対効果と選び方
内製化で社内に残る3つのもの
内製化の利点として真っ先に挙げられるのはコスト削減ですが、弊社は最初の3つに入れていません。費用の話は後の章で扱うとして、ここでは外注では手に入りにくいものを3つ挙げます。
判断の理由が記録として残る
外注で納品されるのは記事です。その記事がなぜその語を狙い、なぜその構成になったのかという理由まではついてきません。内製化すると、選んだ語と選ばなかった語、採用した構成と見送った構成が社内の記録として残ります。
この記録が役に立つのは半年から1年後です。順位が思うように伸びなかったとき、当時どの判断をしたのかを追える会社と追えない会社では、次の一手の精度が変わります。記録がなければ、同じ検討を最初からやり直すほかありません。
現場の情報をそのまま記事にできる
営業が先週受けた質問、サポートに寄せられた問い合わせ、現場担当者が知っている例外条件。こうした情報は社内では当たり前すぎて、外部の書き手に渡す価値があると気づかれないまま埋もれがちです。社内に書き手がいると、会話の中で拾った内容がそのまま記事の材料になります。
とりわけ役に立つのが、顧客が実際に使う言い回しです。業界の正式名称ではなく顧客が検索窓に打ち込む言葉は、社内の会話を聞いている人にしか拾えません。
公開までの待ち時間が短くなる
外注では、構成の確認、原稿の確認、修正の反映と、やりとりのたびに数日が挟まります。1本あたり2週間から4週間かかるのは珍しくありません。社内で完結すれば、この待ち時間が消えます。
3つに共通するのは、記事の本数ではなく中身に効果がある点です。人の手で書く内製化に本数の増加まで期待すると、多くの場合は逆の結果になります。社内で本数を出すのに要るのは、書き手の人数ではなく、判断の基準を書き込んだ記事の型と、公開前に確かめる時間です。
関連記事:SEOエンジニアとは?仕事内容と必要スキルから任せる範囲まで解説
SEO内製化でつまずく4つの場所
内製化が止まる場所は、おおむね似通っています。人材が採用できないという話に見えて、実際の原因は別のところにあることが多いものです。
良し悪しを決める人が決まっていない
書き手は決まったものの、上がってきた構成と原稿を誰が見るのかが決まっていない状態が、いちばん多く見られます。確認する人がいないまま公開が続くと、3か月後に「順位が付かない」という結果だけが残り、どこを直せばよいのか分からなくなります。
判断する役は、必ずしも社内の人である必要はありません。書き手は社内、確認は外部という組み合わせで回している会社もあります。決めておくべきなのは、差し戻しの基準を誰が持つのかという点です。
月の本数が少なく習熟が進まない
内製化を月1本から始める会社は少なくありませんが、月1本では担当者が前回の記事の内容を忘れた頃に次の記事が来ます。前の記事で分かったことが次に生きません。回数をこなして身に付く種類の作業のため、間隔が空くほど習熟が遅れます。
目安としては、月3本前後が下限です。それ未満なら、無理に内製化の範囲を広げず、公開作業と点検だけを社内に置いて、書く部分は外に出したままにするほうが現実的でしょう。
担当者1人に集中する
1人が狙う語の選定から執筆、入稿までを抱えると、その人の異動や退職で全部が止まります。よく指摘されるリスクですが、実際に起きたときの影響は想像より大きく、引き継ぎの資料が残っていないと外注に戻すしか手がなくなります。
防ぎ方は単純で、判断の基準を文章にしておくことに尽きます。狙う語を選んだ理由、構成を通した基準、差し戻した箇所とその理由。書き留める先はスプレッドシートで足ります。
成果を測る時期が早すぎる
記事を公開してから検索結果で順位が安定するまでには、数か月かかります。新しく立ち上げたサイトなら、さらに時間がかかるでしょう。ところが社内では、四半期の区切りで成果を問われる場面が来ます。
- 3か月で順位が付かないことを理由に、内製化そのものを取りやめる
- 順位が動かないまま狙う語を毎月変え、どの語も評価が積み上がらない
- 公開本数だけを報告し、流入と順位の数字を並べない
- 記事の内容を変えずに、タイトルだけを何度も書き換える
