「弁護士のSEOも、ほかの業種と同じように、専門性と実績を前面に出せば相談が増えそう」。SEOの解説記事では、Googleが重視するE-E-A-Tの「専門性」を示す施策として、専門分野を名乗るページや実績件数の掲載がよく勧められるためです。ところが、日本弁護士連合会の指針では「専門」の表示は控えるのが望ましいとされ、解決事例も原則として依頼者の同意がなければ載せられません。弁護士のSEOは、一般的な施策を業務広告の規程に合わせて直してから進めます。
本記事では、狙うキーワードの選び方から、相談につながるページの構成、規程に沿った書き方、外注するときの確認まで、SEO記事の制作に携わる記事制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- 弁護士のSEOでは、取扱い分野と地域を組み合わせたキーワードで分野ごとのページを作り、悩みを調べる検索には解説記事で答える
- 分野のページでは「専門」と名乗らず、「取扱い分野」や「得意分野」と書く
- 勝訴率は表示できず、解決事例は依頼者の同意など、規程の定める条件を満たすものだけを載せる
- 広告の業務を委託した事業者との契約書と支払いの記録は、広告が終わってから3年間保存する
- 外注しても、法律の記述が正しいかは弁護士が確かめてから公開する
弁護士のSEOで相談が増える仕組み
弁護士のSEOは、法律の悩みを抱えた人が検索したときに、事務所のサイトのページを検索結果の上位に表示させる取り組みです。相談者は弁護士に連絡する前に、事務所を探す検索と、悩みそのものを調べる検索の両方を使います。どちらの検索にも事務所のページが表示されれば、相談者が事務所を知る機会が増えます。
リスティング広告は、費用の支払いを止めると表示されなくなります。検索結果の上位に入ったページは、順位が保たれている間、クリックごとの費用をかけずに表示され続けます。
離婚や相続、借金の悩みは、Googleが「YMYL」と呼ぶ、人の経済的安定などに大きく影響するトピックにあたります。Googleは、YMYLのトピックでは、書き手の経験や専門性、信頼性などを表すE-E-A-Tが優れたコンテンツを特に重視すると説明しています。弁護士が氏名を出して書いた解説は、書き手の経験と専門性を読者にもGoogleにも示せます。
ポータルサイトに事務所を載せていれば、事務所のサイトでSEOまでしなくてもよいのではないでしょうか。
編集部
ポータルサイトから相談が来ているなら、掲載を続ける意味はあります。ただ、2026年10月に「交通事故 弁護士 横浜」で検索すると、上位10件のうち6件は法律事務所のサイトで、弁護士を探すポータルサイトは3件でした。事務所のサイトも上位に入れるので、ポータルサイトと事務所のサイトの両方から相談を受ける形を目指せます。
弁護士のSEOで狙うキーワードの選び方
弁護士のSEOで狙うキーワードは、相談者が検索する目的によって次の3種類に分かれ、どれも受任を増やしたい取扱い分野から選びます。分野を決めずに語を集めると、受けていない分野の記事が増え、相談につながらないアクセスばかりが増えるためです。
検索の目的 | キーワードの例 | 答えるページ |
|---|---|---|
事務所を探す | 離婚 弁護士 大阪 | 取扱い分野のページ |
悩みを調べる | 相続放棄 期限 | 解説記事 |
弁護士費用を調べる | 交通事故 弁護士 費用 | 費用のページ |
取扱い分野と地域を組み合わせたキーワード
取扱い分野と地域を組み合わせたキーワードは、依頼する弁護士を探している人が打つ語で、3種類のうち最も相談に近い検索です。2026年10月に「離婚 弁護士 大阪」で検索すると、上位10件のうち7件が法律事務所のサイトでした。残りの3件は、大阪弁護士会や大阪市の相談窓口のページと、弁護士の一覧を載せたサイトです。
