「2023年のSEOといえば、検索にAIが載った年ですよね」。当時を振り返る会話は、たいていこの一言から始まります。年末に並んだセミナーの案内も業界ニュースの見出しも生成AIの話題に集まっていたため、2023年はAI検索が始まった年として記憶されているのでしょう。
しかし、AIを工程に組み込みながらこれまで数多くのSEO記事を制作してきた弊社の立場から申し上げると、日々の作業をいちばん動かしたのは検索画面の見た目ではなく、2023年2月にGoogleが公開した一枚の指針でした。「制作方法ではなく品質で評価する」という一行が、記事の責任の置き場を書き手から確認する側へ移したと見ています。
本記事では、2023年に起きた出来事の並びから、それが2026年の制作工程にどう残ったのか、そしてあの頃に量を作った記事をどこから直すのかまで、AIを使って記事を作る側の視点で順を追って解説します。
- 2023年にGoogleが動かした出来事と、それぞれの性質の違い
- AIで書いた記事の扱いについて、2023年2月に示された線引き
- 2023年の出来事が2026年の制作工程に残した3つの変化
- AIの下書きを公開できる状態にするまでの5つの確認工程
- 2023年ごろの資料をそのまま使うと手戻りになる5つの対策
2023年にGoogleが動かした出来事
2023年は更新の回数が多く、当時の担当者がどれに反応すべきか迷った年でした。まずは何がいつ起きたのかを並べます。
時期 | 出来事 | Googleが示した判断 |
|---|---|---|
2月 | AI生成コンテンツについての指針の公開と商品レビューの更新 | 制作方法を問わず出来上がりの品質で評価する |
3月 | 3月のコアアップデート | 検索全体の採点基準の見直し |
4月 | レビューアップデート | 商品やサービスを評価する記事の入れ替え |
5月 | Search Generative Experience(SGE)の発表 | 検索結果の上部でAIが答えを組み立てる形 |
8月 | 8月のコアアップデート | 採点基準の見直し |
9月 | 役立つコンテンツアップデート | 読者のために書かれた記事かどうかの選り分け |
10月 | コアアップデートとスパムアップデート | 採点基準の見直しと違反ページの排除 |
11月 | コアアップデートとレビューアップデート | レビューの評価を継続して動かす形へ |
12月 | Geminiの発表 | 検索やサービスに組み込むAIモデルの刷新 |
一覧にすると、2023年の出来事は性質の違う3種類が混ざっていたことがわかります。判定の方針を示したもの(2月)、検索の形そのものを変えるもの(5月と12月)、順位を動かす更新(3月以降)です。混ざったまま読むと、どれに合わせて作業を変えるべきか判断できません。

2月に公開されたAI生成コンテンツの指針
2023年2月、Googleは検索とAI生成コンテンツについての考え方を公開しました。示されたのは2点で、制作方法を問わず品質の高いコンテンツを評価すること、そして検索順位の操作を主な目的とした自動生成はスパムポリシーの違反に当たることです。

つまり、AIで書いたかどうかは、それだけでは順位の判定材料になりません。当時この文書は「AI記事が公認された」と受け取られましたが、実務で起きた変化はもう少し厄介でした。作り方を問われなくなった代わりに、出来上がりの品質を説明する責任が、作る側にまとめて残ったのです。
外部のライターに書いてもらっていた頃は、書き手の経歴や実績が品質の裏付けとして機能していました。下書きをAIが出すようになると、その裏付けは使えません。残るのは、公開前に誰が何を確認したかという記録だけです。
5月に発表されたSGEが変えた前提
2023年5月のGoogle I/Oで、Googleは検索結果の上部でAIが答えを組み立てるSearch Generative Experienceを発表しました。同年8月30日には日本語版の試験提供も始まり、国内でも実際の画面を確認できるようになりました。
当時は「検索が終わる」という論調が目立ちましたが、制作の現場で本当に変わったのは記事のどこが読まれるかという点でした。要約の材料として抜き出されるのは記事全体ではなく、問いに直接答えている数文です。
