「SEOに強いサイトは、制作会社に頼めば出来上がる」。サイトの新規制作やリニューアルを検討している方から、この前提でご相談をいただくことがあります。制作会社の案内ページには「SEOに強いホームページ制作」という商品名が並び、検索エンジンに評価される設定を施して納品しますと書かれているのですから、公開した時点で強い状態が手に入ると受け取っても無理はありません。
しかし、公開後のサイトに記事を積む仕事を数多く引き受けてきた弊社の立場から申し上げると、制作で手に入るのは減点を防ぐところまでです。順位を押し上げる部分は、公開したあとでなければ動かせません。納品時の設定がひととおり整っていても、ページが1本も増えないまま半年が過ぎたサイトは、やはり検索結果に出てきません。
本記事では、SEOに強いサイトの中身を3つの層に分けたうえで、制作の発注で決まること、公開後にしか決まらないこと、自社で確認できる項目まで、記事制作の現場から順にお伝えします。
- 「SEOに強いサイト」を検索結果で起きていることから言い直すとどうなるか
- 強さを支える技術・コンテンツ・外部評価の3つの層と、それぞれの担い手
- 制作会社への発注で手に入る範囲と、公開後にしか動かせない範囲の境目
- 公開後に順位を動かす3つの仕事と、着手の順番
- 無料ブログ・レンタル型サービス・独自ドメインで変わる条件
「SEOに強いサイト」が指す状態
SEOに強いサイトという言葉は、制作会社の案内でも解説記事でも頻繁に登場しますが、指している中身は書き手によって違います。表示速度の速さを指す場合もあれば、記事の本数を指す場合もあるでしょう。まずはこの言葉を、検索結果で実際に起きていることから定義し直します。
検索結果の上位に並んでいるのは、サイトではなく個別のページです。検索エンジンは1ページずつ内容を読み取り、検索された言葉との関係で順位を決めています。この事実を踏まえて「サイトが強い」という状態を言い直すと、狙った検索語で上位に入るページを継続して出せる状態となるでしょう。
ここで区別しておきたいのが、1本のページがたまたま上位に入った状態との違いです。強いサイトでは、新しく公開したページが数日のうちに検索結果へ現れ、いきなり圏外ではなくある程度の位置から始まります。同じ内容を書いても、サイトによって初速がまるで違う。この差が生まれる理由を分解したものが、次に挙げる3つの層です。
1本の上位表示は運の要素を含みます。一方、公開したページが毎回それなりの順位から始まる状態は、積み上げた条件の結果です。SEOに強いサイトかどうかは、1本の順位ではなく再現性で見るのが実務的でしょう。
強さを支える3つの層
検索エンジンがページを評価するまでの流れは、大きく3つの段階に分かれます。読み取られる段階、内容を評価される段階、他サイトとの関係で信頼を測られる段階です。どれか1つが欠けると、残りの2つがいくら整っていても順位には反映されません。

検索エンジンが読める状態
1つ目は技術面です。ページが検索エンジンのクローラーに発見され、内容が正しく読み取られ、検索対象として登録されるまでの経路を整える作業を指します。具体的には、サイト内のリンクでどのページからも辿り着けること、XMLサイトマップを送信していること、スマートフォンで問題なく表示されること、通信がHTTPSで暗号化されていること、表示までの待ち時間が長すぎないこと。このあたりが該当します。
技術面の特徴は、整えたからといって順位が上がるわけではない点にあります。あくまで読み取りを妨げる要因を取り除く作業であり、効果としては減点の回避に近い。ただし1つでも欠けると上の層が機能しなくなるため、優先順位としては最初に来ます。
検索意図に答えるページの蓄積
2つ目がコンテンツです。検索した人が知りたかったことに、そのページで答えが出せているかどうかを指します。ここが順位の大半を決める部分でしょう。
見落とされやすいのは、ページ数そのものには意味がないという点でしょう。10本の薄いページより、検索されている1つの疑問に丁寧に答えた1本のほうが順位も滞在時間も伸びます。とはいえ、検索される疑問の数は業種によって数十から数百に及びますから、答えるべき疑問を洗い出せば結果としてページ数は必要になる。順序としては、本数を目標に置くのではなく、答えるべき疑問を並べた結果として本数が決まります。