上位に入った法律事務所の7件は、どれもページのタイトルに「離婚」を入れていました。地域と分野の検索には、分野ごとに1ページを作って答えます。1つのページに全分野を並べると、タイトルに入れられる分野が限られるためです。
地域名を含む検索では、検索結果にGoogleマップの事務所の一覧が表示されることもあります。地図の一覧に事務所を載せるには、Googleビジネスプロフィールに事務所を登録します。
相談者が悩みを調べるキーワード
悩みを調べるキーワードは、弁護士に頼むかをまだ決めていない人が打つ語で、解説記事で答えます。2026年10月に「相続放棄 期限」で検索すると、1位は裁判所のページで、上位10件には司法書士事務所や銀行のページも入っていました。
手続の決まりは裁判所のページが答えているため、事務所の記事では、決まりを読者の事情に当てはめたときに分かれる場面と、弁護士に頼むと何が変わるかを書きます。
相談につながる事務所サイトのページ構成
相談につながる事務所サイトは、取扱い分野のページを中心に5種類のページで組み立て、検索から来た相談者が依頼先を決める材料をそろえます。作る順番は次のとおりです。
分野ごとに1ページを作り、扱う相談の内容と解決までの流れ、その分野の費用の目安などを書きます。タイトルと見出しには地域名と分野名を入れます。
着手金や報酬金、実費などの違いと、それぞれを払う時期を書きます。相談料が無料になる条件があれば、条件も書きます。
弁護士の氏名と所属弁護士会のほか、経歴や扱ってきた分野を書きます。氏名と所属弁護士会(弁護士法人は、法人と事務所の名称、所属弁護士会)は、規程が広告に表示するよう定めている事項です。
事例ごとに、相談の内容と弁護士がとった手段、結果などを書きます。依頼者の同意など、規程の定める条件を満たす事例だけを載せます。
悩みを調べる検索に答える記事を、分野ごとに書き足します。記事の最後には、同じ分野の取扱い分野のページへの案内を置きます。
5種類のページは、内部リンクでつなぎます。解説記事から取扱い分野のページへ、取扱い分野のページから費用と弁護士紹介のページへ案内すると、記事を読んだ相談者が費用と弁護士を確かめてから問い合わせられます。

電話やメールなどの通信手段で受任する場合を広告するときは、規程第9条の2により、次の3つも表示します。
- 受任する法律事務と、その範囲
- 報酬の種類、金額、算定方法、支払時期
- 委任契約を途中で解除できることと、途中で終わったときの清算の方法
どの分野のページから作るか、決まっていますか
取扱い分野が多い事務所ほど、どの分野から作るかで、最初の数か月に公開するページが変わります。弊社のキーワード戦略の設計では、分野と地域ごとに検索結果の上位を確かめ、作るページとその順番を決めます。
業務広告規程で注意する表現と言い換え
相談者を事務所に誘うことを主な目的にしたページは、日本弁護士連合会の「弁護士等の業務広告に関する規程」でいう広告に当たります。規程と、規程の解釈を示した「業務広告に関する指針」には、一般的なSEOの施策で使われる表現のうち、禁じられているものや控えるよう求められているものがあります。

※ 出典:日本弁護士連合会「弁護士等の業務広告に関する規程」
指針は、法律問題を解説する動画でも、最後に「○○の相談は当事務所へ」と表示する例は、顧客を誘う目的と認められうるとしています。解説記事でも、相談の案内を主な目的にするなら広告に当たりえます。
「専門」と書かない分野の示し方
「離婚専門」「相続のスペシャリスト」のような表示は、指針が控えるよう求めている表現です。指針は、何を基準に専門分野と認めるかの判定が今は難しく、客観性が担保されないまま表示すると誤導のおそれがあるとしています。「プロ」「エキスパート」も同じ扱いです。
分野を示すときは、指針が違反しないとしている、または勧めている次の書き方を使います。
指針での扱い | 書き方の例 |
|---|---|
専門の評価を伴わない表示 | 取扱い分野、取扱い業務 |
