「SEOは難しそうだから、まずは簡単にできることだけ先にやっておきたい」。自社サイトの担当になったばかりの方から、この形のご相談をよくいただきます。入門向けの解説が「1分でできる」「今日からできる」と作業の手軽さの順に並んでいるため、上から片付けていけばそのうち順位も付いてくるように見えるのでしょう。ところが、そのとおりに手を動かして半年たっても検索結果がまったく変わらない、という続きになることが多いのです。
しかし、キーワードの設計から記事の制作、公開後の順位の確認までを事業会社と一緒に進めてきた弊社の立場から申し上げると、簡単な作業から手を付けても検索順位はほとんど動きません。手軽な作業は、裏を返せばいつでもやり直せる作業でもあります。あとから何度でも直せるということは、それだけ順位に与える影響も小さいのです。
本記事では、検索結果が決まる流れのかみ砕きから、やることを3つの層に分ける整理、今日のうちに終わる作業、書き始める前の30分で決めておく内容まで、記事の制作と運用を請け負ってきた立場で順を追ってお伝えします。
- SEOを一言で言い換えたときの中身と、検索結果が決まるまでの流れ
- やることを「1分の作業」「30分の判断」「半年の積み上げ」に分ける整理
- 今日のうちに終わる基本の作業と、そのうち最初に効くもの
- 書き始める前の30分で決める、狙う検索と答えの一文
- 簡単に見えて順位を落としかねないやり方と、外に出すかどうかの線引き
SEOを一言で言うと何か
SEOとはSearch Engine Optimizationの略で、日本語では検索エンジン最適化と呼ばれます。ただ、この訳語のまま覚えても実務では使いにくいため、自分のページが何に答えているのかを検索エンジンに伝え、読者に選んでもらえる状態にしておくこと、と言い換えるのがおすすめです。つまりSEOは、検索エンジンに正しく伝え、読者に選ばれる状態を作ることだと整理できます。Googleの裏をかく技術ではありません。この言い換えができると、あとに出てくる作業のほとんどが「伝えるため」か「選ばれるため」のどちらかに分類できるようになります。
検索結果が決まるまでの3つの段階
なぜ言い換えが効くのか。検索結果が表示されるまでの流れを見ると分かります。
Googleは、リンクをたどってページを見つけ、内容を読み取って自分たちの一覧に登録し、誰かが検索したときにその一覧から並び順を決めています。発見、登録、並び替えの3段階です。自分のページが検索に出てこないとき、原因はこの3つのどこかにあります。

見落とされやすいのが、真ん中の登録です。公開したばかりのページが検索に出てこないとき、順位が低いのではなく、そもそも登録されていないことがあります。Google Search Consoleの上部にページのアドレスを入力すれば、登録済みかどうかが1分ほどで分かります。順位の話に進むのは、それを確かめてからで構いません。
SEOが難しく見える原因
難しく感じる原因は、専門用語そのものより、性質の違う作業が同じ一覧に並んでいることにあります。
「タイトルにキーワードを入れる」と「質の高い被リンクを獲得する」は、どちらもSEO対策として同じリストで紹介されます。しかし前者は5分で終わり、後者は年単位の取り組みです。かかる時間も、失敗したときの傷の深さもまるで違うものが横一列に並んでいる限り、どれから手を付けるべきかは決まりません。
そこで次の章では、作業の難易度ではなく、間違えたときに取り返せるかどうかで並べ替えてみます。
簡単なSEOを分ける3つの層
SEOでやることは、かかる時間と、やり直しの効きやすさで3つに分けられます。この分け方にすると、手を付ける順番が自然に決まります。
| 1分で終わる作業 | 30分で決める判断 | 半年で積む信頼 | |
|---|---|---|---|
| 中身 | タイトルや見出しの書き方、画像の説明文 | 狙う検索と、答えの一文 | 記事の蓄積、紹介や被リンク |
| やり直し | いつでも直せる | 直すと記事ごと書き直し | 取り戻すのに時間がかかる |
| 順位への効き方 | 小さい | 大きい | 大きい |
| 後回しにすると | ほとんど影響なし | 作業がまとめて空振りになる | 伸びが頭打ちになる |
3つを並べてみると、順位を分けているのは作業の量ではなく、決めた内容のほうだと分かります。おすすめの列を真ん中に付けているのは、ここだけが「やり直しが高くつくのに、いちばん後回しにされやすい」層だからです。
1分で終わる作業の層