とりわけ避けたいのが2つ目です。狙う語を毎月変えると、どの語についても検索エンジンからの評価が積み上がりません。半年は同じ方針で続けると先に決めておき、その代わり月ごとに見る数字を順位ではなく表示回数にしておくと、社内への説明が通ります。
3か月で順位が付かなければ、投資判断としては撤退が妥当ではないでしょうか。
編集部
撤退の判断自体は必要です。ただ、3か月時点で見る数字を順位にすると早すぎます。検索結果に表示された回数と、表示された語の一覧を見てください。狙った語の周辺で表示が増えているなら、評価は積み上がっている途中です。表示回数がまったく動いていない場合は、記事の中身ではなく狙う語の選び方を見直す合図になります。
4つを並べると、どれも人材の不足ではなく、決めていなかったことが原因だとわかります。書く人を探す前に、判断する役と本数と評価の時期を先に決めておきましょう。順序を入れ替えるだけで、止まる場所の半分は避けられるはずです。
書く人は決まったものの、原稿を通す基準が社内にない段階でしょうか
差し戻しの基準を先に作っておくと、書き手が変わっても品質が振れにくくなります。弊社の記事コンテンツの制作支援で構築するのは、編集者・ライター・監修者のチーム編成から、レギュレーションの策定、品質管理フローまでです。今の体制で誰が何を判断しているかをお聞かせいただければ、先に決めるべき項目をお伝えできます。
内製化で先に社内へ移す工程
ここからが本記事のいちばんの要点です。内製化の解説記事の多くは体制づくりと手順を示して終わりますが、実務で結果を分けるのは、6工程のどれから社内に移すかという順番のほうだと見ています。
移しやすさと効果は一致しない
内製化を始めるとき、多くの会社が執筆から手を付けます。外注費のうち大きな割合を占めているように見えるからです。ところが執筆は6工程の中でもっとも時間を食い、しかも狙う語の選定が外れていれば、どれだけ丁寧に書いても順位には結び付きません。
視点を変えて、工程を「社内で手順を文章にできるか」と「成果への効き方」の2軸で並べると、順番の見当が付きます。
工程 | 手順を文章にできるか | 成果への効き方 | 最初に移すか |
|---|---|---|---|
公開作業 | できる | 間接的 | 移す |
公開前の点検 | できる | 間接的 | 移す |
本文を書く | 一部できる | 中くらい | 段階的に移す |
構成を決める | 一部できる | 大きい | 支援を受けて移す |
公開後の計測 | 一部できる | 大きい | 支援を受けて移す |
狙う語を決める | 難しい | もっとも大きい | 外部の目を残す |
手順を文章にできる工程から移す
先に移すべきは、手順を文章にできる工程です。公開作業と公開前の点検がこれにあたります。派手さはありませんが、外注に出している場合の費用が意外と大きく、しかも1か月ほど制作会社と並走すれば引き取れます。
引き取りが早い理由は、正解が決まっているからです。画像の書き出し寸法、内部リンクの貼り方、公開日の設定。どれも判断ではなく作業で、間違いがあれば見ればわかります。新しく担当になった人も、表を見ながら手を動かせば同じ結果を出せます。
次に移すのは本文の執筆ですが、いきなり全量を引き取らないでください。月に出す本数のうち、自社の事例や顧客の質問が中身になる記事だけを社内で書き、一般的な解説にあたる記事は外に残しましょう。分け方の基準は、取材しないと書けないかどうかです。

狙う語の設計を最後に回す理由
狙う語を決める工程は、成果への影響がもっとも大きいのに、社内に移すのがもっとも難しいところです。理由は、判断の正しさが数か月後にしか分からないことにあります。
構成や原稿なら、その場で読んで良し悪しを見分けられます。狙う語の選定は違います。選んだ語で記事を出し、順位が付くかどうかを数か月待って、はじめて判断が妥当だったかが分かります。社内で1人が学ぼうとすると、1回の検証に数か月かかる計算になります。外部の会社が早く判断できるのは、多数のサイトで同時に検証した結果を持っているからです。
