「何度直しても修正の指示が返ってくるのは、自分の語彙力が足りないからだろう」と受け止めてしまう場面があります。学校の作文では表現の豊かさをほめられる機会が多く、文章の良し悪しは言葉選びで決まると考えられてきたからです。ただ、言い回しを工夫して出し直しても、同じ箇所に同じ指摘が戻ってきます。
しかし、SEO記事や取材記事の制作で、事実の確認から構成、編集までを担ってきた弊社の立場から言えるのは、原稿が戻される原因の多くは語彙ではないということです。調べた事実と書き手の判断が、一つの段落に混ざっているのです。重要な情報を先に置き、事実には出どころを添え、書き手の見解はそれと分かる形で書いておきます。そうすれば読み手は、どこまでが確かめられた話で、どこからが書き手の見立てなのかを自分で見分けられるようになります。
本記事では、辞書に載っている記事文の意味と読み方から、新聞で使われてきた逆三角形の順序と、事実と意見を分ける書き方、Web記事に応用するときの調整まで、数多くのSEO記事や取材記事を手がけてきた立場で順を追ってお伝えします。
- 記事文の読み方と、辞書に載っている意味
- 感想文・意見文と記事文を分ける「主観の置き場所」
- 新聞で使われてきた逆三角形と5W1Hの使い方
- 事実と意見を混ぜずに書くための段落設計
- Web記事に記事文を持ち込むときに変える点と、公開前の点検項目
記事文とは、事実の記述を主とする文章のこと
記事文(きじぶん)は、出来事や物事を書き手の感想ではなく事実の記述を中心に書き表した文章、そしてその文体を指す言葉です。事実の記述を主とする文章と、その文体というのが辞書に示された輪郭で、記実文と呼ばれることもあります。
※ 出典: デジタル大辞泉「記事文」(コトバンク)

言葉としては古くから国語教育のなかで使われてきました。作文の種類を分けるときに、感想文や意見文、記録文などと並べて置かれる分類のひとつだと考えると位置づけがつかみやすくなるでしょう。
読み方と、辞書での扱われ方
読み方は「きじぶん」です。日常会話で口にする機会はほとんどありませんが、学校教材や作文指導の場面では今も使われています。新聞づくりの単元で「記事文を書きましょう」と指示された経験を持つ方も少なくないはずです。
一方、Webメディアの現場でこの言葉が飛び交うことはまずありません。編集者は「記事の文章」「本文」と呼びます。ただし呼び名が違うだけで、求められている性質は同じです。事実を土台に据え、読み手が自分で判断できる材料を渡す。この点で、学校で習う記事文と仕事で書くWeb記事の本文は地続きだといえます。
感想文や意見文と何が違うのか
違いは、書き手の主観をどこに置くかにあります。感想文は自分が感じたことそのものが中身であり、意見文は主張とその根拠が中身です。記事文は、起きたこと・確かめられたことが中身で、書き手の感情は前面に出しません。
ここで誤解されやすいのが、記事文には主観がまったく入らないという理解です。実際にはそうなりません。数ある事実のうち何を書き、何を落とすかという取捨選択の時点で、すでに書き手の判断が働いています。取材メモが原稿用紙十枚分あっても、記事に載るのは一部だけ。その一部を選ぶ行為が判断そのものです。

だからこそ現場では、主観を消そうとするのではなく、扱いを決めることを重視します。選んだ事実は出どころとともに示し、判断は判断だと分かる書き方をする。この線引きができている文章は、読み手が自分で検証できるため、結果として信頼されます。
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記事の種類によって、記事文に求められる要素は変わる
ひとくちに記事と言っても、ニュース、紹介、特集、解説と種類はさまざまです。どれも事実を土台にする点は共通していますが、事実と解釈の比重や、冒頭に置くべき情報は種類ごとに異なります。書き始める前に自分が書こうとしている記事の種類を確かめておくと、構成で迷う時間が短くなります。
| ニュース記事 | 紹介記事 | 特集・インタビュー記事 | 解説・ノウハウ記事 | |
|---|---|---|---|---|
| 主な目的 | 起きたことを速く正確に伝える | 対象の魅力と使いどころを伝える | 背景や人物像を掘り下げる | 読み手の疑問を解消する |
| 事実の比重 | ◎ | ○ | ○ | ○ |
| 書き手の解釈 | △ | ○ | ◎ | ◎ |
| 冒頭に置くもの | 結論となる事実 | 対象の概要と対象読者 | 話の入口となる場面 | 記事の結論と読者の悩み |