2023年の時点でこの変化に気づけた会社は限られていました。SGEは試験提供で、日本語の検索結果に常時出るものでもなかったためです。ただ、当時から見出しの直下で答え切る書き方にしていた記事は、2024年8月に日本語のAIによる要約が正式に始まったあとも、構成を組み替え直す作業が要りません。要約の材料として抜き出される数文が、すでに見出しのすぐ下に置かれているためです。
9月から11月に重なった5回の更新
2023年の秋は更新が詰まりました。9月に役立つコンテンツアップデート、10月にコアアップデートとスパムアップデート、11月にコアアップデートとレビューアップデートと、3か月で5回動いています。
この時期に受けた相談でいちばん多かったのが「どの更新で落ちたのか分からない」という声でした。展開に2週間から4週間かかるため、順位が下がり始めた日付から更新を特定するやり方が、ここで通らなくなったのです。
とりわけ見落とされがちなのが、11月のレビューアップデートが、名前を付けて告知された最後のレビュー更新になったという点です。Googleの資料には、レビューの評価は継続的に改善されていると記載されています。更新の履歴を見ても、2023年11月以降にレビューの更新が告知された記録は残っていません。
※ 出典: Google 検索のランキング アップデート、レビュー システムと Google 検索結果(Google 検索セントラル)
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2023年の出来事が今に残した3つの変化
ここが本記事のいちばんの要点です。2023年に起きたことを2026年の作業に置き換えると、残ったものは3つに絞られます。
品質の責任が書き手から確認側へ移った
2月の指針以降、記事の評価は誰が書いたかを離れ、出来上がりの内容へ寄りました。AIが下書きを出す前提に立つと、品質を左右するのは書き手の選定ではなく、公開前の確認工程です。
品質の責任は、書き手の選定から公開前の確認へ移りました
2023年以前の制作会議では「このライターに任せて大丈夫か」が議題でした。2026年の会議では「この下書きの何を人が確かめるか」が議題になります。同じ品質管理という言葉でも、目を向ける場所が入れ替わっているのです。
引用される単位が記事から一節へ縮んだ
AIが答えを組み立てる画面では、記事が丸ごと読まれることはありません。抜き出されるのは、問いに答えている数文だけです。
つまり、引用されるのは記事ではなく、問いに答えた一節です。記事全体の完成度が高くても、答えが本文の中盤に埋まっていれば材料として選ばれにくくなります。1つの見出しで1つの問いに答え、その直下で答え切る構成が有利になったのは、この理由からでしょう。
更新を待って直す段取りが成り立たなくなった
2023年11月のレビューアップデートが、名前を付けて告知された最後のレビュー更新となり、2024年3月には役立つコンテンツの判定もコアの採点へ組み込まれました。個別の更新を待ってから対応するという段取りは、ここで機能しなくなっています。
影響は、直す速さに出ます。更新の時期を待たずに評価が動く代わりに、放置している薄い記事も同じ周期で採点され続けるからです。

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2023年の情報のまま残っている対策
当時の資料を今でも見かけますが、そのまま作業手順に使うと手戻りが出ます。相談の場でよく残っているものを並べます。
- AIの使用そのものを社内で禁じ、下書きの確認手順を決めないままにする
- 「人の手を入れました」と書き添えることで、品質の説明を済ませる
- 更新の告知を待ってから、記事の直し方を決める
- 上位記事の平均より長く書くことを、文字数の基準に置く
- AI検索への対応を、通常の検索対策とは別の施策として切り分ける
1番目は、2月の指針を読み違えた形です。禁じても品質は上がらず、確認の手順がないまま外注先の判断に委ねる状態が続きます。2番目も成果物の説明としては弱いままです。誰が何を確認したのかが書かれていなければ、読者にも社内の承認者にも判断材料が渡りません。
4番目の文字数は、2026年になっても見直しが進んでいない手順です。2023年ごろは上位記事の平均より長く書くやり方が広まりましたが、答えが短い問いに長文を当てても選ばれません。長さは読者の疑問が尽きるところで決めるものだと考えています。
5番目は費用の無駄につながります。AIによる要約に取り上げられる材料は、通常の検索で上位に入っている記事から選ばれる場面が多いと見ています。別枠の施策を立てる前に、検索で読まれる記事になっているかを確認してください。