タイトル、見出し、画像の説明文、内部リンク、URL。この層は、ページの中身を検索エンジンに伝えるための作業です。伝え方を整える作業であって、伝える中身を作る作業ではありません。
だからこそ、中身が決まっていないページでいくら伝え方を磨いても、伝わるものが増えません。逆に言えば、中身が決まってさえいれば、この層は本当に1分で終わります。
30分で決める判断の層
誰のどんな検索に答えるページなのか、そして答えは何か。この2つを決める作業です。
書き始めたあとに変えると、本文ごと作り直しになります。3,000字書いてから狙いを変えた経験がある方なら、この痛みはご存じかと思います。手を動かす時間は短いのに、やり直しの費用だけが飛び抜けて高い。これがこの層の性格です。
半年で積む信頼の層
記事が増え、同じ分野の記事どうしが互いを補い、ほかのサイトやSNSで触れられていく。ここは時間を買うことができません。
だからこそ、上の2つを早く終わらせるほど、この層が始まる日が前倒しになります。急げるのは前半だけだ、と考えておくとよいでしょう。

今日のうちに終わる基本の対策
まず、1分の層にあたる作業をまとめて片付けます。ここは判断をほとんど必要としないため、狙いが決まっていない段階でも先に進められます。
- ページごとに違うタイトルを付け、狙う言葉をなるべく前に置く
- 説明文(メタディスクリプション)に、そのページで分かることを書く
- 見出しはh2からh3へ順に入れ子にし、段を飛ばさない
- 画像に、何が写っているかの説明文(alt)を入れる
- 関連するページどうしをリンクでつなぐ
- URLを英数字にし、日本語を含めない
- スマートフォンで開き、文字が読めるかを自分の目で確かめる
この7つのうち、最初に効くのはタイトルです。検索結果に表示されるのはタイトルと説明文だけで、読者はその2つだけを見てクリックするかどうかを決めています。狙う言葉を前に置くようお伝えしているのは、検索結果では後半が省略されて表示される場合があるためです。
※ タイトルの表示幅は端末や文字の種類によって変わるため、字数はあくまで目安としてお考えください。
内部リンクも、手軽なわりに軽く見られがちな作業です。新しく公開したページは、どこからもリンクされていないと見つけてもらうまでに日数がかかります。関連する既存ページから1本つないでおくだけで、登録までの時間が縮むことがあります。
いっぽうで、この層だけを丁寧にやっても順位が動かないのは、冒頭で申し上げたとおりです。作業としては正しいのですが、ページの中身が読者の検索に答えていなければ、伝え方を整えたところで伝わる内容そのものがありません。
この範囲の作業は、Googleが公開している入門資料でも確認できます。

簡単な作業から始めても順位が動かない理由
ここが、本記事でいちばんお伝えしたい部分です。理由は3つあります。
第一に、検索結果の1ページ目は、その作業をとうに済ませたページで埋まっているという点。タイトルにキーワードを入れる程度のことは、上位のページはとっくに終わらせています。差が付かない作業をどれだけ丁寧に積んでも、並び順は入れ替わりません。
第二に、検索エンジンが比べているのは作業の有無ではなく、検索した人の疑問に答えられているかどうかだという点。同じ言葉で3つのページが並んでいても、答えている問いがずれていれば、選ばれるのは検索した人の状況に近いほうです。
第三に、作業は積み上がらないという点。今日タイトルを直しても、明日はまた別のページのタイトルを直すことになります。一方で、判断のほうは積み上がるのです。狙う検索を一度決めれば、次の記事はその周りに置けばよく、その次も同じように置けます。
上位のページと同じ作業をしても差が付かないなら、個人や小さな会社では勝ち目がないということでしょうか。
編集部
むしろ逆で、規模が小さいほうが有利に働く場面があります。上位のページが答えているのは、たいてい広い問いです。「SEOとは」に答えるページは数えきれないほどありますが、「ネットショップを始めて3か月の店が最初に直すべき箇所」に答えているページはそう多くありません。答える問いを狭くするほど、競う相手は減ります。
ここで気を付けたいのは、問いを狭くすることと、キーワードを長くすることは別だという点です。「SEO 簡単 初心者 無料 やり方」のように言葉を継ぎ足しても、実際にそう検索する人はほとんどいません。狭くするのは言葉の長さではなく、読み手の状況のほうです。
上位ページと同じ作業をしても差は付きません。差が付くのは、答える問いを自社が詳しい範囲まで寄せたときです。