| 主な読者の状態 | 何が起きたか知りたい | 選ぶ候補を探している | 読み物として関心がある | 課題を解決したい |
表を眺めると、ニュース記事だけが極端に事実へ寄っていることが分かります。逆に解説やノウハウの記事は、事実を並べただけでは読み手の疑問が解けません。集めた事実にどんな意味があるのかという解釈が、記事の価値そのものになります。
つまり記事文の書き方は一種類ではないということです。事実の記述という土台は共通していて、その上にどれだけ解釈を積むかが種類によって変わる。この見取り図を持っていると、「もっと事実だけ書くべきか、それとも踏み込むべきか」という迷いに答えを出しやすくなります。
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記事文の基本は、結論を先に置く逆三角形の順序
新聞記事の文章は、最も重要な情報を先頭に置き、後ろに行くほど詳細や補足になる順序で書かれています。この構造が逆三角形と呼ばれるものです。見出し、リード文(前文)、本文という並びも、同じ考え方から生まれています。
※ 参考: 日本新聞協会NIE「新聞文章の特徴」

なぜこの順序が定着したのか。理由のひとつは紙面の制約にあります。紙面のスペースは有限で、組版の段階で記事を短く詰める必要が生じます。そのとき後ろから削っても意味が通るように書いておけば、書き直しをせずに調整できる。削っても成立する順序で情報を並べるという発想が、逆三角形の出発点です。

この制約は紙の話ですが、Webでも事情は似ています。読者は途中で読むのをやめる自由を持っていて、しかも紙よりはるかに簡単に離脱します。最後まで読まれない前提で情報を並べておくという意味で、逆三角形はWebの記事文とも相性が良いのです。
5W1Hをリード文に収める
リード文は、記事全体を数行で言い切る部分です。ここに5W1H、つまりいつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのようにを収めておくと、リードだけ読んだ人にも要点が伝わります。
ただし、六つの要素をすべて機械的に詰め込む必要はありません。実務では、その記事で最も伝えたい要素を先頭に持ってくる並べ替えを行います。人物の意外性が中心なら「誰が」から、時期が重要なら「いつ」から始める。要素の取捨と順番こそが編集の判断になります。
リード文が長くなる原因のほとんどは、5W1Hをすべて同じ重さで書こうとしていることです。まず一文で結論を言い切り、補足の要素は二文目以降に回すと、読みやすさが安定します。
Web記事ではPREP法と使い分ける
Webの解説記事でよく紹介されるPREP法は、結論・理由・具体例・結論の順に書く型です。逆三角形と混同されがちですが、目的が違います。逆三角形は記事全体の情報配置、PREP法は見出しひとつぶんの説明の組み立てに向いています。
実際の制作では、記事全体を逆三角形で設計し、各見出しの中身をPREP法で書くという二層構造をとることが多いです。冒頭で記事の結論を示し、個々の見出しでは結論から説明を始める。読者はどこから読み始めても、その段落の要点をすぐつかめます。
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事実と意見を混ぜないことが、記事文の精度を決める
記事文の出来を左右する最大の分岐点は、語彙でも構成でもなく、事実と意見の切り分けです。ここが崩れている原稿は、編集の段階で必ず差し戻しになります。
事実だけ書くようにと言われるのですが、そもそもどこからが意見なのか自分では判断がつきません。感想を書いたつもりはないのに、直しが入ってしまいます。
編集部
文単位で見分けようとすると難しくなります。おすすめは段落で分ける方法です。取材や資料で確かめた内容だけの段落を先に書き、その意味づけは次の段落に回す。段落が変われば、読み手も書き手も切り替えを意識できます。
事実の文と解釈の文は、段落を分ける。これだけで原稿の透明度は大きく変わります。事実、解釈、提案という三つを順番に置いていくと、読者は「どこまでが確かな話で、どこからが書き手の見立てか」を自分で判断できるようになります。

主観は形容詞と数量表現に忍び込む
原稿を点検するとき、編集者が最初に目を走らせるのは形容詞と副詞、そして数量をぼかす言葉です。形容詞と数量表現に主観がにじむためで、「非常に多くの企業が」「圧倒的な性能」「かなり改善した」といった表現は、書き手の印象を事実のように見せてしまいます。