5つのうち、方針として社内に残りやすいのが1番目です。相談の場では、次のような形で質問をいただきます。
社内では、AIで書いた記事はGoogleに見抜かれるという前提で使用を禁止しています。この方針は続けたほうがよいのでしょうか。
編集部
禁止そのものが順位を守ることにはつながりません。2023年2月の指針で、Googleは作り方ではなく出来上がりで評価すると示しています。決めるべきは使うかどうかではなく、下書きのどこを人が確認して公開するかという手順のほうです。
禁止の方針が社内に残っているうちは、確認の手順を作る動機も生まれません。線を引く場所を「使う・使わない」から「何を確かめたら公開する」へ移すところから始めてください。
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AIで書いた記事が評価される条件
では、下書きの何を確認すれば公開できる状態になるのか。弊社が制作でたどっている順番を5つに分けます。前の工程を飛ばすと、後ろの工程で直す量が増えます。
1つの見出しで2つ以上の問いに答えている箇所を分けます。まとめて答えている見出しは、要約の材料として抜き出されにくく、読者も自分が知りたい部分を探すことになります。
見出しの次に来る2文から3文で結論を出します。前置きや定義の確認を先に置く構成は、2023年以前の書き方です。順番を入れ替えるだけの作業のため、既存の記事にも当てられます。
AIの下書きに含まれる数値、日付、社名、URLを、公式の資料で1件ずつ確認します。実在しない出典が混じったまま公開され、あとから訂正になった例を何度も見てきました。
価格の実例、うまくいかなかった条件、自社で測った数字を入れます。下書きに足りないのはこの部分だけ、という記事が多いはずです。
Search Consoleで、その記事が表示されている検索語を見ます。想定した問いと違う語で表示されている場合は、見出しをその語に寄せて書き直します。
このうち2番目は、書き換える範囲がいちばん狭い工程です。前置きから始まる構成と、答えを直下に置いた構成を並べて見比べてください。

5つのうち時間がかかるのは3番目と4番目です。逆に1番目と2番目は、記事1本あたり半日ほどで終わります。手を付ける順番に迷ったときは、確認の工程を作る前に本数を増やそうとしていないかを疑ってください。
AIの下書きを公開できる状態にする工程が、社内で決まっていない段階でしょうか
確認の手順は、記事を何本作るかより先に決めるものです。誰がどの順で何を見るのか、社内に残す判断と外へ出せる作業をどこで分けるのか、弊社の制作工程をお見せしながらご一緒に組み立てます。編集部の機能ごとお預かりする形にも対応しています。
AIで量産した記事の見分け方と直し方
2023年から2024年にかけて記事を一気に増やしたサイトでは、どの記事に手を入れるべきか特定しづらくなります。まず見分ける手がかりを挙げます。
2023年にAIで100本ほど作りました。全体の順位が伸びないのですが、どこから手を付ければよいのか見当が付きません。
編集部
本数が多いときは、内容の良し悪しを1本ずつ読んで決めないほうが早いです。同じ問いに答えている記事が重なっていないか、答えが見出しの直下にあるかという2点だけで仕分けると、直す対象が半分以下に絞れることがよくあります。
仕分けに使う手がかりを挙げます。1本ずつ通して読む必要はなく、目次と冒頭の数行を見れば判定できるものを選びました。
- 見出しの直下が前置きから始まり、答えが段落の後半に置かれている
- どの記事も定義から始まり、メリットとデメリットを並べて終わる同じ順番になっている
- 数値も社名も出てこず、一般論だけで説明が終わっている
- 同じテーマの記事が3本以上あり、どれも同じ問いに答えている
- 書き手と運営者の情報がページから辿れない
該当が多い記事から順に直しますが、書き直す範囲は絞ってかまいません。答えの位置を上げる、重なっている記事を1本へ寄せる、自社の事実を足すという3つで、たいていの記事は形になります。
まとめる場合は、残す側のURLへ内容を移してから転送します。転送だけ設定して中身を移さない統合は、流入を減らす側に働きます。作業そのものは単純ですが、ここを省くとまとめた意味がなくなります。