つまり、順位を分けているのは作業の数ではなく、答える相手の決め方だと言えます。この点は、作業の一覧を並べた記事ではほとんど語られません。
何について書くかが、まだ決まっていないままではありませんか
答える問いを自社の得意な範囲まで寄せる作業は、商品と顧客を知っている人にしか決められません。ただし、どの検索にどれくらいの需要があり、どこなら上位に届きそうかの見立ては、調べ方を知らないと時間ばかりかかります。弊社では、この30分の判断にあたる部分をご一緒に設計し、書く順番まで並べた一覧をお渡ししています。
最初の30分で決める記事の狙い
では、その30分で何を決めるのか。順番は次のとおりです。
扱っている商品やサービスについて、お客様が口にする言い方をそのまま書き出します。社内の呼び名ではなく、問い合わせの電話や商談の場で相手が使った言葉を思い出すと早いはずです。ここで出てくる言葉は、たいてい5分で10個ほど集まります。
書き出した言葉をGoogleに入力し、1ページ目に並ぶページを開きます。見るのは順位ではなく、どんな種類のページが並んでいるかです。比較サイトと大手メディアだけで埋まっている言葉は、当面は避けておきます。
「はじめて自社サイトを持った、従業員10名ほどの会社の担当者」といった形で、読み手を一人に決めます。絞ると読者が減るように見えますが、検索している人は自分の状況に近い記述を探しているため、かえって選ばれやすくなるはずです。
そのページが最後に言い切る一文を、本文より先に書きます。書けないときは、まだ調べが足りない合図です。ここで気付けるなら、8,000字書いたあとに気付くより、はるかに安く済みます。
4つのうち、いちばん飛ばされやすいのは2番目です。検索結果を実際に開いていく作業には、10分ほどかかります。ただ、この10分を省くと、誰も探していない言葉で記事を書いてしまうことがあり、そのときの損失は10分どころではありません。
そして最後にもう一つ。1ページで答える問いは1つに絞ります。1本の記事に3つの問いを詰め込むと、検索エンジンから見てそのページが何に答えているのか分かりにくくなり、3つとも中途半端な順位で止まります。問いが3つあるなら、記事も3本に分けたほうが早いのです。

無料で始められるツール
狙いを決めたあとの確認には、無料のもので足ります。有料のツールは、記事が数十本になってから考えても遅くありません。
- Google Search Console:自分のページが登録されたか、どの言葉で表示されたかを見る
- Googleアナリティクス(GA4):訪問した人数や、読まれたページを見る
- Googleキーワードプランナー:検索されている回数のおおよその規模を調べる
- ラッコキーワード:ある言葉と一緒に検索されている言葉を集める
- PageSpeed Insights:ページが表示されるまでの速さを測る
この中で最初に入れるべきは、Search Consoleです。アナリティクスが「来た人」を見る道具であるのに対し、Search Consoleは「検索結果に出たかどうか」を見る道具で、SEOの答え合わせに直接使えます。登録にはサイトの所有権の確認が必要ですが、レンタルサーバーやWordPressの管理画面から数分で終わることがほとんどでしょう。
Search Consoleで最初に開くのは、検索パフォーマンスの画面です。表示回数はあるのにクリックが少ない言葉が見つかったら、そのページのタイトルと説明文を書き直します。これが、費用をかけずにできる改善のうち最も手早いものです。
※ Search Consoleの数値は反映までに1日ほどかかるため、公開直後のページはしばらく数字が出ません。
簡単に見えて避けたいやり方
手軽に見えるやり方の中には、順位を下げる、あるいは検索結果から外される原因になるものが混じっています。
- 被リンクを購入する、順位を上げる目的でリンクを交換する
- 同じキーワードを本文に不自然な回数で詰め込む
- 他サイトの文章を言い換えただけのページを量産する
- 生成AIの出力を、人が確かめないまま公開する
- 中身のほとんど同じページを、地域名だけ差し替えて増やす
このうち、悪気なくやってしまいやすいのが後ろの2つでしょう。とくに生成AIについては、使うこと自体が禁じられているわけではありません。Googleが問題にしているのは、検索順位を操作する目的で作られた、読者の役に立たない内容のほうです。
