「AI研修は、おすすめの一覧で評判のいい研修会社を選べば、社員が使うようになるはず」。そう考えやすいのは、研修会社の紹介ページにカリキュラムの幅や受講者の満足度が並び、内容の良い研修を選べば成果も出ると思えるからです。ところが、社員が研修の翌月に仕事でAIを使っているかは、研修の中身より、研修のあと使う業務とその手順を作る人を、頼む前に会社が決めているかで変わります。
本記事では、研修会社に頼む前に社内で決める3つの項目から、見積もりと打ち合わせで聞く4つの質問、研修の1か月後に利用を数える方法まで、自社の記事制作にAIを組み込んで運用している制作会社の視点で順を追ってお伝えします。
- おすすめの研修会社は、一覧の評判ではなく、自社の業務を演習の題材にでき、研修のあとまで付き合えるかで決まる
- 頼む前に、AIに下書きさせる3つの業務、業務ごとの1枚の手順書、手順書を作って直す担当者を決めておく
- 見積もりと打ち合わせでは、研修会社に4つの質問をして、複数社の答えを比べる
- 研修の1か月後に、選んだ業務で何人が何回AIを使ったかを、下書きを確かめる人の記録から数える
AI研修を受けた社員が仕事でAIを使わない場面
研修を受けさせたのに社員がAIを使っていない状態は、研修の当日ではなく、翌週からの仕事のやり方に表れます。研修のあと、次の3つの状態のどれか1つでも続いていれば、AIの使い方が仕事に定着していないか、使われているかを会社が把握できていません。
- 問い合わせへの返信や見積の説明文を、研修の前と同じく一から書いている
- 研修の演習で作った頼み方の文が、受講した社員のパソコンに残ったままになっている
- どの業務で誰が何回AIを使ったかを、社内の誰も答えられない
受講した社員に、研修の翌週にAIを使おうとした仕事と、手を止めた場面を聞くと、使わなかった理由が具体的に分かります。聞いた答えは、次の研修会社を選ぶときに、どの業務を演習の題材にするかを決める材料になります。
おすすめの一覧で評判のいい研修会社に頼めば、社員は使うようになりますか。
編集部
一覧に載る研修会社の多くは、AIの操作や頼み方を教える教材をそろえています。ただ、御社のどの業務で使うかを決めずに受けると、研修会社を替えても、社員は研修の翌日に何に使えばよいかで迷います。研修会社を選ぶ前に、使う業務と、その手順を作る人を社内で決めてください。
研修のあとにAIが使われないのはなぜか
研修のあとにAIが使われないのは、どの業務にどこまでAIを使ってよいかを、会社が決めていないからです。研修で扱う範囲は会社によって違い、業務の棚卸しまで支援する研修もあります。どの業務に使い、どの情報までなら入力してよいかは、取引先や社内の事情を知る会社にしか決められません。
使う業務が決まっていない社員は、研修の例題を自分の仕事に当てはめる作業を一人で抱えます。架空の商品の紹介文で覚えた頼み方を、自社の見積の説明文に合わせて書き直す作業は、仕事の合間に片づけるには手間がかかります。
反対に、使う業務を決めておけば、研修の演習をその業務で行えます。研修の当日に、翌日から使う頼み方の文が手元に残ります。

AI研修を頼む前に社内で決める3つの項目
研修会社に頼む前に社内で決める項目は3つで、どれも見積もりを頼むときの材料になります。3つが決まっていれば、各社に同じ業務を見せて、演習の題材にできるかを比べられます。
AIに下書きさせる3つの業務
AIに下書きさせる業務は、毎週くり返していて、人が確かめれば社外に出せる文章の仕事から3つ選びます。たとえば、問い合わせへの返信や見積の説明文、打ち合わせのまとめなどです。
毎週くり返す業務を選ぶのは、研修の翌週から使う場面があり、1か月後に使った回数を数えられるからです。人が確かめれば出せる業務に絞るのは、AIの下書きに誤りが混ざっても、社外に出す前に止められるからです。
数を3つにしておくと、研修の演習で1業務ずつ扱え、1か月後に数える表も3行で済みます。毎週の仕事を書き出して3つに絞る手順は、AI研修を受けても社員が使わない理由で順を追って紹介しています。
業務ごとの1枚の手順書
業務ごとの1枚の手順書は、3つの欄に分けて書きます。打ち合わせのまとめを例にすると、記入例は次のとおりです。
欄 | 打ち合わせのまとめの記入例 |
|---|---|
AIに渡す資料 | 打ち合わせ中に担当者が取ったメモ、前回のまとめ |
頼み方の文 | 「次のメモから、決まったこと、次にすること、担当者と期日を、前回のまとめと同じ形で書き出してください。メモに無いことは書かないでください」 |