他サイトからの言及とリンク
3つ目が外部評価です。他のサイトから自社ページへリンクが張られる、あるいはリンクを伴わずに社名やサービス名が言及される。こうした外部からの参照が、検索エンジンにとっての信頼の材料になります。
この層は自社の作業だけでは動かせません。購入したリンクが評価されないことは検索エンジン側が明言しており、対策として成立しない時期がすでに10年以上続いています。現実的な手段は、引用したくなる調査結果や事例を公開すること、取材や寄稿の機会を受けること、業界メディアに掲載される活動を続けることに限られます。

制作で決まる部分と決まらない部分
3つの層を並べると、制作会社への発注で手に入る範囲がはっきりします。技術面はほぼ制作で決まり、コンテンツと外部評価は公開後の活動で決まる。つまり、順位を押し上げるのは公開後に増えるページのほうです。
- クローラーが辿れるサイト構造と内部リンク
- タイトルタグや見出しタグの正しい使い分け
- 表示速度、スマートフォン対応、HTTPS化
- XMLサイトマップの送信と構造化データの実装
- 更新しやすいCMSと、記事を増やせるページ設計
- 検索されている疑問に答えるページの中身
- 公開後に毎月積み上がる記事の本数
- 他社や業界メディアからの言及とリンク
- 書き手の体制と、続けられる更新の仕組み
制作会社の案内ページにはあまり書かれない部分ですが、SEOに強いホームページ制作という商品で提供されているのは、ほぼ左側の内容です。左側は品質の差こそあれ、まともな制作会社であれば納品時点で満たしています。だからこそ、公開して半年後に差がつくのは右側のほうでしょう。
制作会社に「SEO対策込み」でお願いしているのですが、それでも記事は自分たちで用意しないといけないのでしょうか。
編集部
はい、その理解で合っています。ただ「自分たちで書く」と「自社の名前で出す」は別の話です。誰が書くかは外注でも構いません。決めるべきなのは、何のテーマで、月に何本、誰が公開の判断をするかという運用の枠組みのほうです。
ここで視点を反転させましょう。制作の見積もりに「SEO対策」という項目があったとき、確認すべきは金額ではなく範囲です。初期設定までなのか、公開後のキーワード設計や記事制作まで含むのか。この線引きが曖昧なまま契約すると、公開後に誰もページを増やさない状態が生まれます。
公開後に何を書けばいいか、まだ決まっていませんか
サイトの土台が整っていても、書くテーマが決まらなければページは増えません。弊社では、検索されている疑問を洗い出し、どの順番で記事にするかまでを設計してお渡ししています。
公開後に順位を動かす3つの仕事
ここからは、公開後に手を動かす側の話に移ります。やることは多いように見えて、実際には3つに集約されます。
自社が答えられる疑問のうち、実際に検索されているものを一覧にします。検索数の多い言葉から手を付けたくなりますが、公開直後のサイトでは競合が強すぎて順位が付きません。最初に着手すべきは、検索数が月に数十件でも、自社のサービスを検討している人が打ちそうな具体的な言葉のほうです。
洗い出した疑問に、ページを1対1で対応させます。1本の記事に複数の疑問を詰め込むと、どの検索語でも中途半端な順位に落ち着きます。書く前に、そのページを読み終えた人が何を理解し、次に何をするのかを決めておくと、内容がぶれません。
公開して2、3か月が経つと、どの検索語で何位に付いているかが見えてきます。11位から20位あたりに留まっているページは、答えが不足している箇所を足すだけで上位に入る見込みがあるでしょう。新規の制作と同じくらい、この手直しに時間を割く価値があります。
順位が動き始めるまでには、公開から3か月から6か月ほどかかると見ています。競合の状況やサイトの状態で前後しますから、1か月で判断せず、半年分の記事本数をあらかじめ決めておくほうが結果的に早く進みます。
※ 期間の目安は弊社が支援した案件での実務上の傾向であり、業種、競合サイトの数、既存ページの評価状況によって変動します。