だからこそ、狙う語の設計だけは外部の目を残す形をお勧めしています。全部を外注し続ける必要はありません。年に2回ほど語の一覧を一緒に見直し、日々の記事制作は社内で回す形なら、判断の理由も社内に残ります。
社内に判断できる人がいない状態で狙う語を決めると、検索される回数が多い語ばかりを選びがちになります。検索回数が多い語は他社も狙っているため、立ち上げたばかりのサイトでは順位が付きません。半年書き続けても流入が増えない場合、原因は記事の質ではなく、この選び方にあることが少なくありません。
Googleが公開している資料にも、SEOを外部に依頼する場合と自社で進める場合の考え方が整理されています。社内で学ぶ範囲を決める出発点として、担当者に一度読んでもらうとよいでしょう。

※ 出典:Google 検索セントラル「SEO 業者の利用を検討する」
SEO内製化を進める5つの段階
順番の考え方を、実際の進め方に落とし込みます。期間の目安を添えていますが、社内の人数と月の本数で前後します。
制作会社に内訳を尋ね、6工程のどこにいくら使っているかを一覧にします。ここが分からないまま内製化を始めると、削減できた額も判断できません。1週間ほどで終わります。
手順書を受け取り、1か月は制作会社と並走しながら社内で回します。この段階で管理画面の権限を整理し、誰が公開ボタンを押すかを決めておきます。
構成を通す基準、原稿を差し戻す基準を1枚の表にします。書き手が読んで自己点検できる粒度まで具体的に書いてください。抽象的な項目だけの表は使われなくなります。
自社の事例や顧客の質問が中身になる記事から社内で書き始めます。月3本を下限の目安にし、下回る場合は執筆を移さず、外に残したままにします。
移した工程が回っているか、公開本数が落ちていないかを確認します。回っていなければ、その工程は一度外に戻してください。戻すことは失敗ではなく、順番の調整です。
段階を分ける狙いは、途中でやめられる状態を作っておくところにあります。全部を一度に移すと、うまくいかなかったときに何が原因か切り分けられません。1つずつ移せば、止まった工程だけを戻せます。
生成AIで変わる執筆工程の内製化
生成AIに下書きを書かせる場合、執筆工程の内製化で社内に残る仕事は、文章を書くことから、記事の型を持つことと公開前に確かめることへ移ります。記事の型とは、構成を通す基準と原稿を差し戻す基準を、AIへの指示文に書き込んだものです。
型に書き込む4つの項目
記事の型に書き込む項目は、次の4つです。どれか1つが抜けると、AIの下書きはその項目で基準から外れやすくなります。
- 狙う語と、ほかの記事と重ねない語
- 見出しの順番と、各見出しで答える内容
- 使ってよい自社の事実と数字
- 原稿を差し戻す基準
型を作るのは、書く前に判断を済ませておくことと同じです。狙う語の設計に外部の目を残す理由も、型を使う場合に変わりません。型に書いた狙う語が外れていれば、AIがどれだけ速く書いても順位には結び付かないからです。

本数の上限を決める公開前の確認
公開本数の上限を決めるのは、AIが書く速さではなく、公開前の確認にかけられる時間です。AIの下書きには、事実の誤りや、自社の商品・料金と食い違う記述が混ざることがあり、見つけやすいのは自社の事情を知っている人だからです。
型と確認の仕組みがそろえば、社内でも本数は出せます。弊社の自社ブログは、型に沿ってAIが書き、書く工程とは別の工程でAIが基準に照らして確かめる形で、2026年7月19日から毎日の公開を続けていて、7月19日以降に公開した記事は10月8日時点で785本です。重複して消した記事は、785本に含めていません。
弊社は、記事を質か量かの二択では考えていません。AIの進化と弊社代表のナレッジで、質を保ったまま量を出せるようになったためです。ただし、型と検品のないまま本数だけを増やす量産は勧めません。
社内で先に決めておくのは、1本の確認にかかる時間と、確認する人が月に使える時間です。月に使える時間を1本の確認にかかる時間で割った数が、公開してよい本数の上限になります。型を使い始めた直後は確認の手順に慣れるまで1本に時間がかかるため、月の本数は少なめから始めて増やしてください。