- 多くの利用者が満足している(何人のうち何人かが不明)
- 圧倒的に使いやすいツール(比較対象が示されていない)
- 大幅に売上が伸びた(期間と基準がない)
- 業界で最も効果的な方法(根拠の提示がない)
これらは削るのではなく、数字と出どころに置き換えます。同じ内容でも「利用者アンケートで回答者の何割が満足と答えた」と書けば、読み手は自分で重みを判断できます。数字が手元にないなら、断定をやめて「〜という声が寄せられている」と、伝聞であることを明示する形に直します。
出どころを文の中に残す
新聞記事に「〜としている」「〜によると」という表現が頻出するのは、癖ではなく機能です。誰が言ったことなのかを文の中に残しておくと、事実と伝聞の境界が読者にも見えます。
Web記事でも同じ工夫が効きます。公的機関の統計を引くなら発表元と調査名を添え、リンクを置く。自社の実績を書くなら、いつの何件の話なのかを添える。出典を書けない情報は、記事文に載せないという判断を先に決めておくと、原稿を書きながら迷う場面が減ります。
記事文を書く手順を5つに分ける
書き方の型が分かっても、いきなり冒頭から書き始めるとたいてい途中で止まります。順番を分けて、そのときに考えることをひとつに絞るほうが速く仕上がります。
資料、取材メモ、公式サイトの記載などから材料を集めます。この時点では文章にせず、箇条の断片で構いません。出どころが確認できないものには印を付け、後で裏取りするか捨てるかを決めます。
集めた事実を、読者にとって重要な順に並べ替えます。ここで見出しの案が自然と立ち上がります。並べ替えの基準は書き手の書きやすさではなく、読者が知りたい順です。
記事全体の要点を数行で書きます。ここが決まらないうちに本文を書き進めると、後半で論点がずれていきます。うまく書けないときは、材料の整理がまだ足りていない合図だと考えてください。
各見出しの中身を、結論、理由、具体例の順で書きます。事実の段落と解釈の段落を分ける意識を持ったまま進めると、後の推敲が軽くなります。
書き終えたら、まず固有名詞・数字・日付・引用の確認だけを行います。そのうえで、文の長さや語尾の重複といった読みやすさの調整に移ります。二つを同時にやると、どちらも精度が落ちます。
手順を分ける利点は、迷いの種類が減ることにあります。材料集めの最中に文章表現を悩まず、推敲の最中に事実の真偽を悩まない。工程を切り分けるほど、一本あたりにかかる時間は安定していきます。
手順は分かっても、書く時間が確保できないときは
事実の収集から構成、執筆、事実確認まで、記事文の工程はどれも省略できません。社内の人手で回しきれない場合は、工程ごと引き受ける方法もあります。Writers-hubのSEO記事制作では、取材と裏取りを含めた制作体制でお手伝いしています。
Web記事として読まれる記事文にする書き方
紙の記事文とWeb記事の本文は、土台こそ同じですが、読まれ方が違います。Webの読者は画面をスクロールしながら拾い読みし、目的の情報が見つからなければ検索結果に戻ります。この前提に合わせて、いくつか調整を加えます。
一文は短く、段落は数文で切る
一文が長くなるほど、主語と述語の距離が開き、読み違いが起きやすくなります。目安として、一文に読点が三つ以上入ったら分割を検討してください。「〜であり、〜だが、〜のため、〜となる」と続く文は、たいてい二文か三文に割れます。
段落も同様です。画面上では文字の塊が大きく見えるため、三文から四文でひと区切りにすると読み進めやすくなります。改行を入れる位置は、話題の切れ目に合わせるのが基本で、見た目だけを整えるために意味の途中で切ると逆効果になります。
見出しだけを拾い読みする読者を想定する
多くの読者は、まず見出しに目を走らせて、自分に必要な部分だけを読みます。したがって見出しは、内容の要約になっていなければ機能しません。「ポイント」「注意点」といった中身のない見出しでは、拾い読みの読者を素通りさせてしまいます。
もうひとつ効くのが、見出しの直後に結論を置くことです。見出しで関心を持った読者が最初の一文で答えに出会えると、そのまま先を読み進めてくれます。
見出しだけを上から読み下してみて、記事の要旨が伝わるかどうかを確かめてください。伝わらない場合は、見出しの文言か、記事全体の構成のどちらかに手を入れる必要があります。
公開前に点検する項目を決めておく
推敲を感覚で行うと、日によって精度が変わります。点検する観点を先に決めておき、順に確かめる形にすると、書き手が変わっても品質が揃います。