確かめる人 | 打ち合わせに出た課長。担当者と期日が、話した内容と合っているかを見る |
頼み方の文の欄は、研修の前に書けなければ空けておき、演習で作った文を後から書き入れます。手順書は、客の名前や金額を消してから、見積もりを頼むときに研修会社へ渡しましょう。受け取った研修会社は、手順書の業務を演習の題材にできるかを具体的に答えられます。

手順書を作って直す担当者
手順書を作って直す担当者は、研修会社を選ぶ前に、社内の誰にするかを決めます。担当者がいないと、研修のあと手順書が一度も直されず、社員が使わなくなっても理由を調べる人がいないからです。
担当者には、AIに詳しい社員より、担当する業務の下書きを確かめる人を選びます。うまくいかなかった下書きは手順書を直す材料になり、その下書きを最初に目にするのが確かめる人だからです。
社内に担当者を置けないなら、手順書づくりと研修のあとの見直しまで引き受ける相手を選ぶことになります。手順書を作る人が社内にいるかで、研修会社に頼む範囲が変わります。
手順書を作って直す担当者を、社内で置けそうですか
担当者を置く余裕がない場合は、どの業務からAIに下書きさせるかを決めるところから一緒に進められます。当社が実務で使っているAIツールとプロンプト、ワークフローを教材に、業務の棚卸しから、社内で自分たちでできる状態になるまで伴走します。
見積もりと打ち合わせで研修会社に聞く4つの質問
研修会社には、業務ごとの1枚の手順書を見せながら、見積もりの前か最初の打ち合わせで4つの質問をします。複数社に同じ質問をすると、研修のあとまで付き合える会社かどうかを、答え方の違いで比べられます。
研修会社の答え方は、研修の進め方によって大きく3つの型に分かれます。4つの質問への答えの傾向と、型ごとに向いている会社は次のとおりです。
| 録画の教材で学ぶ研修 | 講師が自社の業務で進める研修 | 研修のあとまで伴走する支援 | |
|---|---|---|---|
| 自社の業務を題材にできるか | △ 全員に同じ例題が中心 | ○ 事前に資料を渡せばできることが多い | ◎ 業務の書き出しから扱う |
| 研修のあと質問できるか | △ 窓口の有無は会社ごとに違う | △ 期間を決めて受ける会社がある | ◎ 使い始めてからの相談が中心 |
| 入力しない情報の決まり | △ 一般的な注意の説明まで | ○ 頼めば一緒に作れることがある | ○ 業務ごとに一緒に決められる |
| 使われているかの確かめ方 | △ 受講の完了率が中心 | △ 研修のあとのアンケートが中心 | ○ 業務で使った回数を一緒に見られる |
| 向いている会社 | 全社員に基本の使い方を広げたい会社 | 使う業務と手順を直す担当者が社内で決まっている会社 | 業務選びや手順書づくりまで手が回らない会社 |
型の分かれ方は目安で、同じ型でも研修会社ごとに答えは違います。
自社の業務を演習の題材にできるか
自社の業務を演習の題材にできるかは、1枚の手順書を見せて、どの業務を演習でどれだけ扱えるかまで答えてもらうと比べられます。「できます」とだけ答える会社には、事前に渡す資料の形を続けて聞きましょう。
あわせて、演習で作った頼み方の文を、研修のあと社内で使ってよいかも確かめます。持ち帰れない契約だと、演習で作った文を翌日の仕事で使えません。
録画の教材で学ぶ研修は、受講者全員に同じ例題を見せる作りが中心です。自社の資料を題材にするなら、講師が資料を見ながら進める回を別に頼むことになります。
研修のあと質問できる期間があるか
研修のあと質問できる期間は、社員が選んだ業務で使い始める最初の1か月を含むかで比べます。社員が迷うのは研修の当日ではなく、自分の仕事で使い始めてからだからです。
期間に加えて、質問の窓口が誰で、何日以内に答えが返るかも聞いておきます。返事を待つ間、社員はその業務を元のやり方で片づけてしまうでしょう。
質問できるのが研修の当日だけの会社を選ぶなら、研修のあとの見直しは社内の担当者が受け持ちます。手順書を作って直す担当者を社内に置けることが、当日だけの会社を選ぶ条件です。
入力しない情報の決まりを一緒に作るか
入力しない情報の決まりを一緒に作るかは、研修会社によって、一般的な注意の説明で終わるか、御社の業務に合わせた決まりまで作るかに分かれます。社員が手を止めるのは、目の前の問い合わせに客の名前を入力してよいか迷ったときなので、決まりは業務ごとに要ります。