内製化の費用計算で抜ける項目
内製化を検討するとき、多くの会社は外注費と人件費を比べます。ただ、この比べ方では計算が合いません。抜け落ちやすい項目を挙げます。
内製化で増えるのは書く時間ではなく、読んで直す時間です。書き手が用意した原稿を読み、狙いと合っているかを判断し、直す箇所を伝えます。外注していたときは制作会社の中で完結していた工程が、内製化すると社内の誰かの予定に乗ります。
3,000字前後の記事1本で必要になる時間の目安は、書き慣れた担当者の場合で、狙う語と構成の検討に2時間から4時間、執筆に4時間から8時間、点検と入稿に1時間から2時間です。確認する側にも、構成で30分から60分、原稿で60分から90分がかかります。
※ 所要時間は担当者の経験、題材の専門性、社内確認の回数で変動します。専門的な分野や法務確認が必要な題材では、上の範囲を超えることもあります。
計算に入れ忘れやすい項目は次の4つです。
項目 | 内容 | 見落とすと起きること |
|---|---|---|
確認と差し戻しの時間 | 構成と原稿を読んで判断する時間 | 責任者の予定が埋まり、公開が滞る |
立ち上げ期の公開本数の落ち込み | 移した直後は本数が半分以下になる | 前年比で流入が減り、社内の評価が下がる |
調べる時間 | 検索エンジンの仕様変更を追う時間 | 古いやり方のまま記事を出し続ける |
分析ツールの費用 | 順位計測や競合調査のツール代 | 数字が見えず、書き直す記事を選べない |
立ち上げ期の落ち込みをどう扱うか
見落としの中でも影響が大きいのが、2つ目の公開本数の落ち込みです。工程を移した直後は、社内の担当者が手順に慣れるまで本数が落ち込むでしょう。外注で月10本出していた会社が内製化に踏み切ると、最初の2か月から3か月は月3本から5本まで下がるのが普通です。
落ち込みそのものは避けられません。避けられるのは、落ち込みを想定していなかったせいで社内の評価が下がることのほうです。移す前に、立ち上げ期に本数が減る期間と、どこまで戻す想定かを関係者に共有しておいてください。
立ち上げ期に公開本数を落とさず内製化を進めたい段階でしょうか
社内が手順に慣れるまでの数か月だけ、一般的な解説にあたる記事を外に出しておくと、公開本数を保ったまま移行できます。弊社では、自社で書く記事と外に出す記事の分け方から一緒に決めたうえで、外に出す分の制作をお引き受けしています。今の本数と社内の人数をお聞かせください。
完全内製と併用と外注の使い分け
最後に、3つの形を並べて比べます。どれが正しいという話ではなく、社内の人数と月の本数で選ぶものだと考えてください。
| 完全内製 | 併用(一部を外に出す)* | 全部外注 | |
|---|---|---|---|
| 向く月の本数 | 5本以上 | 3本以上 | 本数を問わない |
| 必要な社内の人数 | 2名以上(書き手と確認役) | 1名以上 | 0.2名程度(窓口のみ) |
| 立ち上げにかかる期間 | 6か月から12か月 | 2か月から3か月 | 2週間 |
| 自社の事例を書けるか | ◎ | ○ | △ |
| 担当者が抜けたときの影響 | × 大きい | ○ 分担で吸収できる | ◎ 影響しない |
| 判断の理由が社内に残るか | ◎ | ○ | × |
| 月の費用の目安 | 人件費のみ | 人件費と外注費 | 外注費のみ |
真ん中の併用をお勧めしているのは、止まったときに戻せるからです。完全内製は担当者が抜けた時点で全部が止まり、外注に戻すにも数か月かかります。全部外注は判断の理由が社内に残らず、契約が切れると何も残りません。併用なら、社内で持つ工程を増やしたり減らしたりしながら進められます。
- 月に3本以上を継続して出せる見込みがある
- 構成と原稿を読んで判断する役を決められる
- 立ち上げ期に本数が落ちることを関係者と共有できている
- 狙う語の選定を外部と一緒に見直す機会を持てる
- 判断の基準を書き留める場所が決まっている
5つのうち3つ以上に当てはまるなら、併用から始めて問題ありません。2つ以下なら、公開作業と点検だけを社内に置き、残りは外に出したままにするほうが現実的です。