弁護士の主観的な評価と分かる表示 | 得意分野 |
経験が多くない分野に勧められている表示 | 積極的に取り組んでいる分野、関心のある分野 |
得意分野は、実際には得意でない分野に使うと規程違反になりえます。指針で「控えるのが望ましい」とされた表示は、使っても直ちに規程違反とはされませんが、ほかの行為と併せて違反かを判断する材料にはなりえます。
勝訴率と解決事例の載せ方
勝訴率は、規程第4条が広告に表示できないと定めている事項です。指針も、勝訴率の表示を誤導または誤認のおそれのある広告の例に挙げています。
過去の事件は、規程が認める3つの場合にしか広告に載せられません。次の3つのどれかに当たれば、解決事例として載せられます。
- 依頼者の書面か電磁的方法による同意がある事件
- 判例集や新聞などで広く知られ、依頼者の利益を損なうおそれがない事件
- 依頼者が特定されず、依頼者の利益を損なうおそれがない事件
依頼者が特定されないかは、名前を伏せたかだけでなく、実際に特定されないかで判断されます。同意を得たときは、同意の書面かデータを、広告が終わってから3年間保存します。

解決事例とお客様の声では、次の書き方も、指針が事実に合致しない広告や誤導のおそれがある広告の例に挙げています。
- 架空の解決事例や、実際の結果を脚色した事例
- 実在の依頼者が関わっていない「お客様の声」
- ほかの事件の結果を挙げて、読者も同じ結果になると思わせる書き方
報酬と比較の表現
報酬の書き方では、指針が「割安な報酬で事件を受けます」「業界最低水準の弁護士報酬」を、曖昧または不正確な表現の例に挙げています。「着手金0円」と書きながら手数料などを別に受け取る場合も、別に受け取ることをはっきり書いていなければ、不正確な表現に当たります。
「24時間365日相談対応」は、弁護士が直接対応する体制が整っていない場合、誤導のおそれがある表現の例です。検索結果でクリックを集めるためにタイトルや説明文へ入れたくなる語ほど、体制と報酬の実態に合っているかを確かめます。
特定の弁護士や事務所と比べた広告は、規程第3条で禁じられています。「最も」「一番」のような最大級の表現や、「常勝」「不敗」のような結果を約束する語も、文脈によっては規程に反するため、タイトルと見出しに使いません。

※ 出典:日本弁護士連合会「業務広告に関する指針」
弁護士のSEOは自分で進めるか外注するか
弁護士のSEOを自分で進めるか外注するかは、解説記事を書く時間を弁護士が取れるかで決めます。法律の記述の確認は、外注しても弁護士が担います。記事を書く時間が取れない事務所は原稿づくりを外注し、弁護士は聞き取りへの回答と原稿の確認に時間を使います。
- キーワードの調査と、分野ごとに作るページの計画
- 弁護士への聞き取りをもとにした解説記事の原稿
- タイトルや見出し、内部リンクの設定
- 記事で示す法律の解釈と事件の見通し
- 原稿の法律の記述が正しいかの確認
- 解決事例を載せるための依頼者の同意
- 規程に沿った表現かどうかの最終判断
弁護士の確認は、原稿ができてから公開するまでの間に必ず入れます。法改正の前の条文のまま書かれた記述や、規程に触れる表現は、公開する前なら直すだけで済むためです。

弁護士以外の書き手が書いた原稿を弁護士が確かめる進め方は、記事監修と同じ形で組めます。監修の頼み方と費用は、記事監修とは?費用相場と依頼先の選び方、監修をつける記事の決め方で解説しています。
外注先を選ぶときに確かめること
外注先を選ぶときは、次の5つを契約の前に確かめます。
- 「専門」の表示や解決事例の載せ方など、業務広告規程と指針の決まりを知っているか
- 検索順位を保証すると言っていないか
- 成功報酬型なら、どのキーワードの何位から費用が発生するか
- 相談や受任の件数に応じて費用を払う契約になっていないか
- 弁護士が原稿を確かめてから公開する工程があるか