- 固有名詞、数字、日付、金額を出どころと突き合わせた
- 引用した情報に発表元と調査名を添えた
- 同じ語尾が三回以上続いていない
- 指示語が何を指すか、前の文だけで判断できる
- 事実の段落と、書き手の解釈の段落が分かれている
- 見出しだけを読んで記事の要旨が伝わる
- 一文に読点が三つ以上並んでいる箇所を分割した
これらは特別な技術ではありませんが、締め切り前に慌てて書いた原稿ほど守られなくなります。チェックの工程を執筆と切り離し、可能なら書いた本人以外の目を通すことをおすすめします。書き手は自分の文章の意味を知っているため、説明の抜けに気づきにくいのです。
記事文の書き方を社内で安定させる進め方
一本の記事を書けるようになることと、複数人で書いても品質が揃うことは、別の課題です。担当者が増えるほど、事実の扱いや語尾、見出しの立て方に差が出ます。体制をどう組むかによって、対処の仕方も変わります。
| 社内で内製する | 外部に外注する | 内製と外部編集の組み合わせ | |
|---|---|---|---|
| 立ち上がりの速さ | △ | ◎ | ○ |
| 一次情報の入れやすさ | ◎ | △ | ◎ |
| 品質のばらつき | △ | ○ | ◎ |
| 本数を増やしたときの負荷 | × | ◎ | ○ |
| 社内にノウハウが残るか | ◎ | △ | ◎ |
内製は自社にしかない情報を書ける強みがある反面、書き手の力量差がそのまま品質差になります。全面的な外注は本数を伸ばしやすい一方、現場の一次情報が薄くなりがちです。実務で最も安定しやすいのは、事実の提供と一次情報は社内が担い、構成と編集の基準を外部の編集者が支える組み合わせでしょう。
進め方としては、まず自社の記事に必要な観点を書き出した点検リストを作り、それを執筆前の依頼書にも使うことから始めるのが現実的です。書き手に渡す指示と、公開前に確かめる基準を同じ文書で揃えると、修正のやり取りが目に見えて減っていきます。
書ける人を社内で増やしたいと考えているなら
点検リストの作成、構成の型づくり、編集者によるレビューまでを外から支えると、社内の書き手が育つ速度は変わります。Writers-hubでは、記事制作の内製化に向けた体制づくりからご一緒しています。
記事文についてよくある質問
作文は自分の体験や感じたことを書く文章を広く指します。記事文はそのなかでも、事実の記述を中心に据えた文章を指す呼び方です。同じ出来事を書いても、感じたことが中心なら感想文、確かめられた事実が中心なら記事文になります。
書いても問題ありません。大切なのは、事実と意見が読者から見て区別できる形になっていることです。段落を分ける、根拠を添える、伝聞なら出どころを示すといった手当てをすれば、意見を含む記事文でも信頼は損なわれません。
決まった目安はなく、伝えるべき事実の量で決まります。文字数を先に決めて書き始めると、内容を薄めるか詰め込むかのどちらかになりがちです。集めた材料を並べてから、読者が判断するために必要な範囲を残す順序をおすすめします。
事実を先に置き、5W1Hを冒頭でそろえるという基本は共通しています。違いは読まれ方で、紙面では限られた面積に収める工夫が、Webでは拾い読みに耐える見出しと短い段落が求められます。
まとめ
記事文とは、事実の記述を主とする文章とその文体を指す言葉です。辞書上の定義は短いものですが、実際に書こうとすると、事実をどう集め、どう並べ、どこまで解釈を加えるかという判断が次々に必要になります。
押さえるべき点は多くありません。重要な情報から順に置く逆三角形の順序を守ること、5W1Hを冒頭でそろえること、そして事実の段落と解釈の段落を分けること。この三つを意識するだけで、原稿の読みやすさと信頼性は変わります。Web記事に応用するときは、拾い読みされる前提で見出しと段落の長さを調整してください。
合同会社Writers-hubでは、SEO記事や取材記事の制作を通じて、事実の裏取りから構成、編集までを一貫して担っています。書き方は分かったものの社内で回しきれない、あるいは複数人で書いたときに品質が揃わないといったお悩みがあれば、現状を伺うところからお手伝いできます。
いま書いている記事文の課題を、いちど整理してみませんか
事実の集め方でつまずいているのか、構成の型が定まっていないのか、それとも人手の問題なのか。つまずいている工程によって、打つべき手は変わります。現状を伺ったうえで、進め方の選択肢をお伝えします。