つまり分かれ目は、AIを使ったかどうかではなく、公開前に人が中身を確かめたかどうかにあります。弊社でもAIは日々の制作に組み込んでいますが、出力をそのまま公開することはありません。事実関係と読みやすさを人が見る工程は、どうしても外せないところです。
どこからが問題になるかは、Googleが公開している方針にも記載があります。

自分でやるか任せるかの線引き
ここまでに挙げた作業は、そのほとんどが自分でできます。では、どこから外に出すかを考えてみます。
- 費用がかからず、今日から始められる
- 商品や顧客の言葉を、そのまま自分の言葉で書ける
- 読者の反応を見て、その日のうちに直せる
- 1本あたりの調べ物と執筆に、慣れるまで10時間前後かかる
- 本業が忙しくなると、更新が真っ先に止まる
- 書いたものの良し悪しを判定してくれる相手が社内にいない
ご相談を受けていて多いのは、3本目か4本目で止まってしまう形です。1本目は勢いで書けます。2本目も、1本目の型をなぞれば書けるでしょう。ところが3本目になると、次に何を書くかを毎回ゼロから考えることになり、そこで手が止まります。
ここで、記事を作ってきた立場から正直に申し上げると、止まる原因は書く力ではなく、書く順番が決まっていないことのほうが多いのです。
続けるとしても、全部を外に出す必要はありません。何を書くかの一覧だけ外で作り、執筆は自社でやる。あるいは、型が固まるまでの数本だけ外に出し、社内の書き手がそれを見本にする。この分け方であれば、費用を抑えたまま更新が止まりにくくなるはずです。
3本目で止まってしまったサイトを、もう一度動かしたい方へ
書く人が一人しかいない体制では、繁忙期に更新が止まるのを避けにくいものです。弊社では、キーワードごとの構成づくりから執筆、公開前の確認までをお引き受けしており、社内のご担当者には内容の確認だけをお願いする形も取れます。まず数本だけお任せいただき、それを社内の書き手の見本にする進め方も承っています。
よくある質問
早くて3か月、多くは半年から1年ほど見ておくのが現実的です。公開したページが登録され、表示され、読まれ、その積み重ねで評価が固まるまでに時間がかかるためです。ただし、既存ページのタイトルと説明文の書き直しは例外で、数週間でクリック数が変わることがあります。
できます。本記事で挙げたツールはすべて無料で、サーバー代とドメイン代のほかに必須の費用はありません。費用がかからない代わりに、1本あたり10時間前後の作業時間がかかると考えておくとよいでしょう。
決まった正解はありません。文字数そのものが評価されるわけではなく、答えるべき問いに最後まで答えると自然に必要な量に落ち着きます。目安が欲しい場合は、同じ言葉で上位に出ているページを3本ほど開き、その分量を参考にしてください。
回数の目安は考えなくて構いません。タイトルと見出しに自然な形で入っていれば、本文は読みやすさを優先したほうが結果につながります。回数を気にして不自然な文になるほうが、はるかに損です。
表示されます。Googleが見ているのは作り方ではなく、読者の役に立つ内容かどうかです。ただし出力をそのまま公開すると、事実の誤りや、どこかで読んだような内容が残りがちですので、人が確かめる工程は残してください。
まとめ|SEOで簡単なのは作業より順番
SEOには、確かに簡単な部分があります。タイトルを整える、画像に説明文を入れる、関連ページをつなぐ。この層は今日のうちに終わり、やり直しもいつでも効きます。
ただ、簡単な作業を上から順に片付けても、検索結果はなかなか変わりません。先に済ませるべきは、30分でできる判断のほうです。誰のどんな検索に答えるページなのか、そのページが言い切る一文は何か。この2つが決まっていれば、1分の作業は本当に1分で終わり、半年の積み上げも早く始まります。
今日の30分で、自社の言葉を10個書き出し、そのうちの1つで検索してみてください。並んでいるページを3本開けば、自分たちが何に答えられて、何には答えられないかが見えてきます。そこがSEOの出発点です。
私たち合同会社Writers-hubは、キーワードの設計から記事の制作、公開後の見直しまでを事業会社と一緒に進めてきました。自分たちで進めるか、一部を外に出すかを含めて、現状に合う進め方をご提案しています。
どこから手を付けるかを、いちど一緒に整理しませんか
すでに記事があるなら何を直すか、これからなら何から書くか。決め方は現在の本数や社内の体制によって変わります。まずは今のサイトの状態をお聞かせいただければ、次の3か月で何をすべきかを整理してお返しします。売り込みの前に、現状の見立てだけでもお持ちください。