土台の確認項目と落としやすい設定
技術面は制作会社が整える範囲ですが、発注側でも確認できる項目があります。専門的な診断ツールを使わなくても、次の点は自分の目で見られます。
- スマートフォンで開いたとき、文字がはみ出さず読めるか
- トップページ以外のページにも、メニューやリンクから3クリック以内で辿り着けるか
- ページごとにタイトルが違うか(すべて社名だけになっていないか)
- アドレス欄の鍵マークが表示されているか(HTTPS化されているか)
- 記事や事例を自分たちで追加できる管理画面があるか
- Google Search Consoleに登録され、サイトマップが送信されているか
とりわけ見落とされがちなのが、リニューアル時のURLの扱いです。既存サイトを作り直す際に、ページのURLが変わったにもかかわらず旧URLから新URLへの転送設定を入れないと、それまで積み上げた評価が引き継がれません。
リニューアル後にアクセスが急に減った場合、まず疑うべきはデザインではなくURLの転送設定です。旧サイトのページ一覧と新サイトのページ一覧を突き合わせ、1対1で転送先が指定されているかを制作会社に確認してください。転送が漏れているページは、検索結果から消えたまま戻りません。
なお、技術面の判断に迷ったときは、検索エンジンの提供元が公開している資料が最も確かな拠り所になります。日本語版が用意されており、制作会社との会話の前提を揃える用途でも使えます。

無料ブログと独自ドメインの差
サイトの置き場所によって、できることの範囲が変わります。無料ブログサービスで始めるか、レンタル型のホームページ作成サービスを使うか、独自ドメインを取得してCMSを載せるか。検索対策の観点で条件を並べると、違いがはっきりします。
| 無料ブログサービス | レンタル型HP作成サービス | 独自ドメイン+CMS | |
|---|---|---|---|
| 独自ドメインの利用 | × | △(上位プランのみ) | ◎ |
| 記事の資産としての蓄積 | △(サービス終了で消える) | ○ | ◎ |
| タイトルタグや構造の調整 | × | △ | ◎ |
| 表示速度の改善余地 | × | △ | ○ |
| サービス側の広告表示 | ×(強制表示あり) | ○ | ◎ |
| 初期費用と着手の速さ | ◎ | ○ | △ |
| 運用に必要な知識 | ◎(ほぼ不要) | ○ | △ |
無料ブログが検索に弱いという言い方をよく見かけますが、正確ではありません。個々の記事が上位に入ることは普通にあります。問題は、蓄積した記事が自社の資産にならない点にあるでしょう。サービスが終了すれば記事は消え、ドメインの評価も持ち出せません。事業の集客として続けるつもりなら、独自ドメインを前提に考えるほうが後戻りが少なくなります。
一方で、まず書けるかどうかを試したい段階であれば、無料の環境で3本ほど書いてみるのは合理的な進め方です。書き手が用意できないまま高機能なCMSを導入しても、更新されない箱が残るだけになりかねません。
強くなりきれないサイトの共通点
相談をいただくサイトを拝見していると、つまずき方にはいくつかの型があります。技術面の問題よりも、運用の設計に起因するものが目立ちます。
- トップページにだけキーワードを詰め込み、下層ページは会社案内のまま
- 公開が目的になっており、公開日以降に追加されたページが0本
- 月に1本の更新を「お知らせ」で消化し、検索される内容を書いていない
- 書く担当者を決めずに始め、通常業務の合間に後回しになっている
- リニューアルのたびにURLが変わり、過去の評価がリセットされている
- 検索順位だけを見て、問い合わせにつながったかを測っていない
いちばん多いのは2つ目です。公開の時点で予算と気力を使い切ってしまい、更新の担当者も本数も決まっていない。制作費に数百万円をかけたサイトでも、ページが増えなければ検索結果での位置は変わりません。裏を返せば、更新の担当者と月の本数を先に決めるだけで大半のサイトは動き出します。