記事制作を外に出すか社内で回すかの比べ方は、記事制作の外注と内製を比較する判断の考え方でも整理していますので、あわせてご覧ください。
よくある質問
内製化についてよくある質問を、7つにまとめました。期間と人数の見立てが社内の説明で必要になる場面が多いため、そこから答えています。
工程によって違います。公開作業と公開前の点検なら1か月ほどで引き取れます。執筆まで含めると3か月から6か月、狙う語の選定まで社内で判断できるようになるには1年以上を見てください。全部を一度に移そうとすると、どの工程も中途半端なまま止まります。
SEO対策の効果が出るまでは、一般に3〜6か月ほどかかります。期間はサイトの状態と狙う語の競合の強さで変わり、立ち上げたばかりのサイトや、競合の強い語を狙う記事ほど長くなります。内製化に切り替えた直後は公開本数が落ちやすく、本数が落ちた期間の分だけ、成果が出る時期も後ろにずれると見ておいてください。
併用の形なら1名から始められます。ただし書き手と確認役を1人が兼ねる状態は長続きしません。自分が書いた原稿の粗は自分では見つけにくいためです。確認役は、社内の別部署の方でも外部でも構いません。
下書きを作る時間は短くなります。一方で、出てきた文章が狙った語に対して妥当かを判断する工程は減りません。AIを入れると執筆の負担は下がり、確認の負担は変わらないか増えます。導入するなら、確認する人の時間を先に確保してください。
弊社は、AIが書いたかどうかより、検索した人の知りたいことに答えているかが問われると考えています。評価されないのは低品質な記事で、AIで作ったかどうかが問題になるわけではありません。社内でAIを使うなら、公開前に、読者の疑問に答えているかと事実が合っているかを人が確かめてください。
移した工程の分だけです。公開作業と点検を引き取った段階では、外注費は2割前後しか動きません。大きく減るのは執筆を移したあとですが、その分だけ社内の時間が使われます。減額そのものを目的にすると、途中で判断が揺れます。
戻せます。ただし、判断の基準と過去の記事の一覧が残っていないと、引き継ぎに数か月かかります。内製化している間も、狙った語と選んだ理由を記録しておいてください。戻すときの費用が変わります。
まとめ|内製化は工程ごとに決める
SEOの内製化は、外注をやめるかどうかの二択ではありません。内製化は全部か外注かではなく、工程ごとに決めるものです。6つの工程は必要な経験も習熟にかかる時間も違うため、まとめて扱った時点で判断を誤ります。
進め方を整理します。まず今の外注費を工程ごとに分け、次に公開作業と公開前の点検という、手順を文章にできる工程を社内に引き取ります。判断の基準を1枚の表にしてから、月3本以上を確保できる場合にかぎり執筆を移します。狙う語の設計には外部の目を残し、3か月ごとに範囲を見直してください。
執筆を生成AIに任せる場合も、移す順番は変わりません。判断の基準を記事の型に書き込み、公開前の確認にかけられる時間から月の本数を決めてください。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作と、社内で書ける体制づくりの支援を両方行っています。全部を引き受ける形も、社内で書く分を増やしながら足りない部分だけを担う形も、どちらにも対応しています。
記事コンテンツの制作支援の1つが、自社と取引先のサイトで毎日の公開に使っている記事の指示文を作るツールを、御社で回せる形でお渡しする支援です。公開前の確認は御社で行っていただきます。どの工程を社内に残したいのかが決まっていない段階でも構いません。
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どの工程から社内に移すか、線引きを一緒に決めませんか
今の外注の範囲、月の公開本数、社内で動ける人数をお聞かせいただければ、先に引き取る工程と、外部の目を残しておく工程の案をお出しします。内製化に進むかどうかを決めていない段階のご相談でも構いません。相談の時点で費用は発生しません。