Googleも、掲載順位を保証すると主張する業者には注意するよう呼びかけています。相談や受任の件数に応じて費用を払う契約は、弁護士職務基本規程第13条が支払いを禁じる、依頼者の紹介を受けたことへの謝礼や対価に当たらないかを、契約書の報酬の条件で確かめます。
外注先との契約書と支払いの記録の保存
広告に関する業務を委託した事業者(SEO会社や記事制作会社への依頼もこれに当たります)との契約書と支払いの記録は、依頼した広告が終わってから3年間保存します。2025年12月の規程改正で、広告業者との契約の内容を示す書類と入出金の記録が保存するものに加わり、2026年7月1日から適用されています。
指針は、広告に関する業務を委託した事業者を、契約の形や名称を問わず広告業者としています。見積書や発注書、請求書、報酬についてやり取りしたメールも保存する書類に含まれます。SEOのために第三者が管理するWebサイトを使う場合は、広告配信の方針や報酬が発生する条件を書いた資料も保存します。
Webサイトの広告は、報酬額のような重要な広告事項を変えたときや、ページを全面的に書き換えたとき、変える前と後のデータを両方保存します。SEOのために取扱い分野のページや解説記事を大きく書き直すときは、書き直す前のページを保存してから公開します。頻繁に書き換える細かな事項の修正は、修正の前後で同じ広告とみなされます。
弁護士の時間を、原稿の確認に絞れていますか
解説記事を外注すると、弁護士の作業は聞き取りへの回答と、原稿の法律の記述の確認に絞れます。弊社のSEO記事の制作では、キーワードの調査から構成、原稿の執筆までを担当し、弁護士の確認を経てから公開する流れで進めます。
弁護士のSEOでよくある質問
弁護士のSEOでよく聞かれる質問は3つあります。
新しく作ったページが検索結果の上位に入るまでには、数か月はかかると見ています。開設したばかりのサイトは、すでに検索から人が来ているサイトより時間がかかる傾向があります。期間の見積もり方は、SEO対策のスケジュールの立て方|効果が出るまでの期間と12か月の例で解説しています。
AIで書いた解説記事も、事務所のサイトに載せられます。Googleは、コンテンツがどのように作られたかではなく、品質を重視すると説明しています。ただし、記事に誤りがあれば、書いたのがAIかどうかに関係なく、規程が禁じる事実に合致しない広告になりえます。法改正の前の条文や古い基準のまま書かれていないかを、弁護士が確かめてから公開します。
規程に反する広告を出すと、所属弁護士会から広告の中止や排除などを命じられることがあります。弁護士会は広告の記録の提出を求めて調べることができ、命令に従わない場合などに、被害の発生を防ぐため特に必要があるときは、命令の事実と理由の要旨を公表できます。ページに書いた実績の数字は、事実だと証明するよう弁護士会から求められることがあり、証明できなければ事実に合致しない広告とみなされることがあります。
まとめ|弁護士のSEOは業務広告規程の範囲で進める
弁護士のSEOは、取扱い分野と地域のキーワードで分野ごとのページを作り、悩みを調べる検索に解説記事で答える点で、ほかの業種と変わりません。違うのは、何をどう書くかを業務広告規程に合わせる点です。「専門」と名乗らずに取扱い分野で示し、解決事例は依頼者の同意など規程の定める条件を満たすものだけを載せ、広告の業務を委託した事業者との契約書と支払いの記録は、広告が終わってから3年間保存します。
私たち合同会社Writers-hubは、SEO記事の制作とキーワード戦略の設計を手がけてきました。どの分野のページから作るか、解説記事を誰がどう書くかから、ご相談いただけます。
事務所のサイトに、どの分野のページが足りないか分かっていますか
取扱い分野のページと解説記事のどちらが足りないかは、分野ごとの検索結果に事務所のページが出ているかを見ると分かります。事務所のサイトのURLと、受任を増やしたい分野をお知らせいただければ、足りないページと作る順番を一緒に確かめます。