順位だけを追って問い合わせ数を見ていない状態にも触れておきましょう。検索数の多い言葉で上位に入っても、サービスの検討段階にない読者ばかりが訪れるなら、事業への貢献は限定的です。狙う言葉を決める段階で、その言葉を打った人が自社の顧客になりうるかを確認しておくと、後の落胆を避けられます。
制作会社と支援会社の選び方
サイトの制作と公開後の記事制作は、必要な技能が別です。両方を1社で引き受ける会社もあれば、どちらかに専門を絞っている会社もあります。選ぶ側としては、自社に足りないほうから埋めるのが順当でしょう。
実績ページに「検索1位を獲得」と載っている制作会社なら、任せておけば安心ではないでしょうか。
編集部
その実績が何の作業によるものかを聞いてみてください。制作時の設定だけで1位を取れる検索語は、競合がほとんどいない言葉に限られます。公開後に何本の記事を作り、どの検索語で何位まで動いたのか。そこまで答えられる会社であれば、運用まで任せられる可能性が高いと見ています。
確認したい点は3つあります。1つ目は、公開後の作業が見積もりに含まれるかどうか。2つ目は、記事を作る場合に誰が書くのか、そして専門的な内容をどう取材するのか。3つ目は、順位の報告だけでなく、問い合わせ数まで見る契約になっているかどうかです。
正直にお伝えすると、制作会社に記事制作まで発注すると単価は上がりがちです。デザインや実装を本業とする体制で文章を作るため、取材や編集の工数が別途かかるからでしょう。制作は制作会社に、記事は記事制作を本業とする会社に分けて発注するほうが、同じ予算でも本数を確保しやすくなります。
サイトはできたのに、記事が増えないまま止まっていませんか
弊社は、検索されている疑問の洗い出しから記事の制作、公開後の手直しまでを引き受けています。社内に書き手がいない状態からでも、月に何本を誰の確認で出すかを決めるところから一緒に組み立てます。
SEOに強いサイトのよくある質問
最後に、ご相談の場で繰り返し聞かれる質問をまとめます。
制作だけでは上がりません。制作で整うのは検索エンジンに読み取られるための土台で、順位を動かすのは公開後に増えるページです。発注時に、公開後のキーワード設計と記事制作が範囲に含まれるかを必ず確認してください。
本数そのものは評価されません。検索されている疑問に1本ずつ答えた結果としてページが増えている状態であれば有利に働きます。内容の薄いページを量産すると、サイト全体の評価を下げる要因になります。
公開から3か月から6か月が目安です。既存ドメインで運用実績がある場合はもっと早く動くこともあります。1か月で判断せず、半年分の記事本数を先に決めておくことをおすすめします。
入れます。ただし記事はサービス提供元の資産であり、サービス終了とともに消えます。事業の集客として続けるなら独自ドメインを前提にしてください。
WordPress自体が順位を押し上げるわけではありません。タイトルタグや構造を細かく調整でき、記事を追加しやすい点が有利に働くだけです。同じことができる仕組みであれば、他のCMSでも条件は変わりません。
まとめ|強いサイトは作るより育てる
SEOに強いサイトの中身を3つの層に分けて見てきました。技術面は制作の発注で整い、コンテンツと外部評価は公開後の活動で決まります。制作の段階で手に入るのは、減点されない状態まで。そこから先を動かすのは、公開後に積み上がるページです。
これから制作を依頼する方は、見積もりの「SEO対策」がどこまでを指すのかを確認してください。すでにサイトをお持ちの方は、公開日以降に何本のページが増えたかを数えるところから始めると、次に手を付ける場所が見つかります。強いサイトは完成させるものではなく、更新が続く状態で保つものだと考えています。
私たち合同会社Writers-hubは、検索されている疑問の洗い出しから記事の制作、公開後の手直しまでを引き受けている記事制作会社です。サイトの土台は整ったものの、何をどの順番で書けばよいか決まっていない段階でのご相談を多くいただいています。
自社のサイトが3つの層のどこで止まっているか、確かめてみませんか
今のサイトで何が足りていないのかは、ページの一覧と検索順位を並べれば見当が付きます。制作を依頼する前でも、公開から何年か経ったあとでも構いません。現状をお聞かせいただければ、次に手を付ける順番をお伝えします。