消す判断は最後に回してください。内容が重ならず流入も順位もない記事に限って検討する、という線引きが現実的です。消してしまうと元に戻せず、同じテーマで書き直す手間は新規と変わらなくなります。
直す対象は絞れたものの、書き直す人手が足りない状態でしょうか
100本の仕分けまでは社内でも進みます。止まるのはそこから先の、1本ずつ答えを組み替える工程です。どの記事から着手し、どこまで書き換えれば数字が動くのか、実際の制作を含めてご相談いただけます。
AIに書かせるか人が書くかの判断
工程を整えたうえで、下書きをAIに任せるか最初から人が書くかを決めます。2択で並べると、判断の材料がはっきりします。
- 本数を落とさずに、確認へ人の時間を回せる
- 構成や一般的な説明が早く埋まり、自社の事実を足す作業に集中できる
- 確認の手順を決めておけば、担当者が替わっても品質の幅が小さい
- 1本あたりの制作時間は長く、本数を増やしにくい
- 書き手の力量に品質が寄り、異動や退職で止まりやすい
- 一般的な説明の部分にも人の時間を使うことになる
弊社が推奨するのは前者ですが、前提は確認の工程が動いていることです。手順のないまま下書きを流用すると、一般論だけの記事が増えます。
正直にお伝えすべき点もあります。制作を外へ出すと、自社で経験した部分が記事に入りにくくなるのです。実際に使った人の話は社内にしかないため、弊社が制作をお預かりするときも、その部分は担当者への聞き取りで埋めています。
判断の軸としては、分担の線は作業量ではなく、確認の責任で引きます。書く作業は外へ出しても品質を保てますが、どのキーワードを捨てるか、どの記事を消すかという判断は、事業の見通しを持っている社内側に残したほうが早く決まります。
よくある質問
2023年のSEOについて寄せられやすい疑問を、簡潔にまとめました。
判断の方針は使えます。制作方法を問わず品質で評価するという線引きと、読者の問いに答える方向は変わっていません。使えないのは、更新の告知を待って対応する段取りと、文字数を上位の平均に合わせる手順です。
下がりません。2023年2月の指針で、制作方法ではなく品質で評価すると示されています。ただし検索順位の操作を主な目的とした自動生成はスパムポリシーの違反に当たるため、確認せずに大量公開する運用は避けてください。
順位のために必要な表示ではありません。制作の経緯を知ることが読者の役に立つ場合は書く価値がありますが、書き添えれば品質の説明になるわけではありません。確認した内容と書き手の情報を示すほうが判断材料になります。
試験提供の名前としては使われなくなり、AIによる要約として検索結果へ組み込まれました。日本語では2024年8月から正式に表示されています。
先に直す手を試してください。同じ問いに答えている記事が重なっていれば1本へまとめ、答えが本文の中盤に埋まっている記事は見出しの直下へ移します。消すのは、内容が重ならず流入も順位もない記事に限って最後に判断します。
迷ったときの原則はひとつです。読者が検索した問いに、そのページで答えが出ているかどうかに戻してください。2023年の指針も、その後の更新も、この点をより厳しく見る方向に進んでいます。
2023年からの記事が何本あり、どこから直すべきか整理できていない段階でしょうか
記事の本数と検索からの流入の状況、社内で書ける人がいるかどうかを伺えれば、直す順番と分担の線引きからご一緒できます。何から手を付けるか決まっていない段階でも構いません。
まとめ|2023年に決まったのは作り方より確認
2023年は、判定の方針を示した2月の指針、検索の形を変えた5月のSGE発表、告知された最後のレビュー更新となった11月という、性質の違う出来事が重なった年でした。そして2026年の今、2023年に決まったのは作り方の自由と、確認の義務です。
残った変化は3つです。品質の責任が書き手の選定から公開前の確認へ移ったこと、引用される単位が記事から一節へ縮んだこと、更新を待って直す段取りが成り立たなくなったことです。
作業としては、見出しごとの問いを絞り、答えを直下へ置き、出どころを確認し、自社の事実を足し、公開後の検索語で照らす順番になります。2023年に量を作った記事は、消す判断より先に答えの位置を直してください。
私たち合同会社Writers-hubは、AIを工程に組み込んだ記事制作と、その確認の仕組みづくりを手がけています。2023年から積み上げてきた記事を、今の検索結果に合わせて組み直す作業からご相談いただけます。