顧客台帳にある客の情報を入力するなら、利用目的として決めた範囲に入るかと、AIサービスの提供会社が入力した内容を機械学習に使わないかを、先に確かめておく必要があります。顧客台帳に含まれる個人データを本人の同意を得ずに入力し、そのデータが回答を作る以外の目的に使われると、個人情報保護法に違反するおそれがあるためです。
(参考:生成AIサービスの利用に関する注意喚起等(個人情報保護委員会))
研修で使うAIサービスの名前と、入力した内容を学習に使わせない設定を、研修会社が説明できるかも確かめてください。
受講後に使われているかをどう確かめるか
受講後に使われているかの確かめ方は、選んだ業務で使った人数と回数を数える方法を、研修会社が一緒に考えるかで比べます。受講のあとのアンケートや確認テストで分かるのは、研修の中身を理解できたかまでです。
答えが「受講後のアンケートで満足度を測ります」だけなら、使われているかを数える方法は社内で用意することになります。数え方を一緒に考える会社なら、1か月後に数えた結果を見せて、手順書の直し方まで相談できます。
研修の1か月後に数える利用の人数と回数
研修の1か月後には、選んだ3つの業務ごとに、AIを使った人数と回数を数えます。1か月にするのは、毎週くり返す業務なら1か月で複数回の利用機会があるからです。使わなかった理由は、その業務が発生したかの記録と、担当者への聞き取りで確かめます。
確かめる人の記録の付け方
人数と回数を数える元にするのは、下書きを確かめる人の記録です。AIの下書きは確かめる人に渡すと決めておけば、確かめる人が届いた下書きを1件ごとに1行書くことで、社員一人ひとりに聞かずに数えられます。採用しなかった下書きも、共有の表に記録してもらいます。
確かめる人は、AIの下書きを1件読むたびに、業務の名前と下書きを作った人の名前を、共有のスプレッドシートに1行書きます。月ごとにシートを分けておけば、日付を書かなくても1か月分を数えられます。

1か月後の結果の読み方
1か月後の結果は、業務ごとに担当している人数と比べて読み、次にすることを決めます。数えた結果ごとの読み方は、次の3通りです。
数えた結果 | 考えられる理由 | 次にすること |
|---|---|---|
担当者のほとんどが毎週使っている | 手順書がその業務に合っている | 手順書を残し、同じ業務のほかの社員にも配る |
使った人が一部に限られる | 使った人だけが頼み方を工夫している | 使った人の頼み方の文を手順書に書き足す |
ほとんど使われていない | 渡す資料がそろわない、確かめる手間が減らない | 研修会社に記録を見せて相談し、直らなければ業務を入れ替える |
数えた結果は、研修のあと質問できる期間のうちに研修会社へ見せます。使われていない業務の記録があれば、直す所を具体的に相談できます。
社内の準備まで手が回らない場合
社内の準備まで手が回らない場合は、業務の書き出しから手順書づくりまでを、研修と一緒に外へ任せる方法があります。任せる相手を選ぶときも、研修会社に聞く4つの質問はそのまま使えます。
ただし、客の情報の扱いと、下書きを確かめて社外に出す人は、任せた後も会社が決めます。社外に出す文の中身に責任を持つのは、研修会社ではなく御社だからです。任せられるのは、毎週の仕事の聞き取りから、研修のあとの手順書の見直しまでです。
研修の前の準備を、誰が進めるか決まらないままですか
毎週の仕事の書き出しと業務ごとの手順書づくりに時間を割けないなら、業務の棚卸しから一緒に進められます。当社が実務で使っているAIツールとプロンプト、ワークフローを教材に、社内で自分たちでできる状態になるまで伴走します。
まとめ|おすすめのAI研修は研修後に使う業務で決まる
おすすめのAI研修は、一覧の評判ではなく、研修のあと社員がAIを使う業務を演習の題材にでき、研修のあとまで付き合える研修会社かで決まります。見積もりを頼む前に、次の3つをそろえておきます。
- AIに下書きさせる3つの業務
- 業務ごとの1枚の手順書
- 手順書を作って直す担当者
そろえた材料を見せて4つの質問をすれば、各社の答えを同じ業務で比べられます。
頼む前に決めることは、社内でも決められます。業務の選び方や手順書づくりまで手が回らない場合は、私たち合同会社Writers-hubが、実務で使っているAIツールとプロンプトを教材に、業務の棚卸しから社内で自分たちで使える状態になるまで伴走します。







